Google Prompting Essentials(全4回シリーズ|#2)
この記事は
Coursera × Google の無料講座
"Google Prompting Essentials" を完走したアウトプットです。
https://www.coursera.org/specializations/prompting-essentials-google全4回シリーズの 第2回 として、TCREIフレームワークの実践的応用を解説します。
シリーズ構成
- プロフェッショナルなプロンプトを書くには ← 今回
https://zenn.dev/purple_matsu1/articles/3cc6cd45285b09- 日々のタスクに使えるプロンプトをデザインする ← 今回
- データ分析とプレゼンテーション作成をスピードアップする
- AIをクリエイティブとして活用する
日々のタスクに使えるプロンプトをデザインする
第1回で学んだ TCREI フレームワーク を実際の業務シーンで活用し、コミュニケーション強化・生産性向上・時間節約 を実現する方法を解説します。
1. コミュニケーションを強化する
1-1. 対象者別メール作成の実践
ジムマネージャーのケーススタディ
設定:
- ペルソナ: ジムマネージャー
- コンテキスト: 新しいジムスケジュールの変更通知
- タスク: スタッフ・メンバー向けメール作成
基本プロンプト:
あなたはジムマネージャーです。
月・水・金のCardio Blastクラスが7:00 AM → 6:00 AMに変更になりました。
スタッフ向けにプロフェッショナルで友好的なトーンで、
簡潔な変更通知メールを作成してください。
同じ内容の対象者別調整:
同じスケジュール変更を、今度はジムメンバー向けに調整してください。
・楽しく、フレンドリーで、モチベーショナルなトーン
・新スケジュールがより良いサービス提供につながることを説明
・ジムのエネルギーと健康目標への熱意を反映
・重量挙げの洒落を含める
📝 ポイント: 一つの追加プロンプトで、重要な情報を失うことなく完全に異なる読者向けにメールを調整可能
1-2. トーンとスタイルの調整術
AIがコンテキストを理解する仕組み
AIチャットボットは日常会話の膨大なデータセットで訓練されており、以下が可能:
- 観客の特定: 対象読者に応じた調整
- 言語的合図の認識: 文末のクエスチョンマークなどの解釈
- 参照資料からの学習: 提供された資料の文体習得
- 表現の一貫性: 統一された文体の維持
具体的なトーン指定例
トーン | 表現方法 | 活用場面 |
---|---|---|
アカデミック | 「教授のように学術的で深い」 | 研究報告・論文 |
説得力のある | 「説得力があり、納得させる」 | 提案書・企画書 |
親しみやすい | 「幼稚園の先生が生徒に説明するような感じで」 | 一般向け説明資料 |
インスパイアする | 「やる気を起こさせる、高揚させる」 | チーム向けメッセージ |
ロッククライミングウェアの実践例
基本プロンプト:
ロッククライミングウェアの新商品の説明書きを手伝ってください。
ターゲットは若いアウトドア愛好家やクライマーです。
明るく、有益で、感動的な言葉を使ってください。
ロッククライミングが大好きな友人と話しているトーンにしてください。
参照を追加した改良版:
歴史上最も有名なクライマーへのインタビューのトーンやスタイルを参照してください。
品質、快適性、耐久性を犠牲にせず、クライマーが自分のスタイルを表現できることを強調。
表現は軽いものではなく、スポーツに対する敬意を込めたものにしてください。
🎯 重要: 俳優への指示のように扱う。指示が明確であればあるほど、思い描くキャラクターをよりよく体現
2. 生産性の向上
2-1. バズるアイデアのブレインストーミング
基本原則
- 優れた入力の作成: 思慮深く詳細な情報を提供
- タスクとコンテキストの追加: 明確な目的と背景情報
- 関連参考資料の含有: 具体的な参考情報の提供
- 評価と反復: 出力を確認し、改善を重ねる
ビデオゲームローンチの実践例
設定(ペルソナとコンテキスト):
あなたは著名なビデオゲーム制作会社のマーケターです。
没入感のあるストーリーベースのオンラインゲームで知られる会社で、
中世ファンタジーRPGの新作ローンチを計画しています。
ゲーム内容:行方不明のパートナーを探す若い主人公の物語
ターゲット:若年成人層
現状:開発終盤段階でローンチ前準備が必要
タスクとフォーマット:
ローンチまでの1年間のおおまかなタイムラインを提供してください。
また、ゲーム周辺でバズを生成するプリローンチアイデアも提案してください。
グローバル対応への反復:
世界中の若年成人層にアピールするプリローンチアイデアを提供してください。
文化的参照を含め、世界中のプレイヤーとの関連性を持たせてください。
💡 ブレインストーミング活用場面:
- 販売戦略の立案
- ローンチタイムラインの管理
- グローバル展開の戦略構想
- チームビルディングの企画
- プロジェクトアイデアの創出
2-2. テーブル作成による効率化
スプレッドシートの課題と解決策
従来の問題点:
- セルや数式の扱いが複雑で時間がかかる
- テーブル作成やプロジェクトタイムライン管理が面倒
- 創造的な業務に集中したい場合の阻害要因
生成AIによる解決:
- テーブル作成がより簡単で時間短縮
- 情報を整理された計画に効率的に変換
- チームメンバーの役割と責任を明確化
スタッフスケジュール作成の実践
基本設定:
10名の従業員がいます(従業員番号1〜10)。
週次スタッフィングを追跡するテーブルを作成してください。
列は以下とします:日付、名前、シフト(午前または午後)
制約条件:
・午前シフトには常に2名配置
・午後シフトには常に2名配置
・午後シフト勤務後の翌日午前シフト禁止
・同日の午前・午後両シフト勤務禁止
・全従業員が週あたりほぼ同数のシフト担当
🔗 Google Sheetsとの連携:
- 生成されたスケジュールを直接エクスポート
- 継続的な編集と管理が可能
- Sheets内でのAI活用(要約・数式作成)
⚠️ セキュリティ考慮事項:
- 機密情報は匿名化(実名→従業員番号)
- 組織ポリシーの事前確認必須
- データセキュリティガイドラインの厳格な遵守
3. 情報要約と時間節約
3-1. Google DocsとGeminiの活用
文書改善の実践例:返品ポリシー
背景: 顧客フィードバックで「返品ポリシーが長すぎて分かりにくい」
改善プロンプト:
このコンテンツを要約して、明確で簡潔な製品返品ポリシーを作成してください。
顧客が順次実行すべき5つのステップを概説してください。
成果:
- 顧客サポート用: 参照しやすい確実な返品ポリシー
- 顧客向け: 返品開始方法の明確なリスト
3-2. 会議効率化と議事録作成
Google Meetとの連携フロー
- Google Meetで会議の転写を作成
- Google Docsに転写内容を移行
- Geminiで整理された議事録を生成
議事録プロンプトの改善
基本版:
この会議の議事録を作成してください。
議事録を発言者別にセクション分けし、
各発言者の主要ポイントを箇条書きで要約してください。
該当する場合は、各発言者のアクションアイテムをハイライトしてください。
改善版:
この会議の議事録を作成してください。
議事録から抽出された主要ポイントに基づいてセクションを作成し、
各主要ポイントを発言者に関連付け、
最も適切な発言者にアクションアイテムを割り当ててください。
📋 改善された成果:
- 明確なアクションアイテム表示
- 各参加者からの重要な要点の抽出
- 役割と責任の明確化
3-3. ロングコンテキストウィンドウ活用
長文処理の課題と解決策
課題:
- 複雑で長大な資料(研究、レポート、市場動向調査)
- 時間制約による読み込み困難
- 重要な洞察の特定困難
Google AI Studioでの実践:
このレポートをアウトライン形式で要約してください。
最も重要なポイントのみに焦点を当ててください。
実践結果: 44ページの情報を数ポイントに凝縮
制限事項と代替手法
制限事項:
- すべての生成AIツールにロングコンテキストウィンドウが搭載されているわけではない
- 生成AI技術は常に変化
代替手法:
- テキストの分割: 管理可能なチャンクに分割
- 段階的要約: 各チャンクを個別に要約
- 要約の要約: 個別要約をさらに統合要約
パーソナライズされた要約
対象者別カスタマイズ例:
- 数字が苦手な人向け: 「数字が得意でない人向けに要約してください」
- 中小企業経営者向け: 「中小企業オーナー向けに要約してください」
- 創造的アプローチ: 「80年代映画の名台詞を使って要約してください」
3-4. Chain of Density Prompting(密度連鎖プロンプティング)
高度な要約技術
基本原理:
- 段階的凝縮: 徐々に簡潔な要約を生成
- 洗練された出力の連鎖: 反復により改善された結果
- 重要情報の保持: 核心部分を失うことなく短縮
段階的要約の実践
第1段階: 詳細レベルの調整
より短い要約を提供してください。
レポートの上位2〜3のトレンドに焦点を当ててください。
第2段階: さらなる短縮
要約を一文に凝縮してください。
最も支配的なトレンドをハイライトしてください。
🔍 品質管理としての反復:
- ハルシネーション(幻覚)のチェック
- 詳細から要点への変換過程を確認
- 重要情報が失われていないことの確認
実践的な活用方法
推奨アプローチ:
- 未読資料の特定: 読む時間がないレポートの選択
- 技術の適用: Chain of Density Promptingの実践
- 迅速な要約生成: 有用な要約の効率的作成
ビジネス応用例:
- プレゼンテーション準備(詳細資料から要点抽出)
- 意思決定支援(大量情報の核心把握)
- 時間管理(効率的な情報消化)
4. まとめ
4-1. 実践のポイント
- 対象者を明確化: 同じ内容でも読者に応じてトーンとスタイルを調整
- 会話的アプローチ: 生成AIツールとの継続的な対話で望む出力に誘導
- 段階的改善: Always Be Iterating(ABI)の考え方で継続改善
- セキュリティ意識: 機密情報の取り扱いと組織ポリシーの遵守
4-2. 業務効率化の核心
TCREIフレームワークを実際の業務に適用することで:
- コミュニケーション品質の向上
- アイデア創出の加速化
- 情報処理時間の大幅短縮
- チーム連携の効率化
が実現できます。
Discussion