技術書典17に出展した振り返り
技術書典17にオンライン出展
技術書典17にサークルとしてオンライン参加した。
前回(技術書典16)のときのまとめはこちら。
前回は定性的な振り返りだったので、今回は定量的な振り返りをしてみる。
自分用だが、他のサークル参加者さんや、将来のサークル参加者さんの参考になるかもしれないので、Zenn記事にした。
頒布内容
技術書典17の2024/11/2~2024/11/17の期間中、次の2種類を頒布した。
- 既刊『日本語プログラミングでGo ドメイン駆動設計に入門してみた』
- 新刊『AHAスタックで作るTODOアプリ』
タイトルが長いので、以下、この記事では略称で表記する。
- 既刊⇒日本Go本
- 新刊⇒AHAスタック本
頒布内容を表にまとめた
頒布物略称 | 内容 | ページ数 |
---|---|---|
日本Go本 | 日本語でGo言語でDDDする本 | 112 |
AHAスタック本 | AHAスタックでTODOアプリを作る本 | 72 |
結果と考察
結果
前回(技術書典16)との違いを中心に結果を記載する。
前回(技術書典16)ではオフライン出展で、今回(技術書典17)はオンライン出展だった。
個人的な感想
カタカナ1文字違いでぱっと見の違いが頭に入ってこないので、今後「現地出展あり」と「ネットのみ出展」など、公式の呼び方が最適化されると嬉しい。
わかりやすさのために、お品書きを書くときは、たとえば絵文字アイコンを添えて 補足するなど工夫が必要かも。
🏃オフライン参加
🌐オンライン参加
- 前回(技術書典16)
- オフライン会場での直接頒布あり(1日だけ)
- オンラインマーケットでネット購入も可能
- 今回(技術書典17)
- オンラインマーケットでネット購入のみ
頒布価格
頒布物略称 | 電子 | 電子+紙 | 電子+紙(会場) |
---|---|---|---|
日本Go本 | 1,000 円 | 1,200 円 | 1,000 円 |
AHAスタック本 | 500 円 | 800 円 | - |
前回会期中の頒布数
頒布物略称 | 電子 | 電子+紙 | 電子+紙(会場) | 合計 |
---|---|---|---|---|
日本Go本 | 23 | 22 | 25 | 70 |
前回会期終了後~今回開始前の頒布数
頒布物略称 | 電子 | 電子+紙 | 合計 |
---|---|---|---|
日本Go本 | 5 | 1 | 6 |
今回の頒布数
頒布物略称 | 電子 | 電子+紙 | 合計 |
---|---|---|---|
日本Go本 | 3 | 2 | 5 |
AHAスタック本 | 6 | 10 | 16 |
🎉日本Go本の実売累計80部突破🎉
グラフにするとわかりやすい
前回(技術書典16)のときのツイート。
今回(技術書典17)はツイートしてないが、グラフにするとこうなった。
考察
手工業品なので投入した市場に対してバラツキが大きい。
運営さんも頒布物のことを「作品」と表現することがあり、同人誌は工業製品のように理詰めで売り買いするものではないと考えられる。
個人的にも、著者さん(作者さん)の熱狂した技術論が欲しいと思う。
著書と作品の違い
論説や図解を中心に構成され、客観的事実の興味深さを読者に伝える場合、著書と呼ばれる。
内容に創作(フィクション)を含み、世界観やキャラクターの主観的な面白さを読者に伝えたい場合、作品と呼ばれる。
一般的には、技術書は著書で、技術書を執筆した人は著者である。
他方、小説は作品で、小説を執筆した人は作者である(小説家とも呼ばれる)。
技術同人誌は技術書でありながら、著作者の作風・思想が出やすいため、著書と作品との中間的な形態だと思われる。
構成や文体、図表の使い方は表現の工夫であり、フィクションではないが、ある種の作品として捉えることもできる。
それでも技術書や技術をテーマにしたエッセイ等の体裁を取る場合、著者と名乗るサークルさんがほとんどではないか。
推測を含んでいるが、次のことが言えそう。
- 次の期間に購入数が増加しやすい
- オフライン会場の直接頒布
- 開催直後の数日
- 閉会直前
- オンラインマーケットとSNSでの交流もよいが、オフライン会場での購入者さんとの会話が楽しい
- 前回はサークル参加して売る側で、今回は一般参加して買う側で回った
- 作家性(今後の方向性)が出てきた
- 日本Go本:日本語と英語。世界は英語。ここは日本。日本語を取る!
- AHAスタック本:HTMLとJSON。世界はJSON。ここはインターネット老人会。HTMLを取る!
- 売れることを勝ちと見るなら
- 負けである
- 内容大事
- 真面目に分析するなら二番煎じ、三番煎じなのがよくなかった?
- あるいはReact一強な時代に逆張りしているように見えてしまった可能性はある
- React勢:AHAスタックまで降りてこない?
- jQuery勢:まだフロントエンドフレームワークに移行しない?
- 個人の感想であるが、Angular→React→Vue.js→Svelteと小回りの効く形で新しいフレームワークが登場しているので、AHAスタックは次の正統になりえる
- jQueryはガリガリ現役で書かれているので、その人達が何かのきっかけで次の移行先を探したときに、ReactよりかはAHAスタックのほうが学習コストの小ささ、とっつきやすさはあると考えている
- あるいはReact一強な時代に逆張りしているように見えてしまった可能性はある
- フロントエンドの情報はQiita/Zenn等でも仕入れられる
- 無料でも手に入る情報は課金されにくい?
- 実際、初心者に近い筆者としても参考情報を統合してAHAスタック本の形にできた
- 普段から情報発信して地道にファンを増やすしかない
- 題材として「初心者向け」「入門」を組み合わせると需要が低い可能性
- フロントエンド熟練者は、環境構築や興味のある技術について、すでに試している?
- 自力で動かせるから、購入する必要がない?
- 構成をもっと工夫できた
- 目次を読むと改善の余地があるとわかる
- 第三者に推敲の依頼も出せるとよかった
- 真面目に分析するなら二番煎じ、三番煎じなのがよくなかった?
- 市場の予測大事
- 合同本のように雑多ジャンルの方が訴求範囲は広がりそう
- Go言語だけ、htmxだけなどよりも、興味を持たれる確率は上がる
- もちろん、ニッチに攻めるのもいい(自分が好きなことを書こう)
- 日頃得たTipsはZennなどで発信して、ある程度整理できたことを本にするとよさそう
- 合同本のように雑多ジャンルの方が訴求範囲は広がりそう
- オフライン会場で直接頒布し、1部1,000円の100部を1回で売り切る戦略がよさそう
- そういうテーマと内容にしなさいね、自分
- 印刷代についてはこの記事に記載しなかったが、原価の面では、早期入稿で「早割」し、100部以上刷ったほうがいい
- テーマ選定が大事で、万が一、市場に受け入れられなくても、半年~1年は売れる情報でないと大きいロットで刷れない
- AIサービスの具体的な操作手順なんかは「足が早すぎ」て在庫リスクが高い
- 半年後には操作画面の見た目からして変化してしまうだろう
- 表紙大事
- 会期終了後にサークル味噌とんトロ定食の表紙の作り方、考え方。を読んだ
- テキストでもアイコンでもいいから「内容が一目でわかる」表紙にしたい
- 日本Go本は正解だった
- Gopherくん、かわいい
- AHAスタックを表す表紙ってなんだ……?
- ふなっしーみたいに非公式キャラを立ち上げる……?
- タイトルテキストを工夫?
- 関係する技術要素をロゴで表せればいいが、公式ロゴは商品宣伝に使えないこともあるので、ライセンスをよく確認しないといけない
- 会期終了後にサークル味噌とんトロ定食の表紙の作り方、考え方。を読んだ
- 宣伝大事
- 宣伝はどれだけしても飽和することがない
- 少なくとも個人や零細企業の宣伝力では
- 「いいものを作れば売れる」は幻想
- 「いいものを作ったら宣伝する」そうしたら売れる
- 人様にたくさん買って頂く前に「知り合いに買ってもらうのが商売の入口であり基本」と家族に指摘されるなどした……
- BOOTHでは技術書典タグで初速の売り上げに応じて特集が組まれたりする(知らんかった)
- BOOTHに流すなら、早期にある程度の部数を流さないと宣伝効果がない
- 宣伝はどれだけしても飽和することがない
- 情熱が足らんかった
- 日本Go本のテーマは10年以上頭の片隅に居続けた
- 荒削りだけど、完全燃焼させた
- もちろん、もっと改善できることや「今だったらこう書く」みたいな成長はある
- 今回、執筆で魂を燃やせたのか
- この点は自省したい
- 日本Go本のテーマは10年以上頭の片隅に居続けた
- 内容大事
- 負けである
まとめ
- 前回オフライン会場で頒布し、今回オンラインマーケットのみで頒布した
- 次回、100部刷って完売させたい
- 必要なこと
- 内容と品質
- 表紙と宣伝
- 情熱と狂気
- 必要なこと
頒布物について
色々と書いたが、筆者としては完成した新刊を自分で読み返してみて「表紙にうさぎが居て(なぜか自分に深く刺さる)、本文に最近ハマったAHAスタックが書かれてて(なぜか自分に深く刺さる)、あとがきまである(なぜか自分に深く刺さる)」ので、執筆してよかったと思っている。
興味のある方はご購入をどうぞ。
技術書典のオンラインマーケット
BOOTHでも同じものを頒布中
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