カワイイ!基板を作ろう!#3 PCBGOGO UV printing
みんな、こんにちは!2024年は色々な基板メーカーさんがフルカラーのシルクスクリーン印刷(カラーシルク印刷)サービスを開始しているよ。今回は2024年の3月にPCBGOGOさんが開始したUV printingサービスを実際に使ってみたから、サービスの概要と注文方法、実際に届いた基板を見た感想をまとめたよ。この記事ではKiCad8とInkscapeを使用して基板の設計をしているけど、他のソフトでも流れは同じだからぜひ参考にしてみてね。
左:従来のプリント基板、右:カラーシルク基板
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カラーシルク印刷って?
カラーシルク印刷はフルカラー画像をプリント基板上に印刷できるサービスで、従来のプリント基板では色の表現は限られていたんだけど、このサービスを使うことでより表現豊かなプリント基板を作ることができるよ!
ボクは以前、JLCPCBさんでもカラーシルク印刷で基板を作っているよ。こちらの記事も参考にしてみてね。
この記事の内容
- PCBGOGOさんのUV printingサービスの概要、要件、注文方法について
- 実際に注文して届いた基板を見てみるよ
対象読者
- カラーシルク印刷サービスに興味がある、作ってみたい
- プリント基板の最新トレンドを知りたい
- カワイイ!基板を作りたい!
PCBGOGOさんのUV printngサービス
まずはPCBGOGOさんのUV printingサービスの概要をまとめているよ。PCBGOGOさんは中国の深圳市にある基板製造受託サービスだよ。UV printingはPCBGOGOさんが提供しているサービスの1つで、プリント基板上にフルカラーの画像をUV印刷するサービスだよ。
UV印刷って何?ってお話はボクの過去の記事で説明しているから、この記事では説明を省略するよ。
ここではPCBGOGOさんのUV printingサービスの概要をざっくりとまとめているよ。詳細は以下を参考にしてみてね。
PCBGOGOさんのUV printingサービスは、プリント基板の表面(両面可能)にフルカラーの画像をUV印刷してくれるサービスだよ。このサービスの特徴は以下の通りだよ。
特徴
- リフローに耐えられるUVインク
- 好きなEDAで設計できる
- 板材選択可能
- レジスト色選択可能
リフローのお話もボクの過去の記事で説明しているから省略するよ。
EDAというのはElectronic Design Automationの略で、電気回路や基板設計のためのソフトのことだよ。FusionやKiCadが有名だね。JLCPCBさんでMulti-color Silkscreenサービスを使うにはEasyEDAを使う必要があるんだけど、PCBGOGOさんのUV printingサービスは、普段使用しているEDAを使用して基板を設計することができるよ。
JLCPCBさんのMulti-color Silkscreenサービスは、UV印刷できる基板の要件が細かく決まっているんだけど、PCBGOGOさんの場合は色々な板材(FR-4、銅ベース基板、セラミック基板、フレキシブル基板、フレキ基板 、リジッドフレキ基板)を選べてレジスト色にも制限がないみたいだよ。
要件
- 基板サイズ:270×470mm以下
- 画像データは300dpi以上のPDF、JPEG、PNG、TIFFなど
JLCPCBさんよりも要件は緩くて、上記の条件を満たしていればとりあえずは製造してくれそうな感じだね。心配なら事前に問い合わせてみると製造可能かどうか教えてくれると思うよ。
実際に作ってみた
今回はKiCad8とInkscapeを使用して実際にカラーシルク基板を作って注文してみたから、基板の作成から注文までの手順をまとめているよ。PCBGOGOさんの場合、ツールの制限は無いからKiCadとInkscape以外でも基板を設計できるEDAと印刷する画像を作成できるツールであれば何でもOKだよ。
手順
KiCad8とInkscapeを使用して回路設計、基板設計、画像作成をして、PCBGOGOさんで注文するまでの流れは以下の通りだよ。
- KiCadで回路・基板設計
- KiCadで基板のアウトラインをSVGでエクスポート
- InkscapeでSVGを読み込み、画像作成
- ガーバーと画像をzipで圧縮
- PCBGOGOさんの注文ページで注文
1. [KiCad] 回路・基板設計
まずは回路と基板を設計するよ。今回はKiCad8で基板を設計したけど、Fusionなどの他のEDAを使用することもできるよ。JLCPCBさんの時はEasyEDA限定だったけど、PCBGOGOさんは使用するEDAに制限は無いよ。今回カラーシルク基板として設計した基板はMicrochipさんのSAMD21っていうARMマイコンを搭載可能なArduino UNO互換ボードだよ。カラーシルク基板を作るためには、何かしらの基板が必要だから、何でもとにかく作ってみよう!
KiCad8で基板を設計
2. [KiCad] SVGをエクスポート
基板の設計が完了したら、UV印刷で基板上に印刷される画像を作成するための準備として、基板のアウトラインとパッドやスルーホールのマスク画像をSVGとしてエクスポートするよ。このSVGを使用することで、設計した基板にピッタリな画像を作成することができるよ。
KiCadでSVGをエクスポートするには、メニューからファイル>プロットと選択するよ。
プロット画面で出力フォーマットがSVGになっていることを確認して、含めるレイヤーでEdge.Cutsを選択、すべてのレイヤーでプロットするからF.MaskとF.Silkscreenを選択するよ。最後にプロットボタンを押すと、選択したレイヤーを含んだSVGが作成されるよ。
基板のアウトラインをSVGでプロット
3. [Inkscape] SVGを読み込み、画像作成
先ほど作成したSVGをInkscapeで読み込むよ。ここではInkscapeを使用しているけど、Illustratorのような別のソフトでもOKだよ。InkscapeでSVGを読み込むとレイヤーには複数のグループがあると思うから、まずはそのグループをさらにグループ化しておくことをオススメするよ。
基板のアウトラインを取り込み
読み込んだSVGには基板のアウトラインとパッド、スルーホールのマスク画像が含まれているはずだよ。
新規レイヤーを作成して、基板のアウトラインに合わせて画像を作成してみてね。パッドとスルーホール部分は透明にしておくことが推奨されているよ。
画像を作成していくよ
画像の作成が完了したら、位置合わせ用のマークを入れておくよ。ボクが今回作った基板では4隅にトリムマークを入れておいたよ。この位置合わせ用のマークは必須ではないみたいだから無くても大丈夫かも。もし、必要ならPCBGOGOさんから連絡があると思うよ。
位置合わせ用のトリムマーク
4. 入稿データ準備
画像が作成できたら入稿データを準備するよ。UV印刷用の画像はガーバーデータと一緒にzipファイルに圧縮して提出するよ。zipファイルに含める画像としては印刷用の画像と最終仕上がりの参考画像の2種類を用意するよ。ガーバーデータの出力方法はここでは説明しないから、必要ならKiCadの使い方調べてみてね。
印刷用画像
印刷用の画像は基板のアウトラインやパッド、スルーホールのマスク部分を含めないでPNG画像として出力したよ。今回は1200dpiで出力したよ。
印刷用画像
参考画像
最終の仕上がりが確認できるように基板のアウトラインやパッド、スルーホールのマスク部分を含めてPNG画像として出力したよ。
参考画像
入稿用の画像データのファイル名にルールは無いけど、他のガーバーデータに合わせてTOP面、BOTTOM面が分かるような名前にしておいた方が良いよね。ボクは👇の画像のようなファイル名にしておいたよ。
入稿データ
5. 注文
ガーバーデータと印刷用画像を含めたzipファイルが用意できたら、いよいよ注文だよ。PCBGOGOさんのサイトから注文ページを開いて注文していくよ。注文は通常の基板の注文方法と変わらないけど、 要望欄にUV印刷希望と入力することを忘れないでね! ボクはUV印刷画像のファイル名と位置決め方法も記載しておいたよ。
ボクは今回はPCBGOGOさんのサポートを受けて基板を注文したから、メールで以下のように基板パラメータをお伝えしたよ。みんなはPCBGOGOさんの注文ページから通常の基板の注文と同じように基板のパラメータを選択してね。
板材:FR-4
面付けの種類:1
外形寸法:53.3 x 68.5
枚数:10
面付け方法:面付け無し
FR4-TG:KB6165F TG 150
層数:両面
板厚:1.6mm
最小パターン幅/間隔:6/6mil
最小穴径:0.3mm
レジスト:白
シルク:黒
金端子:なし
表面処理:有鉛はんだ
「はい」は当方の都合によりENIGに変更しても構わないとの意味です。:はい
穴処理:レジストカバー
外層銅箔厚:1 oz
部品実装サービス:なし
メタルマスク製作:なし
追加オプション:なし
ご要望:基板TOP面へのUV印刷をお願い致します。
UV印刷用の画像データ:NANANAUNO-SAMD21-F_uvp.png
UV印刷仕上がり参考画像:NANANAUNO-SAMD21-F_uvp-reference.png
画像データの四隅に位置合わせ用のマーカーを挿入しています。
出来上がった基板を見てみよう
今回の基板は2024年3月22日に注文して本来なら28日に基板の製造が完了する予定だったんだけど、設備トラブルや画像の調整したこともあって少し遅くなってしまったよ。通常は5〜6日で製造できるみたいだよ。
実際にUV printingサービスを使って製造した基板はこちら。
今回制作した基板
JLCPCBさんの時にも書いたんだけど、ボクのUV印刷のイメージって印刷面がインクで盛り上がっているイメージなんだけど、PCBGOGOさんのUV printingはまさにボクのイメージ通りの仕上がりだったよ。印刷面が盛り上がっていて、手で触るとインクの有無がハッキリと分かるよ。👇写真でもインク部分が盛り上がっていることが分かるよね。これは好みだと思うけど、ボクはインク部分が盛り上がっている方がUV印刷の特徴を活かした表現ができるんじゃないかなって思っているよ。(JLCPCBさんのMuiti-color Silkscreenもインクの盛り上がりはあるけど、PCBGOGOさんよりは薄く感じるよ。)
PCBGOGOさんはUVプリンターのスペックは公開されていないけど、解像度と発色もJLCPCBさんと同じぐらい良いと感じたよ。
印刷面は盛り上がり有り
PCBGOGOさんのUV printingサービスを実際に利用してみて、良いと思った点は以下の3点だよ。
- 普段使っているEDAで基板設計できる
- 基板パラメータの融通がきく
- 綺麗
JLCPCBさんのMulti-color SilkscreenサービスはEasyEDAっていうJLCPCBさんのEDAで基板設計することが必須だから、普段使っているソフトが使えないっていうデメリットがあるよね。PCBGOGOさんはKiCadでもFusionでもOKだから、使い慣れたソフトで基板設計できることは一番のメリットだよね。ただ、EasyEDAはパッドやスルーホールに画像が重なっていても自動的に白抜きして処理してくれるから、余計なことを考えなくても済むという点ではEasyEDAの方が良いとも言えるね。ここはホントに好みの問題になってきそうだね。
あと、PCBGOGOさんの良いところは、UV印刷できる基板の種類やレジスト色の選択肢がJLCPCBさんよりも多いってところだね。JLCPCBさんは2024年4月時点では白レジストにしか印刷できないけど、PCBGOGOさんはどのレジスト色でも印刷してくれるみたいだよ。UV印刷の仕組み的にはJLCPCBさんでもどんな基板でも印刷できるはずだけど、製造効率とかを考えて選択肢を絞っているだけだと思うから、将来的にはJLCPCBさんでも印刷対象が広がる可能性は十分あるよ。
今回の基板の製造費用は10枚で4,700円ぐらい。JLCPCBさんが5枚で1,080円ぐらいだったから、JLCPCBさんよりは高いよね。ただ、PCBGOGOさんの方が細かい注文ができそうだから、状況によって使い分けるのが良さそうだね。
もう少し改善してもらいたい点は、ボクは知らなかったんだけど、PCBGOGOさんではUV印刷面のコーティング有無とかも選択できるみたいなんだけど、PCBGOGOさんのサイトを見ただけでは何ができるのか分からないから、出来ることと出来ないことはハッキリと記載しておいてもらえると作れる基板の可能性が広がっていいよね。
PCBGOGOさんの基板製造サービスはこちら👇
参考記事
PCBGOGOさんのUV printingサービスを使って基板を製造された方々の記事が既にあるのでぜひ参考にしてみてね!
kohacraftさん
パスコンパスさん
まとめ
今回はPCBGOGOさんが2024年の3月にサービスを開始したUV printingサービスの概要、要件、注文方法、サービスを実際に使ってカラーシルク基板を作った感想についてまとめたよ。今回もとっても簡単にカラフルでカワイイ基板が作れるってこと分かってもらえたかな?色々な基板メーカーさんで、UV印刷サービスが始まっているから、みんなもこのサービスを使ってカワイイ基板をたくさん作ってみてね!
じゃあ、またね!
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