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Azure Premium SSD v1 を v2 にしてコスト適正化

に公開

はじめに

以前はそれなりに制限があった Premium SSD v2 ですが、少なくとも Japan East では、DataDisk として普通に利用できる状況かと感じているので、既存の Premium SSD v1 を v2 に置き換えてコスト適正化しよう、という記事です。

あたりをやっていきます。

今も残る制限

2025/11/01 時点で制限となっている事項は、ドキュメントに以下のとおり記載があります。

  • Premium SSD v2 ディスクは、OS ディスクまたは Azure Compute Gallery では使用できません。
  • 可用性ゾーンをサポートしているリージョンの場合、Premium SSD v2 ディスクはゾーン VM にのみアタッチできます。 新しい VM を作成するときは、Premium SSD v2 ディスクを構成に追加する前に、必要な可用性ゾーンを指定します。
  • Premium SSD v2 では、ホスト キャッシュはサポートされていません。

Azure Backup や Azure Site Recovery が利用できるようになるなどの制限が緩和され、利用できる場面は結構増えているのではないかと思います。

Premium SSD v2 は Japan East でも Japan West でも利用可能なのですが、 Japan West では 1 つの可用性ゾーンにのみ対応している状況です ( 2025/11/01 時点 )  。 → 補足

Premium SSD v1 を v2 へ変更してみる

既存の Premium SSD を v2 に変更してみたいと思います。
Azure Resource Graph を利用して、Premium SSD を探し、 v2 に変更します。

v2 へ変更をしても、中のデータ等は失われません。
ただし変更は、紐づいている仮想マシンが停止している必要があります。

なお、変更には、Azure Site Recovery で保護している場合には事前に解除が必要であったり、 Azure Backup は拡張ポリシーである必要があるなどの、変更にあたっての制限もあります。概ねこのあたりが重要ではという部分を抜粋しましたが、Premium SSD v2 ディスクを変換する に詳細がありますので、事前に確認してください。

  • 既存のディスクが共有ディスクである場合は、Premium SSD v2 に変更する前に、すべての VM をデタッチします。
  • 既存のディスクで二重暗号化を使用している場合は、Premium SSD v2 に変更する前に 、単一の暗号化オプションのいずれかに切り替えます 。
  • ディスク上で Azure Site Recovery が構成されている場合は、Premium SSD v2 に変更する前に、それを無効にします。
  • Azure Backup が有効になっている VM にディスクがアタッチされている場合は、Premium SSD v2 に変換する前に、拡張バックアップ ポリシーに切り替えてください。
  • Azure Backup を使用していて、ディスクを Premium SSD v2 に変換すると、新しいディスクの完全なスナップショットが作成されます。 これは課金対象のイベントであり、そのスナップショットに対して課金が行われます。

置き換え可能なディスクの特定

まずは置き換えできるディスクを探します。
既に記載した制限事項などを踏まえ、今回は以下の条件でディスクを探します。

  • 既存 Premium SSD であること
  • ゾーン指定がされているディスクであること( v2 は ゾーン VM にのみアタッチ可能なため)
  • OSディスクではないこと ( v2 は OSディスクとして利用できないため)
  • 256 GiB 以上のディスクであること ( どのサイズでも v2 が優位ですが、まずは削減額が大きいそうなものを探してみます )

リージョンを絞りたい場合は、さらに where location == 'japaneast' など追加してください。

AzureResourceGraph
resources
| where type =~ "microsoft.compute/disks"
| where sku.name == 'Premium_LRS'
| where isnotempty(zones)
| where properties.osType == '' 
| where properties.diskSizeGB >= 256

今回の私の環境では、該当する Disk が 3 つ見つかりました。

ディスクの置き換え

変更はプルダウンで Premium SSD v2 を選択するだけです。
仮想マシンを停止できるタイミングで、操作してください。


必要に応じて、ディスクIOPS 欄や ディスク スループット 欄を入力します。
既定で v1 としていたときと同等以上の性能となるよう数値が入力されているはずですが、念のため、確認してから保存します。
数秒 ~ 10秒程度で変更が完了しました。

もしプルダウンで v2 を選べない場合には、 OS ディスクを変更しようとしていないかや、 VM が ゾーン デプロイではない VM でないか等、制限事項に該当していないか再確認しましょう。 また、ホストキャッシュが有効になっている場合も、 v2 へ変更できません。

まとめ

同様の手順で、今回発見した 512GB x3 を全て置き換えました。
コスト比較の詳細は以降の章に書きますが、これだけで月間のコストが 1.5 万円程度も下がることになります。もともと 3.7 万円程度かかっていたものが、2.2 万円程度に下がるので、4割も下がるのは大きいですね。

Disk 容量 v1 時の月額 v2 の月額 (v1 比) 削減できた月額
disk001 512GB ¥12,588.33 ¥7,376.03 (58.59%) ¥5,212.30
disk002 512GB ¥12,588.33 ¥7,376.03 (58.59%) ¥5,212.30
disk003 512GB ¥12,588.33 ¥7,376.03 (58.59%) ¥5,212.30
合計 ¥37,764.99 ¥22,128.09 (58.59%) ¥15,636.90

Premium Disk v1 と v2 のコスト

skmkzyk-san の記事 : "Premium SSD v2 が意外と安い" にて、v1 と v2 のコスト比較がされており、2022年のものではありますがいまでも有用で、v2 の方が安価であることがわかります。

  • 同一の容量を確保した場合 : v2 の方が安価
  • 同等の IOPS / スループットを確保した場合 : v2 の方が安価

ほぼ同じ内容なのですが、2025/11/01 時点での日本リージョンの価格で比較したもの残しておきます。

料金体系

比較に入る前に前提として料金体系です。

  • v1 は、容量、性能、価格があらかじめ決まっている P1~P80 までの SKU から選びます。
  • v2 は、容量あたりでの課金がまずは基本となります。容量は 1GiB - 64 TiB で自由に設定できます。性能は 3,000 IOPS, 125 MB/s が、容量に関わらず提供されますが、性能の追加も可能です。
    • 容量 : ¥14.407/GiB
    • 追加 IOPS : ¥0.8873/IOPS
    • 追加 スループット : ¥7.320/MB/s

v2 の性能の追加について補足すると

  • 容量が 1GiB であっても、64 TiB でも、性能を追加しなければ、 3,000 IOPS, 125 MB/s です。
  • 容量に応じて性能の最大値が伸びる(GiB あたり最大IOPS が 500 IOPS、最大スループットは 0.25 MB/s)ので、その範囲で性能を追加します。
  • 上限は、IOPS : 80,000 IOPS、スループット: 1,200 MB/s です。

もちろん正式には Managed Disks の価格 および 料金計算ツール を参照して試算してください。

Premium Disk v1 の性能と価格

v1 は、あらかじめ以下の通り容量、性能、価格が決まっている P1~P80 までの SKU から選ぶものです。

SKU ディスク サイズ 月額 IOPS スループット
P1 4 GiB ¥130.07 120 25 MB/秒
P2 8 GiB ¥260.14 120 25 MB/秒
P3 16 GiB ¥520.28 120 25 MB/秒
P4 32 GiB ¥907.86 120 25 MB/秒
P6 64 GiB ¥1,755.18 240 50 MB/秒
P10 128 GiB ¥3,389.28 500 100 MB/秒
P15 256 GiB ¥6,536.47 1,100 125 MB/秒
P20 512 GiB ¥12,588.33 2,300 150 MB/秒
P30 1 TiB ¥23,239.06 5,000 200 MB/秒
P40 2 TiB ¥44,544.81 7,500 250 MB/秒
P50 4 TiB ¥85,216.15 7,500 250 MB/秒
P60 8 TiB ¥162,685.37 16,000 500 MB/秒
P70 16 TiB ¥309,877.52 18,000 750 MB/秒
P80 32 TiB ¥619,753.55 20,000 900 MB/秒

Premium Disk v2 の性能と価格

v2 は、容量あたりでの課金がまずは基本となります。
性能を追加しなければ、性能は 3,000 IOPS, 125 MB/s が、容量に関わらず提供されます。
まずは容量のみ増やし、性能は基本のままとした場合の価格例を以下に示します。

- ディスク サイズ 月額 IOPS スループット
- 4 GiB ¥57.63 3,000 125 MB/秒
- 8 GiB ¥115.25 3,000 125 MB/秒
- 16 GiB ¥230.50 3,000 125 MB/秒
- 32 GiB ¥461.00 3,000 125 MB/秒
- 64 GiB ¥922.00 3,000 125 MB/秒
- 128 GiB ¥1,844.01 3,000 125 MB/秒
- 256 GiB ¥3,688.01 3,000 125 MB/秒
- 512 GiB ¥7,376.03 3,000 125 MB/秒
- 1 TiB ¥14,752.05 3,000 125 MB/秒
- 2 TiB ¥29,504.11 3,000 125 MB/秒
- 4 TiB ¥59,008.21 3,000 125 MB/秒
- 8 TiB ¥118,016.42 3,000 125 MB/秒
- 16 TiB ¥236,032.85 3,000 125 MB/秒
- 32 TiB ¥472,065.70 3,000 125 MB/秒

ここから、性能を追加し、同一容量のときに v1 相当以上の性能をもつ v2 となる様にした場合の価格例を以下に示します。

- ディスク サイズ 月額 IOPS スループット
- 4 GiB ¥57.63 3,000 125 MB/秒
- 8 GiB ¥115.25 3,000 125 MB/秒
- 16 GiB ¥230.50 3,000 125 MB/秒
- 32 GiB ¥461.00 3,000 125 MB/秒
- 64 GiB ¥922.00 3,000 125 MB/秒
- 128 GiB ¥1,844.01 3,000 125 MB/秒
- 256 GiB ¥3,688.01 3,000 125 MB/秒
- 512 GiB ¥7,556.11 3,000 150 MB/秒
- 1 TiB ¥17,038.51 5,000 200 MB/秒
- 2 TiB ¥34,333.49 7,500 250 MB/秒
- 4 TiB ¥63,837.60 7,500 250 MB/秒
- 8 TiB ¥132,068.03 16,000 500 MB/秒
- 16 TiB ¥253,631.46 18,000 750 MB/秒
- 32 TiB ¥492,491.00 20,000 900 MB/秒

コスト比較 まとめ - v2 の方が安価

まずは v1 と v2 を単に同一容量としたときで比較します。
安価な方、性能が勝っている方を、太字にしています。
すべての場合で v2 が安価で、256GiB 以下では性能も上回っていることがわかります。

ディスクサイズ v1 月額 v2 月額 v1 IOPS v2 IOPS v1 スループット v2 スループット
4 GiB ¥130.07 ¥57.63 120 3,000 25 MB/秒 125 MB/秒
8 GiB ¥260.14 ¥115.25 120 3,000 25 MB/秒 125 MB/秒
16 GiB ¥520.28 ¥230.50 120 3,000 25 MB/秒 125 MB/秒
32 GiB ¥907.86 ¥461.00 120 3,000 25 MB/秒 125 MB/秒
64 GiB ¥1,755.18 ¥922.00 240 3,000 50 MB/秒 125 MB/秒
128 GiB ¥3,389.28 ¥1,844.01 500 3,000 100 MB/秒 125 MB/秒
256 GiB ¥6,536.47 ¥3,688.01 1,100 3,000 125 MB/秒 125 MB/秒
512 GiB ¥12,588.33 ¥7,376.03 2,300 3,000 150 MB/秒 125 MB/秒
1 TiB ¥23,239.06 ¥14,752.05 5,000 3,000 200 MB/秒 125 MB/秒
2 TiB ¥44,544.81 ¥29,504.11 7,500 3,000 250 MB/秒 125 MB/秒
4 TiB ¥85,216.15 ¥59,008.21 7,500 3,000 250 MB/秒 125 MB/秒
8 TiB ¥162,685.37 ¥118,016.42 16,000 3,000 500 MB/秒 125 MB/秒
16 TiB ¥309,877.52 ¥236,032.85 18,000 3,000 750 MB/秒 125 MB/秒
32 TiB ¥619,753.55 ¥472,065.70 20,000 3,000 900 MB/秒 125 MB/秒

続けて、v1 相当の性能を持つようにした場合で比較します。
容量および性能を共に同等にした場合でも、全ての場合で、 v2 の方が安価であることがわかります。

ディスクサイズ v1 月額 v2 月額 v1 IOPS v2 IOPS v1 スループット v2 スループット
4 GiB ¥130.07 ¥57.63 120 3,000 25 MB/秒 125 MB/秒
8 GiB ¥260.14 ¥115.25 120 3,000 25 MB/秒 125 MB/秒
16 GiB ¥520.28 ¥230.50 120 3,000 25 MB/秒 125 MB/秒
32 GiB ¥907.86 ¥461.00 120 3,000 25 MB/秒 125 MB/秒
64 GiB ¥1,755.18 ¥922.00 240 3,000 50 MB/秒 125 MB/秒
128 GiB ¥3,389.28 ¥1,844.01 500 3,000 100 MB/秒 125 MB/秒
256 GiB ¥6,536.47 ¥3,688.01 1,100 3,000 125 MB/秒 125 MB/秒
512 GiB ¥12,588.33 ¥7,556.11 2,300 3,000 150 MB/秒 150 MB/秒
1 TiB ¥23,239.06 ¥17,038.51 5,000 5,000 200 MB/秒 200 MB/秒
2 TiB ¥44,544.81 ¥34,333.49 7,500 7,500 250 MB/秒 250 MB/秒
4 TiB ¥85,216.15 ¥63,837.60 7,500 7,500 250 MB/秒 250 MB/秒
8 TiB ¥162,685.37 ¥132,068.03 16,000 16,000 500 MB/秒 500 MB/秒
16 TiB ¥309,877.52 ¥253,631.46 18,000 18,000 750 MB/秒 750 MB/秒
32 TiB ¥619,753.55 ¥492,491.00 20,000 20,000 900 MB/秒 900 MB/秒

補足 : Japan West - 可用性ゾーン 1 つしか Premium SSD v2 の対応がない

Japan West リージョンの場合、Premium SSD v2 は 可用性ゾーン 1 つしか対応がありません。( 2025/11/01 時点 ) 。

一般的にゾーン VM は、同様の役割を持つ VM を ゾーン 1 と 2 に展開する、といった構成になります。Premium SSD v2 を利用しようとすると、 ゾーン1 の VM は Premium SSD v2 を利用するが、ゾーン2 では利用しないというような、同一役割の VM の構成がゾーンによって異なる感じになってしまうため、 Japan West ではちょっと利用は難しいかもしれません。

一応、①ゾーン指定していない VM、②ゾーン1 の VM、③ゾーン2 の VM で試してみました。

パターン Premium SSD v2 利用可否
ゾーン指定のないVM : demovm01 利用不可
ゾーン1 の VM : zonevm-1 Premium SSD v2 利用可能
ゾーン2 の VM : zonevm-2 利用不可

ゾーン指定のないVM や ゾーン1 ではない VM では、新規 Premium SSD v2 ディスクをアタッチしようとして失敗

既存ディスクの変換候補 プルダウン に Premium SSD v2 が表示されない

参考

https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/disks-types#premium-ssd-v2-limitations

https://zenn.dev/microsoft/articles/premium-ssd-v2

https://zenn.dev/tomot/articles/0900de0bdef189

Microsoft (有志)

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