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未経験からWebデザイナーになった僕がなぜエンジニアリングにもいっちょ噛みするのか

2021/12/02に公開

はじめに:私は誰なのか?

都内のWeb系システム開発会社でデザイナーをやっております、@hrismと申します。デザイナーらしくUIのデザインはもちろん、タイトルにあるように組み込みにもいっちょ噛みしたりしながら、毎日がんばって過ごしております。ちなみに、前職では印刷系のデザイナー、さらに前々職ではテレビの映像編集エンジニアをしており、3年ほど前に現職に就くまでは、この業界はまるで未経験でした。

何をデザインするのか?

先日もTwitterでは「UI・UXとはそもそも何なのか」という話題が盛り上がっていたように、WebデザインやUIデザインというのは、体験のデザインとも密接に関わり合いがあります。自分は、これまで映像・印刷とクリエイティブやデザインを主戦場とする職種を続けてきましたが、この職種においては「デザインの枠組み」そのものへの問いがあること自体が新鮮な驚きでした。そしてその中で、「体験をデザインする」という考え方に感銘を覚え、自分もぜひ最高の体験を提供するぞ!と息巻くに至ったわけです。

ただ、体験の設計というのは、システム開発プロジェクト全体においては仕様の設計に先立つ部分であり、いわば、より「上流」ということになります。業界未経験で、右も左もわからないペーペーの自分が、仕様設計のさらに上流をいきなりやれるわけはありません。ということで、千里の道も一歩から、地道に出来る範囲から一歩ずつ、体験にポジティブな要素を付け加えながらチャンスを伺っていこうと考えたわけです。

静的なUIデザインの向こう側へ

ということで、まずもって一生懸命覚えたHTMLやCSSだけで実現できるマイクロインタラクションの類から始めることになりました。たとえばhoverアニメーション一つにしたって、ユーザーのアクションに対し、適切なフィードバックを返すという、立派な体験デザインの一部です。

そして、次第にそれに飽き足らなくなり、今度はJavascriptを触るようになり、またある時はページのレスポンス速度が気になってエンジニアチームにちょっかいを出すようになって、今度は仮想DOMでスイスイ回遊してもらいたいからReactで書かせろという要求を出す…。そうすると、ただ要求するだけじゃなく、デザインから実装まで、具体的にどのようなワークフローになるかを提示し、かつリードする必要性が生じます。

こうなると、いよいよ**「静的にUIデザインをやっている」だけの状況を越えて、あきらかに「エンジニアリングにもいっちょ噛みするデザイナー」と化していた**わけですが、すべては「体験をデザインしたい」というその思いで、「UIデザイン」を軸足にピボットし続けてきた結果です。

そしてその思わぬ副産物として、デザイン作業にも思わぬポジティブなフィードバックが生じていることに気づきました。その中でも、最も頻繁にメリットを感じるのは、デザインの段階からcomponent設計やlayout設計を意識することで、WEBデザインの重大な要件である「一貫性」がより担保されやすくなっていたことです。
https://zenn.dev/uxpin_official/articles/ddfa6aa84c2d5c
結果として、自分一人でデザインとエンジニアリングの両方に携わると、デザイン作業はエンジニアリング作業に、エンジニアリング作業はデザイン作業に好影響を与え合うことで、最終的に成果物の質を底上げすることに微力ながら貢献できているのではないかと思います。

風が吹けば桶屋が儲かるように、デザイナーがエンジニアリングすると体験設計ができる...?

また、上記のようなことを続けているうちに、次第にエンジニアリングのことも多少はわかるようになってきました。すると、これも思わぬ副産物ですが、デザイナーであっても概算の実装工数などが読めるようになってきます。とすると、プロジェクトマネジメントのような、開発会社のふつうのデザイナーではできないことも任せられるようになってきました。これを続けてがんばれば、さらにそこから遡って画面設計、さらには要件定義など、より「上流」工程にも顔を出せるようになっていっていくでしょう。この調子で、まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」式に上流に遡っていければ、「体験設計」にコミットするという、Webデザイナー冥利に尽きるこの志しを遂げられるのではないでしょうか。

たしかに、自分はいささか遠回りしている最中かもしれません。それでも、その道中で見てきたことは確実に自分の血肉となっています。これはPMだけ、あるいは体験設計だけをやっていれば身につくことではないと思います。だからこれからも自分は、エンジニアリングにいっちょ噛みしまくって、いずれは「フルスタックデザイナー」とでも呼ばれそうな代物になれたらいいなあなんて、思ったりもしながら、これからもがんばっていまいります。(了)

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