メンバーの目標づくりを見るときに考えていること
この記事は 目標づくり Advent Calendar 2024 の13日目の記事です。
はじめに
あらためましてナイバンです。
この記事では、メンバーの目標についてのマネジメント側の向き合い事例を書きます。
前職も含め、ちょっとはマネジメントをかじってきたのですが、この数年でようやく自分なりに整理されてきたのが「メンバーの目標設定にどんなアドバイスをするか?」ということです。
そんな折、チームリーダーをやめる(交代する)ことになったのですが、その時の引き継ぎ資料が割とこのアドカレテーマに合っているのかもなーと思ったので、勢いでエントリーすることにした次第です。勢い重視&締め切り駆動執筆です。
概要
図も雰囲気で書いたので少しいびつですが、メンバーの個人目標フォロー時に考えていることは、だいたいこんな感じです。
図:メンバーの個人目標フォロー時に考えていること
目標の考え方
私は、目標は評価のため(だけ)ではなく、組織と各人の成長のため、と考えるようにしています。
目標を評価のためと考えると、「達成可能性の高い、打算的・当てに行った」、ショボい目標になりがちです。その結果、目標達成しても会社や組織やその人自身にどんなゲインがあったか(=できなかったことができるようになった、や、事業成長に貢献したか)についての疑問が残ってしまいかねません。極論、目標が単なるTODOに成り下がってしまいます。
しかし、目標を成長のためと考えると「挑戦的で拡張的」なシビれる目標になりやすく、結果、その目標を達成できずとも成長に寄与貢献したのであれば、十分な成果を得られたと評価しやすくなると考えています。
メンバーの個人目標フォロー時にやったこと
とはいえ、無邪気に「じゃあ来期目標考えてみて」だけでは書けないものではないでしょうか。
自分自身とまわりからの期待やこれまでのフィードバックも含めて、ようやく考え始められるものだと考えています。
ここからざっくりと、やったことを説明していきます。
期末評価のフィードバック
まずは目標と成果をもとに、評価と理由をフィードバックします。
良くなかったことが印象に残りやすいので、良かったことは評価した点としてちゃんとフィードバックします。
フィードバックの最後には個人への期待も込めつつ、「来期はこんなことに取り組んだらもっと良くなるんじゃない?」という観点の提案もします。来期目標を考え始める踏み台にしてほしい希望も込めた、これは一種の種まきです。
WILL-CAN-MUST
WILLをどう扱うか?どうアプローチするか?についてはいろんなアイディアがあります。
以下はとても参考にしました。
そのうえで私はこのように考えます。
確かに、WILLには呪いの一面もありますが、自分自身と深く対峙し、考え抜いてみることはとても大事なことだと考えています。モルトケの「計画することが重要だ、立てた計画はどうでも良い」みたいですが、「WILLを考え抜くことが重要だ、立てたWILLはどうでも良い」みたいな感じです。
このWILLを考え抜くプロセス経ていないと、その先のどんな行動や論理も薄っぺらく感じてしまい、困難に直面したときに自分を鼓舞してくれない目標になりかねないと思うのです。
次期目標を書く前の壁打ち
WILL-CAN-MUSTを説明してもらうディスカッションの場を設けてもらいます。
観点としては、どのくらい自分と向き合ったのかを知る意味で以下を聞くことが多いです。
ディスカッションの観点
- 何をやりたいのか、それはなぜか、
- どんなキャリアを描いているのか、そのために何をやろうとしているのか、
- 自分にどんなSWOTがあると考えているか、それは具体的に何か、
目標の使いかた
コーチングアジャイルチームスにもメタファーの重要性が語られています。
私はいつも、「山登りの話」「メジャーリーガーになりたい話」を引き合いに出します。
いずれも、ちょっと未来の目標像を語らせて、現在地点(足元)を見つめさせて、そのギャップを出してもらう。ギャップをどう埋めていくか、伸ばしていくか、を(当てずっぽうでもいいから)プランを考えさせるために使います。
山登りは、目指したい頂上の方角を見ると、頂上付近にかかるモヤで頂上は良く見えない。自分の足元を見る。自分の装備を見る。そんな装備で大丈夫か?と自問自答する。どんなルートで登るか?どこで休憩するか?そんなことを考えてもらうために使います。
メジャーリーガーになりたい話は、将来メジャーで三冠王になりたいとするなら、今の現在地からどうやればメジャーに行けるのか、どう積み上げれば三冠王になれるのか、という、目標の細分化・スライスを考えてもらう仕掛けとして使います。
目標を考える中で、自分にとってのメジャーとは?三冠王とは?に向き合うことも出てくるでしょう。そこまで考え抜いて出した変更後の山頂地点は、自分にとっても満足度の高いものなのではないでしょうか。もしかすると、途中で別の尾根へのルートが見えてくるかもしれませんね。そんなとき、気の利いたガイドでありたいです。
チームへの期待
個人への期待も大事にしますが、チームへの期待も大事だと考えています。
組織構造的に上位組織のMVVを踏まえて、自分たちにどんな期待(ミッションでもいい)が掛かっているのか、上司との会話のなかで明らかにしておきます。
これはチーム目標のINPUTにもなります。
孤独にならない環境づくり
個人目標をひとりで考えると煮詰まりやすいです。
他の人がどんな目標にしてるのかな?を気軽にチートできる環境の提供もマネジメントの役割かもです。以前のチームでは、雑にスプシで各自の目標を共有できるようにしていました。
個人目標自体は別にオープンであっていい、共有し合っていいと思います。
お互いのミッションや目標を知り合っているからこそ、どこでどうパフォーマンスしたいのかもわかるし、お互いが協力し会える(はず)。
目標立案モブワークをやるのもありです。(こちら参考にさせていただきました!)
ただし、一方通行 & その他の観客にならないような場作りとファシリが重要、とやってみて感じました。
次期目標を考える
これは、ここまでのINPUTを元に、メンバー自分自身と向き合ってもらう時間です。
自己分析、自己評価、キャリアパス、SWOT、イキガイ分析、チーム目標と自分のWillの接続点探し、介在価値探し、など。
なるべくWHYを意識してもらいます。
少々しんどいですが、ここで考え抜くことが、この先に困難に出くわしたときに自分を支えて励ましてくれるはずなので、がんばってもらいます。
本人のやりたいことヒアリング&壁打ち&フィードバック
ここで、書いてきたものを本人に説明してもらいます。
書いてくれた目標が、日本語的におかしいこともあるし、行間がなさすぎて意図を汲みきれないことがあります。そういう部分を書いた本人にしゃべってもらうことで自然とセルフレビューになり、気付きが生まれることもあります。
また、私が聞いた内容を言い換えて伝え直したり、おうむ返しするだけでも「いや本当はそういうことやりたいんじゃないんですよねぇー」と自分自身で気づくこともあります。そこをひとつずつ掘り下げる地道な作業です。
日頃の1on1でここまで向き合えていればいいんですが、お互いガッツリ考える時間も必要だよね、と自分に言い訳しています。。。
場合によっては、書いてきたものを一旦ヨコに置き、「そもそも、どんなことをやりたくてこの会社にいるんだっけ?」といった、根源的な部分からヒアリングし直す根気も必要になることもあります。
その際に何度もWill に立ち戻ったりすることもあります。
フィードバックも、等級、インパクト、影響範囲、価値、具体性、あたりを意識して行います。
まとめ
この記事では、メンバーの個人目標立案時にマネジメント側として考えていることについて、
特に、
- 成長のための目標
- フィードバック
- 期待
- WILL
- メタファー(山登り、メジャーリーガー)
- 目標共有
- 壁打ち
について、書いてみました。
内容は私のここ数年の実践知ではありますが、いかんせん我流です。
皆さんの何らかの参考になれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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