【コミュニケーション】たとえ自分に利益がなくても、報連相の約束はきちんと果たそう
はじめに
対象
- エージェントや営業担当者との連絡で困った経験のあるITエンジニア向け。
約束を守らない行動は合理的か
「進捗分かり次第、今日中に電話します」
「結果が分かり次第、今週中に連絡します」
このような約束をしておきながら、結局連絡が来ない。こちらから催促すると「まだ確認できていません」と言われる。それなのに新しい案件の営業電話は忘れずにかけてくる。そんな経験はありませんか? 私はあります。
これは報連相における相手によって対応を変える問題です。自分に直接的な利益がない連絡は後回しにしたり忘れたりする一方で、自分に利益をもたらす連絡は確実に行う。一見合理的に見えますが、実は信頼関係を確実に破壊していく行動です。
自分に利益がない報連相が忘れられる現実
エージェントとのやり取りで見える本性
一部のエージェントさんとやり取りしていると、この問題がよく見えてきます。私はスプレッドシートで過去のエントリー履歴や当時の対応などを詳しめに記録しています。無論、返事がきちんと返って来たかどうかも書いてあります。
最初からn営業日以内に連絡がなかったらお祈りと明記されているところもありますが、問題はそうでないケースです。
「進捗分かり次第、今日中に電話します」
「結果が分かり次第、今週中に連絡します」
このように約束しておきながら、連絡を忘れて頭の中がリセットされた状態で新しい求人を紹介してくる人がいます。こちらは約束された連絡を待っているので、「ところであの件はどうなりましたか?」と聞くと、返事が返ってこないこともあります。
営業の電話や面談の連絡は絶対に忘れないのに、です。
つまり自分にもう関係がなくなった事柄については、それが約束したものであっても忘れて放置する人が結構いるのです。
社内でも同じことが起きている
これはエージェントだけの問題ではありません。社内の開発から営業への問合せでも、同じことをする人はします。例えば開発から営業に質問を投げてお客様にヒアリングしてもらう、といった流れで仕事が進むとき。
新しい案件の連絡や、ギリギリになってから必要になった対応を投げてくることは絶対に忘れないのに、「開発が質問した件、どうなりました?」と聞くと、「まだ聞いていません」「チケット更新していません」という回答が返ってきます。
こういう状況になると、開発側は営業に依頼することを躊躇するようになります。確実に対応してもらえるか分からないため、自分で直接お客様に連絡したり、別のルートを探したりするようになります。
経理や総務といった裏方業務でも同じです。経費精算の期限をギリギリまで守らない人がいると、経理の方が月末に大変な思いをします。経理や総務など裏方を頑張ってくれている人ほど、敬意を評して大事にすべきなのですが。
身内だとなぜかこの辺りがルーズになる方がいます。甘えというよりは、重要性を低く見積もってしまうのかもしれません。
本質は自分のことしか見えていないこと
これらの問題の本質は、自分のことしか見えていない点にあります。自分に利害がないから忘れる。でもその報連相を待っている相手は、そのことをずっと覚えているし、信用は確実に減らしていっています。
エージェントの例で言えば、もしこれが企業の担当者や大口の相手だったら絶対に忘れないはずです。つまり相手によって対応を変えているのです。
もちろん相手によって対応を変えること自体は普通のことです。初対面の人には丁寧語で話すし、部下と上司では接し方が違って当然です。しかし今回の問題は、約束の履行そのものを相手によって変えている点にあります。
約束を守るかどうかは、相手が誰であろうと一定であるべきです。連絡すると言ったら連絡する。報告すると言ったら報告する。この基本的な約束の履行を、相手の立場や自分への利益で変えるのは、単なる対応の使い分けではなく信頼を損なう行為です。
少し前にサイレントお祈りが話題になりましたが、サイレント報連相は流石に通じないでしょう。
報連相を守ることで生まれる信頼関係
信頼できる相手との仕事はスムーズに回る
一方で、報連相をきちんと守ってくれる部署では仕事が驚くほどスムーズでした。何より営業と開発の関係も良好で、お互いに上手くボールをパスできている感じでした。仕事自体もとても早く回ります。開発側の待ち時間もタイムロスも少ないからです。
逆に開発側から営業に相談やお願いをすることもありますが、信用が積み上がっているため、よくある対立は発生しません。まず理由を共有した上で、できる範囲での相談をする。そんな建設的なやり取りができていました。
興味深いのは、こういう信頼関係がある相手とは、むしろ報連相の頻度が下がることです。約束を守ってくれることが分かっているので、こちらも安心して任せられますし、必要以上に確認を取る必要もなくなります。結果的にお互いの時間を節約できるという副次効果も生まれていました。
小さな約束の積み重ねが大きな信頼になる
人間だから、どうしても忘れてしまうことはあります。数回のミスくらいでは信用を減らしたりはしないでしょう。
ここで問題にしているのはそういうケースではありません。意識的にせよ無意識的にせよ、日常的に相手によって対応を変え、それが自分に利益や損失をもたらさない場合は、たとえ相手にとって重要な情報でも、相手をずっと待たせているとしても、忘れてしまう人達です。
こういう相手には早めに見切りをつけて相手にしない方が良いですし、やっている方もその自覚を持つべきです。また相手の立場になって考えられないということでもあるので、そういう意味での地雷回避にもなります。
時間を守るという約束も同じです。この業界に入ってから気づいたのですが、飲み会に予約した時間通りに来る人って少ないんですよね。集合時間を守るって当たり前だと思っていました。
急に仕事が入ったとか、バスが事故渋滞にハマったとかなら分かります。しかしそういう特別な何かがあるでもなく、時間に集まらない。飲み会の集合時間は、その程度の優先度ということなのかもしれません。
逆に言えば小さな約束でもきちんと守る人は、大きな約束も守ってくれる可能性が高いということです。時間を守る、期限を守る、連絡を守る。そうした日常的な約束を通して、その人の信頼性を測ることができます。
役職者ほど守れない約束
そんな小学生みたいなことをと思うかもしれません。しかしそんな小学生みたいなことでも、できない人はそこかしこにいるのです。
抽象的に説明すると、連絡を受ける側にとって重要で、連絡する側にとって重要でない情報の扱いに、その人の本性が現れます。
興味深いのは、新卒や平社員であれば怒られるのもあって、基本的にはできています。むしろ怒られなくなるポジションの、役職ありの方達の方が守れていないことが多いです。
某現場の話ですが、会議室の予約という基本的なルール、つまり約束があった訳ですが。毎月定期的に日程調整を行い、会議室を予約して正しく利用している方が先約しているにも関わらず、後から上位者が自分の会議のためにその会議室を使用してしまうことが頻繁にありました。
緊急性があるわけでもなく、単に権限を使って都合の良い会議室を確保していたのです。それもたまたまではなく常習犯だそうです。会議に参加するメンバーはそのことを知っていました。私も教えてもらった側です。何故ならそれが原因で会議の開始時間が遅れるから。
ルールを守る見本となるべき立場の人が、自分の都合でルールを曲げてしまうと、こういう細かいところから信用が失われていきます。
おわりに
「今日明日中に連絡します」と言ったら、遅れる場合でもきちんと連絡する。
「今日中に報告します」と言ったら、定時までには必ず報告する。
そういう人に私はなりたいと思います。
当たり前の話なんですけどね。でもその当たり前をコツコツ積み上げられるかが、信頼関係の構築において最も大切なことだと感じています。
自分に直接的な利益がない連絡でも、約束したからには守る。相手の立場に立って考え、相手が待っていることを忘れない。そんな基本的なことの積み重ねが、長期的には自分に返ってきたらいいなと思っています。
エージェントとの関係でも、社内での部署間連携でも、趣味のコミュニティでも、基本は同じです。小さな約束を大切にできる人は、大きな約束も大切にしてくれるものです。
報連相の約束を軽視する相手を見分けることも大切ですが、まずは自分自身がそういう人にならないよう心がけていきたいものですね。
Discussion