業務に忙殺されるEMが、パーソナルコーチングで強制的に時間を作り、抱え込み体質を和らげた話

ログラスのよしだです。入社して3年の月日がたち、プライベートでも変化がありまして名前が変わり、氏名変更手続きの大変さを語れるようになりました。業務においては別の記事で書いているようにエンジニアからEMにそしてEMとしては兼務で複数のチームをマネジメントしていたりしました。
改めてこの3年で新たに初めて今も続いてることは何かなと振り返ると、会社の福利厚生で補助が出ることで始めたパーソナルコーチング(以下コーチング)は2023年2月からはじめて今も継続して月次で受けていました。
そのコーチングのメモを見返してみると、自分自身の業務内容の変化と共に人に頼るのが苦手という弱みの克服方法について示唆があったので筆を取ってみようと思います。
この記事では、業務に忙殺され、人に頼るのが苦手なマネージャーが、パーソナルコーチングを利用することで、以下の2点にどう対処できたのか、私の実体験を基にお話します。
- 強制的に思考を整理し、ネクストアクションを生み出す方法
- 人に頼れない体質の心理的なブロックを和らげ、楽になる方法
コーチングで得られた3つのメリット
私がコーチングを続ける中で得られたメリットは多岐にわたりますが、特にマネージャー業を支え、「人に頼れない体質」を和らげる上で、この3つが最も強力だと感じています。
メリット1:強制的に自身の考えをまとめ、次のアクションを考える時間となる
日々、業務に忙殺されていませんか?マネージャー(EM)になると、チームの課題、メンバーのキャリア、組織の戦略、そして突発的な問題など、考えるべきことが爆発的に増えます。
正直に言えば、私自身、ズボラだと認識しています。本当は週次や月次で「自身のキャリア含めて中長期を考える余裕や振り返る時間」を作るべきだとわかっていても、強制力がなければその時間はどんどん後回しになってしまいます。カレンダーで「長いスパンを考えるための作業ブロック」という予定を作っていますがそれでも上手く考える時間を確保しきれていません。
コーチングは、そのズボラな私にとって、強力な良い外圧となりました。
- 強制的な内省の場: 月に一度、必ず外部の客観的な人間と対話する時間が設定されるため、どんなに忙しくても立ち止まり、頭の中のモヤモヤを言語化せざるを得ません。
- 思考の整理と次のアクション: 「今日話したいテーマは何ですか?」「そのテーマを話したいと思ったのはなぜか?」「その中で、来月までに具体的に何か解決したいですか?」といった問いかけを通じて、課題が整理され、次のアクションが明確になります。
この強制的に考える時間のおかげで、業務に埋もれて忘れがちな自身のキャリアの悩みや、組織の課題に定期的に光を当てられるようになりました。
メリット2:客観的な問いかけで「最後の一歩」を押してもらえる
マネージャーとして意思決定をする際、「こうした方がいいのは明白だが、最後の一歩が出ない」という状況に直面することはありませんか?
これは決して確証がないからという理性的な理由だけではありません。どこか心の中で「本当にこれでいいのか?」「失敗したらどうしよう」という不安や躊躇がブレーキをかけてしまうのです。
コーチングでは、客観的な立場の人から、あれこれと問いかけをもらえます。
- 背中を押す機能: 「それを実行したら、最悪どうなりますか?」「それがあなたの目指す状態に繋がるとして、やらない理由は何ですか?」といった問いは、自分で答えが出ていることに対して、実行への強制力を与えてくれます。
- リスクの言語化: 躊躇している原因となっているリスクを言語化し、それに対処するアクションまで一緒に考えることで、不安は具体的なタスクに変わり、行動が加速します。
結果として、自分の判断に確信が持てるようになり、躊躇なく、しかし慎重に、実行のアクションを進められるようになりました。
メリット3:自身の「癖」や「苦手」なことへの認識を和らげられた(自己肯定の技術)
これが、特に「人に頼るのが苦手」な私にとって最も大きな心理的メリットでした。
正直、私は人に頼むのが苦手な性格です。以前は、それが自身の能力不足だと捉えていたり、マネージャーなら自分で解決すべきといった不要な自己責任意識に繋がっていました。
コーチングでは、この苦手に対して「なぜ、そういう思考になるのか?」と掘り下げてもらえました。
- 環境の要因理解: 深掘りの結果、人に頼れない背景には、自分の生育環境が要因の一部となっていることがわかりました。
- 認識の「和らぎ」: 人に頼れないという性格は、治すべき欠陥ではなく、私自身の癖として認識を和らげることができました。自分の癖を客観的に認識できると、「あ、今、人に頼るのを躊躇しているな」とメタ認知し、意図的に行動を変えることができます。
自分の苦手を許容できるようになると、心理的に非常に楽になります。人に頼ること自体が、もはや苦痛ではなく、意識的に取り組むべきタスクへと変わったのです。
人生の大きな変化:「独身→家族持ち」で変わった優先度と「バランスホイール」
開発者からマネージャー(EM)へのキャリアチェンジと並行して、私生活でも独身から家族を持つという大きな変化がありました。元々、恥ずかしながら時間をかけて色々カバーする働き方をしていた私にとって、この変化は働き方、そして人生の優先順位を根本的に見直す強力なきっかけとなりました。
働き方の変化:時間をかけてカバーするスタイルからの脱却
「人に頼るのが苦手」という癖を持つ私は、以前は自分の工数や時間でカバーする守備的な働き方をしがちでした。しかし、家族ができたことで、帰宅時間を早めたり、仕事に使える総時間が物理的に制限されました。
これはマネージャーとしては非常に良い制約と捉えております。
- 強制的な仕組み化効率化: 以前のように時間をかけて細部までコントロールすることができなくなったため、強制的に「人に頼る」「仕事を構造化して任せる」という行動が必要になりました。
プライベートの変化が、皮肉にもマネージャーとしてのレバレッジをかける働き方を後押ししてくれたのです。
コーチングでの発見:大事にするものの優先度変更と「バランスホイール」
ライフステージが変わると、私たちは「何を大切にするか」という価値観そのものを見直す必要があります。
コーチングでは、人生を構成する複数の領域(仕事、家族、健康、成長など)を視覚的に表現するバランスホイールというツールを使うことがあります。以下の8つから構成されています。詳しくは本記事では割愛しますので、興味ある方は調べてみてください。
- 仕事
- 趣味
- お金
- 健康
- 家族
- 学習
- 社会貢献
- 人間関係

- 優先度の明確化: 家族を持つ前は「仕事」「成長」に多くの配分が偏りがちでしたが、コーチングを通じてこのバランスホイールを考える上で、家族や健康といった領域の優先度が大きく変わりました。
- 価値観に基づく行動: コーチとの対話で、「家族」や「健康」といった新しい優先度が上がったことを認識すると、「なぜ自分は帰宅時間を守りたいのか」「なぜ無駄な残業を減らしたいのか」という行動の根拠が明確になります。
この「大事にするものの優先度変更」が、セクション2-1で述べた「強制的に次のアクションを考える」際の意思決定の軸となります。「この作業は、家族との時間を削ってまでやる価値があるか?」という問いが、自分の行動を客観的に律する強力な基準となったのです。
まとめ
この記事では、業務に忙殺され、「人に頼るのが苦手」という心理的なブロックを持つマネージャーが、パーソナルコーチングという「強制力のある手段」を利用することで、いかに楽になれたか、私の実体験を基にお話ししてきました。
もしあなたが今、私と同じように業務に忙殺され、誰にも相談できず「一人で抱え込んでいる」と感じているなら、ぜひ一度、パーソナルコーチングといった自分の外にいる客観的な視点を頼ってみてください。
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