プロを目指す人のためのTypeScript入門 読書メモ
仕事で TypeScript を使用するにあたっていわゆるブルーベリー本を読んでみました.
目次
1. イントロダクション
2. 基本的な文法・基本的な型
3. オブジェクトの基本とオブジェクトの型
4. TypeScript の関数
5. TypeScript のクラス
6. 高度な型
7. TypeScript のモジュールシステム
8. 非同期処理
1. イントロダクション
1.1 TypeScript とは
TypeScript
- Microsoft によって開発されているプログラミング言語
- AltJs の一種
- AltJs: JavaScript の代替となる言語を指す言葉
- 用途は JavaScript と同じで,JavaScript が使われる場面では代わりに TypeScript を使用することが可能
- JavaScript と異なり,静的型システム(static type system)を備えている
1.1.1 JavaScript に対する"静的型付け"
TypeScript = JavaScript + 静的型付け
- つまり JavaScript という既存言語に静的型付けという要素を足したもの
型推論(type inference)の機能も充実
- 型注釈を書かなくても TypeScript が補って変数など型を決めてくれる機能
1.1.3 静的型付けのメリット (1) 型
型安全性
- ある種の間違ったプログラムをコンパイルが型チェックにより検出してくれる仕組み
- 構文エラーと型エラーの2種類が主
- コンパイルエラーが検出されるのが静的型付けの恩恵
function repeatHello(count: number): string { return "hello".repeat(count); } // ここで型エラーが発生 // Argument of type 'string' is not assignable to parameter of 'number'. console.log(repeatHello("wow"))
- コンパイルエラーが検出されるのが静的型付けの恩恵
- 構文エラーと型エラーの2種類が主
1.1.4 静的型付けのメリット (2) ドキュメント化と入力補完
ドキュメント化
- 型の情報がソースコードに書かれることになり,プログラムを読解する助けになる
- 適切な関数名やコメントと組み合わせることで,プログラムの読解時に関数の中身まで読む必要がなくなる
1.2 TypeScript と JavaScript の関係
- JavaScript 開発をより便利に行うためのツールが TypeScript
- JavaScript 開発に型安全性を加えてスケーラブルなものにすることが TypeScript のゴール
1.2.1 TypeScript コンパイラの役割 (1) 型チェック
型チェック
- プログラムから矛盾を見つけ出す作業
- TypeScript コンパイラはこの作業を自動的に行い,矛盾を見つけたらコンパイルエラーを出力
- 型チェックは静的なチェック
- 実際にプログラムを実行しなくても行える
- 一方で,「テスト」(ユニットテスト,インテグレーションテストなど)は動的なチェック
- 静的なチェックがあっても依然テストは必要であるが,静的なチェックができるものについてはテストではなく静的チェックで行うべき
- TypeScript プログラムはランタイムの挙動が型情報に依存しない
-
TypeScript が活きるのはあくまでコンパイル時で,プログラムが実行されるとき(ランタイム)ではない
-
うまく動かない例
function double(value: number) { console.log(value * 2); } function double(value: string) { console.log(value.repeat(2)); } double(123); double("hello");
- プログラミング言語によってはこのように同じ名前でシグネチャ(関数の引数の型と返り値の型を合わせた呼称)が異なる関数を複数定義できるものもある →Java など
- 関数を呼び出す際に引数の型によってどの宣言の関数が呼び出されるかがコンパイル時に決定
- TypeScript では,
Duplicate function implementation.
というコンパイルエラーが発生- 異なる関数を複数定義できる機能があると,
double(引数)
という関数呼び出しの意味が引数の方によって変わってしまう- 「ランタイムの挙動が型情報に依存しない」という原則に反する
- 異なる関数を複数定義できる機能があると,
- プログラミング言語によってはこのように同じ名前でシグネチャ(関数の引数の型と返り値の型を合わせた呼称)が異なる関数を複数定義できるものもある →Java など
-
関数
double
は引数が数値でも文字列でも呼び出せるようにしたい場合function double(value: string|number) { if(typeof value === "number") { console.log(value * 2); }else{ console.log(value.repeat(2)); } } double(123); double("hello");
-
1.2.2 TypeScript コンパイラの役割 (2) トランスパイル
トランスパイル
- TypeScript ソースコードを JavaScript ソースコードに変換すること
- 2段階で成り立っている
- 第1段階:型注釈を取り除く
- トランスパイル前(TypeScript)
function repeatHello(count: number): string { return "hello".repeat(count); }
- トランスパイル後(JavaScript)
function repeatHello(count) { return "hello".repeat(count); }
- トランスパイル前(TypeScript)
- 第2段階:新しい構文を古い構文に変換する
- JavaScript はバージョンアップされることがあり,新しい構文が追加される
- TypeScript も JavaScript のバージョンアップに追随して使用可能になる
- 新しい構文を使用する際に問題となるのは,古い実行環境への対応
- 新しい構文に対応していない
- トランスパイルの段階で,新しい構文を古い構文に変換することで,新しい構文を使ってプログラムを書きながら古い環境にも対応することが可能になる
- 新しい構文(ES2015 のクラス構文)を古い構文(ES5)に変換する例
// 変換前 class Human { greet() { console.log("Hello"); } } // 変換後 var Human = /** @class */(function () { function Human() { } Human.prototype.greet = function() { console.log("Hello"); }; return Human; }());
- JavaScript はバージョンアップされることがあり,新しい構文が追加される
- 第1段階:型注釈を取り除く
1.2.3 TypeScript と ECMAScript の関係
ECMAScript
-
JavaScript のもう一つの名前
- 現在では主に言語仕様の文脈で ECMAScript と呼ぶのが主流
-
JavaScript あるいは ECMAScript は ECMAScript 仕様書という文書により言語仕様が定義
-
新しい ECMAScript が登場して JavaScript に機能が追加された場合は,TypeScript にもその機能が追加される
- ECMAScript に追加される機能は,プロポーザルという単位で管理
- 1つの問題領域に対する新機能が1つのプロポーザル
- プロポーザルはその進捗状況に応じて1から4のステージが与えられている
- ステージ4:プロポーザルが完成し,ECMAScript 仕様への採用が内定
- プロポーザルはその進捗状況に応じて1から4のステージが与えられている
- 1つの問題領域に対する新機能が1つのプロポーザル
- プロポーザルのステージが3に到達することが TypeScript に追加される条件
- TypeScript ではそのプロポーザルが ECMAScript に正式採用される(ステージ4になる)のを待たずに機能をサポートする
- ECMAScript に追加される機能は,プロポーザルという単位で管理
-
最新仕様:https://www.ecma-international.org/news/ecma-international-approves-new-standards-6/
2. 基本的な文法・基本的な型
2.3 プリミティブ型
2.3.1 プリミティブとは何か
TypeScript プログラムにおける基本的な値
- 文字列
- 数値
- 真偽値
- BigInt
- null
- undefined
- シンボル
2.3.5 文字列型と3種類の文字列リテラル
文字列リテラルには2種類の書き方がある
- どちらでも機能上違いはないが,統一したほうが良い
- ダブルクォートを使用
"Hello, world!"
- シングルクォートを使用
'Hello, world!'
- ダブルクォートを使用
テンプレートリテラル
- バッククォートで囲む文字リテラル
const str1: string = "Hello"; const str2: string = "world!" // "Hello, world!" と表示される console.log(`${str1},${str2}`);
// "123 + 456 = 579" と表示される console.log(`123 + 456 = ${123 + 456}`);
3. オブジェクトの基本とオブジェクトの型
3.1 オブジェクトとは
3.1.1 オブジェクトは"連想配列"である
- TypeScript のオブジェクト = 一言で言えば"連想配列"
- オブジェクト:いくつかの値をまとめたデータ
const obj = { foo: 123, var: "Hello, world!" }
- オブジェクト:いくつかの値をまとめたデータ
3.1.2 オブジェクトリテラル(1) 基本的な構文
オブジェクトリテラルにはよく使用される省略記法がある
const name = input ? input : "名無し"
const user = {
name: name,
age: 20
}
上記のように,プロパティ名: 変数名
という形の場合で,かつプロパティ名と変数名が同じである場合,以下のように省略できる
const name = input ? input : "名無し"
const user = {
name,
age: 20
}
3.1.5 オブジェクトリテラル(3) スプレッド構文
オブジェクトリテラル中ではスプレッド構文(spread syntax)と呼ばれる構文を使用できる
- これを使用すると,オブジェクトの作成時にプロパティを別のオブジェクトにコピーできる
const obj1 = { bar: 456, baz: 789 } const obj2 = { foo: 123, ...obj1 // スプレッド構文 } // obj2 は {foo:123, bar: 456, baz: 789} となる console.log(obj2)
const obj1 = { foo: 123, bar: 456, baz: 789 } const obj2 = { ...obj1 // スプレッド構文 foo: −9999, // foo は -9999 に上書きされる } // obj2 は {foo:123, bar: 456, baz: 789} となる console.log(obj2)
3.1.6 オブジェクトはいつ"同じ"なのか
明示的にコピーしない限り,オブジェクトは同じである
- オブジェクトのコピー
- スプレッド構文を使う
- 愚直に全て書く
3.2 オブジェクトの型
3.2.3 type 文で型に別名をつける
type 文:型名を宣言する文
- 既にある型に別名をつけることができる
type FooBarObj = {
foo: number
bar: string
}
const obj: FooBarObj = {
foo: 123,
bar: "Hello, world!"
}
type UserId = string
const id: UserId = "id-1"
3.2.4 interface 宣言でオブジェクト型を宣言する
interface 宣言:型名を新規作成する別の方法
- type 文では任意の型に対して別名で宣言できたが,interface 宣言で扱えるのはオブジェクト型のみ
interface FooBarObj {
foo: number
bar: string
}
const obj: FooBarObj = {
foo: 0,
bar: "string"
}
3.2.5 任意のプロパティ名を許容する型(インデックスシグネチャ)
プロパティ名が動的に決まる状況で用いられる
type PriceData = {
[key: string]: number
}
const data: PriceData = {
apple: 220,
coffee: 120,
bento: 500
}
// これはOK
data.chicken = 250
// これはコンパイルエラー
// Type "foo" is not assignable to type "number"
data.bento2 = "foo"
3.3 部分型関係
3.3.1 部分型とは
S 型が T 型の部分型である = T 型が S 型の部分型である
3.3.2 プロパティの包含関係による部分型関係の発生
型 S と 型 T がオブジェクト型だとして,次の条件を満たせば S が T の部分型となる
- T が持つプロパティは全て S にも存在する
- 条件1 の各プロパティについて,S におけるそのプロパティ型の部分型(または同じ型)である
3.4 型引数を持つ型
3.4.3 部分型関係による型引数の制約
type 文において型引数を宣言する時,extends という構文を使うことができる
-
型引数宣言 extends 型A
の形 - この型引数は常に型 A の部分型でなければならない
type HasName = { name: string } type Family<Parent extends HasName, Child extends HasName> = { mother: Parent father: Parent child: Child }
3.5 配列
3.5.1 配列リテラルで配列を作成する
配列リテラルの中でもスプレッド構文が利用可能
const arr1 = [4, 5, 6]
const arr2 = [1, 2, 3, ...arr1]
console.log(arr2) //[1, 2, 3, 4, 5, 6] が表示される
3.5.5 配列の機能を使う
- push メソッド
- 配列の末尾に要素を追加する
- unshift メソッド
- 配列の先頭に要素を追加する
- includes メソッド
- 与えられた値が配列に含まれているかを真偽値で返す
- indexOf メソッド
- 与えられた値が配列の何番目に存在しているかを返す(存在していなければ -1 を返す)
- slice メソッド
- 配列の一部分をコピーした新たな配列を作って返す
- concat メソッド
- 配列と別の配列をつなげてできる新たな配列を作って返す
- length プロパティ
- 配列の要素数
3.5.6 for-of 文によるループ
const arr = [1, 10, 100]
for(const elm of arr){
console.log(elm)
}
3.5.7 タプル型
要素数が固定された配列型
- 普通の配列:要素数が何個でも構わない一方,全ての要素の型は同じ
- タプル型:要素数が固定されている代わりに,配列のそれぞれの要素に異なる型を与えることができる
let tuple:[string, number] = ["foo", 0]
tuple = ["aiueo", -555]
const str = tuple[0] // str は string 型
const num = tuple[1] // num は number 型
// Type tuple '[string, number]' of length '2' has no element at index '2'.
const nothing = tuple[2]
3.6 分割代入
3.6.1 オブジェクトの分割代入(1) 基本的なパターン
オブジェクトの分割代入の構文を用いることで,オブジェクトからプロパティを取得し,変数に代入するという操作を簡潔に記述できる
const {foo, bar} = obj
// 以下と同じ意味
const foo = obj.foo
const bar = obj.bar
-
{}
のなかに識別子をカンマで区切って並べる- この識別子は,取得したいオブジェクトのプロパティ名を指し示す役割と,それを入れる変数名を決める役割を併せ持っている
- オブジェクトのプロパティの中身をプロパティ名と同名の変数に入れたい場合にしか使えない
- 分割代入で宣言された変数には型注釈がつけられない
3.6.2 オブジェクトの分割代入(2) ネストしたパターン
ネストしたオブジェクト
- オブジェクトのプロパティにさらにオブジェクトが入っているという構造
const nested = { num: 123, obj: { foo: "hello", bar: "world" } }
- このようなオブジェクトに対してはパターンをネストさせることでネストの内側のプロパティを取得することができる
const {num, obj:{foo}} = nested // obj:{foo} で,nested.obj に対して {foo} という分割代入を行ったのと同じになる console.log(num) //123 と表示される console.log(foo) // hello と表示される
3.6.3 配列の分割代入
const arr = [1, 2, 4, 8, 16, 32]
const [first, second, third] = arr
console.log(first) // 1
console.log(second) // 2
console.log(third) // 4
const [, foo, , bar, , baz] = arr
console.log(foo) // 2
console.log(bar) // 8
console.log(baz) // 32
3.6.4 分割代入のデフォルト値
デフォルト値は undefined のみに対して適用される
- null に対しては何も行わない
type Obj = {foo?: number}
const obj1: Obj = {}
const obj2: Obj = {foo: -1234}
const {foo = 500} = obj1 // foo には500が代入される
const {foo:bar = 500} = obj2 // bar には-1234が代入される
3.6.5 rest パターンでオブジェクトの残りを取得する
const obj = {
foo: 123,
bar: "string"
baz: false
}
const {foo, ...restObj} = obj
console.log(foo) // 123 が表示される
console.log(restObj) // {bar: "string", baz: false} が表示される
4. TypeScript の関数
4.1 関数の作り方
4.1.1 関数宣言で関数を作る
関数を作る最もベーシックな方法:関数宣言(function declaration)
function 関数名(引数リスト):返り値の型 {
関数の中身
}
function range(min: number, max: number): number[] {
const result = []
for(let i=min; i<=max; i++) {
result.push(i)
}
return result
}
console.log(range(5, 10)) // [5, 6, 7, 8, 9, 10] と表示される
4.1.3 関数式で関数を作る
関数宣言と関数式(function expression)の大きな違い:それが文なのか式なのか
function (引数リスト):返り値の型 {
関数の中身
}
type Human = {
height: number
weight: number
}
const calcBMI = function(human: Human):number {
return human.weight / human.height ** 2
}
const uhyo: Human = {height:1.84, weight: 72}
console.log(calcBMI(uhyo))
4.1.4 アロー関数で関数を作る
アロー関数式(arrow function expression)
- 関数式(function関数式)に代わるもう一つの関数式
(引数リスト):返り値の型 => {中身}
type Human = {
height: number
weight: number
}
const calcBMI = ({height, weight}:Human):number => {
return weight / height**2
}
const uhyo: Human = {height:1.84, weight:72}
console.log(calcBMI(uhyo))
アロー関数の方が function 関数式よりも後から導入されたため使い勝手がいい
- function 関数式よりも構文が完結
- 特に function という長いキーワードを書かなくても良い
- 省略記法
- this の扱い
4.1.5 アロー関数式の省略形
簡単な関数を定義するときに有用な構文
(引数リスト):返り値の型 => {中身}
(引数リスト):返り値の型 => 式
省略形では =>
の右側に書けるのが式1つだけ
(引数リスト):返り値の型 => 式
//上式は以下と同値
(引数リスト):返り値の型 => {return 式}
// 普通の書き方
const calcBMI = ({height, weight}:Human):number =>{
return weight / height ** 2
}
// 省略形
const calcBMI = ({height, weight}:Human):number => weight / height ** 2
4.1.6 メソッド記法で関数を作る
プロパティ名(引数リスト):返り値の型{
中身
}
const obj = {
// メソッド記法
double(num: number):number {
return num * 2
},
// 通常の記法+アロー関数
double2:(num: number):number => num * 2
}
4.1.7 可変長引数の宣言
可変長引数:関数が任意の数の引数を受け取れるようにすること
- rest 構文を用いる
-
...引数名:型
という形式 - 関数宣言の引数リストの最後で1回だけ使用できる
- rest 引数の型注釈は必ず配列型(もしくはタプル型)
const sum = (...args: number[]) => { let result = 0 for(const num of args){ result += num } return result } console.log(sum(1, 10, 100)) console.log(sum(123, 456))
-
4.1.8 関数呼び出しにおけるスプレッド構文
関数呼び出しの引数として ...式
という構文が使用できる
const sum = (...args: number[]):number => {
let result = 0
for(const num of args) {
result += num
}
return result
}
const nums = [1, 2, 3, 4, 5]
console.log(sum(...nums))
4.1.9 オプショナル引数の宣言
オプショナルな引数 = 渡しても渡さなくてもどっちでもいい引数
- デフォルト値を指定しない場合
-
引数名?:型
という構文を用いる
const toLowerOrUpper = (str: string, upper?:boolean):string => { if (upper) { return str.toUpperCase() } else { return str.toLowerCase() } } console.log(toLowerOrUpper("Hello")) // hello と表示される console.log(toLowerOrUpper("Hello", false)) // hello と表示される console.log(toLowerOrUpper("Hello", true)) // HELLO と表示される
-
- デフォルト値を指定する場合
-
変数名:型 = 式
という構文を用いる
const toLowerOrUpper = (str: string, upper:boolean = false):string => { if (upper) { return str.toUpperCase() } else { return str.toLowerCase() } } console.log(toLowerOrUpper("Hello")) // hello と表示される console.log(toLowerOrUpper("Hello", false)) // hello と表示される console.log(toLowerOrUpper("Hello", true)) // HELLO と表示される
-
4.1.10 コールバック関数を使ってみる
コールバック関数
- 関数の引数として関数を渡すことを指す
- 引数として渡される関数 = コールバック関数
よくコールバック関数のお世話になるのは配列のメソッドを使うとき
- 配列はコールバック関数を受け取るメソッドをいくつも持っている
- 代表例: map関数
- 渡されたコールバック関数を配列の各要素に適応した結果からなる新しい配列を返す
type User = { name: string age: number } const getName = (u:User):string => u.name const users:User[] = { {name: "uhyo", age: 26}, {name: "John Smith", age: 15} } // users.map は users の各要素に getName を適用することで作られた新しい配列を返す const names = users.map(getName) //getName はコールバック関数 console.log(names) // ["uhyo", "John Smith"] と表示される // こう書いた方がプログラムの見通しが良い const names2 = users.map((u: User):string => u.name)
- その他の例
// 20歳以上のユーザだけの配列 const adultUsers = users.filter((user:User) => user.age >= 20) // 全てのユーザが20歳以上なら true const allAdult = users.every((user: User) => user.age >= 20) // 60歳以上のユーザが1人でもいれば true const seniorExists = users.some((user: User) => user.age >=60) // 名前が John で始まるユーザを探して返す const john = users.find((user: User) => user.name.startWith("John"))
- 代表例: map関数
4.2 関数の型
4.2.1 関数型の記法
(引数名:型) => 返り値の型
型チェックに影響しない引数名の情報がわざわざ型に書かれるのは,エディタの支援機能を拡充させるためである
4.2.2 返り値の型注釈は省略可能
関数の返り値の型は省略可能
- 明記しなかった場合は型推論によって決められる
4.2.3 返り値の型注釈は省略すべきか
明示するメリット
- 関数の中身が長い場合は関数の説明と型だけ見れる状況になる(中身を読まなくてもある程度の情報を得られる)
- 関数内部で返り値の型に対して型チェックを働かせられる
明示するデメリット
- 書く量が多くなる
- 特に非常に短いコールバック関数など,中身を見ればするわかるときは型の情報は不要に感じられる
関数の返り値の型を省略するのは「関数の中身が真実である」と思う場合
関数の返り値を書くのは「この関数はこの型の値を返すべきである」という場合
4.2.4 引数の型注釈が省略可能な場合
"逆方向の型推論"が働く場合,引数の型を省略可能
- 通常の型推論
- 式からその式自体の型が推論される
const xRepeat = (arg: number): string => "x".repeat(arg)
- 式からその式自体の型が推論される
- 逆方向の型推論(contextual typing)
- 式の型が先にわかっている場合に,それを元に式の内部に対して推論が働く
type F = (arg: number) => string /* この関数式は引数の型を書かなくてもOK この関数式が F 型の変数に代入されるということは,この関数式は F 型を持っていなければいけない 今 F は number 型の引数を受け取る関数の型だったので,関数式の引数 num は number 型であると推測される */ const xRepeat: F = (num) => "x".repeat(num)
- 関数引数の場合ちなみに,型注釈を書かなくて良い + アロー関数の引数が1つの時は引数を囲む
const nums = [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9] /* nums.filter は (value: number) => unknown 型のコールバック関数として引数を受け取る つまり,コールバック関数 (x) => x % 3 === 0 は (value: number) => unknown 型でなければいけない */ const arr2 = nums.filter((x) => x % 3 === 0) console.log(arr2) //[3, 6, 9] と表示される
()
を省略することが可能const arr2 = nums.filter(x => x % 3 === 0)
- 式の型が先にわかっている場合に,それを元に式の内部に対して推論が働く
4.2.5 コールシグネチャによる関数の表現
コールシグネチャ
- オブジェクト型の中で使用できる構文
-
(引数リスト):返り値の型
という形式
次のコードで定義される MyFunc 型は, boolean 型のプロパティ isUsed を持つオブジェクトであると同時に, number 型を受け取る関数でもあるような値の型
// プロパティ定義とコールシグネチャが同居する型
type MyFunc = {
isUsed?: boolean
(arg: number): void
}
const double: MyFunc = (arg: number) => {
console.log(arg * 2)
}
// double は isUsed プロパティを持つ
double.isUsed = true
console.log(double.isUsed)
// double は関数として呼び出せる
double(100)
4.4 ジェネリック
ジェネリクス
- 型引数を受け取る関数を作る機能
4.4.1 関数の型引数とは
型引数を持つ関数(ジェネリック関数)を宣言する際には,関数名のあとに<型引数リスト>という構文を付け足すのが基本
- 関数呼び出しは
関数<型引数たち>(引数たち)
function repeat<T>(element: T, length: number): T[]{
const result: T[] = []
for(let i = 0; i < length; i++) {
result.push(element)
}
return result
}
console.log(repeat<string>("a", 5))
console.log(repeat<number>(123, 3))
4.4.2 関数の型引数を宣言する方法
function 関数式
const repeat = function<T>(element: T, length: number): T[]{
const result: T[] = []
for(let i = 0; i < length; i++){
result.push(element)
}
return result
}
アロー関数式
const repeat = <T>(element: T, length: number): T[] => {
const result: T[] = []
for (let i = 0; i < length; i++) {
result.push(element)
}
return result
}
メソッド記法の場合もメソッド名のあと・引数リストの前に置く
const utils = {
repeat<T>(element: T, length: number): T[] {
const result: T[] = []
for (let i = 0; i < length; i++){
result.push(element)
}
return result
}
}
型引数リストが複数の場合
const pair = <Left, Right>(left: Left, right: Right): [Left, Right] => [left, right]
const p = pair<string, number>("uhyo", 26)
4.4.3 関数の型引数は省略できる
function repeat<T>(element: T, length: number): T[] {
const result: T[] = []
for (let i = 0; i < length; i++) {
result.push(element)
}
return result
}
// result は string[] 型となる
// 省略しない場合は,repeat<string>("a", 5) となる
const result = repeat("a", 5)
4.4.4 型引数を持つ関数型
// この repeat 関数の型は <T>(element: T, length: number) => T[]
const repeat = function<T>(element: T, length: number): T[] {
const result: T[] = []
for (let i = 0; i < length; i++) {
result.push(element)
}
return result
}
4.5 変数スコープと関数
4.5.1 変数のスコープとは
スコープ:変数の有効範囲
- 関数スコープ
- 全ての関数は関数スコープを持ち,関数の中で宣言された変数は関数スコープに属する
- 関数の中で宣言された変数はその関数の中でしか存在しない
- トップレベルスコープ
- モジュールスコープ
- ファイル全体にわたって存在
- グローバルスコープ
-
console
などあらかじめ用意されている変数
-
4.5.2 ブロックスコープと関数スコープ
ブロックスコープ
- ブロックの範囲に対して発生
- ブロック:
{...}
という形をもつ文の一種-
if
やfor
のあとの{}
がそれに該当
-
5. TypeScript のクラス
5.1 クラスの宣言と使用
- クラスの主な用途はオブジェクトの作成
- クラスによって作成されたオブジェクト = インスタンス(instance)
5.1.1 クラス宣言と new 構文
- クラス宣言
class クラス名 {...}
- クラス名には変数名や関数名と同様に識別子を利用することが可能
-
...
の部分はクラス定義の本体- インスタンスがどのようなプロパティを持つか規定
-
new クラス名()
という式により,クラスのインスタンスを作成できる
class User {
name: string = ""
age: number = 0
}
const uhyo = new User()
console.log(uhyo.name) // "" が表示される
console.log(uhyo.age) // 0 が表示される
uhyo.age = 26
console.log(uhyo.age) // 26 が表示される
5.1.2 プロパティを宣言する
- プロパティ宣言
- ここで宣言されたプロパティは,new によって作成されたインスタンスにあらかじめ備わっている
- プロパティ宣言の基本の形は
プロパティ:型 = 式
5.1.3 メソッドを宣言する
- クラス宣言の中では,メソッド (method) の宣言も書くことができる
- クラス宣言の中にメソッドの宣言を書くと,そのクラスのインスタンスは自動的にそのメソッドを持った状態で作成される
class User {
name: string = ""
age: number = 0
isAdult(): boolean {
return this.age >= 20
}
setAge(newAge: number) {
this.age = newAge
}
}
const uhyo = new User()
console.log(uhyo.isAdult()) // false が表示される
uhyo.setAge(26)
console.log(uhyo.isAdult()) // true が表示される
5.1.4 コンストラクタ
- コンストラクタ
-
new
により作成される際に呼び出される関数 - インスタンスのプロパティを初期化することができる
- クラス宣言の中に
constructor
という名前のメソッド宣言を書く
-
class User {
name: string
age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.age = age
}
isAdult(): boolean {
return this.age >= 20
}
}
const uhyo = new User("uhyo", 26)
console.log(uhyo.name)
console.log(uhyo.isAdult)
5.1.5 静的プロパティ・静的メソッド
静的メソッド・静的プロパティ
- インスタンスではなくクラスそのものに属するプロパティ・メソッド
- 通常のプロパティ・メソッドの宣言の前に static とつけて宣言
class User {
static adminName: string = "uhyo"
static getAdminUser() {
return new User(User.adminName,26)
}
name: string
age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.age = age
}
isAdult(): boolean {
return this.age >= 20
}
}
console.log(User.adminName) // "uhyo" が表示される
const admin = User.getAdminUser()
console.log(admin.age) // 26 が表示される
console.log(admin.isAdult()) // true が表示される
const uhyo = new User("uhyo", 26)
// エラー:Property 'adminName' does not exist on type 'User'. Did you mean to access the static member 'User.adminName' instead?
console.log(uhyo.adminName)
5.1.6 3種類のアクセシビリティ修飾子
- クラス宣言内のプロパティ宣言・メソッド宣言にはアクセシビリティ修飾子を孵化することができる
- public(あるいは何も書かない場合)
- protected
- クラス自身だけでなく,そのクラスを継承するクラスからもアクセスできる
- private
- クラス内部からしかアクセスできない
5.1.7 コンストラクタ引数でのプロパティ宣言
class User {
name: string
private age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.age = age
}
}
// 省略すると次のようになる
class User {
constructor(public name: string, private age: number){}
}
5.1.8 クラス式でクラスを作成する
クラス式
- クラス宣言と同様の構文を式として使用できる
- ただし,クラス名の識別子部分を省略可
class {...}
const User = class {
name: string
age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.age = age
}
public isAdlut(): boolean {
return this.age >= 20
}
}
const uhyo = new User("uhyo", 26)
console.log(uhyo.name)
console.log(uhyo.isAdult())
5.1.9 もう1つのプライベートプロパティ
プライベートプロパティ
- クラスの内部からしか参照できないプロパティ
-
#プロパティ名
のように先頭に#
をつけた名前のプロパティはprivate
プロパティと同様にそのクラス中でのみアクセス可能
class User {
name: string
#age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.#age = age
}
public isAdult(): boolean {
return this.#age >= 20
}
}
const uhyo = new User("uhyo", 26)
console.log(uhyo.name) // "uhyo" が表示される
console.log(uhyo.isAdult()) // true が表示される
// エラー: Property '#age' is not accessible outside class 'User' because it has a private identifier.
console.log(uhyo.#age)
5.1.10 クラスの静的初期化ブロック
静的初期化ブロック(static initialization block)
- 俗にいう static block
- クラス宣言の中に
static{...}
という構文を書ける
console.log("Hello")
class C {
static {
console.log("uhyo")
}
}
console.log("world")
5.1.11 型引数を持つクラス
class User<T> {
name: string
#age: number
readonly data: T
constructor(name: string, age: number, data: T){
this.name = name
this.#age = age
this.data = data
}
public isAdult(): boolean {
return this.#age >= 20
}
}
// uhyo は User<string> 型
const uhyo = new User<string>("uhyo", 26, "追加データ")
// data は string 型
const data = uhyo.data
// john は User<{num: number}> 型
const john = new User("John Smith", 15, {num: 123})
// data2 は {num: number} 型
const data2 = john.data
5.2 クラスの型
5.2.1 クラス宣言はインスタンスの型を作る
クラス宣言の特徴
- クラスオブジェクトという値を作るものであると同時に,インスタンスの型を宣言するものである
class User {
name: string = ""
age: number = 0
isAdult(): boolean {
return this.age >= 20
}
}
// uhyo は User 型
const uhyo = new User();
- このように,クラス宣言で User というクラスを作成した場合は同時に同じ名前のUser型も作成される
- クラスのオブジェクトの実体と,そのインスタンスを表す型をセットで作成できるのがクラス宣言の型システム的な特徴
- User 型,すなわち User クラスのインスタンスの特徴は,実際には「string 型のプロパティ name と number 型のプロパティ age を持ち,()=>boolean型 の isAdult メソッドを持つ」
- new User で作られていないオブジェクト(User のインスタンスではないオブジェクト)でもこの特徴を満たすものは User 型として扱うことができる
- クラス宣言に特有の挙動であり,クラス式にはそのような効果はないので注意
5.2.2 new シグネチャによるインスタンス化可視性の表現
class User {
name: string = ""
age: number = 0
}
type MyUserConstructor = new() => User
// User は MyUserConstructor 型を持つ
const MyUser: MyUserConstructor = User
// MyUser は new で使用可能
const u = new MyUser();
// u は User 型を持つ
console.log(u.name, u.age)
5.2.3 instanceof 演算子と型の絞り込み
instanceof 演算子
- 与えられたオブジェクトがあるクラスのインスタンスかどうかを判定
値 instanceof クラスオブジェクト
- 返り値は真偽値
- 値が与え得られたクラスオブジェクトのインスタンスなら
true
,そうでなければfalse
- 値が与え得られたクラスオブジェクトのインスタンスなら
class User {
name: string = ""
age: number = 0
}
const uhyo = new User()
// uhyo は User のインスタンスなので true
console.log(uhyo instanceof User)
// {} は User のインスタンスではないので false
console.log({} instanceof User)
const john: User = {
name: "John Smith",
age: 15
}
// john は User のインスタンスではないので false
console.log(john instanceof User)
- instanceof 演算子は型の絞り込みをサポート
type HasAge = {
age: number
}
class User {
name: string
age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.age = age
}
}
function getPrice(customer: HasAge){
if(customer instanceof User) {
if(customer.name === "uhyo") {
return 0
}
}
return customer.age < 18 ? 1000 : 1800
}
const customer1: HasAge = {age:15}
const customer2: HasAge = {age:40}
const uhyo = new User("uhyo", 26)
console.log(getPrice(customer1)) // 1000
console.log(getPrice(customer2)) // 1800
console.log(getPrice(uhyo)) // 0
5.3 クラスの継承
5.3.1 継承(1) 子は親の機能を受け継ぐ
class クラス名 extends 親クラス {...}
- クラス式 の場合はクラス名が省略できる
class extends 親クラス
class User {
name: string
#age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.#age = age
}
public isAdult(): boolean {
return this.#age >= 20
}
}
class PremiumUser extends User {
rank: number = 1
}
const uhyo = new PremiumUser("uhyo", 26)
console.log(uhyo.rank) // 1
console.log(uhyo.name) // uhyo
console.log(uhyo.isAdult()) // true
5.3.2 継承(2) 親の機能を上書きする
子クラスは親クラスの機能を上書きすることができる
class User {
name: string
#age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.#age = age
}
public isAdult(): boolean {
return this.#age >= 20
}
}
class PremiumUser extends User {
rank: number = 1
// ここでAdultを再宣言
public isAdult(): boolean {
return true
}
}
const john = new User("John Smith", 15)
const taro = new PremiumUser("Taro Yamada", 15)
console.log(john.isAdult()) // false
console.log(taro.isAdult()) // true
- 子クラスのインスタンスは親クラスのインスタンスの部分型でなければいけない
-
PremiumUser
はUser
を拡張したものである以上,User
として利用可能でなければいけない -
User
クラスのisAdult
は() => boolean
型なので,PremiumUser
クラスのisAdult
はこれに一致する
-
また,コンストラクタもオーバーライドすることができる
- その場合は子クラスのコンストラクタの中に super 呼び出しを含める必要がある
class PremiumUser extends User {
rank: number
constructor(name: string, age: number, rank: number) {
super(name, age) // 親クラスのコンストラクタを呼び出すための特別な構文
this.rank = rank
}
}
const uhyo = new PremiumUser("uhyo", 26, 3)
console.log(uhyo.name) // uhyo
console.log(uhyo.rank) // 3
5.3.3 override 修飾子とその威力
class User {
name: string
#age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.#age = age
}
public isAdult(): boolean {
return this.#age >= 20
}
}
class PremiumUser extends User {
rank: number = 1
public override isAdult(): boolean {
return true
}
}
override 修飾子と inImplicitOverride コンパイラオプションにより,「オーバーライドしたつもりができていなかった」あるいは「オーバーライドするつもりがないのにオーバーライドしてしまった」というミスを防ぐことができる
5.3.4 private と protected の動作と使いどころ
protected
- 外部からはアクセスできないが子クラスからはアクセスできるプロパティ・メソッド
- クラスの外(インスタンスを使うだけのプログラム)からはアクセスされたくないが,子クラスがロジックを拡張することを許す場合に適している
- ただし,子クラスによる影響を考えた上で親クラスのロジックを実装する必要がある
private および #
- 子クラスからもアクセスできない
5.3.5 implements キーワードによるクラスの型のチェック
クラスを作成する際には implements キーワードによる追加の型を利用可能
class クラス名 implements 型 {...}
- 継承と併用する場合は extends よりあとに implements を書く
type HasName ={
name: string
}
class User implements HasName {
name: string
#age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name
this.#age = age
}
public isAdult(): boolean {
return this.#age >= 20
}
}
User の定義を変えて User 型から name プロパティを消すと,次のようにコンパイルエラーが発生する
type HasName ={
name: string
}
// エラー:Class 'User' incorrectly implements interface 'HasName'.
// Property 'name' is missing in type 'User' but required in type 'HasName'.
class User implements HasName {
#age: number
constructor(name: string, age: number) {
this.#age = age
}
public isAdult(): boolean {
return this.#age >= 20
}
}
5.4 this
5.4.1 関数の中の this は呼び出し方によって決まる
this
- 基本的には自分自身を表すオブジェクトであり,主にメソッドの中で使用
- this が具体的に何を指すのかは関数の呼び出し方によって決定
メソッド
- オブジェクトのプロパティに入った関数オブジェクト
-
オブジェクト.メソッド名
の形で参照 - この時の
.
の左のオブジェクトがその中(メソッドの中)でのthis
-
5.4.2 アロー関数における this
アロー関数は this を外側の関数から引き継ぐ
- つまり,アロー関数は自分自身の this を持たない
5.4.3 this を操作するメソッド
apply メソッドと call メソッド
- 関数の中での this を指定しつつ関数呼び出しを行う
class User {
name: string
#age: number
constructor (name: string, age: number) {
this.name = name
this.#age = age
}
public isAdult (): boolean {
return this.#age >= 20
}
}
const uhyo = new User('uhyo', 25)
const john = new User('John Smith', 15)
console.log(uhyo.isAdult())
// john を this として,uhyo543.isAdult() を呼び出す
console.log(uhyo.isAdult.apply(john, []))
Reflect.apply
- Reflect はグローバル変数としてあらかじめ用意されているオブジェクト
-
func.apply(obj, args)
<--->Reflect.apply(func, obj, args)
-
uhyo.isAdult.apply(john, [])
<--->Reflect.apply(uhyo.isAdult, john, [])
-
- Reflect.call はない
bind
- もとの関数と同じ処理をするが,this が固定されている新しい関数オブジェクトを作る
-
func.bind(obj)
とした場合,返り値として「呼び出し時の this が obj に固定された func 関数」が得られる
class User { name: string #age: number constructor(name: string, age: number) { this.name = name this.#age = age } public isAdult(): boolean { return this.#age >= 20 } } const uhyo = new User('uhyo', 25) const john = new User('John Smith', 15) // this が uhyo に固定された isAdult const boundlsAdult = uhyo.isAdult.bind(uhyo) console.log(boundlsAdult()) // true console.log(boundlsAdult.call(john)) // this が uhyo なので true
-
5.4.4 関数の中以外の this
トップレベル(他の関数の中ではない場所)
- this は undefined
クラス宣言内
- プロパティ宣言の初期値指定での this は new 時に作られるインスタンス
class A { foo = 123 bar = this.foo + 100 } const obj = new A() console.log(obj.bar) // 223
- メソッドの this は「関数の中の this 」
- 静的プロパティの初期化式の中や静的初期化ブロック(static ブロック)の this はクラスオブジェクトそのもの
class A { static foo = 123 static bar = this.foo * 2 static { console.log('bar is', this.bar) // 'bar is 246' } }
5.5 例外処理
5.5.3 例外処理と大域脱出
大域脱出:その場で実行を中断して別の場所にプログラムの制御を移すこと
- エラーが発生した場合は「上から順番にプログラムを実行する」という挙動を逸脱し,一気に別の場所に制御が移ることになる
- 例外が大域脱出を発生させることで,複数箇所で発生した例外を1箇所で処理できる
6. 高度な型
6.1 ユニオン型とインターセクション型
6.1.1 ユニオン型の基本
ユニオン型
- 型T または 型U という表現ができる
type Animal = { species: string } type Human = { name: string } type User = Animal|Human // このオブジェクトは Animal 型なので User 型に代入可能 const tama: User = { species: "Felis silvestris catus" } // このオブジェクトは Human 型なので User 型に代入可能 const uhyo: User = { name: "uhyo" }
- 存在しないかもしれないプロパティへのアクセスはコンパイルエラーになる
function getName(user: User): string { // エラー:Property 'name' does not exist on type 'User'. // Property 'name' does not exist on type 'Animal'. return user.name }
6.1.2 伝播するユニオン型
必ず存在するプロパティへのアクセス
type Animal = {
species: string
age: string
}
type Human = {
name: string
age: number
}
type User = Animal|Human
const tama: User = {
species: "Felis silvestris catus",
age: "永遠の17歳"
}
const uhyo: User = {
name: "uhyo",
age: 26
}
function showAge(user: User) {
// コンパイルエラーは発生しない
// 型は string | number
const age = user.age
}
6.1.3 インターセクション型とは
インターセクション型
- 型T であり,かつ 型U でもある という表現ができる
- 原義は「かつ」だが,実際には「オブジェクト型を拡張した新しい型を作る」という用途で使われることが多くある
type Animal = { species: string age: number } /* type Human = { species: string age: number name: string } と同義 */ type Human = Animal & { name: string } const tama: Animal = { species: "Felis silvestris catus", age: 3 } const uhyo: Human = { species: "Homo sapiens sapiens", age: 26, name: "uhyo" }
異なるプリミティブ型同士のインターセクション型を作成した場合は never 型が出現
- 簡単にいうと「属する値がない型」
// string でありかつ number である型を作ることは不可能 type StringAndNumber = string & number
6.1.4 ユニオン型とインターセクション型の表裏一体な関係
type Human = {
name: string
}
type Animal = {
species: string
}
function getName(human: Human) {
return human.name
}
function getSpecies(animal: Animal) {
return animal.species
}
// 変数 mysteryFunc には getName が入るかもしれないし getSpecies が入るかもしれない
// このとき,mysteryFunc の型は ((human:Human) => string) | ((animal: Animal) => string) となる
const mysteryFunc = Math.random() < 0.5 ? getName : getSpecies
この時,mysteryFunc は Human を受け取るとは限らないので,Human を渡すことはできないし,同様に Animal を受け取るとも限らないので,Animal を渡すこともできない
- mysteryFunc を呼び出そうとするとエラーが発生
// エラー: Argument of type 'Human' is not assignable to parameter of type 'Human & Animal'. // Property 'species' is missing in type 'Human' but required in type 'Animal'. mysteryFunc(uhyo) // Argument of type 'Human' is not assignable to parameter of type 'Human & Animal'. と書かれていることから,Human & Animal 型を渡してあげれば良い const uhyo: Human & Animal = { species: "Homo sapiens sapiens", name: "uhyo" } // 問題なく呼び出せる const value = mysteryFunc(uhyo) console.log(value)
6.1.5 オプショナルプロパティ再訪
-
age?:number
- age はなくても許される
-
age: number | undefined
- age は undefined でもいいので必ず定義しなければいけない
exactOptionalPropertyTypes
-
有効になっている場合,
age?: number
のようなオプショナルプロパティに明示的にundefined
が代入できなくなる有効時
age?: number age?: number | undefined age: number | undefined age: 123 ✅ ✅ ✅ age: undefined ✅ ✅ ✅ 省略 ✅ ✅ ❌ 無効時
age?: number age?: number | undefined age: number | undefined age: 123 ✅ ✅ ✅ age: undefined ❌ ✅ ✅ 省略 ✅ ✅ ❌
6.1.6 オプショナルチェイニングによるプロパティアクセス
オプショナルチェイニング
- プロパティアクセスの亜種
-
onj.prop
の代わりにobj?.prop
と書く - アクセスされるオブジェクトが null や undefined でも使用できる
6.2 リテラル型
6.2.1 4種類のリテラル型
リテラル型 = プリミティブ型をさらに細分化した型
type FooString = "foo" // これは "foo" という文字列のみが属するリテラル型
const foo: FooString = "foo" // これは OK
const bar: FooString = "bar" // エラー: Type "bar" is not assignable to type "foo".
// 文字列のリテラル型
// 変数名 リテラル型 値
const foo: "foo" = "foo"
// 数値のリテラル型
const one: 1 = 1
// 真偽値のリテラル型
const t: true = true
// BigInt のリテラル型
const three: 3n = 3n
6.2.2 テンプレートリテラル型
テンプレートリテラル型はバッククオートで囲まれたテンプレート文字列リテラルのような構文を持つ
- ただし,
${}
の中に入るのは式ではなく型-
Hello ${string}!
のstring
は型を指す
-
function getHelloStr(): `Hello, ${string}!` {
const rand = Math.random()
if (rand < 0.3) {
return "Hello, world!"
} else if (rand < 0.6) {
return "Hello, my world!"
}else if (rand < 0.9) {
// エラー: Type "Hello, world" is not assignable to type '`Hello, ${string}!`'
return "Hello, world"
} else {
// エラー: Type "Hell, world" is not assignable to type '`Hello, ${string}!`'
return "Hell, world!"
}
}
6.2.3 ユニオン型とリテラル型を組み合わせて使うケース
TypeScript における頻出パターン
- リテラル型のユニオン型を作る
- enum に近いのか?
function signNumber(type: "plus" | "minus") { return type === "plus" ? 1 : -1 } console.log(signNumber("plus")) console.log(signNumber("minus")) // エラー: Argument of type "uhyo" is not assignable to parameter of type "plus" | "minus". console.log(signNumber("uhyo"))
参考
6.2.4 リテラル型の widening
リテラル型が自動的に,対応するプリミティブ型に変化する(広げられる)という挙動
- 式としてのリテラルが let で宣言された変数に代入されたとき
// 変数 uhyo1 は "uhyo" 型 const uhyo1 = "uhyo" // 変数 uhyo2 は string 型 let uhyo2 = "uhyo"
- そもそも,変数の型が型推論によって決められる場合,その変数の型は変数の初期化子( = の右側の式)になる
- 変数が const で宣言された場合はこれが採用
- let で宣言された場合は,「変数の方がリテラル型に推論されそうなプリミティブ型に変換する」という処理が行われる
- リテラル型の widening
- let で宣言された変数は後で再代入がされることが期待されるため
- そもそも,変数の型が型推論によって決められる場合,その変数の型は変数の初期化子( = の右側の式)になる
- オブジェクトリテラルの中
const uhyo = { name: "uhyo", age: 26 }
- 実際に name プロパティに入っているのは "uhyo",age プロパティに入っているのは 26 にも関わらず,型は
{name: string, age: number}
- オブジェクトリテラルの型が推論されるとき,各プロパティの型がリテラル型となる場合は widening される
- let の変数と同様に後から書き換えが可能であるため
- 実際に name プロパティに入っているのは "uhyo",age プロパティに入っているのは 26 にも関わらず,型は
6.2.5 widening されるリテラル型・ widening されないリテラル型
widening されるリテラル型
- 式としてのリテラルに対して型推論されたもの
widening されないリテラル型
- プログラマが明示的に書いたもの
// これは widening される "uhyo" 型
const uhyo1 = "uhyo"
// これは widening されない "uhyo" 型
const uhyo2: "uhyo" = "uhyo"
// これは string 型
let uhyo3 = uhyo1
// これは uhyo 型
let uhyo4 = uhyo2
6.3 型の絞り込み
6.3.3 代数的データ型をユニオン型で再現するテクニック
代数的データ型(algebraic data types; ADT)
- いくつかの種類に分類されるデータを表すための型・データ構造
- タグ付きユニオン,直和型といった別名がある
6.4 keyof 型・ lookup 型
6.4.1 lookup 型とは
lookup 型
-
T[K]
という構文をもつ型- 多くの場合,
T
はオブジェクト型,K
は文字列のリテラル型が用いられる
- 多くの場合,
-
T
というオブジェクト型が持つK
というプロパティの型
6.4.2 keyof 型とは
- 型から別の方を作ることができる機能
-
keyof typeof T
という使い方が可能const mmConversionTable = { mm: 1, m: 1e3, km: 1e6 } // typeof mmConversionTable -> {mm:number; m:number; km:number} // keyof typeof mmConversionTable -> mm | m | km function convertUnits (value: number, unit: keyof typeof mmConversionTable): typeof mmConversionTable { const mmValue = value * mmConversionTable[unit] return { mm: mmValue, m: mmValue / 1e3, km: mmValue / 1e6 } } console.log(convertUnits(5600, 'm')) // {"mm":5600000, "m":5600, "km":5.6}
6.4.3 keyof 型・ lookup 型とジェネエリクス
typeof は型変数(型引数のように具体的な中身がわからない型)と組み合わせて使うことができる
function get<T, K extends keyof T> (obj: T, key: K): T[K] {
return obj[key]
}
interface Human643 {
name: string
age: number
}
const uhyo643: Human643 = {
name: 'uhyo',
age: 26
}
// uhyoName は string 型
const uhyoName = get(uhyo643, 'name')
// uhyoAge は number 型
const uhyoAge = get(uhyo643, 'age')
6.5 as による型アサーション
型アサーションの使用はできるだけ避けるべき
- TypeScript が保証してくれる型安全性を意図的に破壊する機能であるため
- ただし,TypeScript の型推論も完璧ではないためこの機能が存在する
6.5.1 型アサーションを用いて式の型をごまかす
型アサーション
-
式 as 型
という構文 - その式の形を強制的に変えるという意味
よろしくない例
function getFirstLetters(strOrNum: string | number) {
const str = strOrNum as string // コンパイラ上の型を強制的に変化させる
return str.slice(0,5)
}
// uhyoh と表示される
console.log(getFirstLetters("uhyohyohyo"))
// ランタイムエラーが発生
console.log(getFirstLetters(123))
良い例
type Animal = {
tag: "animal"
species: string
}
type Human = {
tag: "human"
name: string
}
type User = Animal | Human
function getNamesIfAllHuman(users: readonly User[]): string[] | undefined {
if(users.every(user => user.tag === "human")) {
// この if 文の中での user は Human 型であることは確定しているので強制的に Human 型に変更
return (users as Human[]).map(user => user.name)
}
return undefined
}
6.5.2 as const の用法
as const
-
式 as const
という構文 - 型アサーションの 型 の部分が
const
に変わった形だが,これは型アサーションのように危険な機能ではない
式 as const
の「式」の型推論に対して及ぼす効果
- 配列リテラルの型推論結果を配列型ではなくタプル型にする
- オブジェクトリテラルから推論されるオブジェクト型は全てのプロパティが readonly になり,配列リテラルから推論されるタプル型も readonly タプル型になる
- 文字列・数値・BigInt・真偽値リテラルに対してつけられるリテラル型が widening しないリテラル型になる
- テンプレート文字列リテラルの型が string ではなくテンプレートリテラル型になる
// string[] 型
const names1 = ["uhyo", "John", "Taro"]
// readonly ["uhyo", "John", "Taro"] 型
const names2 = ["uhyo", "John", "Taro"] as const
6.6 any 型と unknown 型
6.6.1 any 型という最終兵器
any 型
- 型チェックを無効化する型
- TypeScript において最凶の危険性を誇る機能
- "正しく"使う難易度は型アサーションよりもさらに上
- IDE での補完サポートも効かなくなる
function doWhatever(obj: any) {
// 好きなプロパティにアクセスできる
console.log(obj.user.name)
// 関数呼び出しもできる
obj()
// 計算もできる
const result = obj * 10
return result
}
// 全部コンパイルエラーが発生しないがランタイムエラーになる
doWhatever(3)
doWhatever({
user:{
name: "uhyo"
}
})
doWhatever(()=>{
console.log("hi")
})
6.6.2 any 型の存在理由
any 型が用意されている理由
- JavaScript から TypeScript への移行を支援するため
- 型をうまく表現できない場合のエスケープハッチとしての機能を持つため
6.6.3 any に近いが安全な unknown 型
unknown 型 = なんでもいれられる型
- any 型は使う際に一切型チェックが行われず,なんでもできるように振る舞う一方,unknown 型の場合は正体が全く不明であるため,できることが制限される
- 型の絞り込みをおこなって使うようにする
function useUnknown(val: unknown) { if(typeof val === 'string') { // 型の絞り込みにより,ここでは val は string 型となる console.log("val は文字列型です") console.log(val.slice(0,5)) } else { console.log("val は文字列型以外の何かです") console.log(val) } }
7. TypeScript のモジュールシステム
7.1 import 宣言と export 宣言
export 宣言
- 他のモジュールにデータ提供
import 宣言 - 他のモジュールからデータを受け取る
7.1.1 変数のエクスポートとインポート
モジュール内のトップレベルでの変数宣言の前に export
と書くことによってその変数はエクスポートされるようになる
7.2 Node.js のモジュールシステム
7.2.1 Node.js の組み込みモジュール
組み込みモジュール
- Node.js に最初から備わっているモジュール
- 事前準備なしに import することができる
- import の際に from の後が
./
や../
から始まらず,いきなりモジュール名を書く
- import の際に from の後が
7.2.2 npm とは
npm
- Node.js 向けのパッケージマネージャ
- Node.js に同梱されており,Node.js をインストールすると npm も付属してインストールされる
- npm の代替ツール
- yarn
- pnpm
- 組み込みモジュールと同様,import の際に from の後が
./
や../
から始まらず,いきなりモジュール名を書く
8. 非同期処理
8.1 非同期処理とは
非同期処理
- 裏で行われる処理
- 時間がかかる場合が多い
8.1.1 "時間がかかる処理"としての非同期処理
時間がかかる処理
- 通信
- ファイルの読み書き
- アプリケーションサーバを書く場合
- 他のサーバの処理を待つ必要がある場合もある(例:DB にアクセスする場合)
上記はいずれも非同期処理として表現される
8.1.2 シングルスレッドモデル・ノンブロッキング
- ブロッキング
- その処理の実行が完了するまではプログラムはそこで停止するような処理
- TypeScript の実行モデルはシングルスレッドであるため、これは歓迎されない
- シングルスレッド:プログラムの複数箇所が同時(並列)に実行されることはない
- ノンブロッキング
- TypeScript の非同期処理はこちら
8.2 コールバックによる非同期処理の違い
8.2.1 コールバック関数とは
コールバック関数
- 非同期処理が終わったときに呼び出される関数
- 非同期処理を実行する関数 = 非同期処理の実行を開始する関数
- 使用する場合、非同期処理の実行開始時に「終了したら呼び出される関数」を登録しておく
8.2.4 同期処理と非同期処理の順序
同期的に実行中のプログラムに非同期処理が割り込むことはない
8.3 Promise を使う
非同期処理においては、「終わった後に何をするか」を表す関数が不可欠
- コールバック関数ベースの非同期処理の場合は、非同期処理を開始する関数(setTimeout や readFile など)に直接これをコールバック関数として渡す
- Promise ベースの非同期処理では、関数を受け取らず、Promise オブジェクトを返す
- Promise オブジェクトに対して、終わった後に行う処理を表す関数を登録する
8.3.1 Promise 版の fs を使ってみる
「非同期処理そのもの」を表す抽象的なオブジェクトが用意されたメリット
- 非同期処理を行う関数なら、どんな関数でも「Promise オブジェクトを返す」という点で共通しており、結果も「Promise の解決」という共通の機構を通して伝えられる
- コールバック関数を直接わたす形式ではコールバック関数の形にバリエーションがあるため、使いたい API ごとにどのようにコールバック関数を渡すのか調べる必要がある
8.3.2 コールバック関数の登録とエラー処理(1)
catch に渡される引数の型は any 型になっている
- 6.6 any 型と unknown 型で解説したように any 型は危険なので unknown と注釈をつけた方が良い(本来は unknown 型にするべきだが、歴史的経緯で any 型になっている)
import { readFile } from 'fs/promises' const p = readFile('foo.txt', 'utf8') p.then((result) => { console.log('成功', result) },(error: unknown) => { console.log('失敗', error) })
8.3.5 Promise の静的メソッド(1)
Promise.resolve
- 与えられた引数を結果として即座に成功する Promise オブジェクトを作るためのメソッド
Promise.reject
- 与えられた引数を結果として即座に失敗する Promise オブジェクトを作るためのメソッド
8.3.6 Promise の静的メソッド(2)
Promise.all
- Promise オブジェクトの配列を引数として受け取り、「それらが全て成功したら成功となる Promise オブジェクト」を作って返す
- どれか1つでも失敗した場合、 Promise.all が返した Promise もその時点で失敗する
- 失敗の結果は最初に失敗した Promise の Error オブジェクトがそのまま引き継がれる
- 複数の非同期処理を並行して行いたい場合に適している
import { readFile } from 'fs/promises' const pFoo = readFile('foo.txt', 'utf8') const pBar = readFile('bar.txt', 'utf8') const pBaz = readFile('baz.txt', 'utf8') const p = Promise.all([pFoo, pBar, pBaz]) p.then((results) => { console.log('foo.txt', results[0]) console.log('bar.txt', results[1]) console.log('baz.txt', results[2]) })
Promise.race
- Promise.all と同じように Promise の配列を受け取る
- それらのうち、最も早く成功または失敗したものの結果を、全体(Promise.race が返した Promise の)結果とする
8.3.7 Promise の静的メソッド(3)
Promise.allSettled
- Promise の配列を受け取り、新しい Promise を返す
- 返り値の Promise は渡された全ての
Promise が解決(成功または失敗)したら成となる
- 返り値の Promise は渡された全ての
- 渡された Promise のいずれかが失敗した場合、Promise.all の返す Promise は即座に失敗になるが、Promise.allSettled はすべての結果が出るまで待つ
Promise.any
- Promise の配列を受け取り、新しい Promise を返す
- 渡された Promise のうちいずれかが成功した時点で Promise.any の結果の Promise も成功となる
- 渡された Promise のいずれかが失敗した場合、Promise.race は即座に失敗になるが、Promise.any は他の Promise の成功を待つ
- つまり、Promise.race は成功も失敗も含めて一番早く結果が出たものに従う一方で、Promise.any は成功したもののうちで一番早いものが結果になる
8.3.10 Promise チェーン(3) エラーの扱い
コールバック関数の中でエラーを発生させると Promise の失敗を引き起こせる
8.3.11 dynamic import 構文
import("モジュール名")
という関数呼びだしのような構文で、指定されたモジュールを非同期的に読み込むことができる
8.4 async / await 構文
8.4.1 async 関数を作ってみる
async function get3(): Promise<number> {
return 3
}
- async 関数の返り値は必ず Promise になる
8.4.2 await 式も使っている
await 式は async 関数の中で使える構文
- 与えられた Promise の結果が出るまで待つ
const sleep = (duration: number) => {
return new Promise<void>((resolve) => {
setTimeout(resolve, duration)
})
}
async function get3(){
await sleep(1000)
return 3
}
const p = get3()
p.then(num => {
console.log(`num is ${num}`)
})
8.4.4 await とエラー処理
await p
のようにして Promise p
を待っているときにこの p が失敗したら、await 式で例外が発生したという扱いになる
-
await p
という式は p が成功した場合は p の結果を返り値とする一方で、p が失敗した場合はその結果を例外として発生させる
8.4.5 async 関数のいろいろな宣言方法
async function 式の例
const main = async function() {
const fooContent = await readFile('foo.txt', 'utf8')
// 2倍にして bar.txt に書き込む
await writeFile('bar.txt', fooContent + fooContent)
console.log('書き込み完了しました')
}
async アロー関数式の例
const main = async() => {
const fooContent = await readFile('foo.txt', 'utf8')
// 2倍にして bar.txt に書き込む
await writeFile('bar.txt', fooContent + fooContent)
console.log('書き込み完了しました')
}
async メソッド記法
const obj = {
// 普通のメソッド
normalMethod() {
// (略)
},
// async 関数のメソッド
async asyncMethod() {
// (略)
}
}