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心理的安全性のアンチパターン

2022/05/01に公開

1.目的

前回「1on1での心理的安全性の高め方」を記載いたしましたので、次は逆に心理的安全性を下げる要素(アンチパターン)について記載したいと思います。

2.日本最大のアンチパターン

日本で最も心理的安全性を下げる要素となっているのは、**「空気を読む」**文化だと思います。空気を読むことによって状況にあった発言を行うので、一見和やかで風通しの良い関係のように見えることがあります。

しかし、場が悪くならないように**「自己表現を行わない」**ことが多いので、以下のような会話となることが多いです。

  • 反対意見が出ずに、肯定的な意見が多い
  • 特定の人物のみがしゃべっている
  • 意見の衝突や争いが起きない

そのため、空気を読むことを強制させられている文化の場合、**表面上はうまくいっているように見えて、退職者が多かったり、売り上げが減少していたりしています。**また、反対意見が出ないので間違ったことを行っていても、誰も間違っているといえず、リスクが顕在化してきてはじめて気付くことがほとんどです。

3.その他のアンチパターン

その他話を行っているのかで「心理的安全性が下がった」、と感じた事項を記載します。

  • 嘘をつく

助けに行くよ!といっていかない。前回話していたことと今回話すことで内容が変わる。
⇒この人は信頼できない、と思われます。また、ちょっとした嘘でも信頼関係にひびが入ります。

  • 忙しいを言い訳にする

相手が忙しいというと叱り、自分が忙しいというと納得しろ、という
⇒自分が一番大事なんだな、と思われます。

  • 何も教えない

やることはすべて背中で覚えろ!(でも背中を見せない)。覚えるために動けないヤツが悪い。自主性を尊重するという名の放置。
⇒この人に聞いても無駄なんだな、と思われ何も質問が来なくなります。

  • 私の先回りをしろ

私の言葉を読んで行動しろ、できないは許さない!
⇒精度100%の未来予知をしろ!と言っていることと同じです。上記の「空気を読む」と同様です。

  • 理想を押し付ける

相手の抱えている問題ではなく、自分の理想論で話をする。
俺の理想通りになぜ動かない!できない原因は何か!
⇒相手の問題を自分の問題にすり替えています。この人話を聞いてくれないんだ、と思われます。

  • 相手の答えに対し、WhyやHowで聞き返す

なぜできないんだ!どうしてやらなかった!
⇒相手を責めている印象を与えます。

  • 相手とのコミュニケーションに時間を空ける

1回やればOK。1か月以上話をしない。
⇒見捨てられたんだな、と思われます。

  • 会社の文化に合わないやつはやめろ

自分から文化を変えるのではなく、相手が文化に合わせるよう強要する。
⇒「空気を読む」人だけ残っていき、本当にいい反論をしてくれる人が辞めていきます。

  • 相手からの報告について文句をつける

なぜそれを言わない!これを報告するのは常識だろう!
それを報告しろ、と事前に申告しない場合がほとんど。後出しジャンケンで報告内容を要求する。
⇒何を言っても怒られるんだな、と思われ、次第に怒っても「すいません」しか返答が返ってこなくなります。

  • 緘口令(かんこんれい)を敷く

マイナスの意見はマイナスを誘うといい、ネガティブな発言をさせなくする。愚痴を封じる。
⇒問題が発生しても情報を共有しなくなります。問題・愚痴=ネガティブな内容なので。

  • 相手の意見を最後まで聞かない

途中で遮り、こちらの意見を押し通す。もしくは速いペースで話しかける
⇒話を聞いてくれないんだな、と思われ相談や提案がなくなります。

  • 信頼関係を築くように強要する

信頼は下から上にあげるもので、上から下におろすものではない。
⇒逆に相手の警戒心が上がります。信頼は自分から築かないといけません。

  • レッテルをはる

一度失敗すると何度でもその失敗を責める。飲み会のたびにその失敗の話をされる。
⇒話するたびに失敗を思い出させて責めてくるので、次第に会話がなくなります。

4.心的安全性が低下している場合に起きること

私がこれまでの現場を見ていた限り、心理的安全性の低下したチームは以下のようなことが起きています。

  • ほとんど役職者(もしくは特定の人)のみがしゃべっている
  • 何か質問はありますか?といっても誰も質問しない
  • 質問がある場合、会議後に別の人に聞きに行く
  • 意見がほしい、といっても誰も意見を言わない。もしくはいい意見だけ出る
  • 1on1をしても、しゃべっているのは自分
  • ある人と別の人がヒアリングに行くと、全く違う話が行われる
  • 上司抜きの飲み会が最も盛り上がる

5.まとめ

いかがでしょうか?
もし上記アンチパターンのどれか1つでも行っていた場合、チーム内の心理的安全性が低下している可能性が高いです。また、入社初日に上記を行ってしまった場合、今後心理的安全性を高めるのに大変苦労します。一度失った信頼はなかなか元には戻りません。

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