準備期間 2 ヶ月で統計検定 1 級を受けてきた話
はじめに
今回は毎年 11 月にある統計検定 1 級の受験の所感・反省、および受験までの勉強法について備忘録を書いていきます。結果は統計数理不合格、統計応用(理工) A 合格 (優秀成績賞)でした。統計検定 1 級は統計数理と統計応用 4 分野のうちの 1 分野を取得する必要があるので、1 級は取得できませんでした。自分は来年も統計数理と統計応用の両方を受験するつもりなので、振り返りと来年に統計検定 1 級を受ける方の参考になれば幸いです。
軽く自己紹介
- 経歴: 東京大学理科 2 類 → 工学部マテリアル工学専攻 → 大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 (物性に関する研究)
- 仕事: 都内企業で DS (といっても結構アナリスト寄り)
- 統計の勉強経験: 2024 年 8 月 30 日に統計検定準 1 級を取得 (優秀成績賞)。準 1 級の体験記とその過程で勉強した参考書に関しても、Zenn の記事に書いています。
- 数学: 東大理系の平均ぐらいでしたが、大学からはあまり勉強していませんでした (だいたい優で優上はほとんどありませんでした)
「自分としては」数学が得意だと思っていた (が、統計数理に落ちる)ので、準 1 級よりも楽に受かると高をを括ってました ()
勉強方法
使った参考書
統計数理
- 現代数理統計学の基礎(共立講座 数学の魅力 11
統計数理の参考書として購入しました。本書にも「統計検定 1 級対策の参考書として書いた」と書かれている通り、統計検定 1 級に対する数学的な土台を作るのに適していると思います。ただ、1 級対策には全ての章を演習する必要はなく、8 章までを演習すれば良いと X で誰かがポストしていたのでそれに従いました。
統計応用
- 増訂版 日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学
統計応用の参考書として購入しました。説明が簡潔なので、時間があるなら他の参考書を使った方がいいかもしれません。
過去問
- 日本統計学会公式認定 統計検定1級 公式問題集[2019~2022年]
公式の過去問題集です。試験問題は最近の傾向に近いと思ったので、これより過去の問題集には手をつけませんでした。
筆記用具・ノート
- クルトガ
中学の時からこのシャーペンが好きなので、試験のために購入しました。ここは好み。
- Air-in
こちらも受験生時代から使っていたブランドの消しゴム。これも好み。
- コクヨ(KOKUYO) キャンパスノート A4 B罫 50枚
みんなおなじみキャンパスノートですが、B 罫なので少し幅狭目になっています。自分はノートを縦半分をボールペンで線を引いて 2 分割にして使っていました。これは自分のリサーチ不足だったのですが、解答用紙は A 罫だったので、そちらを購入した方がいいかもしれません。自分は試験対策形式まで徹底的に揃えたいので、来年受験する時は A 罫を購入する予定です。
スケジュール
前述の通り 8 月末に準 1 級を取得した後、1 級にチャレンジしたいと思い立ったので、9 月中旬から勉強を開始しました。自分は勉強計画をがっちり立てるのは好きではないので、ざっくりとこのくらいまでにこの参考書を終わらせようみたいな感じで rough に計画を立てていました。ざっくりというと、10 月までに参考書を終わらせて 11 月に過去問を重点的に勉強できるようにスケジューリングしました。
とはいえ、時間は有限なので統計数理と統計応用のウエイトはしっかり決めていて、統計数理 9 割、統計応用 1 割で勉強していました。統計応用のウエイトが少なすぎると思うかもしれませんが、統計応用の理工学の分野は統計数理の数学力で押し切れるという噂を聞いていたのでそれにかけて勉強していました。
試験本番
会場は学習院大学の目白キャンパスでした。試験会場の建物にやや早く着き、待機していると受験生がほとんど男性でしかも意外に年齢の高い方がいらっしゃったのが印象的でした。ボリューム層は自分よりも少し上くらいでした。完全に大学受験の受験会場と一緒だだなと思い、久々の緊張感にワクワクしていました。
統計数理
まずは統計数理。自分が解いた問題は 1, 3, 5 ですが、最初に全部の問題を俯瞰した際は 2 から解いていました。しかし、最初の計算がどうしても発散してしまい。どうやら難問だと判断して他の問題に逃げました (20 分)。これは昼休みに X のフォロワーのコメントで気づいたのですが、どうやら 2 番は問題を完全に読み違えていて、一番簡単な問題なのではないかと試験後に見直した時に思いました。ここでかなり時間を使ってしまったのが、今回の敗因ではないかと思っています。
2 番がうまくいかずに他の大問でほぼ解けそうなものを探し、1 番は行けそうだと踏んだので、なんとか 1 番を解きました(50 分)。 最後の問題の示し方がやや怪しいと思いましたが、そんなことを気にしている余裕はなかったので、次の問題へ。ちなみに、1 を答え切るまで冷や汗が止まりませんでした。
残りの問題の中で 4 番は最初の問題の用語がわからなかったので、必然的に 3 番と 5 番を答えることに。先に計算でどうにかなりそうな 3 番を解きましたが、小問 3 あたりで計算結果が合わなくなり、軽く絶望しつつ大問 5 に(80 分)。
残り時間が 10 分程度しかなかったので、最初の方の問題でも解こうと部分点狙いで必死に最後の1秒までペンを動かしました。ただ半分弱ぐらいしか解けず、解答用紙回収の間は呆然としていました。正直、統計数理は S 評価ぐらいは取れるだろうぐらいには思っていたのでかなりメンタルがきつかったです。
統計応用
次に統計応用。昼休みに X で受験生の感想を見つつ、自分が完全に問題選定を誤ったことに気づきました。ただ、終わったことはどうにもならないので、気分を変えて統計応用に臨みました。「工学修士なので、理工学には落ちるはずがないし、落ちたら恥ずかしい」と社内の部署の方に言い広めていたのでそれを思い出して自分にいい感じにプレッシャーをかけつつ、午後の試験に臨みました。
試験は午前中の統計数理の反省を生かし、落ち着いて問題条件を見ることを心がけました。問題を俯瞰して、2 → 1 → 4 の順番で解くことに決めました (5 分)。2 番は俯瞰した感じだと、最後の問題以外は行けそうだったので、慎重に計算しほぼほぼ完答しました (30 分)。
次に 1 番を解きました。多段の実験計画法の問題でしたが、過去問に同様の問題で解き方はなんとなくわかっていたので、そつなく解きました。計算はほぼほぼなかったので計算ミスの心配はないと思ったのでこの時点で統計数理よりは合格は手堅いのではないかと思いました (50 分)。(全く関係ないですが、題材が大学院の研究内容にドンピシャだったので選ばないわけにはいかないという謎の使命感を感じていたのでこの問題を選択しました。)
最後に 4 番を解きました。線形回帰の問題で理解がやや曖昧でしたが、他の大問よりは部分点を取りやすいと思ったので選択しました。ただ、この問題は途中の部分で理解が曖昧なところがあり、完答はできませんでしたが、最後の問題まで見て途中結果が関与しない解けそうなところを見極めて解きました。
所感
試験後の所感ですが、試験翌日に公式からアップされた解答を見た感じ
統計数理
問 1 (1)⚪︎ (2)⚪︎ (3)⚪︎ (4)⚪︎ (5)△ or ×
問 3 (1)⚪︎ (2)⚪︎ (3)× (4)×
問 5 (1)⚪︎ (2)× (3)× (4)× (5)×
統計応用
問 1 (1)△ (2)△ (3)⚪︎ (4)⚪︎ (5)⚪︎
問 2 (1)(1-1)⚪︎(1-2)⚪︎(1-3)⚪︎ (2)(2-1)⚪︎(2-2)×
問 4 (1)(1-1)⚪︎(1-2)⚪︎(1-3)△ (2)(2-1)×(2-2)× (3)(3-1)⚪︎(3-2)×
このような感じでした。試験直後の感触とほとんど変わらなかったので解釈一致でした。統計数理は落ちたなと確信し、統計応用は問 1 の採点がどの程度厳しいかどうかによるなと思っていました (というのも、問 1 は計算のない説明する問題も多かったので)。
結果
冒頭にも書いた通り、結果は統計数理不合格、統計応用(理工) A 合格 (優秀成績賞) でした。Web 合格発表が月曜日の昼頃にされていて、結果を知ってしまうと仕事にならないなと思っていたので、愚見表は持っていかずに仕事していました。が、どうしても気になってしまったので、おぼろげに記憶していた受験番号を思い出しつつ合格発表ページを見て統計数理だけ落ちているのではないかと認識しました。ただ、受験番号が完全にあっているかわからなかったので、勤務が終わって自宅で確認するまで生殺し状態で仕事していました。
敗因分析
統計数理の敗因として大きく 2 つあると考えています。
1 つ目は解答する問題の難易度の嗅覚が鈍っていた・問題条件の読み込みが甘かったことです。試験本番についての部分にも書きましたが、最初に解いた問題の条件を理解しておらず、時間を浪費してしまったのはかなり痛かったです。
2 つ目は参考書や過去問を過学習してしまい、本来するべき理論の理解を怠っていたことです。大問 1 つを読み違えた程度で統計数理には他の問題を解けば合格することはできます。しかし、他の問題も満足に解くことができなかったということは問題で問われていることへの理解が足りなかったということなので、基礎的な部分の理解を疎かにするべきではなかったと反省しています。
じゃあ今度はどうするの?
敗因分析に対応させて来年度の改善について考えます。
1 つ目は、試験形式で時間を -5 分ぐらいで厳し目に計測し、セット演習することが必要だと思っています。演習セットが足りない可能性があるのでさらに過去の問題を購入することも検討しています。
2 つ目は、他の参考書も検討します。有力なのは、「公式と例題で学ぶ統計学入門」「新装改訂版 現代数理統計学」です。ただ、数理の参考書だけに傾倒するではなく、実装を通してもどのようなことをしているのかを理解することも重要かと思っています。
感想&今後について
正直、社会人 1 年目で資格試験の勉強は卒業したかったのですが、勉強した過程自体を美化するのは自分のプライド的に許せないので来年度も受験しようと思っています。また、データ分析を主に扱っているので、このままではメンツが立たないところもあるというのもあります。ただ、資格取得はゴールではなく転職や社内評価に対する 1 つの中目標に過ぎないと思っています。なので、DS としての技術的なキャッチアップや個人開発も行いたいので、勉強を再開するのは夏頃になりそうです。
来年の受験についてですが、統計検定のルールとして経過措置があり、来年は統計数理を取るだけで 1 級取得と認められるのですが、せっかく統計応用だけ受かったので統計応用の他の分野も受験しようと計画しています。最有力は諸事情あって卒業を断念した医薬生物学にしようと思います。これからも仕事・勉強・筋トレを両立して頑張っていこうと思います。2025 年に受験予定の方はお互い頑張りましょう!
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