🔦

LEDを点灯制御する基板「LEDSwitch」を作りました

2023/02/20に公開

LED1つを点灯制御できるドライバ基板 LEDSwitch を作りました。

機能


LEDSwitch基板のピン配置

回路はシンプルで、任意のLED、電流制限抵抗、NPNトランジスタとベース抵抗を組み合わせて使用できます。SWピンで点灯を制御でき、Hレベルを入力すると点灯、Lレベルで消灯します。制御の必要がなく常時点灯する場合はSWピンとVCCを短絡させます。また、電源電圧 Vcc とSWピンのHレベルは同一である必要はありません。

VCC, SW, GND のピンピッチは 2.54mm となっているのでピンヘッダを実装するとそのままブレッドボードに挿して使えます。

使いどころ

LEDの点灯を制御するマイコンのドライブ能力(流せる電流の大きさ)が、点灯させたいLEDの定格電流よりも小さいことがあります。たとえば Arduino ボードなどで使われている ATmega328P はピンあたり 10mA(推奨値)、Raspbery Pi Pico で使われている RP2040 では 12mA が最大値となります。一方、高輝度LEDでは定格電流が 20mA~30mA のモデルが多く、直接マイコンに接続しても定格の輝度を達成できません。

今回のドライバ基板を使うと、マイコンから僅かな電流を流すだけで定格電流の大きなLEDを点灯できるようになります。

主にNPNトランジスタと電流制限抵抗が使われることを想定していますが、それらの代わりにNch MOSFETや定電流ダイオードを使うこともできます。これらはそれぞれメリット・デメリットがあるため状況に合わせて検討してください。

電流制限抵抗 定電流ダイオード
メリット ・安価 ・電源電圧が変動しても電流を一定にできる
デメリット ・電源電圧が変動すると電流も変動する
・LEDの順電圧によっても電流が変動する
・抵抗に比べて高価
・ある一定の電圧がないと期待した電流が流れない
NPNトランジスタ Nch MOSFET
メリット ・電流を流すだけで制御が簡単 ・制御に電流が必要ない
デメリット ・MOSFETよりも消費電流が多い ・一般的にオン抵抗が高い

必要なもの

どのような場合でも、以下の部品が必要です。

  • 点灯させたいLED
  • ピンヘッダ(3P)

この基板はトランジスタとMOSFET、電流制限抵抗と定電流ダイオードの組み合わせを自由に選べるため状況によって必要な部品が異なります。以下の表を参照してください。

トランジスタを使う MOSFETを使う
電流制限抵抗を使う ・ NPN型トランジスタ
・ 抵抗器 2個(ベース用、電流制限用)
・ Nch MOSFET
・ 抵抗器 3個(ゲート用、プルダウン用、電流制限用)
定電流ダイオードを使う ・ NPN型トランジスタ
・ 抵抗器 1個(ベース用)
・ 定電流ダイオード
・ Nch MOSFET
・ 抵抗器 2個(ゲート用、プルダウン用)
・ 定電流ダイオード

実装できるLEDはピンピッチが 2.54mm であれば径が 3mm と 5mm のどちらであっても構いません。10mm タイプも接続できますが、他の部品と干渉する場合があります。

部品番号 部品名 備考
D1 点灯させたいLED
D2 定電流ダイオード R1を実装する場合は不要、電源電圧に注意(後述)
R1 電流制限抵抗 または 定電流ダイオード 定電流ダイオードの場合は電源電圧に注意(後述)
R2 ベース・ゲート抵抗
R3 プルダウン抵抗 MOSFET使用時のみ
Q1 NPN型トランジスタ または Nch MOSFET

トランジスタのピン順


Q1のピン配置とトランジスタ実装方法

大抵のトランジスタは ECB の順に端子が並んでいますが、この基板は CBEBEC およびこの逆順のようなどんな順番のトランジスタも使用できます。

トランジスタの実装先の Q1 はLEDに近い方から基板表面から見て C E B C E の順で並んでいます。この配置によりどんなピン順のトランジスタでも使用できるようになっています。

Nch MOSFET を使う

NPNトランジスタの代わりに Nch MOSFET を使えます。ECB をそれぞれ SDG に読み替えて接続します。ピン順は基板表面から見て S D G S D の順で並びます。FETを使う場合は R3 に 10kΩ~100kΩ 程度のプルダウン抵抗を実装します。

定電流ダイオードを使う

電流制限抵抗の代わりに定電流ダイオードを使用できます。ただし、電源電圧 V_\text{cc} はLEDの順方向電圧 V_\text{F} と定電流ダイオードの肩電圧 V_\text{k} の合計値以上でなければなりません。

V_\text{cc} > V_\text{F} + V_\text{k}

この条件を満たさない場合、定電流ダイオードで十分な電流が流れず、点灯しないことがあります。たとえば E-183 という定電流ダイオードは V_\text{k} が 4.6V となっており、V_\text{F} が 3.1V のLEDを点灯させる場合の電源電圧は 7.7V 以上が必要となります。

前述の通り、SWピンのHレベルの電圧と電源電圧 V_\text{cc} は同一である必要はありません。

アキシャルリードと同じような定電流ダイオードの場合は R1 に、表面実装部品の場合は D2 に実装します。R1 に実装する場合は + マーク側がアノード、- マーク側がカソードです。D2 に実装する場合はシルクでマークされた側がカソードです。

注意点

定電流ダイオードでは対応できない、または放熱が必要になるほどのパワーLEDの場合は LEDSwitch では対応できません。代わりに PowerLED Driver なる基板も作りましたのでこちらが適切です。こちらの基板でやっていることは この記事 でやっていることと同じです。

参考: 類似基板

LEDの点灯を制御できるという意味ではスイッチサイエンス社の 2ch FET付きLEDボード と機能は代わりありません。ただし LEDSwitch では実装部品の選定はあくまで使用者に任せる方針にしています。

Discussion