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本屋さんを開催する技術(Kaigi on Rails 2025)

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かっこいいロゴ

技術イベントにおいて趣味で本屋をやっているささだです。

さて、レポート7回目です(過去の記録はこちらから → @. bookstore | @. bookstore site)。

今回は Kaigi on Rails 2025 で出店させていただきました。初めて本屋をさせていただいたのが Kaigi on Rails 2024 なので、だいたい1年たったことになります(その時のレポート: 本屋さんを開催する技術)。開催の結構直前に大倉さんに「やっていい?」ってねじ込んだのを昨日のように覚えています。いや、嘘。だいぶうろ覚え。その節はありがとうございました&今回はご依頼いただきましてありがとうございました。Ruby 界隈では、イベントで本屋があるのはだいぶ一般的な光景になってきたんじゃないでしょうか。

まずは数字のまとめ。

技術イベント 日数 参加者数(だいたい) 仕入れた点数 仕入れた冊数 売れた冊数 売れた冊数 / 人数 売れた冊数 / のべ人数
Kaigi on Rails 2024 2 600 16 65 65 0.11 0.05
東京Ruby会議12 1 300 40 99 66 0.22 0.22
RubyKaigi 2025 3 1500 99 498 494 0.33 0.11
関西Ruby会議08 1 280 22 65 57 0.20 0.20
SRE NEXT 2025 IN TOKYO 2 600 30 145 141 0.24 0.12
RubyKaigi 2025 follow up 1 84 7 12 12 0.14 0.14
Kaigi on Rails 2025 2 750 75 189 142 0.19 0.09

189冊入れて142冊も売れました。初回は65冊入れて65冊売ったので、2.2倍くらい売ってる! 凄い! 最初はおっかなびっくりでしたね。

準備

今回は、先ほど述べた通り、Kaigi on Rails 2025 運営の皆様から「やらん?」とお誘いいただきまして、開催の運びとなりました。前回は色々仕入れに制限がありましたが、今回はナシとのこと。結果として、すごい面積の売り場をご用意いただきまして、ありがとうございました。

選書

今回は高橋さんが Railsアプリケーション開発者のためのブックガイド / Masayoshi Takahashi | Kaigi on Rails 2025 という talk をする、ということで、事前に本リストを頂いて、「多すぎるから絞ってください」とお願いして絞って頂いた結果を見て、これまでお取引実績のなかった出版社にお願いメール投げまくって、仕入れを可能な本を揃えました。

  • 高橋さんの選書リスト

https://x.com/takahashim/status/1972211066693472311

  • 実際に並べた(並べようとしたリスト):@KoR2025/選書
    • なお、高橋さんの選書以外に、私が追加したもの、長田さんに推薦されたものもいくらか

結果として、同人誌1点を含めて75点189冊を仕入れることになりました。感覚がマヒしてきてるけど、凄い量だよね。

今回の新しいチャレンジが、この発表に合わせた仕入れになるかな。

今回新しくお取引させていただいた出版社様、およびこれまで通りお世話になりました出版社様に感謝いたします。都合 10 社様!

あと、プレスリリース『Rubyフレームワーク Ruby on Rails 8入門』 - 秀和システム新社 あなたの学びをサポート! を直前に見て、「仕入れられますか?」ってメールして、条件が諸々あわなくて(最低冊数で折り合えなかった)、見本を1冊いただきました。会期中、展示させていただきました。秀和システム新社様が継続して技術書を出版できているというのがわかってよかったです。

備品

iPad 修理しました。新品買おうと思って調べたけど、同じような spec で 25 万円とか高すぎるよ。
他は、付箋シールを買ったくらい。「高橋さんご推薦」と印刷しておきました。

決済システム

今回も STORES 決済とレジを利用しました。有料プラン! STORES レジの有料プランは、支払い当月は、月末まで日割りなので、Kaigi on Rails 2025 が月末で助かった! ひと月5,000円のところ、825円なり。終わったら速攻で無料プランに戻しました。定期的にイベントがあれば、もしくはもっと儲かるなら契約してもいいけどねぇ。

スタッフ

今回も島田さんにだいぶお世話になりました。また、選書したということで、高橋さんにだいぶ本屋で営業してもらっていました(島田さんと合わせて、「こんな本ないですかね」という相談についての相談会みたいな感じだった。贅沢過ぎない? 時給やばそう)。あと、WEB+DB Press 総集編を売るのに inao さんにだいぶご尽力いただきました。

また、STORES 社内で誰かいないかなーと言ったところ、たくさんの方に手伝っていただきました。スキャナー使ったことある人はそんなにいなかった気がします。

ありがとうございました。

結果

開催の様子

https://x.com/_ko1/status/1971395158831960527

ちなみに、翔泳社様からいただいたチラシをホワイトボードに掲示しておきました。

https://x.com/_ko1/status/1971245919669817513

印刷した付箋シール

Firstお客様

First お客様

https://x.com/inao/status/1971412884266811496

https://x.com/_ko1/status/1971454733249597946

https://x.com/inao/status/1971792545278841103

見本

高橋さんがもってきてくれた(家にあったらしい)「たのしい Ruby」と、ぷぽさんが是非並べたいといっていた「ライトついてますか」、および Rails 8 入門を見本として手に取っていただけるようにしていました。

ラムダノート様には、これまでの既刊案内を頂いたので、並べておきました。

https://x.com/_ko1/status/1971811744755675598

見本でいただいた Rails 8 入門は、じゃんけん大会で最後にお渡ししました。また、「たのしい Ruby」(5冊くらい?)も、同じくじゃんけん大会で配りました。

じゃんけん大会参加者は、本かった人くらいに絞ってもよかったかもしれない...。でもなぁ、販促ツールに使うのもなぁ。

Kaigi on Rails 自体は、見れるところではストリーミングで楽しませていただきました。でも、そこそこトラブルで見れないことも。あと、ギガがいっぱい減った。廊下的な楽しみ方は、本屋と懇親会でできたかなぁ。なかなか、門外漢ではあるんだけど。

売り上げ

  • 書籍
    • 仕入れた点数: 75点(うち同人誌1点)
    • 仕入れた冊数: 189冊(うち同人誌5冊)
    • 売れた冊数: 142冊
    • 返本した冊数: 15冊
    • 在庫にした冊数: 32冊
  • 売り上げ合計: ¥480,713
  • 支出: ¥509,731
    • 書籍仕入れ:¥486,916
    • その他経費: ¥22,815
      • うち、決済手数料: ¥15,077
      • 返本などの本の送料がなかなか高い。
  • 収支: -¥29,018

1年やって、はじめての赤字!!! ちょっと舐めプしてたかなぁ。いろいろあわせて、今年は3万円くらい黒字(今回のより前の皮算用)だからと島田さんのプログラミングRuby 第5版 翻訳支援の募集 に応募してみたりしたんだけど、まさか赤字になっちゃうとは。

実は返本可能な冊数はもう少しあったんですが、あんまり返すと今後のお取引に影響が出そうなことと、次回に出雲の会議に誘われているので、そこで売るために少し多めに在庫を抱えることにしました。うちで。32冊はなかなか圧巻(邪魔)。高橋さんセレクションなので、別のところでも自信をもって並べることができます。多分。見かけたら買って。

本屋の会場が、必ずしも皆さんの目に触れるようなところでなかたっというのもあるかなぁ(講演部屋とフロアが違う休憩部屋だったので、来ない人もそこそこいたのでは)、と思うのですが、まぁそんなこともある。机は6台も出してもらったのかな。すごい面積を頂きました。来てくださった方には見やすくて好評だったみたいです(Twitter/X などを見た)。

そういえば、コーヒーなど配布のわいわい部屋での開催だったので、本屋をコーヒー片手に見る人がおおくてヒヤヒヤしました。机のあいてるスペース(本の隣)に置く人もそこそこ(しかも、そこ濡れてた...)。「汚れたら買い取るの俺なんやで!」と思いながら「気を付けてねー」というと、怒られたかと思って本屋から去っていく人もいて、なかなか難しい。どうしたらよかったんだろうな。でも、コーヒー片手にのんびり見たいよね。わかる。

そういえば、名札に「Student」と書いてある参加者の方が見てくださったので、急遽学生5%引きにしました。しかし、例えば税込み 3,300円が税込み 3,135 円になっても、買いやすくなるかというと、ウーン。これ以上するならスポンサーが要りますね。

アンケート

イベントでの本屋さん、要りました?

本屋さんを利用されました?

品ぞろえはどうでしたか?

一言いっておくと、あの品ぞろえをできる物理本屋はなかなかないぞ。

支払いどうでした?

1年間続けてきて「現金で支払えなくてこまった」という人がいない。もういいかな。

何かやってみたいことありますか?

どんな本が読みたいですか?

  • やはり物理的な荷物が増えますので、薄くて名著という感じの品揃えが充実していると何冊も気軽に買えて嬉しいなと思います。
    • 笹田注: なんだろ。高橋メソッドの本?(まだ売ってるのかな) 定番本は並べたいですよね。
  • 若い人はパターン・ランゲージの存在を知らないようです。紹介のためにクリストファー アレグザンダー の本があってもいいかもしれません。
  • 登壇者の推薦本だと手に取る率高まる
    • 笹田注:わかる
  • 眺めていると店員さんが本の良さを話してくれるのがとても良かったです。なので店員さんがおすすめしてくれる本が並んでいると嬉しい
    • 笹田注:わかる
  • 低レイヤ本が好きです。『Unix考古学』読みたかったです。『Layered Design for Ruby on Rails Applications』とか置いてあったら面白そうだなーと思ったのですが、海外本は難しいですよね...
    • 笹田注:洋書の仕入れルート知ってたら教えてください! 本当にわからない。
  • デザイン周りの書籍だと「悲劇的なデザイン」が推しです
  • 同人誌みたいなのがあっても良いと思った
    • 笹田注:今回1点ありました。
  • 技術書典などの同人誌や、古典だけど手に入りづらいものなど、普段目に留まりづらいものを知れる機会になるとうれしいかなと思いました
  • 「駅をデザインする」も良書です
  • 『[改訂新版]SQL実践入門──高速でわかりやすいクエリの書き方』、『こんにちは!要件定義1【情報活用とデータベース編】』
  • Webを支える技術(すでにあったらごめんなさい
    • 笹田注:実は注文はしてたんだけど、都合で並べられなくて...。
  • SF

自由に感想をおよせください

  • 今回のような会場などで、休憩用の机や読書スペースを置いて、本を囲んで何か議論や喋る、というようなエリアを用意するというのはどうでしょうか。書籍の盗難対策などは難しいですが、本を買う、の手前から本に触れる、というところからやらないと、技術書、への敷居は下がらなそうな気がします。サイン会や高橋さんの解説会の亜種のようなイメージです。
    • 笹田注:今回は本屋広かったので、議論もしやすかったのかなと思うけど、もっと休憩スペースに置いちゃうってことかな。うーん、汚れちゃうのがなぁ。
  • 電子書籍派なので、その場で買うことは多分無いと思うのですが、知らない本に出会えるのは嬉しいです。
  • とても良い企画をありがとうございました!
  • 最近は物理的な本屋さんに行かなくなったので、本を手にとって選ぶ体験が楽しいです。
  • 運営のものです。今年もありがとうございました。本の購入ですが、「参加者優先で」と思っていたらいつの間にかなくなっててよかったです。運営大変かと思いますが、これからも続けていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
  • 今回は本を購入しなかったのですが、RubyKaigiの時には大分お世話になったので、ぜひ続けていただきたいです!新しい本との出会いをいつも楽しみにさせていただいてます!いつもありがとうございますー!!
  • いつもありがとうございます!!
  • 本屋で店員さんやお客さん、いろんな人と話したのがとても楽しかったです!ありがとうございました。
  • 無理のない範囲で継続いただければと思います。
  • 遠方から来て荷物が多くなってしまうので、その場で買うのが難しい
    • 笹田注:1000円くらいで発送サービスがあったら使います?
  • 結構知らない本も見れて大変助かりました。他の人にも買って欲しいという遠慮と、荷物を増やしたくなくて、最後に買おうと思っていたら、営業終了時間過ぎてました(ので、終了時間がわかるとうれしいかもしれません。でも荷物が増えないように後日買うかもしれません…)
    • 笹田注:終了は「そろそろお客さん来なさそうだから閉めようか」みたいな感じなのが多いです。聞いてくれると嬉しいです。

まとめ

記念すべきマイルストーンとなる本屋出店でした。この1年、ありがとうございました。最初のモチベーションの一つである、「本屋のある技術イベントっていいよね」という認知を得るという目標はある程度達成できたんじゃないかと思います。

Kaigi on Rails 2024 で本屋さんをやります

で、なら一つ自分でやってみるか、と思い至ったのが本屋さんをやってみる理由になります。やってみて、「技術カンファレンスに本屋さんってあると気分いいよね」という雰囲気が残せればいいなと思っています。

アンケートでも、本屋現場でも「電書で買うから買いません」という声とともに「この本読んで面白かったんだよねー」と仲間内でしゃべっている声が聞こえました。いやー、まさにそれが目的って感じでよかったです。目標は売上じゃなくて技術イベントを盛り上げることであり、本をネタにしてコミュニケーションを促進してくれれば最高。それにより技術書が増えたらなおよし。それが Ruby についての面白い本だったらさらにヨシ。全部 Amazon で買えるから、あとで Amazon で注文してくれてもいいんですよ。いや、お金は好きなので、5,000兆円くらい儲かるといいんですが、まぁ、すごく赤字があるわけじゃないので、なんとかなる(いやぁ、ほんと儲からないですねぇ)。

しかし、イベントを盛り上げる目的なので、なるべく売るだけじゃなくて雑談を混ぜるようにしたけど、ゆっくり見たい人には邪魔だったかもしれないなぁ。難しい。本(本屋)を用いたコミュニケーションデザインについて、もっと模索できると思っています。

設備も整えちゃったので(レジ周り、10万円分くらいの投資)、飽きるまでもうちょっとだけ続けようと思います。でも、一緒にやってくれる人いたら助かるなぁ。

今回と、それから1年、お世話になった皆様、執筆者の皆様、イベント主催者の皆様、出版社の皆様、本を買ってくださった皆様、協力してくださった、関わってくださった皆様に感謝申し上げます。

宣伝

宣伝1

技術イベントでの本屋のご用がありましたら、よかったらお声掛けください(技術イベントで技術書の販売をしませんか? | @. bookstore)。まぁ、私がやる必要もないので、似たような試みがどんどん広がるといいと思っています。

宣伝2

皆様の技術書を並べられるのを楽しみにしてます!

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