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標数0の代数閉体係数のPuiseux級数体は代数閉体であることの証明ノート

JanosJanos

表記として

  • \mathbb{k} をchar 0の代数閉体
  • \mathrm{K} = \mathbb{k}\{\!\!\{t\}\!\!\} をPuiseux級数体

とする

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代数的閉であることを示したいので
任意の多項式 \displaystyle F = \sum_{i=0}^{n} c_{i} x^{i} \in \mathrm{K}[x] に対して、その根 y \in \mathrm{K} の存在を示す必要がある.

アルゴリズムで具体的に t のべきをどんどん高い方へ計算して y を構成しよう.

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このとき \displaystyle F = \sum_{i=0}^{n} c_{i} x^{i} \in \mathrm{K}[x] は以下の4点を満たすと仮定してもよい

  1. 0 \leq \forall i \leq n に対して \mathrm{val}(c_{i}) \ge 0
  2. 0 \leq \exists j \leq n, \mathrm{val}(c_{j}) = 0
  3. c_{0} \neq 0
  4. \mathrm{val}(c_{0}) \gt 0
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F_{0} = F とおき、帰納的に多項式の列 \displaystyle F_{l} = \sum_{i=0}^{n} c_{i}^{l} x^{i} \in \mathrm{K}[x] を構成する.

F_{l} は上の1 ~ 4の仮定を満たしているとする.

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Newton図形を集合

\{\ (i, j) \in \mathbb{N}^{2}\ |\ \exists k \le i,\ \mathrm{val}(c_{k}^{l}) \le j\ \}

\mathbb{R}^{2}の凸包として定義する.

これはNewton多角形と第1象限のMinkowski和であることに注意.

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Newton図形は、頂点 (0, \mathrm{val}(c_{0}^{l})) とある頂点 (k_{l}, \mathrm{val}(c_{k_{l}}^{l})) を結ぶ負の傾きの辺をもつ.
(ここで仮定2 & 4が効いているはず)

その傾きは符号を除いて

w_{l} = \frac{\mathrm{val}(c_{0}^{l}) - \mathrm{val}(c_{k_{l}}^{l})}{k_{l}}

である.

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F_{l+1} を定義しよう.

f_{l}t^{- \mathrm{val}(c_{0}^{l})} F_{l} (t^{w_{l}}x) \in K[x]\mathbb{k}[x] における像とする.
f_{l} は次数 k_{l} で定数項は 0 でない.

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\mathbb{k} は代数閉体であるから、その根 \lambda_{l} が存在して重複度 r_{l+1}とすると

f_{l}(x) = (x - \lambda_{l})^{r_{l+1}} g_{l}(x)

と書ける.(ここで g_{l}(\lambda_{l}) \neq 0)

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このとき

F_{l+1}(x) = \sum_{j=0}^{n} c_{j}^{l+1}x^{j} := t^{- \mathrm{val}(c_{0}^{l})} F_{l} (t^{w_{l}} (x + \lambda_{l}))

とおく.この多項式 F_{l+1}(x) の各係数 c_{j}^{l+1} は以下の等式で与えられる:

c_{j}^{l+1} = \sum_{i=j}^{n} c_{i}^{l} t^{iw_{l}- \mathrm{val}(c_{0}^{l})} \dbinom{i}{j} \lambda_{l}^{i-j}
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この c_{j}^{l+1} \in K の剰余体 \mathbb{k} における像は

\overline{c_{j}^{l+1}} = \frac{1}{j!} \frac{\partial^j f_{l}}{\partial x^j} (\lambda_{l})

に等しい.(これは単に多項式を微分すれば得られる)

\lambda_{l}f_{l}の重複度 r_{l+1} の根なので

  • 0 \le j < r_{l+1} のとき \overline{c_{j}^{l+1}} = 0,よって \mathrm{val}(c_{j}^{l+1}) > 0
  • j = r_{l+1} のとき \overline{c_{j}^{l+1}} \ne 0,よって \mathrm{val}(c_{j}^{l+1}) = 0

ここで \mathrm{char}(\mathbb{k}) = 0 を使っている.

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もし c_{0}^{l+1} = 0 ならば x = 0F_{l+1} の根で,\lambda_{l}t^{w_{l}}F_{l} の根である.
これを続けて次数を下げていくと \sum_{j=0}^{l} \lambda_{j} t^{w_{0} + ... + w_{j}}F_{0} = F の根となり,
言わんとしていた主張を得る.

そこで c_{0}^{l+1} \ne 0 と仮定して F_{l+1}上の条件1 ~ 4 を満たすとする.