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心理的安全性のために「心理的安全性」と言うのをやめよう
「心理的安全性」は抽象度の高い、難しい概念です。
この用語を広めたのはThe Fearless Organizationだと思うのですが、
ここでの定義は「組織において対人リスクをとることに恐れがない状態を心理的安全性がある」としています。
この書籍内でも初めの方に「What Psychological Safety Is Not」という章を設けて、「心理的安全性は〇〇ではない」を列挙しています。
- 常に同意や称賛する「優しさ」ではない
- 「信頼」と同義ではない
- パフォーマンスの基準を下げることではない
など著者が誤解されやすいと考えたものについて「そうじゃないんだよ」を並べて説明しています。
つまりそれだけ難しい用語であり、十分な説明なしには伝わらない考え方なのです。
なので私は組織に考え方を浸透させるには、この「心理的安全性」という言葉を使わない方がよいと考えています。
この概念に馴染みのない人には何を言っているのか伝わらないし、心理的な安全がまだ育っていない組織ではそれについて疑問を唱えることもはばかられるでしょう。
また、ともすれば「心理的安全性とは何か」という議論が始まってしまい、本当にやりたかったことからどんどん外れていきかねません。
組織に心理的安全性を浸透させるには「心理的安全性を高めましょう」ではなく、
- 気になったことは気軽にオープンなSlackチャンネルに投げよう
- ミスをした時はすぐに部署内で共有しよう、またその人を絶対に責めない
など、もっと具体的な「こうありたい」を伝えましょう。
より具体的に言語化することで、その組織にとって重視するものがより明確になるはずです。
あるいは伝えたいのは元来の「心理的安全性」とはまた違うメッセージなのかも知れません。それも具体的に噛み砕いてくる過程で見えてくるでしょう。
とにもかくにも、書籍から借りてきた言葉ではなく具体的に自身の言葉で伝えることが大切です。それこそが最終的には組織に心理的安全性をもたらすことにつながるのではないでしょうか。
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