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マネジメントの仕事とは何か

2024/10/04に公開

はじめに

こんにちは。PharmaXでエンジニアリングマネージャーをしている古家(@enzerubank)です。

最近エンジニアリングマネジメントの仕事内容について改めて体系化しようとしているのですが、その前段としてそもそも一般的なマネジメントとは何なのかを説明する必要があると思い、調べた内容をまとめてみました。

今回の内容は実際の業務の中でやっていることというよりかは、一般的にマネジメントの概念を理解して全体像をざっくり抑えることを目的にしています。

そもそもマネジメントとは

マネジメントとは、日本語で「管理」「経営」と訳されます。ビジネスにおいては組織の成果アップのためにヒト・モノ・カネといった経営資源を効率的に活用し、効果を最適化することだと言えます。

ドラッカーによるマネジメントの定義

「マネジメント」という概念はアメリカの経営学者であるピーター・ドラッカーが、1973年に刊行した著書『マネジメント【エッセンシャル版】基本と原則』で提唱した言葉とされています。

「組織をして高度の成果をあげさせることが、自由と尊厳を守る唯一の方策である。組織に成果をあげさせるものがマネジメントであり、マネジャーの力である。成果をあげる責任あるマネジメントこそが全体主義に代わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手立てである。」

上記の内容から、「組織に成果をあげさせるもの」がマネジメントであり、同時にマネジメントこそが全体主義から自由と尊厳を守るための唯一の方策であると定義していることがわかります。

ドラッカーがマネジメントについてこのように定義した背景には、当時のドイツが全体主義に大きく傾倒していたことが関係しています。

従来の閉塞的な全体主義の手法ではなく、組織に所属する人々が自由で、自律的に働くことこそが個々の能力を最大化できると考えていました。

そのため組織で働く人たちに成果を上げてもらうために、仕事の進み具合やモチベーションなど、様々な角度から効率よく、生産的に管理してゆくことがマネジメントでは重要だと言えます。

マネジャーのアウトプットの定義

次にマネジメントの仕事について説明してくれている名著としてはインテルの元CEOであるアンドリュー・S・グローブが自身がインテルで実践していたマネジメント論をまとめた『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』が挙げられます。

グローブの定義ではマネジャーの役割は「組織のアウトプットを最大化する人」になります。

そしてマネジャー自身のアウトプットは、

「自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」

と定義しています。

そして、マネジャーのアウトプットを上げるために、自らのスピードアップをするだけでなく、「テコ作用」を使うことに注目します。つまり、マネジャーの時間をどう使うかの観点を提示してくれています。

またインテルで当時実施されていたプロセス中心のミーティング(1on1、スタッフミーティング、業務検討会)や意思決定中心のミーティングのやり方、評価の方法、ハイブリッド組織をどのように動かすか等、詳しく説明されており、1983年に発行されたとは思えないほど、今でも学びになる所が多い本です。

マネジメントの種類

マネジメントは企業や組織の階層(役職や役割)を元に分類するカッツモデル(1955年にロバート・L・カッツが提唱)がよく使われます。

トップマネジメント

代表取締役をはじめとする経営層などに求められるマネジメントです。企業や組織全体のビジョン・計画の立案および経営戦略を検討し、意思決定を行います。

ミドルマネジメント

部長や課長といった「中間管理職」に求められるマネジメントです。経営層と現場の橋渡し・全社方針に基づく現場の指揮だけではなく、現場からの意見を吸い上げて経営層に伝達する役割も担います。

ローワーマネジメント

現場で働くメンバー員を直接的に監督する立場である、係長やリーダーなどに求められるマネジメントです。ミドルマネジメントからの指示の業務への落とし込み・企業としての方向性を現場に落とし込む役割を担います。

まとめ

  • マネジメントとはビジネスにおいては組織の成果アップのためにヒト・モノ・カネといった経営資源を効率的に活用し、経営上の効果を最適化すること
  • ドラッカーは「組織に成果をあげさせるもの」がマネジメントであり、同時にマネジメントこそが全体主義から自由と尊厳を守るための唯一の方策であると定義
  • アンドリュー・S・グローブはマネジャーのアウトプットを「自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」と定義
  • カッツモデルではマネジメントの種類を3つの階層別で分類

上記の内容をみると、マネジメントの仕事とは「個々人の自律性を引き出し、組織のアウトプットを最大化することで成果をあげさせること」と考えることができそうです。

所感

調べてみてマネジメントの共通概念として使われている本や理論が世に出たのがとても古いので、現代ではカバーしきれていない部分が大いにありそうだなと感じました。

マネジャーの役割とあり方の部分は『マネジメント【エッセンシャル版】基本と原則』と『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を熟読すれば、良さそうだなと思いましたが、マネジメントの分類については組織設計と密に関わっていそうなので難しいなと。特にカッツモデルは1955年に提唱された理論なので、今とは大分時代背景が違いそうです。

現代のIT中心・プロダクト中心の思想の企業を作ろうと思ったら、昔にはなかった業務をマネジメントする必要がありますし、完全に階層で役割を分けたマネジメントをするような組織では上手くいかなそうだなと。エンジニア周りだと今ではよく聞くようになったプロダクトマネジメント・エンジニアリングマネジメントといった概念もマネジメントの世界だとまだ新しい分野なので、これらのマネジメントをどう組み込んで組織を作っていくのかは各社が模索している所だと思います。

現代で上手くいっている会社のマネジメント事例を学びつつ、マネジメントの名著を合わせて読んでいくと差分や共通点が見えて、学びが深まってよいかもしれないですね。

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