名前のない<s>かいぶつ</s>仕事
この記事はスクラムマスター Advent Calendar 2025の8日目です。
スクラムマスターの仕事とは
スクラムマスターの具体的な仕事とはなんでしょう?
スクラムガイド2020年版に書いてあるでしょうか?
いえ、書いてません
スクラムガイドには抽象的なことが書いてあります。しかも責任について書かれてます。
抽象的なことはスクラムマスターの仕事に限った話ではなく、スクラムガイド全体に言えることです。
以下引用
スクラムマスターは、スクラムガイドで定義されたスクラムを確⽴させることの結果に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラムチームと組織において、スクラムの理論とプラクティスを全員に理解してもらえるよう⽀援することで、その責任を果たす。
スクラムマスターは、スクラムチームの有効性に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラムチームがスクラムフレームワーク内でプラクティスを改善できるようにすることで、その責任を果たす。
スクラムマスターは、スクラムチームと、より⼤きな組織に奉仕する真のリーダーである。
スクラムマスターは、さまざまな形でスクラムチームを⽀援する。
- ⾃⼰管理型で機能横断型のチームメンバーをコーチする。
- スクラムチームが完成の定義を満たす価値の⾼いインクリメントの作成に集中できる
よう⽀援する。
- スクラムチームの進捗を妨げる障害物を排除するように働きかける。
- すべてのスクラムイベントが開催され、ポジティブで⽣産的であり、タイムボックス
の制限が守られるようにする。
スクラムマスターは、さまざまな形でプロダクトオーナーを⽀援する。
効果的なプロダクトゴールの定義とプロダクトバックログ管理の⽅法を探すことを⽀
援する。
- 明確で簡潔なプロダクトバックログアイテムの必要性についてスクラムチームに理解
してもらう。
- 複雑な環境での経験的なプロダクト計画の策定を⽀援する。
- 必要に応じてステークホルダーとのコラボレーションを促進する。
スクラムマスターは、さまざまな形で組織を⽀援する。
- 組織へのスクラムの導⼊を指導・トレーニング・コーチする。
- 組織においてスクラムの実施⽅法を計画・助⾔する。
- 複雑な作業に対する経験的アプローチを社員やステークホルダーに理解・実施しても
らう。
- ステークホルダーとスクラムチームの間の障壁を取り除く。
ではスクラムマスターにしかできない仕事とはなんなのか
ではスクラムマスターしかできない仕事とはなんでしょうか?
答えは上記のスクラムガイドで定義された責任を果たせる仕事全般です。
以前にも書きましたが、間違っても会議の開催や会議の司会はスクラムマスターの仕事ではありません。
「もっと具体的に言ってくれ」ですか?
いい質問ですね。
スクラムマスターの仕事は具体的にいうことはできません。
理由は簡単です。
具体的に言える仕事というのは名前がつけられるくらい、目的や課題ややることがはっきりとした仕事です。
そこまで解像度が上げられた仕事はスクラムイベントに組み込んでチームに任せることができます。
つまりスクラムマスターがやらなくてもできる仕事です。
スクラムマスターしかできない仕事とは、ふわっとした課題感があって、でも何をどうすればいいのか?という部分が不明瞭な不確実な仕事です。
- 名前のない仕事の解像度を上げて
- 関係しそうな人間に話を聞き
- ステークホルダーを集めた名前のない会議で現状と理想の状態をある程度形にして
- 仮説ベースで課題とソリューションを設定して
- ソリューションの分解と検証方法の設定をはかる
ことがスクラムマスターにしかできない仕事です。
要約すると「名前のない課題」を「名前のない会議」を経て、解像度を上げて問題をはっきりさせて名前をつけて解決に導くことです。
結論
「スクラムマスターにしかできない仕事はなにか?」を答えることは困難です。
なぜならば「スクラムマスターにしかできない仕事」とは「名前のない仕事」が多く、仮に名前がついたとすればそれはスクラムマスター以外にもできるくらい解像度が上がっているからです。
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