カワイイ!基板を作ろう!#2 JLCPCB Multi-color Silkscreen
みんな、こんにちは!2023年にJLCPCBさんが中国国内限定で提供を開始したカラーシルク印刷サービス、このサービスが2024年4月にいよいよグローバルで提供が開始されたよ!カラーシルク印刷はフルカラー画像をプリント基板上に印刷できるサービスで、従来のプリント基板では色の表現は限られていたんだけど、このサービスを使うことでより表現豊かなプリント基板を作ることができるよ!
左:従来のプリント基板、右:カラーシルク基板
今回はグローバル向けに提供が開始されたJLCPCBさんのMulti-color Silkscreenサービスを実際に使って、カラーシルク基板を作ってみたから、このサービスの概要やどんな基板を作ることができるのかをまとめてみたよ。
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ボクが2023年に中国で注文したカラーシルク基板のお話もよかったら見てね:
この記事の内容
- JLCPCBさんのMulti-color Silkscreenの概要、要件、注文方法について
- 実際に注文して届いた基板を見てみるよ
対象読者
- カラーシルク印刷サービスに興味がある、作ってみたい
- プリント基板の最新トレンドを知りたい
- カワイイ!基板を作りたい!
Multi-color Silkscreenって?
まずはMulti-color Silkscreenサービスって何?ってお話をするよ。Multi-color Silkscreenサービスは中国の深圳市にある基板製造受託サービスのJLCPCBさんが提供しているサービスの1つで、プリント基板上にフルカラーの画像をUV印刷するサービスだよ。
JLCPCBさんの基板製造サービスはこちら👇
今までのプリント基板
みんなのプリント基板のイメージって緑とか青の板に白い文字だよね。緑とか青い色は、これは基板上のパターンを保護するために塗布されたレジストっていう物質の色だよ。緑、青、赤、黄、紫、白、黒などがあるよ。あとは基板上の部品の場所や識別のために文字が印刷されていると思うけど、これはシルクスクリーン印刷という技術で印刷されているよ。シルクスクリーンの色は白、黒、黄などがあるよ。
UV印刷
今回紹介するJLCPCBさんのMulti-color SilkscreenではUV印刷という技術を使っているよ。UV印刷というのは、UV (ultraviolt=紫外線)で硬化する特殊なインクを使用した印刷技術だよ。印刷方法は紙用のインクジェットプリンターに似ているんだけど、UV印刷では、インクの噴射と同時に紫外線を当てることで瞬時にインクが硬化するようになっているよ。紙用のインクジェットプリンターは紙にしか印刷できないけど、UV印刷は紙以外の色んな材質に印刷することができるよ。
UVプリンターで印刷している様子。青白く光っているのが紫外線だよ。
JLCPCBさんのサービス紹介
ここでは、JCLPCBさんのMulti-color Silkscreenサービスの概要をざっくりとまとめているよ。詳細はJLCPCBさんのページに記載されているから、そちらも参考にしてみてね。
JLCPCBさんのMulti-color Silkscreenサービスは、白色レジストで製造したプリント基板の表面(両面可能)にフルカラーの画像をUV印刷してくれるサービスだよ。このサービスの特徴は以下の通りだよ。
特徴
- リフローに耐えられるUVインク
- EasyEDAで簡単に作れる
- 1200dpiの6色UVプリンター
リフローというのは、プリント基板上に部品を実装するために、クリームはんだを基板上に塗布、部品を配置した後にはんだ付けするためにリフロー炉という機械で加熱する工程だよ。はんだは200度以上の高温で溶かすから、その温度に耐えられるUVインクを使っているってことだね。
EasyEDAというのは、JLCPCBさんが無料で提供している回路設計、基板設計のためのソフトだよ。ブラウザ上でも使用可能で、部品サービスのLCSCの在庫と連携できたり、設計した基板をワンクリックで注文できたり、JLCPCBさんで基板を製造するならとっても便利なEDAだよ。EasyEDAにはStandard版とPro版(どちらも無料)があるんだけど、Multi-color Silkscreenサービスを使用するにはEasyEDAのPro版を使う必要があるよ。
JLCPCBさんのMulti-color Silkscreenサービスを使用するにあたって、通常のプリント基板の製造とは要件が異なるから、以下にまとめているよ。基板設計前に事前に確認してね。
要件
- 2層、4層
- 白レジストのみ
- 銅箔厚 1oz
- 表面処理 ENIG(金メッキ)
- メッキ厚 1u
- Via処理 (Tented, Untented, Plugged)
- シングルPCB/Panel by Customer
基板厚は以前は1.6mmの制限があったけど、今はどの厚みでもOKみたい。ただ、1.6mm以外は値段が高くなるからその点だけは要注意だよ。基板厚が変わるとUVプリンターのヘッド高を調整しないといけないから、そのエンジニアリング費用が追加になるのかな?また、基板の割り付けもできるんだけど、EasyEDA Proの自動割り付け機能はカラーシルクにまだ対応していなくて、割り付けしても1つの基板にしか画像が印刷されないからこちらも要注意だよ。
表面処理のENIGは結構値段が高いんだけど、カラーシルク印刷オプションを選択することで、値段が下がるから、カラーシルク基板は意外と安く作れるよ。これは今だけのサービスなのか、永続的なサービスなのかは不明だよ。
実際に作ってみた
EasyEDAを使用して実際にカラーシルク基板を作って注文してみたから、基板の作成から注文までの手順をまとめているよ。EasyEDAを使用したカラーシルク基板の作り方はJLCPCBさんの説明ページもあるからこちらも参考にしてみてね。
手順
EasyEDAを使用して回路設計、基板設計をして、JLCPCBさんで注文するまでの流れは以下の通りだよ。
1. EasyEDA Proで回路・基板設計(KiCadのデータはインポート可能だよ)
2. PCBの設定でカラーシルクを有効にする(初期でONのはず)
3. 印刷したいPNG/JPG画像貼り付け
4. 注文ボタン押す
5. Advanced OptionsでEasyEDA Multi-color silkscreenを選択
具体的なEasyEDAの操作は以下のページで説明しているから、こちらを参考にしてみてね。リンク先の記事はJLCEDAって記載しているけど、これは中国向けの名前でEasyEDAと全く同じものだよ。
マルチカラーで印刷される部分
JLCPCBさんのMulti-color Silkscreenサービスでマルチカラー印刷される部分は以下の通りだよ。
- 貼り付けた画像
- 部品のシルクスクリーン色
- テキストのシルクスクリーン色
部品のシルクスクリーン色はプロパティから設定可能だよ。
部品のシルクスクリーン色
テキストのシルクスクリーン色もプロパティから設定可能だよ。
テキストのシルクスクリーン色
今回作ったもの
ESP32-S3のモジュールを搭載可能なArduino UNO互換ボードを作ったよ。EasyEDAはカラーシルク用に複数の画像を貼り付けることができるから、パーツごとに画像を作成してEasyEDA上で配置を調整することもできるよ。今回、ボクはInkscapeで1枚の画像を作成して、それをEasyEDAで読み込ませて貼り付けたよ。
今回設計したNANANA UNO ESP32-S3
注文方法
基板の設計が完了した後にMulti-color Silkscreenサービスを注文する方法について説明するよ。Multi-color Silkscreenはガーバーデータにカラーシルク用のデータが含まれていないと注文画面での選択ができないから、EasyEDAから注文する方法が一番簡単だよ。
EasyEDAのOrderメニューからOrder PCBを選択するよ。
Order PCBからワンクリックで注文できるよ
いくつかメッセージが出るから、内容を読んでボタンを押していってね。表面実装する場合の注意事項やデザインルールのチェックをするかどうかを聞かれるよ。最後にJLCPCBさんの基板注文画面が表示されて、自動的にガーバーデータがアップロードされるよ。
注文画面が表示されたら、「要件」で説明した基板の要件に合うようにパラメータを設定して、Advanced OptionsのSilkscreen TechnologyでEasyEDA Multi-color silkscreenを選択するよ。このオプションを選択しないとカラーで印刷されないから注意してね。
このオプションを忘れないでね!
出来上がった基板を見てみよう
今回はJLCPCBさんのお計らいでMulti-color Silkscreenサービスの先行体験リストに入れてもらったから、ボクはサービスの正式開始日よりも少しだけ早く注文ができたよ。ボクの基板は2024年の3月29日に注文して、4月4日に手元に届いたよ。基板の製造に3日、輸送に3日かかったよ。白レジストの基板は通常48時間で製造されるから、カラーシルク基板は通常+1日ぐらいかかるのかな。
実際にMulti-color Silkscreenサービスを使って製造した基板はこちら。
Multi-color Silkscreenサービスで製造された基板
UV印刷ってインクがちょっと盛り上がって印刷されるから、ベタ塗りにならないようにパーツごとに色を付けた方が綺麗に仕上がるんじゃないかとボクは思ってるんだけど、今回は他の基板メーカーさんにもカラーシルクをお願いしていたからJLCPCBさんに注文した基板はあえて背景が黒い画像を使用して基板全体に印刷されるようにしたよ。最初に見た感じの印象はとっても綺麗。プリンターの解像度が1200dpiというだけあって、解像度が高くていい感じだね!黒がメインの画像で全体的に印刷されるのはどうなんだろうって思ったけど、全然悪くないよね。
あと、色も実際に作成した画像に近い色が出ていると感じたよ。EasyEDAで貼り付けるデータはPNG/JPGの画像だけど、どちらもRGBの画像で、印刷時はたぶんCMYKになるから実際の色はもっとくすんだ感じなるのかなって思ったけど、そんなことはなかったよ。CMYK+2色の6色だからこんなに綺麗に印刷されるのかな?
JLCPCBさんのMulti-color Silkscreenサービスを実際に利用してみて、良いと思った点は以下の3点だよ。
- EasyEDAで簡単に作成できる
- 安い
- 綺麗
EasyEDAでしか設計できない制約は逆にデメリットでもあるんだけど、EasyEDAはそれほど操作にクセがある訳でもないから、慣れるとすぐに使えるし、やっぱり簡単にカラーシルク基板を作れるのはとっても良いよね。基板の製造費用は今回は5枚で1018円だったよ。意外と安いよね?
もうちょっと改善して欲しいところがあるとすれば、EasyEDAだけでなくFusionとかKiCadでも作れると嬉しいよね。ただ、これはFusionやKiCadがカラーシルクに対応していないからソフト側の対応が必要になってきそうだね。KiCadのデータはEasyEDAでインポートできるけど、設計のやり方によっては再調整が必要だからその点は考慮が必要だね。ボクが試した限りだと、KiCadでパターンをフィレットした部分はEasyEDAではパターンが切れてしまってたよ。
JLCPCBさんの基板製造サービスはこちら👇
参考記事
JLCPCBさんのMulti-color Silkscreenサービスを使って基板を製造された方々の記事が既にあるのでぜひ参考にしてみてね!
ガジェット大好き!!さん
Lang-shipさんまとめ
今回はJLCPCBさんが2024年の4月にサービスを開始したMulti-color Silkscreenサービスの概要、要件、注文方法、サービスを実際に使ってカラーシルク基板を作った感想についてまとめたよ。とっても簡単にカラフルでカワイイ基板が作れるってこと分かってもらえたかな?このサービスを使ってみんなもカワイイ基板をたくさん作ってみてね!
じゃあ、またね!
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