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AIを活用してPMP資格を取得した話

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はじめに

この投稿では、2025年2月から5月の期間で、AIを活用してPMP(Project Management Professional)資格試験に向けて勉強した経験を共有します。

自己紹介

マネーフォワードのAI推進室AI開発部でマネージャーをしている幸野です。普段は内製AIシステムや業務効率化システムの開発に携わっています。マネフォの開発者ブログへ投稿するのは3年ぶりです。
前回の記事: AI推進部における読書会の紹介 - Money Forward Developers Blog

動機

PMP資格試験を受けた動機

恥ずかしい話ですが、マネージャーとなってから軽くPMBOKを学ぶ程度で、プロジェクトマネジメントを本格的に学ぶことはありませんでした。昨年、PMBOKに基づいたアドバイスを上長より受け、効果を認識する機会がありました。それがきっかけとなり、プロジェクトマネジメントについて体系的に学び、その学びを証明する手段としてPMP資格の取得を決めました。

AI活用の動機

単純に、「日々アップデートされるAI活用術を業務以外で自由に試してみたい」というのが動機です。さらに、私は幼児二人の子育てをしており勉強時間を十分に確保できないため、隙間時間を活用し効率よく勉強することが鍵となります。この効率化にAIを活かしたいと考えました。

やったこと

1. Udemyと参考書で学習

PMP資格試験を受験するにはPMIが認定するコースの受講が必須です。更に、PMP資格試験参考書(紙版)も購入し、受講と読破をがんばります。ここにAI活用の余地はあまりありません。根気です。通勤時間や寝る前の時間を利用しました。
ちなみに、学習に利用する本は電子書籍ではなく紙で買う派です。

2. 自分専用問題集復習ツールをAIで開発

コース受講と参考書読破を終えたあとは、ひたすら想定問題を解きます。約600問解きました。
このフェーズでは、想定問題で間違えた問題の復習量が合格に向けた鍵です。復習の効率化にAIを活用していきます。隙間時間に1問でも復習することが重要であり、そのためには手軽さが重要だと考えました。わざわざ参考書を開いて復習する余裕はありません。
そこで、スマートフォンで利用できるツールを自作することにしました。ちょうどVibe Codingを試してみたかったこともあり、ClaudeとClineを使いツール開発に取り組みました。

問題データの準備

ツール開発の前に、復習対象となる問題を収集する必要があります。一度間違えた問題は紙面に❌マークをつけています。以下の方法で収集することにしました。

  • ❌マークがついている問題の写真をスマホで撮影する
  • Claudeに問題画像を読み込ませ、「問題番号、問題文、選択肢」をcsv形式で出力させる
  • 解答・解説ページも写真を撮影する
  • Claudeに解答・解説画像を読み込ませ、「問題番号、解答、解説文」をcsv形式で出力させる
  • 出力された二つのcsvファイルを統合(AIでは上手くいかなかったのでPythonで処理)
  • 統合されたCSVファイルのカラムは「問題番号、問題文、選択肢、解答、解説文」となる
  • 統合されたcsvファイルより各問題情報を抽出し、Claudeに読み込ませて解説文を補う

問題集の解説は十分でないと感じていたので、AIを使って解説文の質を上げられるのが一番役立ったプロセスでした。

解答生成プロンプト:

以下の問題はPMP(Project Management Professional)試験の想定問題です。
以下の問題について、プロジェクトマネジメントの観点から詳細な解説を生成してください。
問題番号: {question_number}
問題文: {question_text}
選択肢: {choices}
正解: {correct_answer}
解説は明確で教育的な内容とし、なぜその答えが正解なのかを400字以内の日本語で詳しく説明してください。

復習ツールの開発

ここから開発に入ります。Vibe Codingを体感すべく、できるだけコードを書かない制約を自らに課します。2025年3月当時に契約していたのがClaude Proのみだったので、Claudeのデスクトップアプリ(Claude 3.7 Sonnet)を利用します。MCPを使って直接ファイルを編集できる状態です。

最初に投げたプロンプト:

これは問題集で不正解となった問題を集めたリストです。
効率よく復習するために、問題復習ツールケーションを作成してください。
スマートフォンアプリではなく、ブラウザでアクセス可能な公開アプリケーションの形式とします。

適当なプロンプトにも関わらず、ほぼ期待した機能とUIを備えたツールが生成され感動したことを覚えています。初手で良い方向性だったので、これをベースに細かく改善指示を与え、2時間ほどで無事完成しました。


実際に作成した復習ツール(設問はChatGPTで作成したダミーデータ)

AIと要件整理を行い、仕様書を作ってから開発に着手する流れが主流だと思いますが、雑に依頼しても期待通りのものができあがりました。(運が良かっただけ説もある)
動くツールが完成したので、次はデプロイに進みます。ホスティング環境の選定もClaudeへ依頼します。

ホスティング環境選定のプロンプト:

添付のTypeScriptコードでは、問題を表示するためにcsvファイルを読み込んでいます。
csvファイルを伴ってデプロイするためにはどのような環境が最適ですか?
また、最適な環境におけるデプロイ方法を教えてください。

Firebase, Vercel, Netlifyの3つがお薦めされ、Netlifyを選択します。これは、単純にNetlifyを使ったことがなく試してみたいためです。次はデプロイ作業に移ります。Netlifyでの設定とデプロイは非常にシンプルであることに加え、迷ったことをClaudeへ質問すると的確に回答してくれたので簡単でした。

デプロイが完了しブラウザ経由でアクセスできるようになれば、あとはコツコツ復習するだけです。通勤電車の中や、子どもと一緒にアンパンマンを観ている時など隙間時間で勉強します。

デバッグ

復習ツールを利用しているとバグが見つかるので、これもAIで解消していきます。デバッグにはClineを利用することにしました。Cursorは業務で使う機会があるため、未経験のClineを使ってみたかったのが理由です。利用するモデルはGemini 2.5 pro expやClaude 3.7 Sonnet、GPT-4oなど、タスクごとに切り替えながら色々試します。
このあたりでようやくVibe Codingの勘所を掴んできました。ここまでまるっとAIにコーディングを任せていたものの、同じエラーを解消できずスタックしてしまったので、少し私が開発に介入します。といっても、フロントエンドは素人なので、ファイル分割の指示をしてデバッグしやすくしたり、現状の仕様をまとめ、私が示した方向性に合う改善計画をAIに立ててもらう程度です。こうした改善により、デバッグの進捗が出るようになりました。

3. 疑問点はAIに即座に質問

復習ツールで勉強する際、解説を読んでも理解できなかったり、知らない用語が出てくるケースがあります。そんな時は画面のスクリーンショットを撮り、共有ボタンを押してスマホのAIアプリ(ClaudeやChatGPTなど)へ飛ばすことで瞬時にAIへ質問できます。このシームレスな流れにより、リズムを落とすことなく勉強を継続できました。

最後に

AI製復習ツールとAIを活用した疑問点解消に取り組んだ結果、3ヶ月の勉強で無事PMP資格を得ることができました。限られた時間の中で学習進捗を出し、無事資格取得という成果に繋げた経験は大きな自信となりました。
この取り組みは2025年3月に行なったものであり、公開時点(2025年5月29日)では、ClaudeをGitHubレポジトリへインストールし、IssueベースでClaudeに改善してもらっています。

https://zenn.dev/xingye/articles/309f0351244900


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