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スクラムチーム・組織で対話がうまくできてないと感じた時に読む記事

2024/08/08に公開

はじめに

こんにちは。PharmaXでエンジニアリングマネージャーをしている古家(@enzerubank)です。

自分は生産性の高い組織を作ることへの興味が強いのですが、組織作りについて調べていると対話の重要性を耳にすることが多いです。

大手テック企業など成熟した組織にいた経験のある人だと自然と対話ができているチームにいた場合が多いので、対話が上手くできていないというチームに遭遇すると違和感を覚えることもあると思います。

まだ組織が成熟していないスタートアップでマネージャーをしていると「対話が上手くできていないと感じる」といったフィードバックを受けることもあり、「そもそも対話ができている状態とは何か?」と考えることがあり、本記事にまとめてみました。

対話と会話の違い

対話と似た意味として会話という言葉があります。それぞれの目的と考え方について定義しました。

  • 会話
    • 目的
      • 親睦を深め、和やかな雰囲気を作ること
    • 考え方
      • 対立を避け、相手に合わせる
  • 対話
    • 目的
      • 意見の違いを相互に理解し、協働して問題解決に取り組むこと
    • 考え方
      • お互いの意見を傾聴し、見ている景色を合わせた上で、選択肢を考える

会話は表面的だけでも和やかな雰囲気を作ることを目的としています。初対面の人同士でいきなり議論したりはしないですよね。まずはお互いの自己紹介や世間話などで雰囲気を壊さないように雑談をすると思います。会話はそういったシーンで使われるものです。

逆に対話というのは必ずしも仲良くする必要はなく、問題解決を行うためにお互いの意見をすり合わせながら、解決の選択肢を一緒に考えていく話し方です。

仕事において会話的な雑談も息抜きをする上で大切ですが、成果を出していくためには対話を行うことも避けられません。ここを避けて仲良くすることだけを目的にしたコミュニケーションばかりしていると、心理的安全性のアンチパターンとしてよく言われるぬるま湯組織となってしまいます。

どこから対話していくか

ではどこから対話に取り組んでいくかを考える際にGRPIモデルが参考になります。

GRPIモデルとは組織開発コンサルタントのベックハード氏が提唱した組織の健全性を考えるフレームワークで、目標→役割→手順→関係性という4つの要素に着目します。以下は一例です。

  • 目標
    • 組織の思想・行動指針・戦略・目標
  • 役割
    • 職種・担当業務・役職・個人目標
    • 後進の育成など今後の役割分担に向けた方法
  • 手順
    • 達成に向けた計画・ロードマップ
    • 役割同士の業務手順や連携方法
  • 関係性
    • 日々のコミュニケーションの取り方

チェックの観点としては、各段階の中で対話と合意形成ができているかということです。もし十分な対話を行った上で合意していないというものがあれば、それは対話するための良い話のネタになります。

対話・合意は目標→役割→手順→関係性の順で進めていきます。

スクラムチームに置き換えると

いきなり全社で進めるのは大変だと思うので、まずはスクラムチームに範囲を狭めて考えてみましょう。
スクラムチームでGRPIモデルに基づいて対話と合意形成をしていく場合の一例が以下です。

  • 目標
    • プロダクトゴール・インセプションデッキ
  • 役割
    • スクラムチームにおける役割分担・担当業務・個人目標
    • メンタリングやペアプロなど後進の育成に向けた方法
  • 手順
    • プロダクトロードマップ
    • スクラムの運営方法
  • 関係性
    • ワーキングアグリーメント
    • エンジニア間・プロダクトオーナーとエンジニア間のコミュニケーションの取り方

まずはGoalの方針となるプロダクトゴールをプロダクトマネージャーと主に対話を行い、合意した上でインセプションデッキを開発メンバー含めて対話を行って方針を合意していきます。その上で各役割や計画・関係性の対話・合意をとっていくという流れになります。

まとめ

以下が今回の記事のまとめです。スクラムチーム・組織で何が対話できていればいいのかについて理解が深まったら幸いです。

  • 対話は共通の目的に対してお互いの異なる意見を理解しながら協働して問題解決に取り組むコミュニケーションのこと
  • 目標→役割→手順→関係性の順番で対話と合意形成を取っていく。ゴールの認識を合わせることが最重要
  • スクラムチームに置き換えるとゴールの対話と合意とは「何のためのプロダクトなのか」をチームが理解していてプロダクトゴールに向かって進めているということ
  • 自分たちの組織が「対話ができている状態かどうか」は対話する組織の範囲・内容をどこまで広げられているかを確認することで現状を把握できる

全社・プロダクトチーム・部門の各レベルで今回書いたGRPIモデルを対話できるようにまずは1on1でこれらの内容を対話していくということが重要になっていきます。1on1についてはまた別の記事で書いていきたいと思います。

最後に

PharmaXでは、様々なバックグラウンドを持つエンジニアの採用をお待ちしております。興味をお持ちの場合は、私のXアカウント(@enzerubank)や記事のコメントにお気軽にメッセージをいただければと思います。まずはカジュアルにお話できれば嬉しいです!

参考資料

組織開発するならまず対話
知っておきたい!強力なチームワークづくりに役立つ7つのモデル
対話とは何か。日本人は対話が苦手? 対話の原則とは
育成と組織づくりに必要な「対話」とは?

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