【第2回】Claude Code性能劣化との戦い - SuperClaude導入編
【第2回】Claude Code性能劣化との戦い - SuperClaude導入編
🚀 はじめに
前回の記事では、Claude Codeの「健忘症」や「指示無視」といった性能劣化に対し、バージョン1.0.24へのダウングレードという力技で一時的に凌ぐ方法をご紹介しました。
しかし、ダウングレードには痛い副作用がありました。
最新機能が使えない、セキュリティパッチが当たらない、そして何よりなんとなく「 負けた気がする 」。
今回は、不安定なClaude Codeを「 強制的に仕事ができる奴 」に更生させるための、SuperClaude導入と実践フローについてお話しします。
🤔 SuperClaudeとは何か?
GitHubで見つけたこのリポジトリ、ご存知でしょうか?
SuperClaude Frameworkは、単なるプロンプト集ではありません。
開発者はこれを「 Meta-Programming Configuration Framework(メタプログラミング設定フレームワーク) 」と呼んでいます。
簡単に言うと、Claude Codeに対して:
- 振る舞いのルールを注入し (Behavioral Instruction Injection)
- 30以上の専用スラッシュコマンドを追加し
- 記憶の管理をファイルベースで強制する
ための拡張パックです。
「最近のClaude Code、なんかフワフワしてるな...」
そんな彼に、ガチガチの業務マニュアル(プロトコル)を渡して、その通りにしか動けなくするイメージです。
🛠️ 導入手順
導入は驚くほど簡単です。Python環境があれば一瞬でインストールできます。
# pipxでインストール(推奨)
pipx install superclaude
# 初期セットアップ(これでCLAUDE.mdなどが整備されます)
superclaude install
これだけで、プロジェクトルートに.claude/ディレクトリが生成され、大量のカスタムコマンドが利用可能になります。
さらに特筆すべきは、便利なMCPサーバー群もコマンド一発で導入できる点です。
通常、MCP(Model Context Protocol)の導入は設定ファイルを編集したりと少々手間ですが、SuperClaudeなら以下のコマンドだけで、開発に役立つツールセットを対話形式でサクッとセットアップしてくれます。
# 便利なMCPサーバーを対話形式で導入
superclaude mcp
これで、ファイル操作やWeb検索、GitHub連携といった拡張機能を、面倒な設定なしに即座に使い始められます。この手軽さは本当に助かります。
ちなみに、私がこのコマンドで導入して愛用しているのは以下の3つです:
-
Serena (Memory & Session)
Claude Codeに「長期記憶」を与えるMCP。YouTubeでこれをつかってClaude Codeのコンテキスト消費量が激減したという動画をみて導入決定。 -
Sequential Thinking (Reasoning)
複雑な問題をステップバイステップで思考させるためのMCP。これを入れると、難しい実装タスクでの論理破綻が目に見えて減り、コードの品質が安定します。 -
Context7 (Documentation)
最新の技術ドキュメントやライブラリの仕様を高速に参照できるMCP。古い知識によるハルシネーション(嘘の生成)を防ぐのに必須です。
🧠 なぜこれで「劣化」が直るのか?
私が抱えていた問題は主に健忘症(やったことを忘れる)と指示無視(テストを書かずに完了報告)でした。
SuperClaudeは、「 ファイルベースの状態管理 」によってこれを解決します。
1. 記憶を「脳」から「ファイル」へ外部化する
SuperClaudeを導入すると、以下の3つのファイルがプロジェクトの核になります。
-
PLANNING.md: アーキテクチャ、設計原則、プロジェクトの方向性 -
TASK.md: 現在のタスク状況、TODOリスト -
KNOWLEDGE.md: 開発中に得た知見、解決したエラーのログ
通常、LLMは会話履歴(コンテキストウィンドウ)に依存して作業を覚えています。だから会話が長くなると忘れます。
しかしSuperClaude環境下では、Claudeは「 作業前に必ずTASK.mdを読み、作業後に更新する 」という規律を叩き込まれます。
これにより、コンテキストが溢れても「 ファイルを見れば現状がわかる 」状態が作られ、健忘症が劇的に改善しました。
2. スラッシュコマンドによるプロセスの強制
「テスト書いて」と頼むとサボることがありますが、コマンドとして定義された手順はサボれません。
例えば、私は機能実装時に以下のようなフローを強制しています:
-
/plan: 実装計画を立てさせ、PLANNING.mdに記述させる。 -
/story: ユーザー視点のストーリーを作成し、要件を固める。 -
/test: 実装前にテスト計画、あるいはテストコードそのものを作成させる。 -
/impl: 実装を行う。
このように「コマンドを叩く」という行為がチェックポイントとなり、 「テストフェーズをスキップして実装完了」というズルができなくなります。
📈 導入後の変化:Before / After
Before (素のClaude Code v2.x)
- 私: 「この機能追加して」
- Claude: 「わかりました!実装しました!(嘘。ファイルは空)」
- 私: 「テスト通らないよ」
- Claude: 「すみません、修正しました!(修正してない)」
- 私: 😡(ダウングレードを決意)
After (SuperClaude導入後)
-
私:
/plan ユーザー認証機能の追加 -
Claude: (
PLANNING.mdを更新し、設計方針を提示)「認証にはAuth0を使う方針で設計しました。承認しますか?」 - 私: 「承認」
-
私:
/task add ログイン画面の実装 -
Claude: (
TASK.mdにタスクを追加) -
私:
/code -
Claude: 「
TASK.mdの現在のタスクに従い、実装を開始します。まずはテストコードから...」
「記憶力」に頼るのをやめ、「記録」に基づくようになった。
これが最大の勝因です。
🧩 まだ残る課題...そして第3回へ
SuperClaudeのおかげで、タスク遂行能力は劇的に向上し、「 指示通りに動く 」信頼性を取り戻しましたようにみえます。
何より、カスタムスラッシュコマンドでごりごり指示できるのはかなり助かりました。
v1.0.24のような古いバージョンに縛られることなく、最新モデルの知能と速度を享受できています。
しかし、完璧ではありません。
SuperClaudeは「プロジェクト内のコンテキスト」には強いですが、そもそもですが、Claudeをキビキビつかうためのもので、Claude自体のコード生成力をやはり使うモデルに依存しています。
KNOWLEDGE.mdを手動で育てるのも限界があります。
もっと動的に、必要な知識を必要な瞬間に引き出せる「第二の脳」が欲しい...。
そこで次回、このSuperClaude環境に、もう一つの強力な相棒「 Codex MCP 」を参戦させます。
実はClaudeの性能劣化の際にCodexを試す場面が多々あり、あの若干癖のあるレスポンスと融通の効かない感はうーんとなるもののバックエンド実装や仕様書のレビューであればClaudeよりも遥かに正確な作業するので
ここぞという場面で使っていました。このCodexをいちいち、CLIを使い分けずに一気につかってやろうという試みです。
- 柔軟な発想と文脈理解が得意な Claude
- 実直で正確なコーディングが得意な Codex
この「 二刀流 」によって互いの弱点を完璧に補完し合い、企画から実装まで隙のない開発体験を実現する...それが私のたどり着いた最終形です。(現在はGemini3がかなりいいのでまた変わりそうだけど・・・)
次回予告:【第3回】Codex MCP連携で実現する、最強の二刀流開発
お楽しみに!
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