GPT-4はコンタクトセンターをどのように変えるのか
始めに
とうとうGPT-4が発表されましたね。
これまでよりも高精度でかつ画像読み取ってテキスト生成も可能という衝撃的なものでした。
これはこれで研究しがいがありそうで、TRPGへの活用など色々とできそうです。
ただコンタクトセンター業界のはしくれとして、実はChatGPTの登場以来、これがコンタクトセンターの概念を変え得る者としてかなり危機感を持って情報収集しています。
そしてGPT4の登場でさらに加速するなあと思ったのでアイデアを共有します。
GPT-4の特徴
そもそもChatGPTが何かについては拙著をご覧いただくとしてここではGPT4の特徴をまとめます。
(発表されたばかりなので更新していきます)
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高性能
高性能化についてですが、記事によればGPT-4の性能について、同社は「現実世界のシナリオにおいては人間に劣ることも多いが、(司法試験の模擬問題のような)専門的もしくは学術的なベンチマークでは人間レベルのパフォーマンスを示す」としている。[https://news.yahoo.co.jp/articles/8fc26c4093ee2407e1588e09dd846622eeae9155]
とのことで英語における性能がGPT3.5よりも大幅にあがったようです。
具体的にはアメリカの司法試験におけるスコアが、これまでは合格者の下位10%だったところ、上位10%のスコアを叩き出したそうで、もう並みの合格者より高いスコアが取れてしまっています。また、日本語における性能も上がっているようです。
https://twitter.com/umiyuki_ai/status/1635720404970115072 -
画像の読み取り可能
事前情報からも期待されていたことですが、マルチモーダル化したということで画像の入力が可能になりました。(まだ研究段階とのことでユーザーは利用不可)
個人的にはこれも熱い。
https://twitter.com/umiyuki_ai/status/1635718685229998086こういった形で入力した画像が何を示しているかをテキスト化して出力してくれます。しゅごい……。
後述しますがこれもコンタクトセンターの問合せ業務に革新をもたらします。
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コンテキスト窓の増加
入力コンテキストがこれまで4Kだったところ、8k,32kと爆増しています。
これまでの会話履歴や回答例、QAなどをぶち込むことができます。
コンタクトセンターでの活用
ここまで興奮したオタクが早口で喋ってきたわけですが、ではコンタクトセンターをどのように変え得るかを妄想として書いていきます。
CS
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セルフサービスの機能向上と拡充
消費者からの問合せに対して自動で返信する機能が高性能化します。
これは単に回答精度の向上や過去会話履歴の参照、設定キャラクターとしての自然な出力というだけでなく、例えば困った画面のスクリーンショットを投稿したら自動で対処法を返信することもできるようになるでしょうから、特にチャットボットへの影響が大きいんではなかろうかと思っています。
つまり今まで以上に消費者が自分自身で解決できる幅が広がったということです。
これは短期的には消費者の期待向上を招くでしょうが中長期的にはこのレベルが当たり前になりこの類のサービスを導入している会社とそうでない会社のCSATに大きな差を生むことになるでしょう。 -
検索の概念の変容とそれによる企業の対応
これはMS Bingが出たときから言われていたことですね。
実はBingの中身はGPT-4だそうでつまり他のブラウザも同様の機能を搭載してくるでしょう。Bingの検索機能による検索体験はまるで有識者に自分の状況を聞いてもらいながら回答してもらっているようで、パーソナライズされた上でまとめられた情報を知ることができます。
先日、ITに詳しくない母にBingを使ってもらったところ、その体験にいたく感動していましたので、やはり検索力を必要とせず、自分の知りたいことだけを知れる検索機能が主流になっていくと考えています。
そうなるとこれまでのようにSEOを利用して自社の回答ページを検索結果の上位に出すという方法が通用しなくなるかもしれません。翻って、AIに自社の情報をまとめてもらうにはどうすれば良いかという施策を迫られることになるかなと考えています。
Bingについては以下でまとめてます。
https://zenn.dev/melon1891/articles/bing_with_chatgpt
ES
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オペレーターの業務効率の飛躍的な向上
MS Dynamics周りのニュースで話題になりましたが、これまでのチャット/メールの内容を要約してくれる、文章を自動生成してくれるといったオペレーターの業務効率の改善に役立ちそうです。
さらに、利用可能コンテキスト枠の増加も伴ってCRM連携可能な情報の幅が広がることでよりパーソナライズされた回答が生成可能になります。
また、事前にIVRの中で用件を聞いておいて、それを要約した状態でオペレーターに渡すことまでできると一人当たりの対応時間を減らすことに繋がりそうです。 -
ナレッジマネジメントの必要性
自動回答や回答の自動生成は夢がある話ですが、下敷きになるのはきちんとQAが管理されていることです。
エクセルベースでQAを管理していたり、CRM連携がない状況ではそもそも活用すらできません。
そのため今まで以上にナレッジマネジメントが必要になると考えています。
きっと今まで以上にいろんなカンファレンスで話題に上がることでしょう……。 -
オペレーターの席数減少
業務の効率化によって必要なオペレーター数が減ることが予想されます。
今でも人件費の面から席数を減らす方向に傾いていますが、それが加速します。
ただしそれなりに知識かコストをかける必要はありますからどれだけ投資するかが企業の明暗を分けそうです。 -
オペレーターの確保の難化
一方で、オペレーターの確保は難しくなるかもしれません。1つ目で述べた通り、オペレーターの業務は効率化され、簡単になっていきます。
逆に同じ程システムが整備されていない現場では応募数が減るということが発生するように思います。
どこまで問合せ業務が自動化されることとオペレーターが必要なくなることは別のベクトルの話だと考えているので、オペレーターの確保が必要になる以上、オペレーター業務のシステムの整備はこの半年以降、喫緊の課題になるのでないでしょうか。
最後に
GPT-4の発表から衝撃を受けて、衝動に任せて書き上げた記事なので乱筆失礼しました。
この分野における生成AI周りの活用は今年下半期から加速すると思います。(日本だと…2年後?笑)
色々と情報収集しながら試していきたいです。
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