採用だけじゃない。エンジニアのマネジメント系キャリア「DevHR」
採用だけじゃない。エンジニアのマネジメント系キャリア「DevHR」
0. エンジニアのマネージャーキャリアをどう描く?
エンジニア組織のマネージャー(EM)として、日々のピープルマネジメントや採用活動、そして技術的な意思決定に奔走されている皆さん。
ふと、ご自身のキャリアの「次のステップ」について考えることはありませんか?
「VPoEやCTOを目指す道」、「スペシャリストやIC(Individual Contributor)に戻る道」...選択肢はいくつかありますが、今EMとしての経験を持つ人材こそが、最も輝ける役割が存在します。
それが、 DevHR(Developer Human Resources) です。
今回は、エンジニアリングと人事の境界線に立ち、組織をグロースさせる専門職「DevHR」の魅力をご紹介します。
1. そもそも「DevHR」とは何か?
「DevHR」と聞くと、「エンジニア採用担当のこと?」と思われるかもしれません。
もちろん採用は重要な要素ですが、私たちが定義するDevHRはより広く、深い領域を指します。
DevHRの具体的な役割と職務
DevHRのミッションは、エンジニアが最高にパフォーマンスを発揮できるエコシステムを作ること です。
その職務は多岐にわたりますが、大きく分けて「採用」「制度・評価」「組織開発・文化」の3つの柱があります。
① エンジニア採用(Technical Recruiting)
単に求人票を出すだけでなく、転職潜在層や候補者のエンジニアへ深く刺さるアプローチを行います。
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技術要件の定義
現場のEMと対話し、必要な技術スタック(言語、フレームワーク)やスキルレベルだけでなく、チームの文化やそれに合う人物像(ペルソナ)を正確に言語化します。 -
選考体験の向上
候補者にとって「受けてよかった」と思える体験(Candidate Experience)を作ります。
例えば、面談や技術課題の合否を伝えるだけでなく、候補者の強みや自社とのマッチ・アンマッチなどの客観的なフィードバックを提供することで、候補者自身の気づきや学びに貢献する設計などを行います。
② 評価制度とキャリアパス(Engineering Ladders)
エンジニアの評価は定量化しづらく、また事業目標と個人の成長目標をリンクさせる難易度が高い領域です。ここでのミスマッチは、優秀なエンジニアの離職に直結します。
これを防ぐために、以下のようなアクションを行います。
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評価観点の構造化
「技術力」だけでなく「遂行力」「組織への影響力」など、多角的な視点で評価基準を整備します。 -
見えにくい貢献の可視化
技術的負債の解消や、チーム間の隙間を埋める「Glue Work(糊の仕事)」など、地味だが重要な貢献を評価テーブルに乗せる仕組みを作ります。 -
デュアルキャリアラダーの構築
マネジメント職だけでなく、スペシャリストとして技術を極めるキャリアパスを明確化します。
こうした活動を通じて、「事業貢献」と「エンジニアの納得感」が両立する評価サイクルを構築します。
③ 組織開発とDevEx(開発者体験)
エンジニアが「価値創出」と「自己実現」に集中できる環境をつくります。
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オンボーディングの高速化
入社初日に開発環境が整い、すぐに最初のコミット(First Commit)ができるようなフローを整備します。 -
学習支援
技術書籍購入制度、社内ハッカソンの企画、外部講師を招待した勉強会など、エンジニアが自律的に学習できる環境を提供します。 -
技術広報(DevRel)
技術ブログの運用サポートやテックカンファレンスへのスポンサー活動を通じ、自社の技術ブランドを高めます。
これは採用への効果はもちろん、既存メンバーにとっても「技術を発信する文化」への参加意識を高め、自分の組織を誇りに思う(組織エンゲージメントの向上) という組織開発の側面も持ち合わせています。(以下参考記事)
DevHR の具体的な求人イメージ
実際にどのようなスキルが求められているか、私が所属しているビットキー社のDevHR求人を例に見てみましょう。
必須要件には以下のような項目が並びます。
- パブリッククラウドを用いたプロダクト開発・運用経験
- エンジニア組織におけるチームビルド・マネジメントにミッションを持ち、遂行した経験
- 横断的なプロジェクトなどで、複数のステークホルダーとの調整業務経験
- エンジニア採用戦略の策定
- スカウト文作成・送付、面談・面接経験
- エンジニアの育成、評価経験
- 何らかしらの企業文化醸成推進経験
DevHRには人事スキルだけでなく、「開発の現場感(技術理解)」と「組織課題を解決する力」 の双方を期待しています。
他にも DevHR やそれに似た求人は少しずつ増えているので、検索して比較されてみてください。
2. EM から DevHR へのキャリア転換と醍醐味
EMは普段から、技術的な背景を理解した上でメンバーや組織と向き合っています。
この経験こそが、DevHRにおいて最強の武器になります。
また私が考える、EMがDevHRにキャリアを広げる面白さはここにあります。
- 影響範囲のスケール
1チームのマネジメントから、組織全体へ。より広い範囲と高い抽象度で組織課題を解決することで、事業価値の向上にダイレクトに貢献できます。 - 「組織」と「メンバー」を好きになれる
制度設計やカルチャー醸成を通じて、メンバーがいきいきと働く環境を創出する。その結果、メンバーから感謝されるだけでなく、自分自身も「この組織や所属しているメンバー、いいな」と自組織のことをより好きになれます。
コードでプロダクトを良くするように、施策で組織を良くする。「組織エンジニアリング」こそが、EM出身DevHRの醍醐味なのです。
3. DevHR と VPoE の違い
よく混同される「VPoE(Vice President of Engineering)」との違いについて触れておきます。 両者はパートナー関係にありますが、その役割は以下のように異なると考えています。
- VPoEは「監督(Decision Maker)」
- エンジニア組織の総責任者。
- 「どんな組織にするか」という方針(What)を決め、採用の最終判断や、誰を抜擢するかといった人事決定に責任を持ちます。
- DevHRは「プロデューサー兼参謀(Enabler)」
- 組織づくりの専門パートナー。
- VPoEとともに描いた方針を実現するための「仕組み(How)」を作ります。
- 採用パイプラインの構築、評価制度の設計・運用、組織サーベイの分析などを行い、VPoEの意思決定を支えます。
VPoEとともに描いたビジョンを、DevHRが実装する
この両輪が噛み合ったとき、エンジニア組織は最強の成長を見せます。
4. 組織という「コード」を書き換える仕事
DevHRはエンジニアリング組織のOSをアップデートし続ける、組織のエンジニア です。
技術と人の両方を理解しているからこそ、エンジニアの痛みに共感し、本当に必要な制度や文化を作ることができます。
もしあなたが、コードを書くのと同じくらい、あるいはそれ以上に「エンジニアが輝く組織を作ること」に情熱を感じるなら、
DevHRは、あなたの次のキャリアとして、これ以上ない選択肢になるはずです。
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