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JSTQB FL を効率よく学習して合格した方法

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はじめに

JSTQB 認定テスト技術者資格 の Foundation Level(以下 JSTQB FL)の試験に合格したので、学習方法や試験対策について共有します。

私は開発経験が数年あるものの、テストに関する専門的な知識はほとんどありませんでした。

そんな状態からのスタートでしたが 1.5 ヶ月ほどの学習期間で合格しました。

また、合格することだけが目的とならないように、テストの本質や考え方を理解し実務で活用することも重視しました。

JSTQB とは

ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)というソフトウェアテスト技術者の国際的な資格認定機関があります。

そこに加盟した日本の運営組織が JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)です。

2025 年 6 月時点で JSTQB で受験できる試験の種類は次の 3 つです。

  • Foundation Level(FL)
  • Advanced Level テストアナリスト(AL TA)
  • Advanced Level テストマネージャ(AL TM)

FL が基本レベルで、テストの基礎知識を問う試験です。
AL は上位レベルで、より専門的な内容に特化した試験です。

FL の内容を学習することで、テストの基本的な概念や手法を理解し、実務でのテスト活動に役立てることができます。

学習方法

書籍と試験対策アプリの 2 つのみで合格しました。

書籍で基礎知識をインプットして、試験対策アプリでアウトプットして知識を定着させるよう意識しました。

それぞれ紹介します。

書籍

使用した書籍は「徹底攻略 JSTQB Foundation 教科書 & 問題集シラバス 2023 対応」です。

https://book.impress.co.jp/books/1124101026

2025 年 6 月時点の試験の出題範囲は シラバス Version 2023V4.0 に基づいており、上記の書籍もそれに対応しています。

学習方法の 1 つとして出題元となるシラバスを読むことをネット上でよく見かけますが、専門用語の解説が少なく初学者にとっては難解な部分が多いため私はおすすめしません。

今回紹介した書籍はシラバスの内容を丁寧に分かりやすく解説しており、図や表も豊富で理解しやすかったです。

そしてこの書籍が必須とも言えるもう一つの理由として、本番の試験の難易度に近い問題集が付属していることです。

同値分割法、境界値分析、ディシジョンテーブルテストといったテスト技法に関する問題と解説も充実しており、試験対策に役立ちました。

後ほど紹介する試験対策アプリは知識の定着度を確認するのに役立ちますが、基礎的な問題が多いです。

そのため本番の試験の難易度と問題数で模擬試験を行える問題集は必須だと感じました。

試験対策アプリ

使用した試験対策アプリは「テス友」です。

https://www.qbook.jp/info-testomo/

「章別」「間違えた問題」「ランダム」の 3 パターンから問題数を指定して出題できるのが強みです。

シラバスは全 6 章あるため、書籍で 1 章分を読み終えたら、アプリでその章の問題を解いて知識を定着させる、という流れで学習しました。

1 問解くごとにすぐに結果が表示され、出題数も 10 問から指定できるので通勤時間などのスキマ時間にサクサク学習できとても便利でした。

全ての章の問題を解答した後は「間違えた問題」から出題して苦手な部分を重点的に復習しました。

その後、各章の正答率が 80% 以上になるまで繰り返し問題を解きました。

理解に苦労した概念

学習を進める中で、個人的に理解しづらいと感じた部分が 2 つあったので紹介します。

どちらも試験に出る内容なので、しっかり理解しておくことをおすすめします。

QA と QC の違い

QA(品質保証)と QC(品質コントロール)は、品質管理において異なる役割を持ちます。

QA は成果物だけでなく開発プロセスにも焦点を当てたプロセス思考の予防的なアプローチです。
テスト方針の策定、リリース判定基準などの開発プロセス全体の改善活動を通して品質を向上させることが目的です。

QC は検査やテストを通して成果物の品質を確認する検証的なアプローチです。
テストの実施や欠陥の報告など、開発の後工程中心で成果物の品質を管理することが目的です。

どちらもテストを実施しますが、その目的は異なります。
QA は開発とテストプロセスの妥当性を検証することに対し、QC は欠陥の検出と修正に焦点を当てています。

レビュー種別

レビュー種別は主に次の 4 つに分類されます。

  • 非形式的レビュー
    • 形式的なプロセスやミーティングは行わず、同僚などにカジュアルにレビューしてもらう方法
  • ウォークスルー
    • 非形式的もしくは形式的なタイプがあり、成果物の作成者がレビューを主導する方法
  • テクニカルレビュー
    • 開発者や専門家が集まり技術的な観点から成果物をレビューする方法
  • インスペクション
    • 最も形式的なレビューであり、事前に定義されたルールやチェックリストを使用してレビューする方法

簡素的で形式に基づかないケースは非形式的レビュー、アルゴリズムやアーキテクチャなど技術的な観点のケースはテクニカルレビュー、とすんなり理解できました。

しかしウォークスルーとインスペクションは共通点が多く、最初はそれらの違いが分かりませんでした。

結論としては「成果物の作成者の役割」と「目的」が異なります。

ウォークスルーは作成者が主導し、知識の共有や参加メンバーの教育が目的であるのに対し、インスペクションでは作成者以外のメンバーが主導し、欠陥を最大数検出することが目的です。また参加者の役割が明確に決まっている、という特徴もあります。

まとめ

私は次の流れで学習して知識を深め合格できました。

  1. 章ごとに書籍でインプットして試験対策アプリでアウトプットする
  2. 試験対策アプリで間違えた問題を重点的に復習する
  3. 試験対策アプリで章ごとに正答率が 80% 以上になるまで繰り返す
  4. 書籍の問題集で試験時間 60 分の模擬試験を行う

みなさまの試験の合格、そしてソフトウェアテストを体系的に学んだ経験が実務のテスト活動に繋がることを願っています。

また、次の記事もおすすめなので合わせてご覧ください。

https://zenn.dev/ryo_f/articles/2f925f621e6d99

https://zenn.dev/ryo_f/articles/f63b0bffe2eb77

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