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ボードゲーム「あつまれ Data Heroes」制作物語

2024/06/19に公開

前置き

こんにちは。さすらいのデータエンジニアのこみぃです。

先日、Snowflakeコミュニティの有志の皆様とボードゲームを作りました。それにあたり色々と失敗したり苦労したりもしましたので、次回作を作るときのメモなどの意味を込めて記録を残そうと思います。

本日はそんなお話です。

今回作ったもの

あつまれ Data Heroes

今回のお話のメインはこちらです。ボードゲーム「あつまれ Data Heroes」
https://techbookfest.org/product/iLSCU5Qm2Q9ALjjdvrUPTY

ドンジャラのようにデータ人材を集めてプロジェクトをローンチするゲームとなっています。カードが全部データ系のプロジェクトに関わる役職名なのがポイントですね。
ゲームを遊びながらデータ系の役職の用語に詳しくなれるという知育系のゲームです。技術書典に持ち込んでもギリギリ赦されるラインだと思っていました。

告知のツイートに対して運営の方が「ほしい」とツイートしてくれましたので、赦された感じと信じております。
https://x.com/mhidaka/status/1793167947093172347

ロゴを見てわかるようにポップでキュートな世界観を目指しております。

ネタ解説本

カードに書かれているのは「CTO」とか「データサイエンティスト」みたいなわかりやすい役職もあれば、「アナリティクスエンジニア」とか「データスチュワード」といったある程度詳しい方しかわからないような役職もあります。
また、データマネジメントという領域も最近注目度が高まってきていますが、界隈の人以外はあまり馴染みがない領域かなと思います。

これらを解説して理解を深めていただき、ゲームでも役立てていただくというのがコンセプトのネタ解説本となります。

さらに、カードにフレーバーテキストとして色々なネタが書いてありますので、このあたりの解説も入っています。

今回はあくまでボードゲームが主役だったのと、発行部数の関係で印刷代がややつらそうだったのもあり、こちらは電子書籍のみの頒布にしました。
https://techbookfest.org/product/m3Xy2TTxAD2MxhL0PiEGgj?productVariantID=m3Px3H9U8sUsGKev9drcgt

ざっくりスケジュール

スケジュールはこんな感じでした。デザインに時間がかかってるのは間の一週間くらい旅行で不在だったからなので、そこがなければもうちょっと早く終わるかなと思います。
とはいえボードゲームは作るもの次第でいくらでも変わりそうですね。

ボードゲーム

  • 2/13 ボードゲームの世界観を決める
  • 2/14-3/23 オンラインでどんなゲームにするか議論
  • 3/24 試遊会
  • 4/5 カードのデザインに着手
  • 4/6-4/28 フレーバーテキストなどの詳細を決める
  • 4/29 入稿用ファイルの作成
  • 4/30 印刷所に入稿

ネタ解説本

  • 4/30 担当と書く内容を合意
  • 5/12 原稿一次締め切り
  • 5/18 原稿の最終締め切り
  • 5/19 書籍のPDFの作成
  • 5/20 技術書典に審査登録

奇行班立志 編

ここからは制作の流れに沿ってやったことを解説します。

仲間を集める

書籍の場合は執筆者が増えすぎると連携が大変なのですが、ボードゲームは試遊したりしなければならない以上一人よりも複数でやったほうがいいので、まずは仲間を集めます。

仲間集めはSnowflakeのユーザーコミュニティであるSnowVillegeのSlackで行いました。興味がある方は以下のページの「SnowVillage Slackワークスペースに参加」から参加できます。
https://usergroups.snowflake.com/snowvillage/

血気盛んな精鋭たちが3人ほど釣れたので、仲間集めはスムーズに行きました。いい感じに顔合わせのキックオフをして、来たるべき刻に備えて英気を養っていただいてました。

サークル申し込み

今回の場合は参加するイベントが決まっていたので、期日に間に合うように申込みをします。
技術書典はWEBサイトに登録してTwitterをフォローしておけば期日を聞き漏らすことはまずないでしょう。サークル申し込み自体も非常に簡単で、WEBのフォームに必要事項を記入するだけです。

何を作るか決める

さて、申込みもしましたのでいよいよ何を作るか決めます。

決めてから申し込むんじゃないのかと思う方もいると思いますが、それは順序が逆です。まずは申し込んで自分を追い込み、その後何を作るか決めるのが良いです。

今回は「ボードゲーム+解説本」という形式を自分から提案し、それをみんなが合意してくれた形になりました。この時点では「ボードゲーム」が何者かは決まっていません。

無限制作 編

担当を決める

何を作るか決まると、何をしなければいけないかも概ね決まります。
今回の場合はこんな感じですね。

  • ボードゲームのアイデアを出す
  • ボードゲームを作る
  • テストプレイをする
  • ボードゲームの印刷所に入稿する
  • 解説本の原稿を書く
  • ボードゲームの説明書(ペライチ)を作る
  • サークル参加のための手続きをする
  • 当日のブース設営に必要な物資を調達する
  • 告知する
  • 当日のブース設営

ちなみに今回は動き始めた時点で期日にそこまで余裕がなかったので、アイデア出し以外の雑多なことは全部私がやることにしました。要するにこんな感じです。

「(締め切り的に)余裕は無い、手短に話す!やることはこれこれこれだ。細かいのは俺が全部やる!皆さんはネタを出してくれ!!」

アイデアを出す

ボードゲームを作るということで、どんなゲームにするかのアイデアを出してボードゲームを作る必要がありました。

その中でヒントになったのが、実はAWSのカードゲームであるAWS BuilderCardsです(日本語版切望してます)。
https://aws.amazon.com/jp/builders-flash/202405/japanese-builder-cards/

このゲームはドミニオンを元にしてAWSっぽいオリジナル要素を加えたようなゲームになっています。この形だと元々のゲームバランスやプレイ感は保証されてますので、「そもそもゲームとして成立しているのか?」などの要素のチェックはかなり軽減できます。

テストプレイしてみる

アイデアが出たら実際にプレイしてみて面白いかなどをチェックするためにプレイテストをしたほうが良いのでするわけなのですが、さてプレイテストをするには実物が必要ですね。

当然この時点では何もできていないので、仮で作ります。今回はカードゲームなのでそんなに難しくはありませんでした。
まずは適当にGoogleスライドでこんなのを作ります。最初はjuniorとかmiddleとかではなく、1,2,3だったんですね。

これを印刷して、台紙代わりのマジック・ザ・ギャザリングのカードとともにスリーブに入れたら完成です。

今回は必要ありませんでしたが、コマを多く使う場合にはミープルを買うと便利かもしれません。(少なければ硬貨などで代用がいいと思います。)
https://amzn.to/3VgjwLy

そんな感じで4人で集まって実際に試遊@新宿のデニーズ

ここでは「そもそも楽しいか?」という根本的な話を確認したり、それ自体は確認出来たならゲームバランスについて議論したりといった感じです。
実際にプレイすると、データ系の職種の人が集まりさえすればかなり盛り上がりそうだという話になったので、GOサインはすぐに出ました。4人夢中になって気づいたら1時間半くらい遊んでたので問題なかったという話です。

ゲームバランスについては、例えば以下のようなアイデアが出ました。

  • 1,2,3を熟練度レベルとみなすと世界観に幅が出来そう
  • CXO職はスカウト(他の人が捨てたカードを拾ってセットにする)出来たほうがいいのではないか?
  • 点数はあえて細かく決めるんじゃなくて上がった人が自己申告したほうが盛り上がりそう

これらの話を踏まえて完成版をどういう形にするかを議論して、テストプレイはおしまいです。大きく作り直すならこれを繰り返す必要がありますが、元々ドンジャラをベースに作っているので今回はテストプレイは1回で済みました。

デザインを作る

プレイテストを受けてカードの種類を確定したら、いよいよ本物を作っていく必要があります。デザイン力に自信がある方は自分で作るのもいいのですが、ここは素直にプロに頼むのがいい気がします。特にエンジニアがデザインやると本当に酷いことになるんで。。。。

今回は知り合いに元デザイナーだった方がいたので土下座して作っていただきました。ゲームのタイトルが非常にわかりやすかったので、デザイナー側からするとやりやすかったと言っていました。

ついでにサークルのロゴも作っていただいたりと、お世話になりました。

ちなみにですが、今回やっていてフォントサイズはかなり気をつけたほうがいいことがわかりました。印刷されるサイズで実際に印刷してみるのをおすすめします。

画像を作る

今回はカードゲームなのですが、カードにイラストがあったほうが楽しいのでイラストを作りたいと考えました。
一昔前だったらフリー素材を使うとか、イラストレーターに発注するなどする必要があったと思うのですが、最近は画像生成AIというのがあります。

そんなわけで今回はAdobeのFireflyを使いました。著作権フリーなので安心ですね。
https://www.adobe.com/jp/products/firefly.html

ちなみにせっかく契約したので、同僚の同人誌の表紙もついでに生成したりしました。
https://techbookfest.org/product/t5GBwbFm4kUhXrTPkGpAnY?productVariantID=vFXbHRnFv5i0drjM591i0J

Adobe製品はまあまあお高いので、すでに契約している知り合いを探すのもいいかもしれません。

動物や模様や風景のイラストであればかなりいい感じに作れるというのが率直な感想です。「可愛い女の子のイラスト」みたいなのは著作権の都合なのか思っているような美少女のイラストみたいなのは出てこないので、そういうのが欲しかったら素直にプロに発注するなりしましょう。

印刷所 編

カードゲーム本体

印刷所の選定

最近だと同人系向けのボードゲームの印刷所が色々ありますので、ググれば困らないとは思います。

私はこちらの印刷所を使いました。業界だとかなりの大手です。やはり最初なので大手でお願いするのがいいですね。
https://www.mnd.co.jp/

入稿データの作り方の確認

入稿データは印刷所の指定した形式で作って入稿することになります。大抵はPSDファイルかAIファイルで入稿することになる気がします。Adobe製品でやるのが一番いいので、諦めてCreative Cloudに加入しましょう。
今回は印刷所指定のテンプレートのPSDファイルがあったのでそれをダウンロードして作ることになりました。フォントや画像を埋め込んだりなど細かいテクが必要ですので、必ず入稿マニュアルを先に読んでから作業をすることをおすすめします。

最終的にはこういう感じのやつが出来上がります。

入稿

入稿は印刷データが完成してから行います。その時点でようやく印刷するものや枚数が確定しますからね。

WEB上で見積もりを作成して発注という流れで、いきなり発注になるので初めてだと少し怖いかもしれません。しかし、実際には入稿データの確認などしっかり行ってくれますので、当日に全く想定してないものが納品されるということはまずないと思います。

今回の場合は納期が結構ギリギリだったのでちゃんと間に合いそうかなど問い合わせたりもさせていただきました。具体的な日付など丁寧に回答いただきましたので安心して発注できました。

●dobeの陰謀

前述の通り印刷所への入稿データはA●obe製品で作る必要があるのですが、Ad●beのCreative Cloudのページは若干わかりにくくなっており、1ヶ月分購入したつもりで1年分購入しているという大惨事がありました。
Ado●eに苦情の問い合わせをする時間も惜しかったので諦めて受け入れました。一年間使い倒して元を取ろうと思います。皆さんは購入ページの注意書きは隅から隅まで読んでから登録しましょう。

解説本

ボドゲを無事に入稿したら次は解説本です。今回は解説本は電子版のみにしたので、印刷所とのやり取りはないのが楽ですね。

文章を書く

何はなくともまずは文章を書きます。文章を書かないと始まりません。
書籍の形にする段階でも全然間に合いますが、あとがきとか奥付もこの時点で作成しておくといい感じです。

表紙と裏表紙を作る

文章以外に必要になるものが表紙と裏表紙です。今回作った本の表紙くらいであれば、Googleスライドなどでも十分に作ることができます。

サイズを指定して作成して、PDFで保存という感じですね。実際にはこんな感じです。

文章を書籍の形にする

ここまでできたら書籍の形にしましょう。

私は最初に技術同人誌を作った際に友人に勧められたReview:Starterを使っています。開発は止まってますがまだまだ使えるツールです。
https://kauplan.org/reviewstarter/

これだとgithubでバージョン管理できたりといろいろと便利です。もちろんWordなどで作ることもできるにはできるんじゃないかと思いますが、こだわりがないならツールの力を使うのが一番です。

技術書の里 編

頒布物の登録と審査申請

さて、無事に頒布するものが完成したら、技術書典のサイトで頒布物を登録して審査を申請しましょう。
頒布物を登録して審査を申請し、通ったらマーケットに出品登録をするという流れになります。

ここは公式のマニュアルに従ってやるのがいいでしょう。ものさえそろっていれば簡単です。商品紹介画像には表紙と目次と引きのあるページを置くといい感じです。

審査には数日かかることもありますので、イベントに合わせるには余裕を持った日程でやりましょう。

マーケットへの出品する

審査が通ったらいよいよマーケットへの出品です。これを忘れると頒布できないので忘れずにやりましょう。
ここも公式のマニュアルに従ってやりましょう。「公式 is バイブル」です。

オフライン当日の運営

今回実は当日は私は別の用事で参戦出来なかったのですが、頼れる仲間たちがなんとかしてくれました。
イベント公式の案内通りの時間に会場に行き、こんな感じでブースを設営します。

https://x.com/yamnaku_/status/1794546291793678653
https://x.com/yamnaku_/status/1794548940580503649

あとは当日接客をしつつ、頒布するのみです。

そして本日のまとめへ

そんなわけで、初めてのボドゲ作りは無事に完成までこぎつけることができました。いえい。

今回で色々とやり方がわかりましたので、次回はさらに気合を入れて面白いゲームを作りたいなと思っています。とりあえず「おいでよ Data Heroes」と「とびだせ Data Heroes」は作りたいと思ってますので、あと2つはアイデアを考える必要がありますね。

そんな次回に向けての自分への申し送りは以下になります。

  • スケジュールは余裕を持ってやろう!!
  • Adob●には気をつけろ(もう遅いから1年以内にあと2作れ)!!

結びの言葉

そんなわけで、同じようにボドゲを作ろうとしている方がもしいましたら、参考になりましたら幸いです。

最後に一つ宣伝を。
GENDAデータチームではプロダクトのデータ解析や機械学習プロジェクトを推進できるデータサイエンティストを募集しています。
https://open.talentio.com/r/1/c/genda/homes/4356

興味がおありの方は、ぜひぜひご連絡ください。
また、データサイエンティスト以外でも、なんならデータ系以外の方でも、優秀な方を常に求めています。GENDAという会社に興味があれば、是非お声おかけください。

本日はこのあたりで。
それじゃあ、バイバイ!

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