BingにChatGPTライクな機能が追加されたので試したら'検索'の未来を見た
始めに
ChatGPTが話題になって久しく、Microsoft がBingにChatGPTライクな機能を追加したことを発表しました。
今のところ招待制でウェイティングリストに登録した人で招待メールをもらった人が使えるようになっています。
私も招待をもらったので試してみました。
ウェイティングリストに登録
Microsoft Edgeにアクセスの上、Microsoft アカウントでログインした状態で、"順番待ちリストに参加する"ボタンを押すと登録できます。
登録が完了するとメールが届き、そこから数日待つと準備完了のメールが届きますのでその段階でチャット機能が使えるようになります。
Bingの新機能
早速新しいBingにアクセスすると下記のように新機能が使えるようになったことがアナウンスされています。
では早速何か調べてみましょう。
最近、ドラム式洗濯機の購入を検討しているのでどの洗濯機が良いのか調べてみます。
ドラム式洗濯機の購入を考えているのですがどのように選ぶべきでしょうか。
いつもの検索結果画面が出てきますが、ここでチャットのタブを開くか上スクロールをするとチャット画面に遷移します。
ChatGPTで見たような画面が出てきました。
しばらく以下のスクリーンショットの通りに会話を続けてみました。
ふむふむ。
これは良いのか決める参考になるなと感じました。
# ChatGPTとの比較
さて、では実際に使ってみて気づいた両者の違いをまとめます。
- Web検索結果を元に回答を作成
各回答の下にある詳細情報
は回答を作成するうえで参考にしたWebサイトが表示されています。
また、回答内では参考にした箇所に脚注がついています。
これはChatGPTにはなかった機能で、Bingの優位点の1つでしょう。
今回のように実際の商品について質問する場合ChatGPTでは正しく回答が出来ないケースがありました。
試しに同様の質問をしてみると下記のような回答が作成されますが、実際には日立のドラム式洗濯機にはエコナビ機能はついていないようです。
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軽い
ChatGPTが一般公開されているのに対してBingは招待制ですから利用人数に差があることを踏まえてもBingの方が早く回答を返してくれます。
ChatGPTはピークタイムでなければ十分早く返答してくれるもののピークタイムだと回答に時間がかかってしまいます。
上記スクリーンショットに載っている回答すべてを足しても30秒くらいでした。 -
トピック別
どちらがいいかではなくUIの違いですが、Bingはブラウザと統合されているのでChatGPTのようにトピック別に分けて使うのは向いていないように感じました。
テーマごとにタブを作れるのはChatGPTのいいところですし、逆に検索したいことベースでタブを分けておけるのはBingのいいところでしょう。
ただし、BingはChatGPTのように毎回タブが保存されるわけではないのでその点は注意です。 [1]
'検索'の未来
さて、ここでタイトル回収になりますがBingのこの新機能は1つの'検索'の未来を示唆していると感じます。
従来、何かを調べるとき、知りたいことに関連する一定のワードを思い浮かべて検索する必要がありました。
さらに検索結果で表示される無数のWebページを1つずつ開き必要な情報をより分け整理する必要すらあります。
しかし私達は何も楽しんで検索しているわけではありません。 [2]
検索はあくまで手段で知りたいことを知ることが目的であるはずです。
もっとも楽なのは身近の詳しい人に自分の状況を聞いてもらいながら必要な情報が足りていなければ逆に質問してもらい、さらに情報を整理してもらったうえで教えてもらうことです。
これは自分が詳しくないことを購入/実行することを思い浮かべてもらうとイメージしやすいでしょう。
例えば市役所への申請周りで辟易とすることは少なくないはずです。
またこの記事を読んでくれている多くの方は身近な人のパソコン購入の相談に乗ったことがあるでしょう。きっと。
Bingの新機能を使った検索はまさに後者のやり方に近いと言えます。
検索は自然言語で行えますし、回答は複数のサイトの情報をまとめたものを提示してくれます。
さらに、他に必要な情報があれば質問をして深掘ってくれます。
近い将来Googleも類似の機能を出すでしょうし [3]、この方向で進化していくと将来の検索は今のようにサイトを1つずつ当たっていくという作業は限られた機会しかしないようになるかもしれません。
一方で問題もあります。
1つはそれはこれまで以上に使う側のリテラシーが問われるということ。
情報を整理してくれるということは裏を返せば1次ソースの情報はカバーされているということです。
つまり回答が正しいかどうかこれまでいくつかのサイトを比較することで判断出来ていたところ、チャットの回答を鵜呑みにしてしまうことで間違った回答であると気づく機会が失われることを意味します。
現実でも人に聞いて答えを得た気になってそのソースまで調べる人がどれだけいるかを想像してもらうとイメージしやすいでしょう。
2つ目はこれまで以上に企業のITリテラシーが問われるということ。
おそらく今年いっぱいで検索にかかるこれらの機能は急速に進化し来年には検索結果を1つずつ見るという行為をしない人が増えると考えています。
それに合わせて企業側の情報発信も手段を変えていかなければなりません。
どのような記事が回答として参照されやすいか、間違った情報の訂正や新規情報のアップデートをどこでどのように行うかの施策が必要になります。
残念ながらSEOもしていない、HTTPSにもしていないサイトは今だ多くありますがそれらは今まで以上に誰にも見られなくなります。
どのように自社の情報を管理し発信していくかが問われる時代がやってきます。
そして残念ながら多くの日本企業は対応できないんでしょうね……現状を見る限り……
ネガティブなとらえ方をすればそれはいわゆるレモン市場になりかねないことを示唆しています。 [4]
ちなみにこれは予言ですが早ければ今年中にはSEOに変わるサービスが注目を集めるようになると思います。
感想
ということで最後は少しネガティブな未来を見ましたが昨年お絵描きAIが出てからChatGPTが登場するまでの流れを追うとAIは加速度的に進化します。
来年には今想像もしていないような文化が形成されていることだろうと考えています。
私はそんな未来を楽しみに待っていますが、一方でこれまで以上にITリテラシの格差が広がることを危惧しています。
まあ、ともあれもっと生活を便利にしたいので興味があれば積極的に情報を追っていきたいですね!
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ブラウザの標準機能として検索履歴は残っています。 ↩︎
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もちろんWikipediaで関連する記事をみたり、思いもよらないサイトに出会えたりと楽しみを見出すことはできます。 ↩︎
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以下サイト参考。ただし現時点で賛否両論。https://japan.cnet.com/article/35199654/ ↩︎
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商品の売り手と買い手に情報格差が存在するため、安くて品質の悪い商品(レモン)ばかりが流通し、高くて品質の良い商品(ピーチ)が出回りにくくなる現象のこと。レモンは皮が厚くて外見から中身の見分けがつかないことから、主に米国で低品質の中古車の俗語として使われている。 ↩︎
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