Rust製ツールでおしゃれなターミナル環境を作る【Starship ✕ eza】
はじめに
エンジニアとして働く中で、ターミナルを頻繁に利用することは一般的です。エンジニアは細部にこだわり、各自が自分にとって使いやすい作業環境を構築している印象があります。私も日々の作業を効率化するため、さまざまなツールに関する情報を積極的に収集しています。
エンジニアに限らず、日常的に使用するものにこだわり、自分の使いやすいようにカスタマイズすることで、作業効率や生産性の向上につながります。
Rust製のコマンドやツールなどが昨今注目されており、GitHubなどでおしゃれなOSSのコマンドやツールが増えてきました。そこで今回は、StarshipというRust製のプロンプトとRust製コマンドezaを活用してモダンかつ軽量、おしゃれなターミナル、シェル環境を構築してみました。
今回作成したものがこちらです。
プロンプトはStarship、アイコンツリー表示にezaを使用
Starshipで作業ブランチ名とNode.jsのバージョンを表示し、ezaを使ってアイコン付きのツリー表示でReactのプロジェクトを開いた様子です。カラフルな表示とアイコンフォントで視認性を上げつつ、全体的にモダンな雰囲気になりました。
またターミナルのテーマにはDraculaを使用しています。今回使用するStarshipと色合いが似ており、テーマと合わせることで全体的に雰囲気がおしゃれになります。DraculaはWindows TerminalやiTerm2など多くのターミナルツールに対応しています。
今回使用する環境
今回は以下の環境、バージョンにてそれぞれターミナルを構築しました。
[Windows]
- Windows Terminal 1.18.3181.0
- WSL2(Ubuntu 20.04 LTS)
- zsh 5.9
[Mac]
- iTerm2 Build 3.4.22
- macOS Sonoma 14.1.1
- zsh 5.9
私は、開発でWindowsとmacOSを両方使用しておりターミナルツールとしてそれぞれWindowsではWindows Terminal、MacではiTerm2を使用しています。Rust製ツールは互換性が重視されており、異なる環境であっても簡単に同じような環境を作成できるのが大きなメリットです。
Starshipを導入する
まず、Rust製のシェルプロンプト「Starship」を導入します。
GitHubのリポジトリは以下になります。
「互換性優先」「Rust製」「カスタマイズ可能」という三拍子揃ったモダンなプロンプトになります。サイトを見てすぐわかりますが、公式が日本語のドキュメントを用意してくれています。デフォルトでカラフルな表示と絵文字の表示をしてくれるおしゃれなプロンプトです。互換性優先で設計されており、OSやシェルを選ばずにインストールできるため複数の端末で同じ環境を揃えやすい、乗り換えやすいというメリットがあります。
インストール
公式サイトにそれぞれの環境でのインストールが詳しく紹介されているので簡潔にまとめます。
WSL2でUbuntuなどを利用している場合は以下のスクリプトを使ったインストールが簡単です。
$ curl -sS https://starship.rs/install.sh | sh
✓ Starship installed
と表示されればインストールは完了です。またこのやり方でインストールした場合、Starshipの更新も同じコマンドで行います。アップデートする際は設定ファイルを変えることなく環境を引き続きながらバージョンを置き換えてくれます。
またMacなどでパッケージ管理にHomebrewを使っている場合は以下のコマンドでもインストールできます。
$ brew install starship
初期設定:Starshipの有効化
Starshipを有効にするたの処理をシェルプロファイルへ記述する必要があります。
現在使用しているシェルを確認するには以下のコマンドで確認可能です。
$ echo $SHELL
# Zshを使用している場合
/bin/zsh
Zshを使用している場合は以下のようにします。
# シェルプロファイル(.zshrc)の末尾に追記
echo eval "$(starship init zsh)" >> ~/.zshrc
# シェルプロファイルの再読み込み
source ~/.zshrc
Bashを使用している場合は以下のようになります。
# シェルプロファイル(.bashrc)の末尾に追記
echo eval "$(starship init bash)" >> ~/.bashrc
# シェルプロファイルの再読み込み
source ~/.bashrc
シェルの再読み込みをすることでStarshipが有効になりプロンプトの表示が変化します。
# StarShip導入後のプロンプト表示
❯
初期設定:フォントの導入
Starshipはアイコンフォントに対応しているため使用しているフォントがアイコンフォントに対応していないと一部文字化けする可能性があります。また後述するezaもアイコンフォントに対応しているため、NerdFont、NerdFontを含むフォントを導入することをおすすめします。
私は、たわら様が開発しているプログラミングフォント「白源(はくげん / HackGen)」をターミナルのフォントに使用しています。
NerdFontを追加した「HackGenNerd Console」というフォントがあるため、こちらをインストールして使用することでアイコンフォントも問題なく表示できます。またプログラミングフォントのため全角スペース・半角スペースなどの識別がしやすい点もおすすめです。
Starshipのカスタマイズ
Starshipはデフォルトでもアイコンフォントの表示やカラフルな表示に対応しており便利なのですが、設定ファイルを作成して使用することでより細かい設定が可能となります。
下記のコマンドでStarshipの設定ファイルを作成します。
$ starship config
設定ファイルの保存先はデフォルトで~/.config/starship.tomlとなります。
Starship設定できる項目がかなり多く、自由なカスタマイズが可能です。詳しくは設定 | Starshipを見てみてください。
以下に記事内の画像にて使用している設定を記載します。
# 空行追加
add_newline = true
# タイムアウト時間
scan_timeout = 10
# シンボル設定
[character]
success_symbol = "[▶](bold green)" # コマンド成功時
error_symbol = "[▶](bold red)" # コマンド失敗時
ezaを導入する
eza
とはLinuxでおなじみのls
を拡張したコマンドになります。こちらもRust製でとても扱いやすいものになっております。デフォルトでカラフルな表示とオプションを使用した詳細表示に対応しており前述したStarshipととても相性がいいです。
GitHubリポジトリは以下になります。
ezaコマンドはインストール方法が多数あります。この記事内ではパッケージマネージャHomebrewを使用したインストールとRustのパッケージマネージャであるCargoを使用したインストールの2つに絞って紹介します。
Homebrewを使用したインストール
パッケージ管理にHomebrewを使用している場合は以下のコマンドでインストールできます。
$ brew install eza
WSL2でUbuntuを使用している場合であってもHomebrewを導入することで同じようにインストールできます。私はWSL2においてHomebrewを導入した上でコマンドを導入しています。WSL2上のUbuntu20.04 LTSにHomebrewを導入するやり方は過去にこちらの記事にて紹介していますので参考にしてください。
Cargoを使用したインストール
Rustのビルドシステム兼パッケージマネージャーのCargoを使用してezaをインストールする方法です。
Cargoを使用するためにはRustの開発環境を作る必要があるのですが、rustupというツールを使うことで簡単に始められます。
rustupとはRustの公式ドキュメント内でも推奨されているツールで、簡単にRustのインストールと開発環境のセットアップを行ってくれる便利なツールです。
# rutupをインストール
curl --proto '=https' --tlsv1.2 -sSf https://sh.rustup.rs | sh
インストール中にいくつかの質問が表示されますが、基本的にはそのままで問題ありません。
カスタマイズする場合は選択を変更して適宜設定してください。
ターミナル上にRust is installed now. Great!
と表示されればインストールは成功です。
次回ターミナル起動時に自動的にパスが通ります。すぐに使用したい場合は、以下のようにすると自動的にパスを通してくれます。
# rustupが用意してくれているスクリプトを実行してパスを通す
source $HOME/.cargo/env
インストールが終わったらバージョンを確認してみます。
以下のコマンドでバージョンを確認し、アップデートがあれば最新の状態にアップデートしておきます。
# rustupのバージョンを確認
$ rustup --version
# rustupをアップデート
$ rustup self update
ここまでできたらCargoが使用できるため、以下のコマンドでeza
をインストールできます。
$ cargo install eza
ezaを使ってみる
eza
はls
と同じ感覚で使用できます。ターミナルで以下のように入力するだけでファイル名をカラフルに表示してくれます。
# ezaを使用してファイルをリスト表示
$ eza
lsコマンドの代わりにeza
を使用することで文字をカラフルに表示してくれるためターミナルが一気に華やかになります。
また、eza
はオプションがかなり多く、オプションを組み合わせて柔軟な表示ができのも魅力です。
eza
に続けてオプションを指定するのですが、オプションが覚えきれないくらい多いので詳しくはCommand-line optionsを参考にしてみてください。
lsをezaに置き換える
eza
はls
と同じように使用できると聞いてピンときた人も多いのではないでしょうか。
ezaはエイリアスと組み合わせることで本領を発揮します。
エイリアスはコマンド短縮形または代替コマンドを定義できる機能です。シェルプロファイルに記載することで長いコマンドや複雑なコマンドをひとまとめにして別のコマンドを割りてたりできるようになります。
eza
のオプションは前述した通りとても多く、組み合わせると長くなることが多いのでよく使用するものをひとまとめにしてエイリアス化したほうが便利に使用できます。
私は下記のようなエイリアスをシェルプロファイルに登録して使用しています。
alias ei="eza --icons --git"
alias ea="eza -a --icons --git"
alias ee="eza -aahl --icons --git"
alias et="eza -T -L 3 -a -I 'node_modules|.git|.cache' --icons"
alias eta="eza -T -a -I 'node_modules|.git|.cache' --color=always --icons | less -r"
alias ls=ei
alias la=ea
alias ll=ee
alias lt=et
alias lta=eta
alias l="clear && ls"
上記のように設定することでls
を実行するとカスタマイズされたeza
コマンドが実行されカラフルにファイルが表示されるようになります。
ls
をベースに、ファイルの種類ごとにアイコンを表示するオプション--icons
を付与したものをエイリアスとして登録しています。また--git
オプションを付与することでGitのファイル管理ステータスもリストに反映してくれるようになります。
先程の例は、あくまで私の設定になりすので、各自自分の使いやすいように設定してみてください。
使用可能なオプションについてはCommand-line optionsにわかりやすくまとめられています。きっと気になるオプションがあるはずです。
おわりに
今回は、おしゃれなターミナルというコンセプトでターミナルとシェルのカスタマイズをしてみました。ターミナル環境をカスタマイズすることで気分転換にもなり作業のモチベーションが高まるように感じます。
Rust製のツールを初めて使いましたが、互換性が高かったり、安全かつ高速だったりとメリットが多く更に調べて取り入れていきたいと感じました。この記事をきっかけに、モダンな技術で柔軟にカスタマイズできるターミナルを簡単に構築できることに少しでも魅力を感じてもらえたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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