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【2-3】【Proxmox VE 実践編】Windows Server 2022 初期設定ガイド:固定IPとリモートデスクトップの有効化

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【Proxmox VE 実践編】Windows Server 2022 初期設定ガイド:固定IPとリモートデスクトップの有効化

前回の記事では、Proxmox VE上にWindows Server 2022をインストールする手順を解説しました。
https://zenn.dev/koikoi_infra/articles/ca7ba6d2e119a6
今回はその続きとして、インストール直後のまっさらな状態から、ネットワーク上で安定して動作し、かつ安全で管理しやすいサーバーにするための必須の初期設定を行っていきます。


1. サーバーマネージャーからの基本設定

OSインストール後、最初にサインインすると「サーバーマネージャー」が自動で起動します。ここが設定の起点です。

Step 1: コンピューター名の変更

サーバーを識別しやすくするため、ランダムな初期名から分かりやすい名前に変更します。自分なりの命名規則を決めておくと、将来サーバーが増えたときに管理が楽になります。

  1. サーバーマネージャーの左側メニューから「ローカル サーバー」をクリックします。
  2. プロパティ一覧にある「コンピューター名」の右側の青い文字をクリックします。
  3. 「システムのプロパティ」ウィンドウで「変更」ボタンを押し、コンピューター名を分かりやすい名前に変更します(例: ws01)。
  4. 再起動を求められますが、後でまとめて行うので「後で再起動する」を選択します。

Step 2: IE セキュリティ強化の無効化

「ローカル サーバー」のプロパティ一覧にある「IE セキュリティ強化の構成」の右側の「有効」をクリックし、「管理者」グループの方を「オフ」に設定します。

補足:IEセキュリティ強化とは?

これは、サーバーをインターネットの脅威から守るための強力なセキュリティ機能です。有効なままだと、信頼済みサイト以外ではWebサイトの閲覧やファイルのダウンロードが厳しく制限され、常に警告が表示されます。
サーバーは本来Web閲覧に使うべきではないため、この機能はデフォルトで有効になっていますが、学習環境ではソフトウェアのダウンロード等で不便なため、今回は無効化します。


2. ネットワーク設定(最重要)

次にネットワークを設定しますが、ここで多くの人がつまずくポイントがあります。

Step 3: ネットワークアダプターの認識(VirtIOドライバのインストール)

「ローカル サーバー」のイーサネット設定や、コントロールパネルの「ネットワーク接続」を開いても、イーサネットアダプターがどこにも表示されていないことがあります。
これは、OSインストール中に「ドライブが見つかりませんでした」と表示された問題と全く同じ原因です。

原因: WindowsがProxmox VEの高性能な仮想ネットワークカード(VirtIO)を認識するためのドライバが、まだインストールされていないために発生します。

補足:ネットワークカード?アダプター?

「ネットワークカード」「ネットワークアダプター」これらの言葉は、特に初心者にとっては混同しがちですが、この文脈では基本的にすべて同じものを指しています。

  • ネットワークカード: PCに接続する物理的な部品(モノ)を指すことが多いです。
  • ネットワークアダプター: OS(Windows)がその部品を認識した際の、ソフトウェア上の呼び名です。
    この記事では「ネットワークに接続するための部品」という共通の認識で読み進めてください。

解決手順:

  1. Windowsのスタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
  2. 「ほかのデバイス」の中に、黄色い「!」マークが付いた「イーサネット コントローラー」を見つけます。
  3. これを右クリックし、「ドライバーの更新」を選択します。
  4. 「コンピューターを参照してドライバーを検索」を選び、「参照」ボタンからvirtio-winのISOがマウントされているCDドライブ(例: D:ドライブ)を選択します。
  5. 「次へ」をクリックすると、「Red Hat VirtIO Ethernet Adapter」ドライバがインストールされます。

Step 4: 固定IPアドレスの設定

ドライバがインストールされ、ネットワークアダプターが正しく表示されたら、IPアドレスを固定します。

  1. 「ローカル サーバー」のプロパティ一覧にある「イーサネット」の右側の青い文字をクリックします。
  2. ネットワークアダプターを右クリックして「プロパティ」を開き、「インターネット プロトコル バージョン 4 (TCP/IPv4)」のプロパティ画面で、計画通りにIPアドレス(192.168.3.102)、サブネットマスク、ゲートウェイ、DNSサーバーを設定します。

3. システムの更新とリモート接続の有効化

Step 5: Windows Updateと時刻設定

  1. Windowsのスタートメニュー → 「設定」 → 「時刻と言語」で、タイムゾーンを「(UTC+09:00) 大阪、札幌、東京」に設定します。
  2. 次に「更新とセキュリティ」を開き、「更新プログラムのチェック」を実行し、見つかった更新をすべてインストールします。
  3. ポイント: これには時間がかかり、複数回の再起動が必要になる場合があります。ここで、先ほどのコンピューター名変更に必要な再起動もまとめて行います。

Step 6: リモートデスクトップの有効化

今後の作業を快適にするため、ご自身のPCからリモート接続できるように設定します。

  1. サーバーマネージャーの「ローカル サーバー」に戻ります。
  2. 「リモート デスクトップ」の右側にある「無効」をクリックします。
  3. 「システムのプロパティ」ウィンドウで、「このコンピューターへのリモート接続を許可する」を選択し、「OK」をクリックします。

Step 7: 作業PCからの接続テスト

いよいよ、ご自身の作業PCから完成したサーバーに接続します。

  1. 作業PCで、「リモート デスクトップ接続」アプリを起動します。
  2. コンピューター名に 192.168.3.102 と入力して接続します。
  3. Administratorアカウントとインストール時に設定したパスワードでサインインします。
補足:なぜリモートデスクトップが快適なのか?

Proxmox VEのコンソール機能も便利ですが、リモートデスクトップ(RDP)にはそれを上回る快適さがあります。

  • コピー&ペースト: 作業PCとサーバー間で、テキストやファイルを簡単にコピー&ペーストできます。
  • 高解像度とスムーズな操作感: RDPは画面転送に最適化されており、コンソールよりも遥かに滑らかで、高解像度の表示が可能です。
  • ローカルデバイスの利用: 作業PCのプリンターやドライブを、サーバー側から利用することもできます。
    これらの理由から、サーバー管理の日常的な作業はRDPで行うのが一般的です。

サーバーのデスクトップ画面が作業PC上に表示されれば、すべての初期設定は完了です!

まとめ

これで、Windows Serverの基本的なセットアップとリモート管理の準備がすべて完了しました。サーバーは、次のステップ(Active Directoryなど)に進むための、クリーンで安全な土台が整った状態です。

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