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JaSST'24 Tokyoで学んだことをどう活かすか?〜QAエンジニア編〜

2024/04/09に公開


運営・登壇者・スポンサーの皆様、貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。

学んだこと、そしてそれをどう活かしていくか、業務の中で少しずつ見えてきたので拙筆ながら書き記していこうと思います。

はじめに

2024年3月14日と3月15日の二日間、JaSST'24 Tokyoというソフトウェアテストシンポジウムに、QAエンジニアとして参加してきました。

マネジメント編はこちらです(JaSSTについての概要なども載っています)。
https://zenn.dev/micin/articles/1d7aa52f4106cd

下記が、私が参加したセッションの一覧です。

  • A1)Tangible software quality

  • A2)ソフトウェアテストをカイゼンするためのいくつかのアイデア

  • D3-1)qa不在のスクラムチームは品質向上の夢を見るか

  • D3-2)スプリント内で試験を完了させるには?アジャイル・スクラム開発に参加したQAエンジニアの悩みと対策

  • D4)AI搭載プロダクトの品質保証の現在地点とこれから

  • A6)テストだけで品質は上がらない?! エセ自己組織化した品質組織からの脱却

  • A7)温故知新:QAエンジニアとして日本的品質管理を再考する

  • A9)自動車のソフトウェア品質に関する現場の試行錯誤

学んだこと

まずは全体を通しての感想を。

非常に興味深かったのは、セッション名の印象では異なるテーマにフォーカスして、共通して話す部分があまりないように思っていたのですが、通底して明示的に「プロダクト価値」に重きが置かれていたことです。

AIの精度に関する話の中でさえ「ただ確率を上げるだけでは不十分で、プロダクト価値を見極めて、それに適った形で重要なデータを取りこぼさないことや著しく外れるエラーの出方にならないか」のように言及されていました。

品質保証において、「バグを無くすこと」は至上命題でもゴールでもなく「プロダクト価値」――つまり、それが本当にユーザーのためになるか? ニーズは? 顧客満足度は? ユーザーがその機能を通して何ができるのか? どんなメリットや満足感が得られるのか? アウトプットよりアウトカムは? 等々、語り口や切り口を変えつつも、その視点こそ最重要であると改めて学びました。

どう活かすか?

そのために何をすれば良いのかについても複数のセッションで触れられており、第一歩として「QAチームの活動は開発にテストを依頼されるだけの枠組みではないし、そもそも枠も壁もなく、QA的な視点はプロセス全体に関わるもの」ということをQAチーム内は当然のこと、開発チームやプロダクトマネージャーにも認識してもらうというものです。

QA観点を全員が持つことで、それぞれのプロセスやロールごとに達成している事例もありました。

私自身も、この取り組みについてはJaSST'24 Tokyoに参加する前から、要求要件への参画などを通してある程度目指している形でした。

それが「プロダクト価値」の重要性と紐づき、正着であると示されたことでより意識して実践できるようになります。

また、QA観点を他のメンバーにも知ってもらうために、要件段階で過去の不具合を例にして開発チームへQA観点を共有する取り組みを少しずつ始めています。

今後は過去の個別例だけでなく、汎用的・応用的にナレッジの共有ができればと考えています。

何が必要か?

上記の通り、まずは個別の例から始めていますが、今後どのように発展させて行くかについても、いくつかのセッションで示されました。

本や記事などから知識を得ることも当然ながら大事ですが、より重要なのは、チームへの知識共有とそれぞれの解釈への相互質疑応答を行う勉強会、そして自分たちのプロダクトにどう役立てられるかのディスカッションと、それをQAチーム以外にも全体共有の場を設けることです。

私たちは、開発チームの助力を得つつ、まずは改めて言葉の意味や定義の擦り合わせから始めています。

また、別のプロダクトのQAチームとの意見交換会もセッティングしました。

それらの活動が安定した暁には、より専門的なフェーズに進みたいと思います。

そのヒントも得ており、本に書いてあるまま踏襲するのではなく私たちのプロダクトに合った章や手法を抜粋し、自分たちに適したやり方に変え、全体的で大幅な変更ではなく、小さな改善から地道に行うことです。

具体的な事例・方法論についても提示され、マインドマップの応用、four keysやSODA構想の活用、ポストモーテムやカオスエンジニアリングなど、実例やそれによってどう改善されたかまで示していただきました。

また、古いと言われる一昔前の品質観点についても、新しい概念では当然のものとして言及されない土台となる部分があったり、あるいは利用できる部分は今でも利用できたりすることも、その歴史の変遷を含め知ることができました。

これらについても、そのまま業務に当てはめるのではなく、プロダクト特性を鑑みつつ勉強会で採り上げ、チームメンバーの意見を集めたいと思い、まずは上記までの概要を共有するところから始めています(イベントに参加したおかげで、なぜ実施するのかという理由付けがあり、QAチームメンバー以外にも共有しやすいという利点が大きいことも付記しておきます)。

おわりに

私はこういったイベントに参加することは初めてだったのですが、非常に有意義な体験でした。

オンラインでの参加だったのですが、また参加する機会があれば次は現地での参加をしたいと思っています。

ちなみに、JaSSTのHPに「JaSSTレポート」という項目があり、過去の資料が閲覧できるようになっているのでそれらも今後活用できればと考えています。
https://www.jasst.jp/archives.html

もちろん、今回学んだ通り、そのまま使うのではなくどう活かせるかを考えながら。


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