Cosenseのススメ 序論
Cosenseとは
Helpfeel Cosenseというプロダクトがある。
私はCosenseが好きだ。しかししばらくの間、Cosenseの何がよいのか、うまく言葉で表現できずにいた。本シリーズでは、Cosenseのよさについて共有したい。
具体的な話は次回、Cosenseのススメ ブラケティングとは何かの中で扱う。本記事は、その前振りである。ただただ、私はCosenseが好きということを伝えられたらと思う。
要約
- 新しいことを学ぶのは難しいが楽しい
- Cosenseは学びのための優れた道具(学びの工学装置)
世界は表現で編まれている
世界は表現で編まれている。生まれた瞬間から、現実はすべてそこにある。しかしまだ世界にはトン(刺激)とツー(無刺激)しかなく、表現は泣くと眠るしかない。すぐに笑うが分化する。快と不快が分化し、光は色彩に分化し、音は意味と結びつき、表現の中に表現が生まれていく。人は現実を学び、世界は豊かさを増していく。
愛は創造性により培われる。こんな話を聞いたことがないだろうか。
ある子供が、他の子が作った積み木を崩してしまう。何度注意しても、また繰り返す。そのため、その子は嫌な子として孤立しつつある。
ある日、先生がその子と一緒にイースターの卵の飾りを作った。先生はその卵を褒めた。その子はそのときは憎まれ口を叩いたが、卵を大事に飾っていた。
後日、その子はまた他の子の積み木を崩してしまった。しかしその子は平然としている。そこで先生はその子の卵を持ってきて、目の前でたたき壊してしまった。以来、その子は他の子の作ったものを尊重するようになった。
私としては、この話には納得できない部分がある。そういう部分は、創作につきものの、誇張や装飾、あるいはご都合だと思うことにしている。一方で、とある現実をうまく捉えてもいると思う。第一に、人は自ら創造したものに愛着を持つ。第二に、人は自分ごとを介してしか体験できない。第三に、体験を共有できないと言葉は無力である。
世界は表現で編まれている。生きている限り、現実からの要請により、世界は複雑さを増していく。望むと望まざるとに関わらずだ。それに対して受け身でいることは可能である。しかし受け身は、消極性は、生まれゆくものへの憎しみに繋がる。正確には、はじめは無なのである。しかしポジティブで満たしていない限り、必ず何かのきっかけでネガティブが入り込む。これに対抗する最も単純な方法がある。先に愛[1]で満たすのだ。そして愛で満たすための一つの確実な方法は、主体的にその創造に関与することだ。
創造性は愛を育み、愛は幸福につながる。あなたの世界をあなたがどのような表現で編んでゆくのかは、常に開かれている。いまだ見ぬ現実を自らの世界に取り込む活動が学びである。そこには本質的に挑戦が含まれている。
道具と没頭
フロー理論については、詳細な説明は省いてもよいだろうか。参考URLだけ示しておこう。
さて、どのような体験を介せば、あなたにこれが伝わるだろう。騒がしい休み時間の教室より、静かな図書館の方が勉強に集中できるだろうか。初対面の年の離れた相手より、友達とのおしゃべりの方が時間を忘れやすいだろうか。あるいは、たびたび一時停止して、単語を辞書で調べないといけない外国語字幕の映画より、親しみのある母国語音声の方が物語の世界に入りやすいだろうか。でこぼこの山道より、陸上競技場のグラウンドの方が走りやすいだろうか。没入は、ノイズがあると難しくなる。フローとは挑戦に対する没頭であるから、挑戦以外の本質でない要素をなくすことは、フローに入る助けとなる。
本質でない要素を減らす方法はいくつかある。一つは、慣れである。外国語を繰り返し使えば単語や言い回しを覚えていく。基本的な要素に習熟すると、本質に集中しやすくなるのだ。もう一つは環境を整えること。勉強のために図書館へ行く。外国語の字幕をあらかじめ翻訳しておく。いずれも没入のための準備だ。私がこれらと同じくらい大切だと思うことがある。道具を選ぶことである。
道具と行為には深い関係がある。人は紙をちぎれても、鋭く切断することはできない。はさみやカッターがそれを可能にする。ちぎることと、はさみで切ることは、結果は似ているが行為は全くの別物である。そこには別の習熟がある。
同じ結果を求めても、やり方、つまり使う道具で難易度や工程数に違いがある。手書きとタイプライターは異なる体験を生む。思考実験として、1文字打つたびにランダムに配置の変わるキーボードを考えてみよう。文章を書くプロセスに、文字を探すという工程が加わる。本質は生まれつつある文章のなかにある。1文字1文字、ランダムな並びから文字を探す、という工程は、それとは無関係だ。これは認知負荷の高いノイズになる。おそらく、相当の練習を積んでも、この道具で執筆に没入することはできないだろう[2]。
ノイズとなる要素を排除する。習熟が可能なようにデザインする。よい道具はドメインの知恵と人間工学に基づいている。体格に合わない三輪車では風になれない。
あなたは没入のための環境を整えることができる。想像して欲しい。挑戦のための事前準備を完璧に整えた。邪魔の入らない時間と空間。良く設計されていて使い慣れた道具。体と心の調子。すべて良好である。あなたは、またはあなたたちは、作業を開始する。時間の流れが、いつもと違う感じになる。あなたはフローに入る。
そうして、あなたの世界はまた一つ成長する。挑戦を経て、新しい体験の表現が編みこまれる。それは必ずしも自然言語ではなく、色やにおい、または体のうずうずする感じに似ているかもしれない。どのような表現であれ、それをあなたが体験したことは事実である。大切なのは、その体験を、あなた自身が導いたことだ。あなたは準備をした。そして挑戦した。成功にせよ、失敗にせよ、成果を得た。あなたが為したことだ。それは自信になる。あなたはあなたの世界の中で、その体験を自然と愛せるだろう。それこそが幸福だ。幸福というラベルが気に食わないなら、他のラベルを使って表現しても構わない。これらの体験を、あなたと共有したいのだ。
Cosenseは学びの工学装置
ようやく鍵となる言葉が揃った。表現、学び、没頭、道具、創造、愛である。今こそ伝えたい。Cosenseは、学びの工学装置だ。私が私の、そして私達の世界を創造するために、すなわち没頭し、表現し、愛するために、私が現在知り得る中で最高の道具である。
次回は、より解像度を上げて、Cosenseの機能について話す。この喜びを共有しよう。
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