【1-5】【Proxmox VE 実践編】SSH接続からはじめるUbuntu Serverの必須初期設定
【Proxmox VE 実践編】SSH接続からはじめるUbuntu Serverの必須初期設定
前回の記事では、Proxmox VE上に仮想マシン(VM)をインストールし、コンソール画面からログインできることを確認しました。
今回はその続きとして、いよいよご自身のPCからSSHでサーバーに接続し、本格的な運用に不可欠な初期設定を行っていきます。1. SSHでの初回ログイン
まずは、インストール中に有効化したSSHサーバーに、作業PCから接続します。これ以降の作業は、すべてこのターミナル上で行います。
Step 1: サーバーに接続する
お使いのWindows PCでコマンドプロンプトを起動し、指定の形式でコマンドを実行します。
ssh <ユーザー名>@<サーバーのIPアドレス>
最初に接続する際、サーバーの信頼性を問われたらyes
と入力し、次にパスワードを入力してログインします。
2. システムのアップデートとツールの導入
サーバー構築後、最初に行うべき最も重要な作業がシステムのアップデートです。これにより、セキュリティの脆弱性を塞ぎ、システムを最新の状態に保ちます。
Step 2: パッケージを更新する
Ubuntuのソフトウェア管理はapt
コマンドで行います。これはサーバー管理で最も頻繁に使うコマンドの一つなので、意味をしっかり理解しておきましょう。
-
パッケージリストの更新
まず、インストール可能なソフトウェアの最新リスト(カタログ)をインターネット上からダウンロードします。sudo apt update
-
パッケージのアップグレード
次に、ダウンロードした最新リストを元に、現在システムにインストールされているソフトウェアをすべて新しいバージョンに更新します。sudo apt upgrade -y
-y
オプションは、途中で表示される「続行しますか? [Y/n]」という確認メッセージに対し、自動で「Yes」と答えるためのものです。アップグレードの実行中に、サービス再起動の確認画面(紫色の画面)が表示された場合は、既定値のまま<OK>
を選択して進めてください。
Step 3: 便利な監視ツールを導入する
サーバーの状態を把握しやすくするために、定番のツールhtop
をインストールしておきましょう。新しいソフトウェアを追加するにはapt install
コマンドを使います。
sudo apt install htop -y
3. サーバーの状態を確認する
アップデートとツールの導入が完了したら、サーバーの現在の状態を確認してみましょう。
Step 4: リソースを確認する
- ディスク使用量の確認:
df -h
Filesystem
(どのパーティションか)、Size
(合計サイズ)、Used
(使用量)、Avail
(空き容量)、Use%
(使用率)が表示されます。特にルートパーティション(/
)の使用率を確認します。
- メモリ使用量の確認:
free -h
total
(合計メモリ)、used
(使用中)、free
(空き)が分かります。
- CPU・メモリのリアルタイム監視:
htop
CPUのコアごとの使用率、メモリとスワップ(仮想メモリ)の使用状況、実行中のプロセスが一覧で表示されます。(終了する際はq
キーを押します)
補足:リソース確認の目安と対策
ここでは、各値がどうなっていたら注意すべきか、簡単な目安と考え方を紹介します。
-
ディスク (
df -h
):-
注意の目安: ルート(
/
)パーティションの使用率(Use%)が80%〜90%を超えてきたら、容量不足が近いサインです。 - 対策: 不要なログファイルや古いパッケージを削除する、Proxmox VE側で仮想ディスクのサイズを拡張する、などの対応が考えられます。
-
注意の目安: ルート(
-
メモリ (
free -h
):-
注意の目安:
available
(利用可能)なメモリが常に非常に少なく、Swap
(スワップ)の使用量が増えている状態は、メモリ不足のサインです。 - 対策: 不要なサービスを停止する、アプリケーションのメモリ設定を見直す、Proxmox VE側でVMに割り当てるメモリ量を増やす、などの対応が必要です。
-
注意の目安:
-
CPU (
htop
):- 注意の目安: CPU使用率のバーが、特定の操作をしていないにも関わらず、長時間にわたって常に100%に近い状態が続く場合は、何らかのプロセスが暴走している可能性があります。
-
対策:
htop
のリストをCPU%
でソートし、どのプロセスがCPUを消費しているかを特定して、その原因を調査します。
4. SSHのセキュリティを強化する
パスワードでのログインは常に総当たり攻撃のリスクがあります。より安全な公開鍵認証に切り替えましょう。
Step 5: 公開鍵認証の仕組みを理解する
公開鍵認証は「鍵と鍵穴」の仕組みです。
- 【自分のPCで】 誰にも見せない「秘密鍵」と、対になる「公開鍵」のペアを作成します。
- 【サーバーに】 作成した「公開鍵」を設置します。これは「あなた専用の鍵穴」のようなものです。
- 次回以降、あなたのPCからSSH接続すると、持っている「秘密鍵」とサーバーに設置した「公開鍵(鍵穴)」が正しいペアであるかどうかが自動で認証されます。
これにより、正しい「秘密鍵」を持っていない第三者はログインできなくなり、セキュリティが飛躍的に向上します。
Step 6: 公開鍵認証を設定する
-
【作業PC側で】キーペアを作成:
新しいターミナルをもう一つ開き、指定のコマンドを実行します。ssh-keygen
保存場所やパスフレーズは、すべてEnterキーを押してデフォルトのままでOKです。作成されるキーの種類によって、ファイル名は
id_rsa.pub
やid_ed25519.pub
のようになります。 -
【作業PC側から】サーバーへ公開鍵をコピー:
scp
(Secure Copy)コマンドを使って、作成した公開鍵を作業PCからサーバーへ安全にコピーします。scp <公開鍵ファイルのパス> <ユーザー名>@<サーバーのIPアドレス>:~/.ssh/authorized_keys
-
接続テスト:
サーバーから一度exit
でログアウトし、再度指定のコマンドで接続してみてください。パスワードを聞かれずにログインできれば成功です。
まとめ
これで、SSHでのログイン、システムの最新化、そしてセキュリティの強化という、新しいサーバーで最初に行うべき必須の初期設定がすべて完了しました。サーバーは本格的なアプリケーションを動かすための、安全でクリーンな土台が整った状態です。
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