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Vonage MCP Serverとkintoneの連携

高橋克己（□い芸人）

2025/12/12に公開

kintone

Model Context Protocol

Vonage

CPaaS

tech

 はじめにみなさん、こんにちは。KDDI ウェブコミュニケーションズで CPaaS のエバンジェリストをしている高橋です。

この記事では、Vonage の MCP Server と kintone の MCP Server を連携することで、日々の業務を自動化する方法について解説をします。

 本記事の対象となる読者Vonage の MCP Server を構築したい方
普段から kintone を利用している方
ノーコード・ローコードで Vonage や kintone の MCP Server を構築したい方

 Vonage とは
Vonage（ボネージ）は、米国ニュージャージー州に本社を置く、CPaaS（Communication Platform as a Service）企業です。

もともとは VoIP（Voice over IP）企業としてスタートしましたが、いくつかの企業買収を行うことで、コミュニケーションサービス全般をサポートすることができる企業に発展しました。現在はスウェーデンの大手通信機器会社エリクソンの傘下に入っています。
2024年2月14日より、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ（以後、KWC）が Vonage の再販事業を開始することとなりました。

KWC経由でアカウントを開設する場合、Vonage で直接開設したアカウントとは一部仕様が異なります。（※提供する機能面において違いはありません）
なお、本記事ではKWC経由でのアカウントを使って説明を行います。

 MCP Server とはMCP（Model Context Protocol）は、AI アシスタント（Claude、ChatGPTなど）と外部ツールやAPIを連携させるための標準プロトコルです。MCP を使用することで、AI アシスタントは外部システムと直接やり取りし、実際のアクションを実行できるようになります。

 MCP Server の仕組みMCP Server は、AIアシスタント（MCPクライアントとも呼びます）と、外部サービスの間に立つ中間サーバーという位置づけで、以下のような機能を提供します。
ツールの定義: MCP Server は、AI が使用できる「ツール」（機能）を定義することができます。
リクエスト処理: AI からのリクエストを受け取り、適切な外部 API を呼び出します。
レスポンス返却: API の結果を AI が理解できる形式で返します。
今回利用する Vonage MCP Server では、以下のツールを提供します：
SMS送信機能
音声通話機能
これにより、Claude Desktop から Vonage の API を直接操作できるようになります。
過去に記載した以下の記事では、エンジニア向けに Vonage MCP Server を構築する手順を説明しましたが、今回は Claude desktop にワンクリックでインストールができる MCPB（MCP Bundle）と呼ばれるパッケージ形式のモジュールを準備していますので、開発環境などは不要です。

 準備以下の準備が必要です。
ノートPC（Windows/Mac/Linux）
Claude Desktop アプリ（無料）

こちらからダウンロードができます
携帯電話/スマートフォン（SMS・通話受信テスト用）
安定したインターネット環境
kintone （スタンダード版）

アカウントがない方は、こちらから開発者アカウントを作成しておいてください。
Vonage アカウント

こちらのページから、事前にVonageアカウントを作成しておいてください。

※すでにアカウントをお持ちの方は、そちらをご利用ください。

 kintone MCP Server の準備ではここから、kintone MCP Server を準備していきます。
以下の手順でインストールしてください。

リリース一覧 にアクセス
最新のリリースから kintone-mcp-server.mcpb をダウンロード
Claude Desktopを開く
設定から「デスクトップアプリ」→「拡張機能」のページを開く
ダウンロードした kintone-mcp-server.mcpb をClaude Desktopの画面にドラッグ＆ドロップ
インストール確認ダイアログが表示されるので「インストール」を選択

設定ダイアログが表示されるので、必要な情報を入力する
kintone Base URL: kintoneのベースURL (例: https://example.cybozu.com)
kintone Username: kintoneのユーザー名
kintone Password: kintoneのパスワード

 kintone MCP Server で利用可能なツール一覧

ツール名
説明


kintone-get-apps
複数のアプリ情報を取得

kintone-get-app
単一アプリの詳細情報を取得

kintone-get-form-fields
アプリのフィールド設定を取得

kintone-get-form-layout
アプリのフォームレイアウトを取得

kintone-update-form-fields
アプリのフィールド設定を更新

kintone-update-form-layout
アプリのフォームレイアウトを更新

kintone-delete-form-fields
アプリのフィールドを削除

kintone-get-process-management
プロセス管理設定を取得

kintone-get-app-deploy-status
アプリ設定の運用環境への反映状況確認

kintone-get-general-settings
アプリの一般設定を取得

kintone-add-form-fields
アプリにフィールドを追加

kintone-get-records
複数のレコードを取得

kintone-add-records
複数のレコードを追加

kintone-update-records
複数のレコードを更新

kintone-delete-records
複数のレコードを削除

kintone-update-statuses
複数のレコードのステータスを更新

kintone-add-app
動作テスト環境にアプリを作成

kintone-deploy-app
アプリ設定を運用環境へ反映

kintone-update-general-settings
アプリの一般設定を変更

kintone-download-file
添付ファイルフィールドのファイルを保存

!先ほど設定した kintone のユーザー権限に従ってアプリの操作が可能になります。

 サンプルアプリの準備では実際に kintone MCP Server を使うためのアプリを準備していきましょう。

ハンズオン環境を分離するために、個別のスペースを作成することをお勧めします。
今回は以下の2つのアプリテンプレートを読み込んでください。
顧客リスト
アフターメンテナンス管理
!「アフターメンテナンス」で検索すると見つかります。


 データを準備する顧客リストとアフターメンテナンスに、ダミーのデータを登録します。

 顧客データ以下の項目を入力しておきます。


項目
入力内容


会社名
ダミーの会社名を入力します。

担当者名
ご自分のお名前を入力します。

TEL
ご自分の電話番号を入力します。


 アフターメンテナンス以下の項目を入力しておきます。


項目
入力内容


顧客名
ダミーの会社名を入力します。

先方担当者名
ご自分のお名前を入力します。

電話番号
ご自分の電話番号を入力します。

製品名
適当な製品名を入力します。

購入日
適当な購入日を入力します。

次回メンテナンス日
明日の日付を入れます。

状況
日程確定を選択します。

状況が日程確定以外のデータもいくつかダミーで入れておくとよいです。

 Vonage アプリケーションの準備ではここから Vonage 側の準備をしていきましょう。

 Vonageアカウントの作成すでにアカウントをお持ちの方は、この手順はスキップしても構いません。

 アカウント作成
Vonage 契約申し込み（アカウント作成） にアクセス
必要事項を入力してアカウントを作成（KWCの申し込みとVonageアカウントの作成の2ステップが必要です）

 電話番号の購入すでにVonage番号をお持ちの方は、この手順はスキップしても構いません。
ダッシュボードにログイン
左メニューから「電話番号」→「番号を購入」を選択
番号の購入：

国: United States を選択（日本の050番号は手続きが必要なため、今回はUS番号を使用しますが、すでに日本の番号をお持ちの方はそちらを利用しても良いです）

機能: SMS と Voice にチェック

タイプ: Any を選択

「検索」ボタンをクリックして利用可能な番号を表示
好きな番号の「購入」ボタンをクリック
購入確認画面で「購入」をクリックして購入完了（チェックボックスをONにする必要あり）
購入した番号をメモ（例：(+1)5554443333）
!トライアルアカウントでは電話番号が購入できません。

アカウントをアップグレードするか、ハンズオン用のクーポンコードを取得して適用してください。

 アプリケーションの作成左メニューから「アプリケーション」を選択
「新しいアプリケーションを作成する」をクリック

アプリケーション情報を入力
名前: vonage-mcp-handson（または任意の名前）
機能: 音声 を有効にする
地域: Singapore を選択する
「公開鍵と秘密鍵を生成」をクリックして、公開鍵（private.key）をダウンロードする

※ダウンロードしたファイルパスを後ほど利用します。
「新しいアプリケーションの生成」をクリック

Application ID をメモ（後で使用）
購入した番号（または既存の番号）の右側にある「リンク」アイコンをクリック
リンクした番号をメモ（これがVoice通話用のFROM番号になります）


 Vonage MCP Server のインストール以下の手順でインストールしてください。

リリース一覧 にアクセス
最新のリリースから vonage-mcp-server.mcpb をダウンロード
Claude Desktopを開く
設定から「デスクトップアプリ」→「拡張機能」のページを開く
ダウンロードした vonage-mcp-server.mcpb をClaude Desktopの画面にドラッグ＆ドロップ
インストール確認ダイアログが表示されるので「インストール」を選択

設定ダイアログが表示されるので、必要な情報を入力する
Vonage Application ID: 先ほど作成したアプリケーション ID
Private Key Path: 先ほどダウンロードしたprivate.keyのパス（例：/Users/username/Downloads/private.key）
Voice Call From Number: 先ほど購入した（もしくは保有している）Vonageの電話番号（例:8180XXXXYYYY）

 テストではいよいよそれぞれの MCP サーバーを連携させたテストをしていきましょう。

今回のシナリオは以下の2つです。
顧客リストから顧客を探し、顧客の電話番号を自分にSMSで送る
アフターメンテナンスから明日のメンテナンス日を確認し、該当する顧客にリマインドの電話をかける

 Claude Desktop でプロジェクトを作成するClaude Desktop でプロジェクトを作成しておくことで、毎回細かい指示を出さなくても良くなります。
Claude Desktop のサイドバーから「プロジェクト」→「新規プロジェクト」ボタンを押下します。
適当なプロジェクト名を入力して、以下のような説明文を入力します。
# プロジェクトの目的
kintone と Vonage を使って業務効率を向上させます。
## kintone 連携
kintoneのアプリを処理するときは、「スペース名を入力してください」というスペースの中にあるアプリだけを対象にしてください。
また、ツールとしてkintoneの拡張機能を利用してください。
## Vonage 連携
Vonageのアプリを処理するときは、ツールとしてVonageの拡張機能を利用してください。
電話番号が日本の番号（0ABJ）の場合は、Vonageが扱える MSISDN形式（例: 8180XXXXYYYY）に変換してからツールを利用してください。
SMSを送信するときは、なるべく本文を70文字以内に収めるようにしてください。
私の電話番号は、090XXXXYYYYですので、私に電話をかけたりSMSを送る場合は、この番号を使ってください。
3.「プロジェクトを作成」ボタンを押して、設定を保存します。

 顧客を検索する以下の内容で新しいチャットを始めましょう。
「〇〇さんの電話番号を私にSMSで送ってください。」（〇〇の部分は、先ほどダミーで登録した顧客名を入力してください）

 リマインドコールを行う以下の内容で新しいチャットを始めましょう。
「アフターメンテナンスを検索して、明日訪問予定で日程が確定しているユーザーに対して、明日メンテナンスに伺う旨を丁寧に電話で伝えてください。」

 応用SMS や通話のログを kintone 上に保管するなど、他にも色々な応用が可能ですので、ぜひ試してみてください。

 まとめ今回は、kintone と Vonage の MCP Server を活用して、Claude Desktop から簡単に電話やSMSを送ることができました。
それぞれの MCP Server は GitHub で公開されているので、ツールを追加することも可能です。
kintone MCP Server
Vonage MCP Server

ツール名	説明
kintone-get-apps	複数のアプリ情報を取得
kintone-get-app	単一アプリの詳細情報を取得
kintone-get-form-fields	アプリのフィールド設定を取得
kintone-get-form-layout	アプリのフォームレイアウトを取得
kintone-update-form-fields	アプリのフィールド設定を更新
kintone-update-form-layout	アプリのフォームレイアウトを更新
kintone-delete-form-fields	アプリのフィールドを削除
kintone-get-process-management	プロセス管理設定を取得
kintone-get-app-deploy-status	アプリ設定の運用環境への反映状況確認
kintone-get-general-settings	アプリの一般設定を取得
kintone-add-form-fields	アプリにフィールドを追加
kintone-get-records	複数のレコードを取得
kintone-add-records	複数のレコードを追加
kintone-update-records	複数のレコードを更新
kintone-delete-records	複数のレコードを削除
kintone-update-statuses	複数のレコードのステータスを更新
kintone-add-app	動作テスト環境にアプリを作成
kintone-deploy-app	アプリ設定を運用環境へ反映
kintone-update-general-settings	アプリの一般設定を変更
kintone-download-file	添付ファイルフィールドのファイルを保存

項目	入力内容
会社名	ダミーの会社名を入力します。
担当者名	ご自分のお名前を入力します。
TEL	ご自分の電話番号を入力します。

項目	入力内容
顧客名	ダミーの会社名を入力します。
先方担当者名	ご自分のお名前を入力します。
電話番号	ご自分の電話番号を入力します。
製品名	適当な製品名を入力します。
購入日	適当な購入日を入力します。
次回メンテナンス日	明日の日付を入れます。
状況	日程確定を選択します。

KWCPLUSPublication

株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ Tech Blog

はじめに

本記事の対象となる読者

Vonage とは

MCP Server とは

MCP Server の仕組み

準備

kintone MCP Server の準備

kintone MCP Server で利用可能なツール一覧

サンプルアプリの準備

データを準備する

顧客データ

アフターメンテナンス

Vonage アプリケーションの準備

Vonageアカウントの作成

アカウント作成

電話番号の購入

アプリケーションの作成

Vonage MCP Server のインストール

テスト

Claude Desktop でプロジェクトを作成する

顧客を検索する

リマインドコールを行う

応用

まとめ

Discussion