Google Prompting Essentials(全4回シリーズ|#1)
この記事は
Coursera × Google の無料講座
"Google Prompting Essentials" を完走したアウトプットです。
https://www.coursera.org/specializations/prompting-essentials-google全4回シリーズの 第1回 として、プロンプト設計の核心である TCREI フレームワーク を解説します。
シリーズ構成
- プロフェッショナルなプロンプトを書くには ← 今回
- 日々のタスクに使えるプロンプトをデザインする
- データ分析とプレゼンテーション作成をスピードアップする
- AIをクリエイティブとして活用する
プロフェッショナルなプロンプトを書くには
生成 AI から 欲しい答えを最短距離で得る ためのエッセンスを、Google 提唱の TCREI フレームワーク を軸に整理します。
1. TCREI フレームワーク
要素 | 役割 | 最低限書くこと |
---|---|---|
Task | させたいタスク | 例: 「箇条書きで」「800字以内」 |
Context | 背景・条件 | ペルソナ・読者・制約など |
Reference | 具体例 | 過去実績・文体サンプル (2〜5 件が最適) |
Evaluation | 出力確認 | 合致しているか自己点検 |
Iteration | 改善 | フレーズや制約を微修正 |
覚え方: Thoughtfully Create Really Excellent Inputs
1-1. 良い/悪いコンテクスト例
- ❌ 30ドル以下のプレゼント案を教えて
- ✅ 対象者「29歳・ウィンタースポーツ好き・スノボ→スキー転向」/予算「30ドル以内」/数「5 個」
1-2. 参照の粒度
- Zero-shot: 参照 0
- Single-shot: 参照 1
- Few-shot: 参照 2+
1-3. 区切り記法
プロンプトの要素を明確に分離するために以下の記法を活用:
-
""" 三重引用符 """
: タスクや資料を明確に分離
以下の告知文に基づいて、SNS投稿を書いてください。
"""
毎年恒例の社内ピクニックが6月24日(土)にバイセンテニアル・パークで開催されます。
"""
-
<task> ... </task>
: XML タグでセクション識別 -
**Markdown**
: 太字・斜体など書式維持
2. 効果的な反復 (ABI: Always Be Iterating)
2-1. 4つの反復手法
① フレームワーク再点検
T/C/R が十分な詳細を含んでいるかを確認
改善前:
「ブログ投稿のアイデアを5つ教えて」
改善後:
「あなたはスポーツ栄養学の専門家です。プロバスケットボール選手と働く理学療法士向けに、業界で起きている最大のトレンドをまとめた5つのブログ投稿のヘッドラインを提供してください。」
② タスク分割
長い入力を小さなタスクに分解し、別々のプロンプトとして処理
分割前:
「このレポートの重要なデータポイントと情報を要約し、データから視覚的なグラフを作成し、重要な情報を箇条書きに短縮してください。」
分割後:
- 「このレポートの重要なデータポイントと情報を要約してください」
- 「要約したデータから視覚的なグラフを作成してください」
- 「要約した重要な情報を箇条書きに短縮してください」
③ パラフレーズ(類似タスク)
元のタスクと似ているが、新しい反応を引き出すタスクに切り替え
例:
- 元のタスク: 「製品のマーケティングプランを書いて」
- 類似タスク: 「この製品がターゲット顧客層の生活にどのように馴染むかのストーリーを書いて」
④ 制約追加
制約を加えることで、より有用でユニークな結果を獲得
例:ロードトリップ用プレイリスト作成
- 制約なし: 好きなジャンルを指定(→ありきたりな結果)
- 制約あり: 「特定の地域のアーティストのみ」「過去5年以内にリリースされた音楽のみ」
3. マルチモーダル プロンプティング
3-1. モダリティとは
生成AIツールが情報を受け取ったり生成したりする際の異なる形式:
- テキスト / 画像 / 音声 / 動画 / コード
3-2. 画像生成のコツ
サイズ・色・配置・スタイルを具体的に指定 → 生成後さらに修正指示
実践例:コンサートポスター
- 基本プロンプト: 「ニューオーリンズのロックコンサートを宣伝するポスターを作成」
- 詳細追加: 「エレキギターがキラキラ光っていて、前景に配置し、空に浮かんでいるような感覚」
- 改善指示: 「空を嵐にして、ギターに稲妻が当たるようにして」
3-3. 職場での活用例
用途 | 入力 | 出力 |
---|---|---|
データ分析 | グラフ写真 | 分かりやすい言葉での説明 |
デザイン | ロゴ案の画像 | 追加バリエーション |
情報整理 | 会議スケジュール画像 | 表形式での抽出 |
多言語対応 | 他言語の音声 | 理解できる言語での転写 |
実例:ネイルアート用SNS投稿
- 入力: ネイルアートデザインの写真
- プロンプト: 「この画像を使ったSNS投稿を書いて。楽しく、短く、新しいコレクションであることに焦点を当てて」
- 結果: 画像分析 + 楽しいキャプション + 絵文字 + フォロワーとの関与促進
4. 責任あるプロンプト
4-1. 基本チェックリスト
観点 | チェックリスト |
---|---|
整合性 | 組織ポリシー・法令に抵触しないか |
データセキュリティ | 機密情報を入力していないか |
精度評価 | ハルシネーション・バイアス有無 |
透明性 | AI 生成物であることを明示 |
人間確認 | Human-in-the-loop で最終確認 |
4-2. ハルシネーション(幻覚)対策
ハルシネーションとは: 生成AIが一貫性がない、不正確、または無意味な出力を提供すること
対策:
- ファクトチェック: 出力の事実をクロスリファレンスで確認
- 具体的な指示: 曖昧な表現を避ける
- 人間の検証: 使用前に必ず人間が検証
4-3. バイアス回避
予防策:
- 具体的で詳細なプロンプト を入力し、必要に応じて反復
- 包括的な言語 を使用:全ての背景、性別、民族を含む
- ステレオタイプの回避 を意識
実践例:求人投稿
- 避ける: 「serviceman(軍人)」「workman(作業員)」
- 推奨: 「service person(サービス担当者)」「worker(労働者)」
生成 AI は 道具。事実確認と倫理判断は常に人間が担保する。
5. まとめ
5-1. 重要原則
- 内容>順序 ─ まず T/C/R を過不足なく書く
- 短 → 長 → 微調整 の反復で精度を上げる
- マルチモーダル と 責任ある利用 を意識すれば、ビジネスでも安心して活用可能
5-2. 実践のポイント
- Always Be Iterating(ABI) の考え方で継続改善
- 人間の視点 を常に持ち込む責任感
- 具体例と制約 で出力品質を向上
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