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UXデザイナーの、育休明けのタイミングでの転職活動記録

2024/05/22に公開

自己紹介

  • UXデザインやデザインリサーチが専門
  • 2018年4月からU'eyes Design(横浜)に所属し、デザインコンサルタントとして勤務
  • 2022年末、第一子を妊娠。
  • 2023年2月、産後の育児サポートを求め、配偶者の実家近く(つくば市)に転居
  • 2023年5月より産休・育休に入る

自分がこれから仕事に対して迷ったときに、見返せるように備忘録として、復帰・転職に際して考えたことや行動したことをメモしておく。同じように産前産後で仕事に対して悩んでいる人の参考になればいいなという気持ちもあり、公開する。

仕事へ求めるものの変化

出産してから、子供が可愛くて仕方がない。こんなに可愛いと思わなかった。なるべく一緒にいたい。
しかし、夫婦円満の秘訣として、

  • 各自、仕事をしていて経済的に自立していること
  • 各自、家事・育児も一定できて生活的にも自立していること

を配偶者と「良い夫婦の形」としている(異議は認める)ため、仕事はしたい。

妊娠中は、子どもの人生も、自分の人生も、同じくらい大事にしたい、と考えていた。なので、復帰のときには子供を振り回すことになるだろう(保育園に入れたり、生活スケジュールを調整したりなど)と思っていた。しかし、産後3ヶ月くらいで、自分の人生なんて、最低限でよくて、余力は子供の人生にとってプラスになるようにしたいという思いが強くなった。仕事に対する考えもずいぶんと変わった。意思なんて、ホルモンバランスのブレには抗えないのである。体にプリセットされている子育てへの執着心は、社会的な自己実現を上回った。ホルモンが私の意思を司っていると言っても過言ではない。そこで、現状の仕事に対しての考えを整理した。

1. リモートしたい

居住地は、もともとは復帰前には会社に通える範囲に戻るつもりであったが、義実家が近いというメリットがあまりに大きく、戻る気はサラサラなくなってしまった。つくばという土地が子育て世代に優しい場所であることもある。そうすると現職のオフィスは片道2時間半はかかるので、現職に戻るならリモート必須となる。
また、配偶者の職業が大学教員で、基本的に有期雇用で、いつどこの大学に転職するかもわからない(海外だってありえる)と考えたときに、お互いの勤務地のために、どちらかが単身赴任をすることは避けたいと思った。そうなると、どこでも働ける、勤務地にしばられない生活が長期的にも理想である。

2. 時短したい

短時間でダーッと稼いで、それ以外は家族となるべく長く過ごしたい。だらだら長々働くのは嫌。やる気がないわけではない。効率的に働きたくて、効率的に働かない人の働き方になるべく振り回されたくないのである。日本の企業では、長時間働けることが「良し」とされる社内文化はまあまあ根強いが、それとは真反対な働き方でも評価されると嬉しい。

3. しっかり稼ぎたい

上記にも被るが、親の稼ぎが多いに越したことはない。きちんと稼いでないと、「子どもとの時間を割いてまでこんなことをやっている場合なのだろうか・・・」と疑念に駆られる未来が見える。配偶者も稼いでいるが、大学教員はそんなに昇給が望めず、長期的には私のほうがキャリアアップしていきながら給与もアップしていきたいところである。

4. フレックスがいい

子どもを育てながらなので、急に休まなければいけないこともある。変則的な時間で働きたいこともある。このあたりを社内で喧々諤々と調整しなければいけないのは辛い。サクッと「すまん、子ども熱出たわ」で通じると嬉しい。

5. リモート・時短でもしっかり活躍したい

もともとは仕事で何を達成するか、どんなことを学べるか、という部分を重要視していた。そのためなら、給与や待遇には目をつぶろう、と考えていた。が、今となってはここまであげたような待遇面が第一優先になり、その上で自分のやりたいことや、やれることが企業とマッチしてほしい、という、よりわがままな希望を持つようになった。
時短でコスパよく稼ぎたい、という希望を叶えるためには、自分が労働者として高いパフォーマンスを出すことが企業としても求めるところであろうし、わがままなようで、よく考えると必須であるとも考えられる。

現職復帰せずに転職することを決意

まずはじめに、U'eyes Designはかなりいい会社である。賢くまじめで性格のいい人ばかりだし、HCDを謳っているようにユーザーを本気で大事にしているし、時代に合わせて柔軟に組織も変わっていく。いろんなことに挑戦していきたい自分に、とてもあっている会社だと思う。副職でコーディングがしたくなったときは、柔軟に勤務時間を調整してくれた(もともとそんな制度はない)。スタッフを大事にしていると思う。
それでも、私自身は転職できるならしたいと考えるようになった。理由は以下の通りである。

U'eyes Designに復帰してもやれる仕事が限られてしまう

リモート・フレックス・時短、という待遇は、U'eyes Designで復帰しても叶えられる。が、悩ましかったのは、その状況下では、UX・UIデザインやデザインリサーチで、しっかり活躍できるような仕事に手を上げづらいということだった。入社した理由も、ものを作り始めるまでの調査や設計の部分に興味があったからで、現場観察や実機でのユーザビリティテスト、オフサイトワークショップなど、現場に向かうと学びの濃さが全然違う。オンラインでインタビューなども最近はしているが、やっぱり現場現地に大事なものがある、という感覚は全社的にあると思う。大事なことはオフサイトで、という感覚もある。フルリモートとなると、自分は現場に参加できない。オンラインでのサポート的な仕事はいくらでもあるだろうが、自分自身がそれでは満足できなくなるだろうと思う。また、実査などになると、長い時間拘束されることも多い。時短となるとできない分を他の人に補ってもらうことになり、どうしても二度手間感がある。

ウェブ・アプリ系の開発に関わりたい

UXを考えるとなると、使っている人の状況を理解する、ということはいつだって大事になる。それゆえ、すべてリモートの状況下で、完璧なUXデザインができるかと言われると、無理な話だと理解している。一方で、作るものによってオフサイトの重要度合いが異なるのも事実だと思う。デジタルツールで完結し、時間や場所を問わないサービスであれば、作る方もリモート・非同期的なやり方でも、クオリティをあげやすい。逆に工場の制御機器だったり、特定施設のサービス設計だったり、利用シーンが限定的なものになればなるほど、オフサイトでの仕事の重要度は増すと思う。U'eyes Designは幅広い業種、開発物に対して支援をしており、オフサイト・同期的なやりとりが必要になるシーンが多い。ウェブ・アプリ系の開発に特化した会社であれば、調査や評価もオンラインで問題なくできる案件が多いだろうと予測できた。
また、出産前から、エンジニアと距離が近いところでデザイナーとして働いてみたい気持ちもあった。デザインコンサルでUXデザインメインでやってきたため、案件終了後、クライアント企業の中で、どのようにリリースまで進むのか不明なことが多く、寂しかったからである。

転職できるタイミングは案外少ない

しっかりと稼ぎたい、ということを叶えるためにも、転職し、給与ベースを上げる必要があると感じていた。自分の浪費癖もあるが、全然貯金ができていない。もう少し所得を増やさないと、子どもも生まれた今、心もとない感覚がある。
一方で、第二子も将来的に考えていると、転職できるタイミングというのは案外少ない。40代になれば、転職活動自体一気に難しくなるし、妊娠出産に至っては、35歳くらいから難しくなってくる。今31歳。妊娠直前や妊娠中の転職は現実的ではなく(育休の手当は一年間勤務していた実績がいるし、なにより入社して数ヶ月だけ働いて休むという条件では転職活動も難航しそうである)、産後は1年くらいは育休を取りたいなどと考えていると、転職に良いタイミングは本当にない。現職に復帰するていで育休を取っているので、周りからしたら「迷惑だ」と思われるかもしれないが、正直この復帰のタイミングを逃すとしばらく転職できないということもありうるので、多少嫌味を言われようが気にしている余裕はないのである。

転職活動してみる

転職したいな、と思うようになったが、リモート・時短・フレックスかつ、やりがいも感じられ、育休明けで0才児を抱える人をウェルカムしてくれる会社はそんなに多くはないだろうなということは予測できた。なので、「良さそうな会社を受けてみて、全部だめならU'eyes Designに戻ろう」という気持ちで転職活動をした。長々とやるのも、自分も家族も疲弊するので、3ヶ月位の活動期間を決めて、短期集中で取り組むことにした。

会社選び

リモート×時短×フレックスで、UXデザイン

「リモート可」と書いている会社は多いが、私が求めているのは「リモート標準」である。ほぼみんなリモートしている状況で仕事がスムーズに回っている状況でないと、現職よりよくならない。この見極めは結構難しく、ジョブボードの文章を見るだけではわからず、カジュアル面談してみると「結構出社じゃん」となることもあった。
「時短」は、ジョブボードでは可能かどうか判別が不可能である。フルタイムでの勤務前提です、と断られたものもあった。逆に時短にできる場合でも、そのように明記されていることは少なく、会社のHPなど見ながらどんな雰囲気かみてみて、時短でもいけそうなら問い合わせてみる、という流れで見つけていった。
フレックス制度については、ジョブボードを見ればわかる。これだけは明確に判断ができるので助かった。
この、「リモート標準」「時短勤務可能」「フレックス」、かつウェブアプリ系のUXデザイナーというだけで、応募先はかなり絞られた。

自分がやりたいことができる会社かの判別

リモートかつ時短でもUXデザイナーの中途採用をしている会社は、自分と指向性がある程度合う傾向にあり、自分のやりたいことややれることと大きく外れていそうなジョブボードもなかった。柔軟で、新しいことを取り入れる雰囲気の会社が多く、どんどんいろんなことに挑戦したいタイプの自分にあっていた。具体的な仕事内容は採用ページを見ていてもわからない事が多く、カジュアル面談などで聞きながら、どんな案件があるのか、どんなスキルやマインドが期待されているのか、確認していった。
ここまでで、6社ほどに絞られた。なので、自分の価値を感じてもらえる会社に拾ってもらえるといいなと思い、結局全部に応募した。

ポートフォリオ作成

UXデザイナーとしてのポートフォリオをつくるのは結構骨が折れた。まずコンサルティングで案件をしているので、オープンにしていいものがあまりない。学会発表したものや、社内活動的なものなど、公開できるものを考え直してみると、そもそも載せられるものにそこまで選択肢がなかった。さらに、載せられるといっても、中間生成物までだしていいのか怪しいものもある(中間生成物は公開していなかったりする)ので、そういうものは自分で作り直した。作り直していくうちに、もともとのグラフィックだと全然テイストが合わないな、と思い直して、結局プロジェクト全部図や絵を直したものもあった。
制作自体はノーコードツールのStudioを利用した。個人事業でやっていたVue.jsで開発したい気持ちもあったが、そこにリソースを割くのもな・・・と思い直し、ノーコードツールで大人しく作成した。どんなサイト構成にするかで紆余曲折あり、面接を受けながらも、何度も作り直した。最終的には配偶者にだいぶコメントしてもらいながら、International Typographic Style的な感じになった。
また、ポートフォリオ的にプロジェクトを紹介するだけでは、自分自身が何ができるのかは明確にならない。UXもUIもデザインリサーチも、幅が広く、様々なスキルセットの人がいる。そこで、UXUIやデザインリサーチの手法ごとに、何回経験したかカウントして載せてみたり、自分の特性を知ってもらえるように、周りからもらったことのあるフィードバックを載せたりした。それでも面接での口頭補足も多かった。

https://naokonakanishi.studio.site/

結果

選考云々の話をしだすと長くなるので、ここでは記載しない。時間があれば別記事にしようと思っている。
最終的に、一つの会社から内定をいただけ、無事転職先が決まった。結構落ちたので、途中挫けそうになったりもした。何度もいうが、産後はホルモンバランスがガタガタなので、すぐメンタルに来る。子どもが5ヶ月くらいになり、ある程度一人で遊べるようになるくらいから転職活動を検討し始めたが、これは正解であった。産後すぐだったら、もう心も体もめちゃくちゃになっていたことだろう。

急いで書いたので、駄文になってしまいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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