Omiai、出前館、ZOZO共催イベントの深堀り 〜今だから話せるリアーキテクチャの失敗と成功〜
Omiaiは、2025年10月10日に、株式会社出前館、株式会社ZOZOと「1,000万ユーザー超サービス3社が語る“今だから話せる失敗”」というイベントを共催しました。
多くのユーザーを抱えるtoCサービスの3社が、普段はなかなかオープンには語られにくい「失敗」について語った本イベント。Omiaiからはテックリードの渡邊が、過去の失敗を乗り越えて成功に至ったOmiaiのリアーキテクチャについてお話ししました。

本記事では、当日の発表と併せて、これまでに公開した資料や記事を紹介しながらOmiaiのリアーキテクチャの失敗と成功について深堀りします。
エンジニア組織が大規模なシステム改修を進める際、成功と失敗をどう見極め、どう再挑戦すべきか。そのヒントをOmiaiの実例を通して紹介します。
イベント資料の解説
イベントでは「リアーキテクト「成功」への道のり」というタイトルで発表を行いました。
リアーキテクチャの前提となる「失敗と成功の定義」
「失敗」をテーマにした本イベントですが、実は失敗の定義は組織や人によって曖昧なことがあります。
Omiaiでは、過去の失敗の経験も踏まえて下記のように考えています。
「計画していたことが全てできなかった/リリースしたシステムがバグを起こしてしまった/技術的な負債が全て解消できなかった」というのは失敗かどうかの判断としては不十分であり、目的を達成できなかったことを失敗とします。
この考えの重要なポイントは3つです。
- “目的”を明確に定めておくことが、成功/失敗の判断軸になる。
- 手段(何をやるか、どの技術を使うか)ではなく、目的(なぜそれをやるか/どこに向かうか)が先行するべき。
- 手段が完全でなくても、目的にたどり着けば「成功」である。逆に、手段が立派でも、目的に到達していなければ「失敗」である。
発表の中でも、2019年に失敗した第1次リアーキテクチャで、上記の考えが反映されていなかったことが失敗に繋がってしまったとお話ししました。
成功のために必要な「目的と課題の明確化」
前述のように、目的を明確にすることがリアーキテクチャの第一歩です。
正しい目的に向かうこと、そして何が目的に繋がるアクションなのかを明確にすることが成功に繋がります。
成功した2024年のリアーキテクチャでは、「課題を洗い出して対応していく」ということを最初に重点的に行いました。
課題は「挙げたらきりがないほどある」という事態が多く、実際にOmiaiでも同じ状況でした。
その中で役に立った方針が「最もゴールに寄与できる課題を解消する」ということです。
このように目的と課題の優先順位を決めていくことができたのは、そもそも目的と課題が明確になっていたからです。
当たり前のことではありますが、最初に如何にして明確に言語化しておくかということが後々の改善の効率化にも繋がっていきました。
Omiaiは如何にして2024年のリアーキテクチャを成功させたのか
2024年のリアーキテクチャが成功に至った最大の理由は、「目的」「課題」「手段」の関係性を整理し、常に“目的に対してどれだけ貢献するか”という観点で判断を行ったことにありました。
具体的には、まず目的を「システムパフォーマンスと保守性の向上」「ランニングコストの削減」と定義。その上で、ボトルネックとなっていた課題を洗い出し、最もゴールへの寄与度が高いものから順に対応しました。たとえば、長年蓄積していた不要データを退避し、マネージドサービスへ移行することでデータ量を半減。運用コストを実質ゼロに抑えることに成功しています。
また、リスクを最小限に抑えるため、旧構成と新構成を並行稼働させる仕組みを設計。不具合発生時には即座に切り戻せる体制を整えました。こうした取り組みにより、開発・運用の両面で安定性とスピードを両立させ、目的としていた「持続的に改善できるシステム基盤」の実現に大きく前進しました。
リアーキテクチャの成功の裏には、テックリードの渡邊以外のメンバーの活躍もありました。
リアーキテクチャの舞台裏はこちらの記事で紹介しています。
また、より詳細な技術的なトピックはOmiaiのテックブログでも紹介しています。
おわりに
リアーキテクチャは単なる技術刷新ではなく、「サービスをどう成長させたいか」という意志を形にする取り組みです。
Omiaiが2024年のリアーキテクチャで成果を出せたのは、失敗の経験を糧に“目的に立ち返る”という姿勢を貫いたからこそでした。
開発の現場では、どんなに経験を積んでも「失敗」は避けられません。
大切なのは、失敗を恐れないことではなく、そこから学びを得て次の成功へとつなげていく姿勢です。
Omiaiでは、一度の失敗をきっかけに「なぜうまくいかなかったのか」「次はどうすれば目的を達成できるのか」を反省し、組織として成功の再現性を高めるメソッドを築いてきました。
こうした学びの積み重ねこそが、サービスの成長とチームの成熟を支える原動力になっています。
これからもOmiaiは、挑戦と改善を繰り返しながら、より良いプロダクトづくりを追求していきます。
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