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開発チームのAI活用促進のために「AIモブプロ」をはじめました

に公開

はじめに

こんにちは!mento のエンジニアの @kadoppe です。

現在 mento では、新事業として マネジメントサクセスプラットフォーム の立ち上げに取り組んでいます。

また並行して、クオリティが高いプロダクトをなるべく高速に開発・リリースするために、開発チームの AI コーディングツールの活用促進にも取り組んでいます。

本記事では、mentoの開発チームの AI 活用促進を加速させるために始めた「AI モブプロ」という取り組みについて、その詳細や、やってみて良かった点・改善できる点を紹介します。

開発チームの AI 活用促進のために、何かできることはないか探している皆さんの参考になれば幸いです。

背景と課題

世の中のソフトウェアエンジニアの働き方や生産性が、Cursor や Devin などの AI コーディングツールを活用することにより大きく変わる中、mento の開発チームでは以下のような課題が発生していました。

  • 優先度の高いプロダクト開発のタスクに集中するあまり、日々目まぐるしく進化する AI コーディングツールの情報を集めたり、実際に触って試す時間がない。
  • 日々のソフトウェア開発に AI コーディングツールをうまく活用できている個人もいたが、あくまでも属人的でチームの共有知にはなっておらず、チーム全体の生産性を底上げできていない。

このような課題に直面する中、チームの同僚から以下のような声が上がりました。

  • 他のメンバーが、どのように AI コーディングツールを活用しているか見てみたい
  • 強制的にでもいいので、AI コーディングツールを使う縛りの時間を作りたい

そこで始まったのが「AI モブプロ」という取り組みです。

AIモブプロとは?

AI モブプロは、ソフトウェア開発手法の1つである「モブプログラミング」に着想をえた取り組みです。複数のチームメンバーが決められた時間に一箇所に集まり、同時に同じタスクに取り組みます。

AI モブプロの目的は以下です。

  • 他のエンジニアがどう AI ツールを使って生産性を高めているかを知り、自分の生産性向上のヒントにする
  • チームとして AI ツール活用に関する知見をストックし、資産として今後活用できるようにする
  • 「この時間は AI をガッツリ使うんだ」という強い覚悟を持ってタスクに臨むことで、個人・チームとしての AI 活用を促進する

AI モブプロを開催するにあたって、他の優先度の高いタスクがある中でも気軽に開催・参加しやすいものにしようと思いました。まずは、成果を求めるよりも、継続・習慣化することが大事だと考えたからです。

そのため、AI モブプロは以下のような形で開催することにしました。

  • 30 分から 1 時間程度の短時間開催
  • オフライン・オンラインどちらでも参加可能(Google Meet の画面共有機能を利用)
  • 必須参加ではなく、任意参加
  • 決まった時間に週次の定例ミーティングとして設定

1 回の AI モブプロは以下のような流れで進みます。

  1. 前日 or 当日に主催者(私)が、Slack に次回のテーマ・取り組むタスクを発表する
  2. AI モブプロの時間が来たら、会議室 or Google Meet に集まる
  3. 冒頭に、今日のテーマ・取り組むタスクについて改めて説明する
  4. ドライバー役の人が画面を全員に共有しながら、AI コーディングツールをタスクを遂行する
  5. 他の参加者の人は、ドライバー役の人に指示を出したり、質問したり、感想をコメントしたりする
  6. 最後に振り返りを行い、個人や開発チームの開発プロセスに、今日やったことがどう活かせそうか、議論をしたりする

これを毎週繰り返します。

これまで扱ってきたテーマ

これまでの AI モブプロで扱ってきたテーマは以下の通りです。振り返ってみると毎週開催できていない期間もありますが、習慣が途切れることなくこれまで開催できました。

開催日 テーマ
2025/04/10 Cursor を使ってバグフィックスをしてみよう!
2025/05/01 E2E テストPlayright MCP を使って実装してみよう!
2025/05/08 Flask から FastAPI への移行に必要な大変な繰り返しタスクを AI で爆速で終わらせよう!
2025/05/15 Devin をもっと賢くするために Knowledge 機能を使ってみよう!
2025/05/22 Sentry のエラーログの URL を Devin に伝えて、原因調査と不具合対応をやれるようにしよう!
2025/06/19 Cursor / Devin / Claude Code といった複数の AI コーディングツールでナレッジを共有できるようにしてみよう!
2025/06/26 Claude CodeGit Worktree を組み合わせて、同時並列で複数タスクにチャレンジ!
2025/07/03 俺の Claude Code の設定が火を吹くぜ!(MCP もあるよ)※ 各自の設定共有会
2025/07/10 FusionFigma のデザインから、フロントエンドのコードを生成してみよう!


Playwright MCP で E2Eテストを実装しているモブプログラミングの様子

利用したツールなど、重要そうなキーワードをハイライトしています。この3ヶ月で様々な課題に直面しながら、様々なツール利用にトライしてきたことがわかります。

テーマの傾向として、初期の頃は具体的な開発タスクを終わらせることに焦点を当てたテーマを扱っていました。 最近は、まだ使えていない or 使いこなせていない新しいツールを実際に触ってみて、日々の開発に組み込めないか検討・議論したり、各自が試したことの知見を他のメンバーに共有するテーマが増えてきていますね。

振り返り

よかったこと

当初の目的を着実に達成

当初掲げていた以下の目的については、まだ発展途上ではあるものの、狙い通り開発チームとして大きく前進できました。

  • 他のエンジニアがどうAIツールを使って生産性を高めているかを知り、自分の生産性向上のヒントにする
  • 「この時間はAIをガッツリ使うんだ」という強い覚悟を持ってタスクに臨むことで、個人・チームとしてのAI活用を促進する

アジェンダなしで集まって座談会をするのではなく、オーナーがAIモブプロのテーマを毎回明確に決めたことで、短い開催時間の中でも、大きな効果が得られたのではないかと考えます。

エンジニアに閉じない知見共有の実現

弊社 mento の CAIO である杉浦 (@futoiki) が時折参加して、違った視点から意見やフィードバック・コメントをしてくれるなど、エンジニアに閉じない形で有用な知見をチーム内に共有することもできました。

また、CursorやDevin などのAIコーディングツールの活用に興味があるプロダクトマネージャーが時折参加することもあり、その結果以下のような活用事例が生まれることに繋がりました。

https://zenn.dev/mento_techblog/articles/86492ffb8262ec

AIコーディングツール以外の知見共有

AI コーディングツールに限らず、他のエンジニアが普段の開発でどのようなツールを使っているのか、ショートカットキーをどう活用しているのか、といった別の観点の知見共有が副次的に行われたことも良かった点です。

改善できること

知見のストック・ドキュメント化

一方で、以下の目的については、まだこれから工夫が必要な状況です。

  • チームとしてAIツール活用に関する知見をストックし、資産として今後活用できるようにする

AI モブプロのその場に参加したチームメンバーへの知見共有はできましたが、AI モブプロが終わると記憶が薄れていったり、参加できなかったチームメンバーへの知見共有が十分に行われなかったり、といった問題点がありました。

現在 mento の開発チームはエンジニア採用強化中であり、今後仲間になっていただける新しいエンジニア向けにも、成果や知見をドキュメント等にストックしておくことは今後ますます重要になると思います。

役割の属人性解消

また、テーマの案出し担当や AI モブプロでのドライバー担当を特定の個人がやることが多いのも改善ポイントです。今後はチームメンバー全員が AI コーディングツールやそれらにまつわる知見をどんどん収集し、実際に触ってみたりして得られた知見をチーム内にどんどん発信しやすくなるような場づくり・促進にも焦点を当てていきたいと考えています。

おわりに

開発チームの AI コーディング活用促進のために始めた「AI モブプロ」という取り組みについてお伝えしました。

AI コーディングツールは、日々目まぐるしいスピードで進化しており、新しいナレッジも世の中にどんどん登場しています。エンジニアの仕事の仕方についても、数ヶ月前には想像もしていなかったくらい変化しているのが現状で、今後も今は想像できないような大きな変化が訪れるんだろうなと想像しています。

エンジニア一人一人がそういった情報をキャッチアップし、追従していくことも重要ですが、チームとしてその知見が蓄積・活用されなければ、本当にクオリティの高いプロダクトを高速に開発・リリースすることは叶わないかもしれません。

AI モブプロに限らず、今後も様々な取り組みにトライし、良いプロダクトをユーザーに届け、ユーザーの仕事のあり方や社会を変えることができる開発チームに進化していきたいです。

同様に、スタートアップで新プロダクトの開発に取り組まれている方の参考になれば幸いです。

お知らせ

mento では、新事業・プロダクトの立ち上げに一丸となって取り組むエンジニアの仲間を募集しています!

少しでも興味がある方、ぜひ最初はカジュアルにお話しさせてください!(各種 SNS でも DM いただければすぐ反応します!)
https://youtrust.jp/recruitment_posts/c7234c2d128b9328ca75b33563d00767
https://herp.careers/v1/mento/zgEhIVY4CLhN

また、2025/07/24 にエンジニア向けのオープンオフィスの開催を予定しています!こちらもご興味あればご連絡お待ちしております!
https://mento.connpass.com/event/359463/

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