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PREP法〜提案や報告をわかりやすく伝えるための技術

2021/12/25に公開

はじめに

PREP法は文章構成フレームワークの一つで、これを利用することにより簡潔でわかりやすい文章を書いたり、相手が納得してくれるような説明や提案をいやすくすることができます。

例えば、伝わりにくい文章として以下のようなものがあります。

  • 伝えたい結論が不明確
  • 理由や根拠が不明確
  • 話が横道にそれている
  • 余分な情報が多い

これらはPREP法を用いることで改善することができます。今回はそのPREP法について説明したいと思います。

1.PREP法とは

PREP法は文章を下記の4つの流れで構成します。

  • Point 結論
  • Reason 理由
  • Example 具体例
  • Point 結論

1.1 Point 結論

まず最初に結論を伝えます。最初に結論を伝えることで、これから話す内容のゴールや目的を相手にイメージしてもらうことができるので、その後の話が伝わりやすくなります。

この「最初に結論を伝える」ことは非常に重要です。話を聞く方は「結論」を非常に気にしています。結論がない状態で理由や具体例などの詳細を説明されても、結論が気になって話が伝わりにくくなります。また要点もつかみにくくなるため、「何の話をしているのか」がわかりにくくなります。

PREP法は最初に結論を伝えるので、このような問題を防ぐことができます。

1.2 Reason 理由

次に、その結論に至った理由を説明します。

結論を伝えた後に理由を伝えるため、話が別の方向にそれることを防ぐことができます。またこの後に具体例を説明するように切り分けしているため、理由については簡潔に説明することが重要です。

理由を簡潔に記載し、次の具体例につなげることがポイントです。

1.3 Example 具体例

記載した理由を補うための具体例を説明します。

具体例の部分は長くなりがちなのですが、すでに結論と理由を伝えているので、ここが多少長くなっても全体的に読みにくくならないと言うメリットがあります。逆に最初から具体例を示されると、話の本題がわからないんので余裕を持って聞くことが難しくなります。

結論・理由を記載してから具体例を説明するPREP法であれば、具体例を余裕を持って理解することができます。

1.4 Point 結論

そして最後に、もう一度結論を書きます。話が具体例で終わってしまうと、「結局なんの話しをしたかったのか」がつかめないまま終わってしまうことが多くなります。

最後にもう一度結論を伝えることで、論点を整理することができます。

最初の結論部分を繰り返してもよいのですが、話のまとめや今後のアクションなど別の角度から整理するのも効果的です。

2.PREP法の使いみち

PREP法の使いみちとして、今回は以下の4つの例をご紹介します。

  • 提案
  • 報告
  • 依頼
  • 質問

2.1 提案

PREP法が最も効力を発揮するのは、提案を行うときです。理由や具体例を添えて順序立てて説明できるので、提案内容がわかりやすく、説得力が出るようになります。

以下の例は、新しいツール(Trello)の提案をPREP法によりまとめたものです。

■ 結論
今回、新しくTrelloを導入したいと考えております。内容をご確認いただき、問題がなければ導入許可をいただけますでしょうか。

■ 理由
Trelloはタスク管理ツールの一種で、タスクをボードという形で見やすく管理することができます。
現在、弊社ではプロジェクトの進捗管理に利用する時間が全体の20%を締めております。Trelloを導入することでその工数の削減に貢献できると考え、ご提案させていただきました。

■ 具体例
進捗管理に時間がかかる理由を社員にヒアリングしてみました。結果、現行のプロジェクト管理ツールに下記の問題点があり、それが時間超過につながっていることがわかりました。

進捗状況や対応者がひと目でわかりにくいため、進捗会議前に毎回膨大な準備時間が必要になる。
タスクの追加や優先度変更に手間がかかるため、進捗会議後も整理の時間がかかる
Trelloは各タスクを「未着手、対応中、完了」のようなステータスに分けてボードで表示でしたり、担当者をアイコン付きで表示したりといったことができます。そのため、進捗会議の準備の時間も不要となり、会議中にボードを見ながらみんなで状況を整理するだけですみます。ステータス変更もその場で対応できますので、事前準備や会議中に時間を取られる比率が下がります。
また、タスクの追加や優先度変更もほんの数秒でできるので、進捗会議中に追加タスクや優先度変更が発生してもその場で修正できます。これにより、会議後に時間を取られる比率も下げることができます。

■ 結論
以上の点から、今回Trelloの導入をさせていただきたいと考えます。内容に問題がなければ導入を進めさせていただきますので、恐れ入りますが1週間以内を目処に導入可否をご検討いただけますでしょうか。

まず最初の結論で、今回はTrello導入の提案であることと、そのための許可を得たいことを伝えました。それにより聞く人は「Trelloについて説明しようとしていて、許可を出せるかどうか考えながら聞けば良いんだな」というのがわかります。

次に理由説明ですが、まずTrelloがどういうものなのかを簡単に説明した上で、現在抱えている問題点と、それがTrelloで解決できることが提案の理由であることを記載しています。その結果、「現状のこういう問題解決のためにTrelloを導入したいのか」と言うことが伝わります。

さらに具体例として、実際に問題の起きている理由のアンケート結果と言う「根拠」を示した上で、それをTrelloでどのように改善できるのかを説明しました。これにより、「現状の問題点がTrelloによりどのように改善できるのか」が伝わります。

最後に、もう一度結論としてTrello導入許可をいただきたい旨を伝えています。さらに、今後のアクションとして1週間以内に許可をいただいきたいこと、許可を頂いたら導入に向けて動くということを追記し、この後の流れがわかりやすいようにしました。
これにより、聞く人としては「内容が理解できたら、許可が出せるかどうか判断すれば良い。」というようなことがわかり、その後の導入業務は説明者がしてくれるため任せておけば良いということがわかります。

2.2 説明

説明を行う場合もPREP法は有効です。提案の場合と同じく結論の後に理由と具体例を順番に説明することで、わかりやすく状況や内容を伝えることができます。

以下の例は、進捗の報告をPREP法を用いて行う場合の例です。

■ 結論
進捗に遅れが出始めています。

■ 理由
会計システムとの連携部分でエラーが発生しており、解決に時間がかかっているためです。

■ 具体例
具体的には、会計システムに売上データを新規で送信する実装をしているのですが、受け取り側でエラーが発生しています。エラーメッセージや過去事例などを参考に調べているのですが、原因がわかっていない状態です。おそらく原因が会計システム側の問題だと思うので、こちらではこれ以上の調査が難しい状況です。
この問題の解決ができないことで、進捗に送れが発生しています。

■ 結論
現時点の状況は以上となります。会計システム側の担当者と会話できれば解決できる可能性があります。可能であれば、担当者とお繋ぎいただくことは可能でしょうか。

まず最初の結論で、進捗が送れていることを伝えています。これにより、聞く人は最も気になっている「進捗が送れているのかどうか」がわかった上で話しを聞けるので、集中して聞けるようになります。

次に理由説明ですが、単純に進捗が送れている理由を説明しています。ここも簡潔に理由を説明することが重要です。

その次の具体例は、ここでは「詳細説明」と言う形で、進捗が送れている原因の詳細例を記載しています。

最後に、もう一度結論として、遅れを取り戻すための対策を伝えることで、最初の結論とは別の視点からの「結論」を伝えています。

2.3 依頼

依頼を行う場合もPREP法が有効です。

依頼をする時に「●●をやってください」のように、経緯や目的、詳細な方法などを省略してしまうことがあります。その結果、本来の目的と異なる結果になったり、相手が意図を汲み取るために負担がかかったりといったことがあります。PREP法により理由や具体例を踏まえて依頼することで、この部分も明確に記載しやすくなります。

以下の例は、バグ発生状況の集計を依頼したい場合の例です。

■ 結論
今月のバグ発生状況を、以下の通り集計してください。

■ 理由
クライアントとの定例ミーティングで報告するためです。

■ 具体例(詳細手順)
下記の手順により実施をお願いします。

期限:2021/12/31
提出方法:メールで(xxxxx@yyy.com)に送ってください。
対象者:各サブシステムのリーダー
対応方法:別途添付した手順書を元に集計してください

■ 結論
上記方法により、集計をお願いいたします。

まず最初の結論で、依頼内容の概要を伝えます。

次に理由説明ですが、ここでは依頼を行う上での背景を説明しました。背景を説明することで、相手が依頼事項を対応する絵でもやりやすくなります。

その次の具体例は、依頼内容の詳細を記載しました。依頼内容と経緯が伝わっている後なので、詳細手順も伝わりやすくなります。

最後の結論については、単純に最初の結論を繰り返す形にしています。

2.4 質問

質問を行う場合もPREP法は有効になります。

依頼事項の例と同じように、経緯や具体例が不足するケースが多いです。特に、具体例として「相手が回答するために必要となる情報」が抜けていると、必要な回答が得られない恐れがあります。

下記の例は、他のチームにエラーの調査を依頼したい場合の例です。

■ 依頼事項
会計システムへのデータ取り込みで発生したエラーについて、原因と解決策を教えていただけますでしょうか。

■ 経緯
受付システムから新しい申込み経路が発生するため、そのデータを会計システムに連携する実装を行っていました。
エラー内容から会計システム側の原因のようでして、こちらでは原因の特定が難しいため、お知恵をお借りできないでしょうか。

■ 具体例

エラー内容は下記になります。

〜ここにエラー内容を記載〜

■ 結論

お手数をおかけしますが、上記についてご回答よろしくお願い致します。

まず最初の結論で、質問に回答してほしいこと、具体的には原因と対応方法を教えてほしいことを書きます。

次に理由説明ですが、ここでは質問の背景を記載しています。質物をする場合背景を記載してあると、相手が回答しやすくなります。

その次の具体例は、今回はエラーの解決方法が知りたいため、エラーの詳細を記載するようにしました。質問の場合、相手が答えるために必要な情報を記載しておくことが重要です。

最後の結論については、改めて質問への回答をお願いする形にしています。

3. PREP法の応用編

PREP方の応用編として、少し特殊なケースや、活用法などを紹介したいと思います。

この内容は正式なPREP方の理論というより、私の経験に基づく活用法も含まれておりますので、ご留意いただけたらと思います。

3.1 複数の理由がある場合

PREP法は結論→理由→具体例→結論の順番に記載します。しかし、理由や具体例は複数存在することがあると思います。具体例が複数ある場合の記載は特に問題ないと思いますが、理由が複数ある場合はPREP法では書きにくいこともあります。

その場合の構成としては、まずは結論を記載し、その後理由と具体例を繰り返していくという構成が良いと思います。

例として、以下のような方法があります。

■ 結論
今回、社内の共有ツールとしてSlackを導入させてた抱きたいと考えております。理由については以下の3つになります

■ 1. コミュニケーションのコストが下がる
メールや電話によるコミュニケーションと比較して、コストが大きく下がります。
例えば、メールであれば送るたびに挨拶や署名等を入れなければならず、また一度送信したら取り消しできないため送信前に念入りにチェックする必要があります。
Slackの場合は話題ごとにチャンネルやスレッドを作れるので、挨拶や署名を省略して本題のみを伝えやすくなります。また、送信後の修正もできるので、送った後に訂正することもできます(修正した場合は「編集済み」の表記が付きます)。

■ 2.情報共有がしやすい
情報共有のしやすさもSlackの特徴です。それにより情報共有のコスト削減や、共有漏れの帽子に繋がります。
トピックごとにチャンネルやスレッドを作れるので、情報が整理しやすくなります。また、メールであれば宛先に入れた人にしか情報が伝わりませんが、Slackであればチャンネルに正体するだけで情報共有ができます。また、確実に伝えたい人にはメンションをつけることで、誰あての情報なのかがわかりやすくなります。

■ 3.機能が豊富
Slackは以下のような機能を持っておりますので、便利に使うことができます。
・文章の装飾機能
・ブックマーク機能
・スタンプによるリアクション機能

■ 結論
以上の点から、今回Slackを導入させていただきたいと考えます。

理由が複数ある場合、最初に個数を伝えることが重要です。 例えば、「●●である理由は3つあります、1つ目は・・・」のような伝え方です。

これを記載することで、理由の部分が長くなっても伝わりにくくなります。

逆にこれを伝えられていないと、いつまで話が続くかがわかりにくいため、話題が変わるごとに切り替えがしにくくなり、内容が伝わりにくくなります。

3.2 最後の結論の組み合わせ

PREP法は最初と最後に結論を記載します。それぞれの結論の使い分けについては、以下のようなパターンが考えられます。

最初の結論をそのまま繰り返す

単純に最初と同じ結論を記載する方法です。

理由や具体例を伝える中で忘れかられてしまいがちな結論をもう一度伝えることで、リマインドの役割にになります。

最初の結論をより深堀りする

最初に記載する結論は簡潔なものにして、最後の結論を少し詳細にするような形です。

アクションプランを提示する

結論を繰り返した後に、今後のアクションプランを伝える方法です。自分がやること、相手にやってほしいことなどを最後にまとめておくことで、今後の動きがわかりやすくなります。

箇条書きでまとめる

結論を簡潔に伝えた後に、今回説明した理由や具体例を簡潔に箇条書きでまとめる方法です。

文章が長くなっている場合に有効です。話の要点だけを繰り返すことで、記憶に定着しやすくなり、理解もしやすくなります。

3.3 テンプレートを用意する

PREP方は便利な構成ではありますが、意識的な部分だけでは中々使いこなすことが難しい現状があります。

そのため、テンプレートを用意することでまとめることがしやすくなります。もちろん、テンプレートを用意することはPREP法以外の手法にも有効です。

3.4 類似のフレームワーク「SDS法」について

PREP法と似たフレームワークとして、SDS法と言うものがあります。

SDS法は、文章を以下のような分類で構成します。

  • Summary(要点)
  • Details(詳細)
  • Summary(要点)

ニュースを読み上げるときにも使われている構成です。

PREP法と似ていますが、PREP法は「理由→具体例」と言う順で説明するのに対して、SDS法は理由と具体例の部分を「詳細」としてまとめています。

そのため「グイグイと自分の主張や意見を伝える」時に有効なのがPREP法で、「自分の意見や主観ではなく、起きていることを淡々と説明したい」場合はSDS法が適していると言えるかもしれません。

状況によってはSDS法を使ってみるのも有効です。

まとめ

PREP法について説明しました。PREP法を利用することで、簡潔でわかりやすい文章を書いたり、相手が納得してくれるような説明や提案を行いやすくすることができます。

最後に、今回説明したことのまとめを記載しておきます。

  • PREP法を使うことで、簡潔でわかりやすい文章を構成しやすくなります。
  • PREP法は、結論、理由、具体例、結論の順番で文章を構成します。
  • 提案、説明、依頼、質問など、多くの場面で利用できます。

最後までご覧いただきありがとうございます。

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