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宇宙からの地球観測9章 人工衛星の追跡とデータ受信

2024/06/09に公開

宇宙からの地球観測 
第9章は、 打ち上げたあとの運用で必須になる 追跡とデータ受信についてです。
人口衛星からデータを受診できる時間は何秒か? という問いに答えられるようになります!

問題9.1

今,地球を半径6371kmの球とし,人工衛星が高さ800km を飛行するとする。さらに,北緯35度,東経140度,高さ100mの位置にアンテナ(の焦点面)を設置し,この人工衛星を追尾することを考える。以下の質問に答えなさい。
(1) 人工衛星の速度はどれくらいか?軌道高度を H,地球半径をR,アンテナ高さをh,地球表面での重力加速度をgとして表しなさい。

回答9.1.1

これは第三章で理解した式3.10の通りですね。

v=(R)\sqrt{\dfrac{g}{R+H}}

問題文より 軌道高度を H,地球半径をR,地球表面での重力加速度をgとする

問題 9.1.2

(2) 人工衛星がアンテナの真上を通過する軌道を飛行したとき,エレベーション0度で地平線を超え,エレベーション0度で地平線に沈むまでの時間はどれくらいか?

基本数式の理解

衛星の通信可能時間

下記 小さい円を地球の大きさ、大きい円を衛星の軌道とすると Bの地点にいたときに衛星が見える範囲は bからcまで。 角度θは、逆三角関数 \cos^{-1} \frac{R}{R+H} で計算できます

衛星の見える時間は、2θを衛星の角速度で割った値になります。
よって、本文(9.1) の関係になります

T_1 = \dfrac{2}{\omega}\cos^{-1} \dfrac{R}{R+H}

速度と角速度の関係

角速度は1秒あたりに衛星が何rad 回るかです。
軌道一周の長さが2\pi (R+H)
Radは1週で 2\pi rad
毎秒に進む距離をvとすると 下記の関係式になります

\omega = \dfrac{v}{2\pi(R+H)} 2\pi = \dfrac{v}{R+H}

回答9.1.2

import numpy as np

R=6371 #km
H=800 #km
g=9.8e-3 #km/s^2
v=R*np.sqrt(g/(R+H))
omega = v/(R+H)
#omega = v/(R)

time = 2*np.arccos(R/(R+H))/omega
print(f'time is {time:.3f} sec')
--
time is 918.273 sec

本文の回答はomega を Rで割っているので815sec となっていますが、
R+Hで割るのが正しいと思うのでこちらの値がが正解だと信じています。
高度が違うと速度も変わり、 周期も変わるので このあたりの計算は気をつけないと非常に大きな結果の差分につながるということが怖いです。

問題 9.2

式(9.1) を求めなさい

T_1 = \dfrac{2}{\omega}\cos^{-1} \dfrac{R}{R+H}
T_2 = \dfrac{2}{\omega}\left( \dfrac{\pi}{2} -\sin^{-1}\dfrac{R}{R+H2}+\cos^{-1}\dfrac{R}{R+H} \right)

T_1については,9.1 で既にもとめました。
T_2について 考えてみます。

回答9.2

下記に外側の円を追加しました。通信用の中継衛星で、静止軌道上に存在しています。
静止軌道の高さをH2、中継衛星の場所をAとします

中継衛星を利用した場合の地点Bとの通信可能範囲は a-B-d まで広がります。
全体の通信可能角度を三角形にわけて考えると、
2*(\angle{aOe} + \angle{eOA} ) と考えることができます。
\angle{aOe} = \cos^{-1}\frac{R}{R+H}
\angle{eOA} = \cos^{-1}\frac{R}{R+H2}

上記を衛星の角速度で割ったものが通信可能時間になるので素直に表すと

T_2 = \dfrac{2}{\omega}\left( \cos^{-1}\frac{R}{R+H2} + \cos^{-1}\frac{R}{R+H} \right)

となりますが、余角の公式を使うと下記(9.1)にも変形できます。
https://manabitimes.jp/math/660#3

T_2 = \dfrac{2}{\omega}\left(\frac{\pi}{2} - \sin^{-1}\frac{R}{R+H2} + \cos^{-1}\frac{R}{R+H} \right)

問題9.3

アンテナで衛星データを受信するとき,プログラム追尾方式で許容される衛星の位置誤差を求めなさい。なお、受信アンテナの3dB 半値幅で受信は外れるとする。また,受信アンテナの直径は3mとする。衛星の高さは800kmとする。受信はXバンドを使用する(10GHz)。

基本数式の理解

受信感度

アンテナの幅をD、電波の波長をλとする受信感度は下記に比例する

\dfrac{D^2}{4\lambda^2}

半値幅

アンテナの指向性が最も強い方向から半分の強度まで広がる角度のことです。この角度を超えると、受信強度が急激に低下するため、受信が困難になります。

\dfrac{\lambda}{D}

位置誤差と、半値幅の関係

半値幅の範囲を距離(高度)により変わります。
高度h の軌道一周は 2\pi h
その中の許される半値幅はらrad なので1周(2\pi)のなかの割合で表せば \frac{rad}{2\pi}
想定位置中心からどの方向にずれるのかは予測できないので全体として半値幅の中におさまるには2で割る。 よって許される位置誤差dは以下のとおりです.(角度をradで表すとなぜ便利なのかが分かりますね)

d= 2\pi h \dfrac{\lambda}{D 2\pi * 2} = h \dfrac{\lambda}{2D}

回答9.3

import numpy as np

c=3e8 #m/s 光速
f=10e9 #Hz
h=800e3 #衛星高度 m
D=3

l= c/f
d=h*l/(2*D)

print(f'lambda:{l}m diff is {d:.2f} m')
--
lambda:0.03 diff is 4000.00 m

宇宙空間上で4km までの誤差であれば追尾可能。
かりにアンテナの大きさが10m になるなると位置誤差は1.2km 以内となります。
アンテナが大きいほど感度は良いが、位置誤差は厳しくなるというのが直感とずれていて面白いですね。
(これから大きいアンテナをみたら、少し応援したい気持ちになりました。)

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