🛠️

イネーブリングチーム運営から半年─取り組みの進展と見えてきた課題・勘所

に公開

こんにちは、マイベストでイネーブリングチームを運営している渡邊です。

半年前に こちらの記事 を公開し、開発組織全体の生産性向上を目的としたイネーブリング的な取り組みを始めた背景や、初期フェーズでの実践内容を紹介しました。

それから半年が経過し、取り組みは順調に拡大・深化しています。一方で、組織に浸透させていく中での課題も多くありました。今回は、半年の活動をふりかえりながら、得られた学びと活動を通じて直面した課題を中心に共有します。

半年前のおさらい

前回記事では、組織やサービスが拡大するにつれてチームの自律性が失われてしまっているという課題感に対して、イネーブリングチームを立ち上げ、以下のようなアプローチを通じて、ストリームアラインドチーム(弊社ではミッションチームと呼んでおり、以下ミッションチームとさせていただきます)を支援していく方針を示しました。

  • 開発課題の収集と管理
  • 専門別のイネーブルメントの動き方の認識合わせ
  • ミッション業務への観察的コラボレーション

支援対象は特定の技術スタックに限らず、フロントエンド、バックエンド、SRE、QAなど、チーム横断的に展開しています。

この半年で取り組んだこと

✅ 開発課題の収集と管理

開発課題に対して開発メンバーの定性・定量のデータを収集し、現在進行形でイネーブリングチームが主体となって改善を進めています。

定期的なアンケート収集から課題抽出・実行までのサイクルを構築できたため、今後は小さなことでも気軽に投稿してもらえるよう投稿ハードルを下げるとともに、実現実感をどのように高めるかを検討・運用していく予定です。

✅ イネーブルメントの動き方の認識合わせ

前回の言語化に加え、3ヶ月後には領域ごとにテーマに沿った目標を設定し、行動と評価をセットで運用する体制へと移行しました。
これにより、中長期的な視点で継続的に取り組むべき課題に対し、計画の立案と進捗の可視化が可能になりました。


技術領域ごとに、To-Be像を言語化してオフサイトで共有

これによって、各技術領域ごとにサポートすべき開発者体験の方向性を言語化し、その方向性に沿った施策を中長期的に進めるサイクルを確立できました。
現在は担当者とのコミュニケーションを通じて方向性をブラッシュアップしながら、イネーブリングチームの関わり方を調整しています。

✅ ミッション業務への観察的コラボレーション

ミッションチームから最もニーズがあったのはこの関わり方でしたが、最近では各チームのニーズが課題ベースに変化してきたことで、伴走型での支援から、課題解決型の支援→知識獲得・仕組み整備のサポートになる場面が増え、イネーブルメントチームとして以前よりも効果的に動けるようになってきました。以下は一例です

  • 新導入技術の勉強会
  • コードレビューラベルルールの再定義
  • セキュアコーディング方針策定
  • 開発業務のAI活用のための支援・ルール整備

活動を通じて直面した課題

以下では、イネーブリングチームが活動を進める中で浮き彫りになった課題と、現在トライしている対策について振り返ります。

❗️ イネーブリングが“便利屋”になってしまう懸念

カバーすることが難しかった課題や開発リードタイムを大きく阻害する問題を解決するための体制を作れた反面、目先の課題が想定より多く、イネーブリングチームの本来の目的に沿った活動に時間を取りづらかったことがありました。これに関しては、改めて役割の期待値を言語化したうえでメンバーの目標と週次の1on1での方向性を確認する運用を導入しました。

❗️ 属人化と運営の継続性リスク

横断的に課題を把握しているイネーブリングチームのメンバーが感じている問題を、ミッションチームへどのように共有し、適切なサポートを得ながら解決していくかは依然として難しいテーマです。
見えているものが異なるため、課題への共感度や主体的な関わり方・温度感にギャップが生じやすい点も課題となっています。

このコアメンバーのスキルや熱量に依存しがちな状況を打破するため、共通課題を興味のあるメンバーが継続的に議論できるようなプロジェクトを試験導入しました。

今後のチャレンジ

次の半年では、開発イネーブルメント活動を適切な期待値をもって組織に定着させるために、以下に取り組んでいく予定です。

  • 開発イネーブルメントとの関わり方のモデルイメージの作成と運用
  • 改善活動を属人化させないための継続可能な運営体制づくり
  • イネーブリング活動の評価制度への接続

さいごに

振り返ってみると、チーム立ち上げから半年で得た最大の気づきは、仕組みと期待値を言語化し、継続的に共有し続けることの大切さでした。
伴走支援を「自走できる仕組み」へと橋渡しする流れも見えてきた今、次の半年はこの土台を育て、開発者が自律的にワクワクしながら改善を続けられる文化を、さらに根づかせていきたいと考えています。

イネーブリング活動は、地味で即効性が見えにくい分、「続けること」「記録して振り返ること」が何より大切だと実感しており、半年運営して得た知見を、これからも共有していけたらと思います。
ご興味ある方や話をしてみたい方は、XのフォローやDMお待ちしております!

https://twitter.com/miraoto

We're hiring!

このような環境に興味持っていただけるようでしたらこちらもぜひ!

https://www.notion.so/mybestcom/mybest-information-for-Engineers-8beadd9c91ef4dc2b21171d48a4b0c49

Discussion