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2024年読んで良かったデザイン書籍12選

2024/12/02に公開

こんにちは!READYFOR株式会社でUIデザインを業務委託でお手伝いしている濱田です。
今回は、READYFOR株式会社(レディーフォー) Advent Calendar 2024 で記事を書かせていただきます。

去年の「読んで良かったデザイン書籍 個人的ベスト5選」に引き続きですが、今年読んだデザイン書籍の中で個人的に良かった書籍を厳選して紹介します。

まえおき

普段はUIデザインをメインに仕事をしていますが、振り返ってみると今年はUIデザイン関連の書籍を読んでいないことが判明しました。「UIデザイン」を専門とする書籍は少ないので...。
UIに縛らず「デザイン」の範囲を広げて、今年読んで良かった書籍を紹介します。

「心理学(造形心理学)」関連

はじめての造形心理学―心理学、アートを訪ねる

武蔵野美術大学で教授をされている荒川先生が書かれている本です。私は同大学の通信過程に在籍しているのですが、そこでの心理学の科目の指定教科書です。私は今年心理学を履修していないものの、履修した周りの学生が口を揃えてこの授業と教科書が面白すぎる、というので本だけ買って読んでみました。めっちゃくちゃ面白いです。面白すぎて沼ります。美大の指定教科書になっているので、心理学という学問の中でも、「造形心理学」という分野になるらしいのですが、造形心理学ってこんなに面白いのか...となります。心理学とは無縁だと思っている人にも、ぜひ人生のどこかで読んでみてほしいです。めちゃくちゃ勉強になります。豆知識が増えるので多分どこかで自慢できます。

美と造形の心理学

造形心理学や芸術心理学を、特殊な領域として他の心理学と切り離して論じるのではなく、一般心理学の研究成果には"美と造形"を考える為に有意義な事柄が、沢山有る事を示そうとした本。(Amaon商品紹介)

これは積読中なのですが、、、絶対絶対面白い本だと思います(未読だけど)

「イラスト・絵本」関連

ディック・ブルーナ 永遠のデザインとことば

ミッフィーの作者ディック・ブルーナの言葉と、あたたかくかわいいイラストが詰まった名著復刊。
2015年に刊行した名著『ディック・ブルーナ 夢を描き続ける力』が装い新たに復刊しました。ディック・ブルーナさんが語った、仕事や人生についてのインタビュー集。ミッフィーへの愛、絵本作りのこだわり、グラフィックデザイナーから絵本作家になるまでの思いから、夢を追い続けることの大切さを学べます。(Amazon商品紹介より)

ディック・ブルーナ氏の読者(こども)や絵本作り、キャラクターのミッフィーたちに対する向き合い方がものすごく真摯で切実で、心にぎゅっときます。誰もが知っているミッフィーの絵本ですが、そのミッフィーや絵本を作ってきた過程の強烈なこだわりや人の想いが知れる本です。たかがミッフィー、だと思っている人にぜひ読んでもらいたいです。なぜか読んでいて、心がしっぽりしてしまいます。本を断捨離しなければ引っ越しができない事体になったとしても、この本は何十年かは持っていたい一冊です。

ディック・ブルーナ氏の書籍はあわせてこちらも読みました。

ディック・ブルーナのデザイン


こちらはより制作過程が詳しく解説されています。ディック・ブルーナ氏が実際に書いている手元の写真があったりして、とても良いです。

ブルーナ絵本展

ディック・ブルーナが生涯に残した120冊余りの絵本を網羅し紹介する展覧会『ブルーナ絵本展』の公式図録。
2023年8月東京(松屋銀座)を皮切りに、京都(大丸ミュージアム京都)、福岡(福岡三越)、大阪(大丸ミュージアム 梅田)、仙台(東北福祉大学ギャラリーミニモリ)を巡回。

展覧会『ブルーナ絵本展』の公式図録なのですが、この展示を見逃していて行けなかったので、図録を購入しました。とっても良いです。

「文字」関連

ふつうのデザイナーのためのタイポグラフィが上手くなる本

2023年7月に出版された書籍で、タイポグラフィ基本要素「書体選び」「文字組み」「配置」が解説されています。端物や広告などを中心に扱うデザイナーに向けて書かれている本なので、初学者に向けた超基礎的な話はありません。普段のデザインからもう一歩上級者になるための本、という感じです。他に見られない解説の視点が面白く、内容も実用的かと思います。一人で迷いながらデザインしている人にはおすすめです。(私はそれほど端物のデザインはしないですが、タイポグラフィが好きなので読んでいて楽しい)

越境する書体デザイナーたち

世界で活躍する独立系タイプファウンドリー&書体デザイナーを紹介したアイデア392号の特集「タイプデザイン・ナウ」の増補改定版書籍。欧州、中東、アジアなど、ラテンアルファベット圏以外の国を拠点に活動する14組の独立系書体デザイナー/ファウンドリーの書体見本とインタビューを収録し、世界で通用する発想法や手法、デザイン哲学を紹介する。(Amazon商品詳細より)

フォント好きな人は、タイプデザイン・ナウを読んで知ってる内容かもしれないのですが、私は追ってなかったので購入して読んでみました。面白い!フォントを作るってすごいパワーだなぁとしみじみ思いながら読んでました。

「ブックデザイン」関連

ポケット製本図鑑

本の装丁が好きで、今年は現在通っている美大でもブックバインディング(製本)の科目を取りました。本屋に並ぶ本の製本方法は決まったパターンがほとんどですが、手製本も含めると製本方法は沢山あります。そのいろんな製本方法をこの一冊でざーっと知ることができるので、本が好きな方はおすすめです。
今年中か来年には製本に必要な基本的な道具一式を揃えたいなぁ。

美しいブックデザイン

装丁を手がける21名(組)のデザイナーのブックデザイン600点以上が収録されています。デザイン意図の解説や、本文やカバー・表紙に使われている用紙の種類なども書かれています。自分が知っている本もあったりして、この本はこんな人がこういう意図で作ったのね〜と知るのが楽しいです。自分が美しいと思う本を見つけることも楽しくなります。

鈴木成一装丁を語る。

ブックデザイナーの鈴木成一さんがこれまで手がけた約8000冊から120冊を厳選し、それぞれのデザイン制作意図や過程について解説した本です(2010年出版)。装丁がどうやって作られているのか全く知らなかったので、とても面白かったです。装丁の考え方は人それぞれ違うものの、こういう考え方があるのかと勉強になります。

こちらはその4年後の2014年に出版されたもの。
鈴木成一デザイン室

こちらも本づくりの舞台裏を約150冊を取り上げながら紹介されていて面白いです。

本の雑誌493号2024年7月号

「特集:あなたはルビを振りますか?」を読むために購入しました。普段はルビ(難しい漢字に振られている平仮名のこと)を気にしたことがなかったのですが、、というか、当たり前すぎて見ているようで見ていないルビ。そんなルビについてどんなモノなのかを知れるよ、と知人におすすめしてもらい、読みました。書籍の組版(本の中身のデザインのこと)に関わる編集者やデザイナーの苦労がヒシヒシと伝わってきて、ルビに凝らしている工夫や努力を知ることができます。そんな細かいところまで気を配って本は作られているのだなぁと感じることができるので、地味だけど一度は知っておいて今後の人生損はないはずです!

その他

失われた創造力へ

アキッレ・カスティリオーニに加え、同じくイタリアからデザイン界を牽引してきたブルーノ・ムナーリ、エンツォ・マーリの言葉に、これからの創造力を導く思想を探る1冊です。


「好奇心がないようなら、おやめなさい」
ーアキッレ・カスティリオーニ
「知識とは、生の現実に基づいているものなんだ」
ーエンツォ・マーリ
「聞いたことは忘れる、みたものは覚えている、やったことは理解できる」
ーブルーノ・ムナーリ

紀伊國屋書店 新宿本店で発見し、一目で装丁買いを決めた本です。なんと本のカバー全体にぐるっと寒冷紗が巻かれている、変わり種すぎるデザイン..。寒冷紗(かんれいしゃ)とは、表紙と本紙の接着を補強するために用いられる布のことで、本来外側からは見えません。それが、なんと本の外側全体に使っている装丁で、こういう凝っている装丁は面白いので、電子書籍ではなく物理で持っておくのが一番です。内容ももちろんとっても良かったです。イタリアンデザインを牽引してきたブルーノ・ムナーリをはじめとする巨匠の名言を超訳したような本です。いつもとは違った本を読みたいな、と思った時におすすめです。

AXIS 2024年7月号 vol.229 デザインの未来地図と30のキーワード

AXIS公式サイトより要約

ポストコロナの慌ただしさも収束し、次の10年を見据える節目のタイミングがやってきました。既存の制度や常識を見直すとともに、意味や目的をもう一度解釈し直す必要があるかもしれません。あるいは、ここ数年の間に見過ごされてしまった重要な主題が浮上してくる可能性もあります。テクノロジー、ビジネス、エンタメ、アートなど、社会全体のあらゆる領域でこうした再検証と再駆動のメカニズムが自然と進行していくでしょう。デザインも決してその例外ではありません。次なる10年に向けて、デザインを牽引する9人のリーダーたちは何を想うのか。彼ら彼女らに重要だと思われるキーワードを抽出してもらい、その言葉や視座からデザインの未来地図を描きます。
https://www.axismag.jp/axis_magazine/597763.html

AXISのデザイン雑誌を購読していなかったのですが、なんとなく手に取った7月号、非常に面白かったです。デザイン界を牽引していると言われる人たちはこんなことを考えて制作しているのかぁと思いながら読みました。年に4回刊行される雑誌で、10月号も購入したもののまだ積読中です。早く読みたい。

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