パワーLEDを点灯制御する基板「PowerLED Driver」を作りました
パワーLEDを点灯制御させるためのドライバ基板 PowerLED Driver を作りました。
機能
PowerLED Driver基板のピン配置
この基板は定電流LEDドライバIC NJW4617 を最大2個実装でき、合計で 最大1A の電流をパワーLEDに流せます。電源がLEDの順電圧の合計に対して十分高ければ直列に接続したパワーLEDを複数個点灯できます。
LEDに流す電流の大きさはセンス抵抗の大きさで調整できます。200mA 以上の電流を流す場合は 1Ω 以下の抵抗値になるため、複数の 1Ω 抵抗器を組み合わせて実現できるようになっています。
点灯制御はPWMピンから入力します。Hレベルで点灯、Lレベルで消灯します。点灯制御が必要なく常時点灯させる場合はPWMピンをVDDと短絡させます。
使いどころ
小さいLEDであれば直接マイコンのGPIOピンから電源を流すか、LEDSwitch基板のようにトランジスタを使って電流を流します。しかし 100mA を超えて放熱器の使用を前提としたパワーLEDの場合は、電流制限抵抗や定電流ダイオードを使うよりもパワーLED専用のドライバICを使ったほうが簡単に点灯制御ができ、なおかつ安定した電流を供給できます。
パワーLEDは基板上のターミナルブロックを使って接続できるようになっています。あらかじめ基板で流せる電流値を決めておき、パワーLEDは任意のものを差し替え可能な仕組みになっています。設定したセンス抵抗値と電流値をわかりやすくするため、基板背面にそれらを記入できる欄があります。
必要なもの
安全に使用するために、以下の部品が必要です。
部品名 | サイズなど | 数量 | 通販サイト |
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NJW4617 | 1 | 秋月 | |
TO-252-5 SIP変換基板 | 1 | 秋月 | |
ヒートシンク | 16x25x16mm | 1 | 秋月 |
TO-220用放熱シート | 1 | 秋月 | |
M3プラネジ | 1 | 秋月 | |
基板用リードフレーム | 5P分 | 1 | 秋月 |
以上の部品を1組とし、NJW4617 を2つ使う場合は2組用意します。
部品番号 | 部品名 | サイズなど | 数量 | 通販サイト |
---|---|---|---|---|
J1 | DCジャック | 内径2.1mm | 1 | 秋月 |
CN1 | ターミナルブロック | 2P | 1 | 秋月 |
CN2-3 | ターミナルブロック | 3P | 2 | 秋月 |
これらは配線を接続するためのもので、基板に直接配線をはんだ付けする場合は不要です。DCジャックと2Pのターミナルブロックはどちらか片方のみの実装でも構いません。
部品番号 | 部品名 | サイズなど | 数量 | 通販サイト |
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R1-8 | 金属皮膜抵抗 | 1% 1W | 最大 8 | 秋月 |
R9 | 炭素皮膜抵抗 | 47kΩ 5% 1/4W | 1 | 秋月 |
47kΩの金属皮膜抵抗はPWMピンのプルダウン用です。10kΩ~100kΩの範囲の抵抗値の使用を推奨します。
金属皮膜抵抗はLEDに流れ込む電流値を決定するセンス抵抗用です。厳密な電流値を求めない場合は5%の炭素皮膜抵抗でも構いません。ただしLEDに流れ込んだ電流もこのセンス抵抗に流れるため、許容損失の大きな抵抗器の使用を推奨します。
センス抵抗の決定方法
電流センス抵抗の基板上の位置と回路図
電流センス抵抗値
と求めることができます。基板上では3つの並列と1つの直列が組み合わせられるようになっています。また、基板背面のジャンパJP1, JP2を短絡するとそれぞれR4, R8をバイパスできます。
以下に代表的な電流値と電流センス抵抗と抵抗器の組み合わせ例を載せます。組み合わせの・は並列、+は直列を表します。
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抵抗器の組み合わせ例 |
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20 | 10.00 | 10Ω |
30 | 6.67 | 10Ω・(10Ω+10Ω) |
50 | 4.00 | 10Ω・10Ω・(10Ω+10Ω) |
100 | 2.00 | 1Ω+1Ω |
200 | 1.00 | 1Ω |
300 | 0.67 | 1Ω・(1Ω+1Ω) |
350 | 0.57 | 2.2Ω・2.2Ω・(0.2Ω+1Ω) |
400 | 0.50 | 1Ω・1Ω |
450 | 0.44 | 1Ω・1Ω・(4.7Ω+1Ω) |
500 | 0.40 | 0.2Ω+0.2Ω または 1Ω・1Ω・(1Ω+1Ω) |
電流値によっては 0.2Ω や 2.2Ω のような使用頻度の低い抵抗が必要になるものもあります。しかし NJW4617 を2つ使うと 1Ω 抵抗のみで構成できる組み合わせが考えられます。以下は1Ω抵抗のみを使った組み合わせ例です。
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抵抗器の組み合わせ例 |
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100 | 100 | 2.00 | 1Ω+1Ω |
200 | 200 | 1.00 | 1Ω |
300 | 300 | 0.67 | 1Ω・(1Ω+1Ω) |
400 | 400 | 0.50 | 1Ω・1Ω |
500 | 500 | 0.40 | 1Ω・1Ω・(1Ω+1Ω) |
600 | 300+300 | 0.67, 0.67 | 1Ω・(1Ω+1Ω), 1Ω・(1Ω+1Ω) |
700 | 300+400 | 0.67, 0.50 | 1Ω・(1Ω+1Ω), 1Ω・1Ω |
800 | 400+400 | 0.50, 0.50 | 1Ω・1Ω, 1Ω・1Ω |
900 | 400+500 | 0.50, 0.40 | 1Ω・1Ω, 1Ω・1Ω・(1Ω+1Ω) |
1000 | 500+500 | 0.40, 0.40 | 1Ω・1Ω・(1Ω+1Ω), 1Ω・1Ω・(1Ω+1Ω) |
使用上の注意
- LEDの順電圧の合計値と電源電圧の差が大きいと定電流ドライバの損失熱が大きくなり、ICの内部温度が上昇します。電源電圧は使用するLEDの順電圧の合計値を十分考慮して選定してください。
詳細は「定電流ドライバの損失熱」を参照 - NJW4617にはサーマルシャットダウン機能があり、内部温度が160℃(参考値)で電流の出力が止まります。しかしこれはIC保護のための保険であり、この機能が働くことを前提として動作させてはいけません。素子の温度は150℃以下に保つ必要があります。
詳細は「NJW4617 の放熱」を参照 - NJW4617およびパワーLEDは適切に放熱を行い、放熱器を省略しないでください。特にパワーLEDは放熱器の併用が前提となっているものがあり、使用しないと極端に寿命が減ります。
- NJW4617ひとつあたり500mA(電流センス抵抗0.4Ω)を超える電流を設定しないでください。また、電流センス抵抗を短絡(0Ω)させないでください。
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