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本屋さんを開催する技術(その2)

2025/01/30に公開

本屋さんを開催する技術 の第2弾です。

2回目の本屋さんを東京Ruby会議12 で開催させていただきました。

Kaigi on Rails 2024 は2日開催でしたが、今回は 1日開催、長い休みが昼休み、休憩2回と、なかなか厳しい感じになりました。また、前回は "Ruby/Rails" 縛りという条件がありましたが、今回はなんでもよい、ということで、結果的に40点、合計99冊を持っていくことになりました。前回は16 点、65冊だったことを考えると、売り切るのはますます大変そうです。

結果として、66冊売れ、28冊返本し、5冊在庫として残りました。

準備

本の仕入れ

前述のとおり、「Ruby/Rails」縛りがなくなったため、選書をどうするか、という問題がありました。

結局、

  • 笹田
  • 東京Ruby会議12の運営・発表者
  • なんとなく声をかけた詳しそうな arton さん

で行いました。また、セキュリティ、DB設計、パフォーマンス分析__。Railsを使ったWebアプリ開発をパワーアップする書籍6冊 | レバテックラボ(レバテックLAB) がちょうど公開されたので、紹介されていて仕入れられそうな本を追加しました。私と osyoyu さんが低レイヤ向けの本を追加した気がします。

仕入れる冊数は、じっと眺めて適当に決めました。返品できない本は少なくしたりとか、古い本は少なくしたりとか、関係者がいそうな本は多めにしておこうとか。

仕入れについて、前回は3社様に直接お願い申し上げて仕入れをさせていただきましたが、今回は 8 社+1人にお願いして仕入れをさせていただきました。ご対応いただきました各社様(+1人)には深く感謝いたします。

もう少し詳しく言うと、あと数社に問い合わせをしたのですが、部数の関係で無理だったり、そもそも反応を頂けなかったりと、なかなか厳しい。よく知らない個人から問い合わせが来ても、それはそう、という感じがするので、今回ご対応いただきました皆様には感謝しかありません。

+1人というのは、個人出版されている久野先生の書籍が良さそうだったので、卸していただきました。

後者はあんまり見てなかったんですが、Python の本だったんですね...。物珍しさからか、それぞれ完売(計4冊)しました。

仕入れの相手が9人(社)となったので、若干管理が面倒です。仕入れる本や出版社様との交渉の状況など、Google spread sheet で管理していました。何かシステムが欲しい。

いろいろな事情から、いろいろな条件で仕入れをさせていただいております。

  • 掛け率(結構違って、幅がなんと13)
  • 返本の可否
  • 出版社から送っていただく送料の負担
    • 送ったほうが負担
    • 取引額 n 円以下なら発注者(私)が負担
  • 返本は発注者が負担

この辺は本当に多彩ですね。繰り返しになりますが、ご対応いただきました皆様に感謝申し上げます。

決済手段

決済は前回と同じく STORES 決済です。完全キャッシュレス。

なんと前回からアップデートがあって、Edy、QR系の支払いができるように。

あと、レシート用プリンタを2万円で買いました! 前回のあがりから。ロゴとか QR コードとか入れられて便利。

無料で使えるレジアプリに登録するのも慣れたもんですが、点数が増えたので入力が面倒くさい(アイテムの一括削除や CSV で在庫を登録するのは有料プランに登録しないといけない)。

相変わらず手数料(3%程度 https://coiney.com/pricing/ )は厳しい。

そういえば、今回は私の IIJ mio のネットワーク回線という貧弱なネットワーク環境だったのですが、問題なくできていたので助かりました。

スタッフ集め

冊数も多いため、スタッフを事前に募集したところ、eririnさんが手を挙げていただきました。また、STORES 社内の人が数人手を挙げてくれました。

どうもありがとうございます。報酬は、たまたま見本でいただいた書籍を受け取っていただきました。

その他

今回はおまけを用意せず、前回余った紙袋、サインペン、ちょっと大きいポストイット(ヨドバシ.com - 3M スリーエム 強粘着ノート ポスト・イット パステルカラー イエロー 90枚 655SS-RPY 通販【全品無料配達】 )を持っていきました。

イーゼルパッドは持っていくのが面倒だったので、今回は持っていきませんでした。その代わり、A3 の紙に本屋と書いた看板やキャッシュレスオンリーであることを示す看板を印刷してもっていきました(コンビニのプリンタで印刷、1枚20円 あれ、値上げしてる?)。デザインはパワポ。

前回はちょっと要らないかなぁ、と思った簡易組み立て型展示台『ダンダン段ボールNEO』「しまや出版」 は、今回は点数が多くて机に乗りきらなそうだったので、2つ使いました。大活躍。なぜか家にあって良かった。

看板を掲載するための新兵器として、軽いのぼり台を持っていきました。

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軽くてどうかと思ったんですが、室内ですと風もなく、交通の妨げにならない状況であれば問題なさそうに見えました。結果論ですが、本屋のすぐ横に柱があったので、なくてもよかったかもなぁ。

結果

というわけで、お手伝いいただきながら、出展させていただきました。

本屋の様子

入場開始30分前に来て、在庫確認、陳列とギリギリ間に合ったか間に合わなかったか、という感じでした。

人の入りを見ると、やはり最初のほうが多く、最後の休憩はあまりこなかった(多分、興味のある方は最初にざっと眺めてもう来ない。イベントには他にも楽しいこといっぱいあるしね)、という傾向があったように思います。

数字

  • 仕入れた冊数 99
  • 売れた冊数 66
  • 売れ残った冊数 33
  • 返本した冊数 28
  • 在庫として残る冊数 5

となりました。残念ながら全部は売れず、返本と在庫が発生しました。今回は、売れ残ったなかから自分も興味があった本を5冊買っています。

お金で言うと、

  • 収支 ¥9,095
  • および残った5冊(原価) ¥17,760

となりました。在庫が残ってしまったのは、年末までになんとかしないと経理が面倒そう。また、自分が買わなければ、収支的には赤字でした。うーん、やっぱりビジネスとしては厳しい。これ、人件費一切入ってないからね。

支出一覧:

  • 書籍仕入れ ¥199,655
  • バッジx10 ¥1,396
  • 看板印刷 ¥160
  • 送料(返本1) ¥1,750
  • 送料(返本2) ¥1,469
  • 送料(返本3) ¥1,011
  • 送料(会場→自宅) ¥3,060
  • 決済手数料 ¥6,743

反省点としては、返本方法を1社以外確認していなかったため、いったん家に戻すために「会場→家」という無駄な送料がかかってしまった点です。これは、会場から直接返本を行えるように事前に確認しておくべきでした。5冊なら手で持って帰れて3,000円もかからなかったのに。悔しい。

バッジとありますが、実は本屋のスタッフの方にバッジを配ってみようと思って試しに発注してみたんですが、納期を1週間勘違いしたという。

https://x.com/_ko1/status/1882244816509214931

ちなみに支払いの振込手数料がかかっていないのは、SBI新生銀行の手数料無料の枠に収まっているためです。すごいぞ SBI新生銀行。

アンケート結果

今回もアンケートを行いました。お答えいただきました皆様に感謝いたします。

イベントでの本屋さん、要りました?

本屋さんを利用されました?

品ぞろえはどうでしたか?

支払いどうでした?

何かやってみたいことありますか?

自由に感想をおよせください

  • Rubyに限らない幅広い本を置いてくださっていたのもあり知らない本との出会いがあって嬉しかったです。
  • もし今後、たとえばRubyKaigiで同企画をやってくださる場合、海外の未翻訳書籍や原著で参加者やスピーカーの著書が置いてあったら私は(いつも買うときは電子書籍で買ってるけど)物理本で買ってしまうなと思ったのでリクエストも兼ねて感想といたします。
  • 今回"楽々ERDレッスン"を購入しました。
    購入した理由としては
    1. 普段行く書店(池袋ジュンク堂や丸の内丸善)で見かけない
    2. その筋で著名なmoroさんが推薦していた
      の2点が挙げられます。
  • 普段見かけない名著に触れられた良い機会でした。
  • 気になっていて中を見て買いたいなと思ってたけど近所の本屋にはなくて見送ってた本が買えて嬉しかったです
  • 自分は遠藤さんの書籍を購入したんですが、このような機会が無ければ手に取ることはなかったかもしれないので、そういった素敵な出会いの場を提供していただいてありがとうございました
  • 今買ってもRubyKaigiが終わるまで読めなさそうなので断念しましたが、前回より種類が増えて見ているだけでも楽しかったです。手書きPOPが良かったです。
  • 品揃え豊富で買う側としては大変ありがたかったのですが、笹田さんのご負担になってないかちょっと心配になりました。持続可能な規模で続けてくださるとありがたいです。
  • カンファレンスに本屋さんがあることには意義があると思っているので、ぜひ今後も続けていってほしいです。(という思いも込めて、購入させていただきました!)
    でもご負担が大きくないかは心配なので、無理のない範囲で…と思っています。
  • おすすめされてた『計算機科学指向のプログラミング入門』はそのあと買いました。売り上げには貢献でじませんでしたが新しい本との出会いがありよかったです。
  • もっとキワモノがあってもよかった
  • 知らない本との出会いがあって良かったです、ありがとうございました!
  • 技術書展的な同人技術誌を販売する場があっても面白いなと思いました
  • 前回と比べてたくさんの品揃えがありよかったです。
    ただ、自分はどの本も持っていたので実際に購入はしなかったです。前回は自分が持ってなかった新刊があったのと著者の方がいらしたので1冊購入しました。
  • 英語の本が欲しい
  • 選書が幅広く、とても良かったです!

アンケート結果を見て

前回のアンケート結果では、品ぞろえについて「少ない」という声もありましたが、さすがに今回くらいあると少ないという声は出ないのですね。でも、多い、って声もないので、人は本はあればあるだけ嬉しい。

前回の品ぞろえについての質問

相変わらず「キャッシュレスオンリーでもよい」というアンケート結果になっています。やっぱり現金があると管理が本当につらいので、この方針は続けたいところです。

立っていても思いましたが、良いポップがあると全然売れ方が違いますね。よいポップを書いてくださった moro さんやほかの皆様、ありがとうございました。

雑感

返本作業つらかった...。

最後、ちょっと割引をしたんですが、そもそも本屋への興味が薄れて最後のほうは見てもらえなかったので、なかなか厳しいですね。「値引きしてますよ!」と大々的に言うのも、先に買ってくれた人に申し訳ないような気がするし。また、「最後は値引きされるんでしょう」と思われてなかなか買っていただけなくなるのもつらい(自分はスーパーの値下げ弁当が好きなので因果応報かもしれない。ちなみにベン・トー も好き。リコリコで売れてよかったなぁ)。

前回は島田さんが売ってくれたので、なるほど会場に関係者がいると売れるのか、と思ったんですが、会場にいるだけじゃダメで、売り子に立ってもらったり、サイン会みたいなものをしないと売れないですねぇ。「会場にいるからサインもらえますよ」は全然ダメでした。関係者の皆様、売れなくてごめんなさい。

上にも書いたけどポップがとても大事ということがわかりました。でも自分は本屋でポップなんてみないんだよな...。ポップをうっかり書いて人に勧めたくなるような本を並べておきたいところです。

あと、定番本は本当に売れなくて、ちょっと知らないかも、って本が良く売れました。

目標としている「本屋を通じたコミュニケーション」というのは、やはりあんまり見ませんでした(本屋 <-> 客、のコミュニケーションが多かった)。接する面積が小さいからかなぁ。人が集まると悪いから、ということでたむろしづらいのかもしれない。

ぶっちゃけ全部 Amazon で買えるので、イベント会場で「売る」ことを目的としないで「展示」するだけでもいいのかもしれないなぁ、という気はします(本屋をやっている意味とは...)。イベント会場で欲しい本ってなんですかね。サイン本とかはわかりやすいですが。

出版社の皆様には大変お世話になっているのですが、もう少しご相談して、さらに何か工夫できないかなぁ、という気がしています。1社様だけ、ご相談の上で見本を置かせていただくことができました。そんな感じのやつ。

決済は、クレカ(なんと全部タッチするやつ。私1枚も持ってないのに...)が圧倒的に多く、そのあとで PayPay などの QR 決済、QUICPayなどの電子マネー、という感じでした。ほとんどトラブルがなかったけど、決済端末がバッテリー切れで大変お待たせしてしまったときがありました。その節はどうもすみません。

決済といえば今回から導入したレシート印刷、みなさん素直に持っていきますね。領収書も印刷できて、欲しいといった方は数人いらっしゃいました。レシートにアンケートへの QR コードを書いておいたんだけど、多分だれも使っていないと思う。まぁそうだよね(自分も使わない)。レシートに書いて、何か面白いコンテンツはないかな。割引券? ゲームとか仕込めたら面白そうだけど、まぁ難しいな。

片付けで最後のイーグルさんのキーノートが聞けなかったのが本当につらい。片付けスケジューリング大事。

宣伝

前回と同じなのですが、本屋の宣伝です。「うちの技術カンファレンスでも技術書を売るサービスを提供したいな」という方がいらっしゃいましたらお声掛けいただければ幸いです。

個人的な動機の一つに、「あまり行ったことがないカンファレンスでも、本屋という名目があれば行きやすいかも?」というのがあったので、お呼びいただけると嬉しいです。

また、この記事を参考に、技術カンファレンスで本屋さんが実施されるようになると嬉しいです。

まとめ

技術としては、前回とあまりアップデートはないのですが、1点だけ「会場に執筆者などがいるよ」だけでは足りないことがわかりました。

もうちょっとブラッシュアップしていきたいところです。

最後に、無事開催できましたことについて、お世話になったすべての皆様に感謝申し上げます。

東京Ruby会議12運営スタッフの皆様、本屋を手伝ってくださった皆様、仕入れを許可してくださった皆様(また、わざわざ本屋を見てくださった出版社の皆様)、ポップを書いてくださった皆様、本屋で買ってくださった皆様、本を手に取ってくださった皆様、本施策に興味を持ってくださった皆様に感謝申し上げます。

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