【Proxmox VE 実践編】Windows Server 2022 インストールガイド:VirtIOドライバの読み込みと初期設定
【Proxmox VE 実践編】Windows Server 2022 インストールガイド:VirtIOドライバの読み込みと初期設定
前回の記事では、Proxmox VE上でWindows Serverを動作させるための、最適な設定で仮想マシン(VM)を作成しました。
今回はその続きとして、作成したVMにWindows Server 2022をインストールする手順を、特に重要なVirtIOドライバの読み込みに焦点を当てて詳しく解説していきます。1. インストーラーの起動と基本設定
VMのハードウェア設定、特に起動順序が正しく設定されていれば、VMを起動するとWindowsのインストーラーが始まります。
Step 1: VMの起動とインストーラーの開始
Proxmox VEの管理画面でVMを「起動」し、「コンソール」を開きます。「Press any key to boot from CD or DVD...」と表示されたら、素早く何かしらのキーを押してインストーラーを起動します。
言語やキーボードのレイアウトを「日本語」に設定し、「次へ」進み、「今すぐインストール」をクリックします。
Step 2: OSエディションの選択
OSのエディションを選択する画面が表示されたら、**必ず「Windows Server 2022 Standard Evaluation (デスクトップ エクスペリエンス)」**を選択してください。
【重要ポイント】デスクトップ エクスペリエンスとは?
これは、私たちが普段見慣れているスタートメニューやデスクトップ画面を含む、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)版のことです。これを選ばないと、コマンド入力しかできないCUI版(Server Core)がインストールされてしまうため、学習用途では必須の選択です。
ライセンス条項に同意し、次に進みます。
2. 最重要ポイント:VirtIOドライバの読み込み
ここがWindows ServerをProxmox VEにインストールする上で、最も重要でつまずきやすいポイントです。
Step 3: 「ドライブが見つかりません」の解決
インストールの種類で「カスタム: Windows のみをインストールする」を選択すると、次の画面で**ディスクが何も表示されず、「ドライブが見つかりませんでした。」**と表示されます。これは、WindowsがProxmox VEの高性能なVirtIO
ディスクをまだ知らないためで、正常な状態です。
ここで、VMに接続しておいたvirtio-win.iso
から、ディスクを認識するための「翻訳機(ドライバ)」を読み込ませます。
- 画面下部にある「ドライバーの読み込み(L)」をクリックします。
- 次に表示されるウィンドウで「OK」をクリックします。
- ドライバー選択画面が開くので、「Red Hat VirtIO SCSI pass-through controller (D:\amd64\2k22\vioscsi.inf)」という互換性のあるドライバーが選択されていることを確認して「次へ」をクリックします。
ドライバの読み込みが完了すると、先ほどの画面に80GBのドライブが正しく表示されるようになります。
補足:なぜ`2k22`フォルダを選ぶのか?
virtio-win.iso
の中には、様々なバージョンのWindowsに対応したドライバが格納されています。(2k19
はServer 2019用、w11
はWindows 11用など)
今回はWindows Server 2022をインストールするため、それに対応する**2k22
**フォルダを選択するのが最も確実です。
3. インストールの完了と初回ログイン
Step 4: パーティション設定とインストール開始
表示された80GBの「未割り当て領域」を選択し、そのまま「次へ」をクリックします。Windowsが自動で必要なパーティションを作成してくれます。
ファイルのコピーが始まり、インストールが進行します。完了すると自動的に再起動がかかります。
Step 5: インストール後の再起動と起動順序の変更
インストールが完了し再起動がかかった後、VMは再び起動順序の1番目であるインストールISOを読み込もうとするため、インストーラーが最初からまた始まってしまいます。これを解決し、ハードディスクから起動させるために、VMの起動順序を変更します。
- VMを一度**「シャットダウン」**します。
- Proxmox VEの管理画面で、Windows Server VMの「オプション」タブを開きます。
- 「起動順序」をダブルクリックします。
- 表示されたウィンドウで、
scsi0
(仮想ディスク)を一番上までドラッグして、起動の最優先デバイスに設定します。 - 「OK」を押して設定を保存し、再度VMを「起動」します。
Step 6: 管理者パスワードの設定と初回ログイン
再起動後、「設定のカスタマイズ」画面が表示されたら、管理者(Administrator
)用に強力なパスワードを設定します。
設定が完了しロック画面が表示されたら、コンソール画面のメニューから「Ctrl+Alt+Del」を送信し、設定したパスワードでサインインします。
Step 7: サーバーマネージャーの確認
サインインに成功すると、Windows Server 2022のデスクトップが表示され、自動的に「サーバーマネージャー」というダッシュボードが起動します。
この画面が表示されれば、OSのインストールと初期設定は無事に完了です。
まとめと次のステップ
今回は、Windows Serverのインストール、特に最重要ポイントであるVirtIOドライバの読み込みについて解説しました。
これで、Windows Serverが起動するVMが完成しました。次回の記事では、いよいよこのサーバーのIPアドレスを固定し、リモートデスクトップを有効にするなど、本格的な運用に向けた初期設定を行っていきます。
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