【Roblox】メッシュアバターアイテムを制作する
初めに
このページでは、Roblox内で使用・販売できるアバターアイテムのうち、MayaやBlender等、外部3Dモデリングツールを使って制作するメッシュ型アバターアイテムの制作解説を行います。
また、定番アイテム(テンプレートへの描きこみのみで実装が可能なアバターアイテム)については別記事にて解説します。
Robloxバージョン:0.625.0.6250509
制作の流れ
メッシュアバターアイテムについては以下の流れで制作することができます。
1.アバターアイテムデザイン
2.3D制作ソフトでのモデル制作(モデリング~テクスチャまで)
3.インナーケージ・アウターケージの設定
4.リグ確認
5.エクスポート
6.Roblox内へのインポート
7.アクセサリ装着ツールを使用し、アクセサリ化する
このうち、Roblox特有の操作が含まれるのは3以降の過程です。
今回はこちらを重点的に解説します。
アバターアイテムデザイン
任意のデザインソフトを使用してアバターアイテムをデザインします。
今回は制作した海賊のコスチュームを例に用いて解説を進めていきます。
【今回制作するアバターアイテムのデザイン(トップスのみ解説)】
3D制作ソフトでのモデル制作
Maya・Blenderなどを用いてモデルを制作します。
洋服アイテムに関してはRoblox公式がモデルデータを配布しています。
モデルデータを使わなくても制作することは可能ですが、後の工程であるケージングが楽になるため、このデータを使っての制作をお勧めします。
(モデルデータ:下記から
「Additional-FBX-assets.zip」 をDL)
「Additional-FBX-assets.zip」には様々な形状の服モデルが、のちに使用するケージデータやリグデータとともに入っています。
【長Tシャツをインポートした時の例】
Additional-FBX-assetsの中で、制作したいデザインと似た形状のものを見つけて改変してゆくことが一番簡単なやり方だと思われますが、今回はデザインと似た形状のものが見つからなかったため、InnerCageのデータからフェースを複製して服を制作しています。
服アイテムを制作する際のポイント
・1つのメッシュで制作する
Robloxの仕様上、1アイテム1メッシュでしかアバターアイテムとして登録できません。
パーツを分けて制作した場合も、最終的に1メッシュに結合するようにしてください。
・InnerCageの人型モデルに着せるような形で制作する
・ポリゴン数は4000以下にする
Robloxの公式ページに、1アイテム4000ポリゴン以下で制作することとの記載がり
必ず守って制作してください。
4000ポリゴン以上になっているとストアにアップロードする際に弾かれます。
・マテリアルは設定しない
Robloxに外部ツールで設定したマテリアルを割り当てることが現状できない
(設定した状態でRobloxに読み込もうとするとRoblox Studioが強制終了します)
以上のポイントに気を付けつつ、今回制作した服モデルが以下になります。
【制作したモデル(人型で表示されているのがInnerCage)】
またRobloxにインポートする際、psd形式ではテクスチャが読み込めないため、テクスチャごとアップロードする際はpng等画像データで設定しておかないとエラーが出ます。
ケージの設定
ケージ概要
Robloxのアバターアイテムにはケージ(Cage)という概念が存在します。
ケージにはインナーケージ(InnerCage)とアウターケージ(OuterCage)の2種類があり、それぞれ衣服の内側と外側を設定しています。
Roblox上には様々なアバターがありますが、このケージが伸縮することにより、その間に挟まれた衣服メッシュも伸縮するという仕様になっています。
また、アバターアイテムを重ね着する際にも、下のアイテムのアウターケージ基準で重ねる服をケージ伸縮させる仕様となっているようです。
適切にアバターに合わせてアバターアイテムを伸縮させるために、ケージの設定を行う必要があります。
ここではそのやり方について解説します。
インナーケージ
インナーケージでは、アバターアイテムの内側を設定します。
モデリング段階でRobloxの配布データから改変したり、インナーケージから複製して服を制作した場合は、インナーケージが自動的に内側となっているためインナーケージの設定は特に必要ありません。
アウターケージ
アウターケージは、アバターアイテムの外側を設定します。
スカルプトツールや頂点編集を使い、服の外枠を覆うように設定する必要があります。
アウターケージを設定する際のポイント
・変形させすぎない
アウターケージはアバターに合わせて伸縮するため、あまりにも飛び出した形にしてしまうと意図しない伸縮をする可能性があります。あくまで外側をざっくり覆うような形にするとよいです。
・重ね着を考慮して設定する
アバターアイテムの重ね着をする際には下の服のアウターケージ基準で服が伸縮します。そのため、アバターアイテムがアウターケージ外にある部分は、重ね着した際に貫通する可能性があります(重ね着する服の厚さにもよります)。
今回の場合では、外枠だけ覆うと袖口のフリルと胸のジャボ部分が貫通する可能性があります。
アウターケージをフリルやジャボを覆うように膨らませると貫通は回避できますが、重ね着した服が不自然に膨れて見える可能性があります。
重ね着との兼ね合いを考えながらアウターケージを設定することが重要です。
(Roblox公式やその他解説サイトでは、外枠だけを覆うことを推奨しています)
参考:アウターケージとRoblox上での見え方
【衣装の外枠のみ覆ったアウターケージ】
【衣装の全てを覆ったアウターケージ】
【正面から見た例】
※ジャボの歪みはウェイトで修正可
【正面から見た例】
【別のアバターアイテムを重ね着した例】
シルエットの見え方は自然ですが、
ジャボ部分がパーカーに貫通して見えています
【別のアバターアイテムを重ね着した例】
貫通はありませんが、
袖部分が大きく膨らんでいます
【斜めでの見え方】
【斜めでの見え方】
胸部分が膨らんでいます
リグ確認
ボーンを制作したアバターアイテムにバインドし、アニメーションをした際のアバターアイテムに不自然な動きがないか確認します。
個人的な体感の話になりますが、大きなスカートのようなものでない限り、Roblox上でデフォルトの動き(歩き、走り、ジャンプ)をさせる範囲内では大きな崩れが発生することは少なかったです。
またここで確認しなくとも、Roblox上でインポートする際に軽くアニメーションさせて動きを確認することもできます。
そのため、他の関節との干渉が起こりにくい単純な形状のTシャツ、半ズボンや、初めてRobloxでアバターアイテムを制作するようなテスト制作などでは、リグ確認は飛ばしてもいいかもしれません。
一度インポートしてみて、問題があった場合にウェイト調整でこの段階に戻ってくる方が自然な流れになるかと思われます。
【リグ確認中のデータ】
エクスポート
制作したデータはFBX形式で書き出します。
データ書き出しの際のポイント
・3Dモデル、インナーケージとアウターケージ、ボーンをエクスポートすること
・ボーンがインナーケージ・アウターケージ・3Dモデルにバインドされていること
これがされていないとうまく伸縮・アニメーションしません
・3Dモデル・インナーケージ・アウターケージの名称が一致していること
モデルの名前が「Tops」だった場合:
インナーケージは「Tops_InnerCage」
アウターケージは「Tops_OuterCage」
の名称になっていないとRoblox上でうまく認識しません。
今回はシャツの名前を「PirateTops」とし、それぞれのケージを「PirateTops_InnerCage」「PirateTops_OuterCage」としています。
制作したモデルに特に不備がない限りは、外部3Dソフトを使用するのはここまでとなります。
次項からはRoblox Studioを使用した過程になります。
Roblox内へのインポート
Roblox Studioへの移動後は、モデルをまず通常の3Dモデルとして読み込み、それからRoblox内のツールを使ってアクセサリーやアバターアイテム専用の設定をする流れになります。
Robloxで適当なプレースを作成し、「アバター」タブの「3Dをインポート」から、先ほど出力したFBXのデータを選択します。
【「3Dをインポート」を選択】
モデルを読み込むと、以下のようなウィンドウが開きます。
【モデル読み込み時のウィンドウーファイル全般メニュー】
【モデル読み込み時のウィンドウーオブジェクト全般メニュー】
この段階でウィンドウが開かず、Roblox Studioが強制終了する場合は、モデルのデータにマテリアルが設定されていることが原因の可能性があります。
テクスチャの指定はRoblox内からでもできるため、マテリアルを完全に外してインポートするなどの方法を試してみてください。
アバターアイテムをインポートする際の重要な設定
【ファイル全般】
・Robloxにアップロード
アイテムをRobloxのサーバー上にもアップロードします。一度アップロードすると削除・データの差し替えができない為、最終データ以外はチェックを外すことを推奨します。
・ケージを使用
ここが外れているとケージを認識しなくなります。
デフォルトでオンになっているので、これが外れていないか確認してください。
【オブジェクト全般】
・多角形の数
ここに書かれているものがポリゴン数になります。
特に設定するものはありませんが、4000ポリゴン以上になっているとアバターアイテムとして販売ができなくなるため、チェックしておいてください。
・頂点の色を無視
Robloxの公式配布データには頂点カラーが含まれています。モデリング段階で特に削除・意図的な頂点カラーの使用などがない場合は、ここから頂点カラーを消してインポートすることができます。
インポート設定が完了したら、右下の「インポートする」ボタンを押します。
【インポート完了メッセージ】
今回はモデルのみをインポートしたため、インポート後にRoblox上でテクスチャを適用しました。
【インポートし、テクスチャを反映したモデル】
アクセサリ装着ツールを使用し、アクセサリ化する
読み込んだ3Dモデルを、Roblox内でアバターアイテムとして使用できるように変換します。
変換には、Roblox内ツールの「アクセサリ装着ツール」を使います。
「アバター」タブの「アクセサリ装着ツール」を選択します。
【「アクセサリ装着ツール」を選択】
選択するとアクセサリ装着ツールが別ウィンドウで開きます。
ツールのテキストに従い、先ほど読み込んだアバターアイテムのモデルをクリックします。
パーツ欄にモデルの名前が表示されたら、「次へ」を押します。
【アクセサリ装着ツールのウィンドウ】
「次へ」を押すと、アセットタイプを選択する画面に移ります。
今回は衣服を制作したので、「衣装」ボタンにチェックを入れ、アバターアイテムのタイプを選択します。
プルダウンを押すと様々なタイプ名が出てきます。今回は「シャツ」を選択しました。
(Robloxのアイテムのタイプ分けは割とざっくりなので、近い形状のものを選べば問題ありません)
アバターアイテムをマーケット上で販売する場合は、ここで選択したタイプ欄にアイテムが並ぶと思われます。(2024/06/25時点では未検証)
【アセットタイプ選択画面】
アセットタイプ選択が終わると、アバターアイテムの見え方確認画面に移ります。
ここでは様々な形状のアバターや、衣装、アニメーションを適用した状態でのアバターアイテムの見え方をテストすることができます。
テストをし、アバターアイテムに問題がなければ、「MeshPartアクセサリを作成」ボタンを押します。
【アバターアイテムの見え方確認画面】
以下のように表示されれば、アクセサリ変換は完了となります。
【アクセサリ変換完了画面】
変換が完了すると、アバターアイテムのアイコンがオブジェクトアイコンからアクセサリアイコンに変わっていることが確認できます。
【アクセサリ変換後(上)・変換前(下)】
変換が完了したアバターアイテムは、アバターの子にすることで装備させることができます。
【1種類のアバターに装備させ、アニメーションで動かしている図】
まとめ
・3D制作ソフトを使用して、Roblox公式ページからDLしてきたケージ入りのモデルデータを元に作成する。
・作成したモデルの内側に「インナーケージ」を、外側を覆うように「アウターケージ」の形状を調整する。
・Robloxへ作成したモデルをインポートし、アクセサリ装着ツールを使用し、アクセサリ化する。
アバターアイテムの制作解説は以上です。
ここまでご愛読ありがとうございました。
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