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汎用的QAをやめた日

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この記事は、「KNOWLEDGE WORK Blog Sprint」16日目の記事です。

株式会社ナレッジワークのQAエンジニア Katoazです。

2025年2月にナレッジワークに入社し、半年以上が経ちました。
入社前に「どの会社でも通用する人材でありたい」と考えていた私は、今、ナレッジマネジメントの道を選択し、プロダクトにとことん寄り添うことに集中しています。
ナレッジワークには、メンバーマネジメントだけでなくナレッジマネジメントというキャリアパスがあります。これは、私のように「知識を仕組みに変えて、チームに貢献したい」と考えているQAエンジニアにとって、とても心強い仕組みです。

はじめに

QAエンジニアは、ソフトウェアやシステムのQuality(品質)をAssurance(保証)することを専門とするエンジニアです。「品質を保証するためには、これをやれば万事解決!」というものは存在しません。品質を保証するためのすべての活動をすることが、QAエンジニアの責務です。
それ故、私は「なんでもできる、汎用的な人にならなければいけない」と思い込んでしまい、「できないことがたくさんある状態で、QAエンジニアの看板を掲げていて本当によいのだろうか?」と考えていました。

私は、Quiet Apology(静かなる謝罪)をずっと続けている、QAエンジニアでした。

汎用的QAを辞めた理由

ナレッジワークに転職する前の会社に所属していたときの私は、「どこの現場でも通用する、汎用的なQAエンジニアになりたい」と思っていました。しかし、具体的に何ができれば「通用するQAエンジニア」だと言えるのか、その答えを見つけられずにもがいていました。

プロダクトの品質を保証するためには、プロジェクト全体の品質も高めなければいけないと考えた私は、私はピープルマネジメントやスクラムマスターに挑戦することにしました。

ピープルマネジメントでは、バックエンドエンジニアのメンバーが多いチームを担当しました。
慣れないマネジメント業務に手探りで取り組んだことで、1on1をしているときに「この何もわかっていない人に相談しても仕方がない」と思わせてしまうことが多くありました。メンバーの課題や問題を抽象化して整理したり、会話の中から次のアクションを引き出したりすることが難しく、結局は表面的なやり取りしかできませんでした。
「同じロールの人に上司になってほしい」というフィードバックを受けたとき、強い無力感を覚えました。

また、スクラムマスターの挑戦も手探りでした。
スクラム開発の経験がなかった私は、「型」をなぞることしかできませんでした。
結果、チームを巻き込んで何かを達成するどころではなく、チームを混乱の渦に巻き込んでしまうことになりました。
そんな状況でも、リリースをするために品質計画やテスト設計の業務も並行して進めなければなりません。何もかもが中途半端な状態が続き、開発チームだけではなく、ビジネスチームにもたくさんの迷惑をかけていました。

結果として、QAエンジニアとしての専門性を追求することもできず、スクラムマスターにもマネージャーにもなれませんでした。
「どこに行っても通用するQAエンジニア」を目指していたはずなのに、それを証明することができず、どの分野においても自分がただの「誰かの劣化版」で終わってしまう悔しさを感じていました。
私はどのプロジェクトでも必要とされる人を目指しているにもかかわらず、どこに行っても思い描く姿になれない状況を打開しようと考えました。
私は、いろいろなことに手を出すのではなく、QAエンジニアとして本当にやるべきことは何か、その基本に立ち返ることにしました。

私は、Quiet Arsonist(闘志を内に秘めた) QAエンジニアとして、ナレッジワークに入社しました。

ナレッジワークの「ナレッジマネジメントコース」とは

ところで、ナレッジワークには、2つのコースが用意されています。「メンバーマネジメントコース」と、「ナレッジマネジメントコース」です。これが、次のチャレンジの場としてナレッジワークを選んだ理由のひとつです。
よくある誤解として、メンバーマネジメントコースがゼネラリスト、ナレッジマネジメントコースがスペシャリストなのではないかというものがありますが、決してそういった分類ではありません。
正しくは、マネジメントする対象が異なるのです。メンバーマネジメントコースは人材のマネジメントを担当し、ナレッジマネジメントコースは知識のマネジメントを担当します。
マネジメントするかしないかを選択するのではなく、全員が何かしらのマネジメントをするということ、そしてそのマネジメントの対象を選択することができるという環境は、面白いと感じました。
私はQAエンジニアとしての知見をたくさん増やし、それを還元する活動をしたいと考えていたので、ナレッジマネジメントコースを希望しています。

入社から半年でやったこと

ナレッジワークのサービス全体を把握

私は、Quick Adapter(すばやく馴染む人)なQAを意識しました。
担当している領域ではテスト設計やテスト実施を行いながら学びを深めましたが、それだけでは不十分だと気づきました。
担当範囲外のサービスについても把握しなければ、サービス全体の統一感や仕様の整合性を確認できず、必要十分なレビューやテスト設計ができないことに気づいたのです。
そこで、ヘルプページをすべて読み込みながらサービスを操作し、どのような機能があるのか、仕様はどうなっているのかを丁寧に理解することに努めました。
自分がチームで活動するにあたって必要と思うことを自担当の範囲の理解が進んできた入社3か月目から進めていきました。
その結果、PRDやDDのレビュー時にはじめて知る機能が減り、レビュー段階でサービスを想像しながら参加できるようになり、テスト設計でも何をどうテストすればよいか迷う時間が大きく減りました。

レトロスペクティブの推進

私は、Quote Analyzer(声の解析者)なQAを意識しました。
チームは、一見うまく回っているように見えました。しかし、他のミーティングと時間が重複したり、期日がギリギリだったりといった理由でレトロスペクティブがスキップされることがあることに気がつきました。
そこで、確実にレトロスペクティブを開催できるよう、自らファシリテーションをすることにしました。
さらに、KPT(Keep、Problem、Try)、FunDoneLearn、YWT(やった、わかった、次やる)など毎回違うふりかえり手法を取り入れることで、チームメンバー一人ひとりの声を引き出し、互いの意見に耳を傾けることを重視しました。
その結果、チームに参画したばかりの私でも、メンバーがどのような状態で、何に困っているのか、どのように変わるとうれしいのかを把握できるようになり、チーム全体の改善活動に目を向けられるようになりました。

ナレッジを作成して共有

私は、Quest and Assist(探求と支援)なQAを意識しました。
調査や検証を行う中で得た知見を、チームで再利用できる形で残すことを心がけました。
ナレッジワークには、情報をナレッジとして蓄積し、チームで活用する文化があります。
しかし、実際には更新されず古いままの情報が残っていたり、細かい誤字脱字の修正が後回しになっていたりすることもありました。
入社直後のオンボーディング期間から、既存ページの更新を心がけ、慣れてきてからは新しいページを作成し、ナレッジを追加していきました。
当初は「次の人のための情報」と考えていましたが、サービス理解が深まるきっかけになったり、1か月後の自分が参照できたりするなど、自分自身へのメリットも多くありました。
その結果、新しいメンバーや他チームが迷わず必要な情報にアクセスできるようになり、チーム全体の作業効率が向上しました。

脱・汎用的QAで得られたもの

小さな自信

入社から半年間、苦労しつつも、プロダクトに深く寄り添って小さな改善を重ねることで、「できた」の積み重ねを実感できるようになりました。 そして今は、「次は何ができるようになったらチームに貢献できるかな」と考えています。
私は、自分のやっていることに対して、Quite Assured(自信をもった人)なQAへと少しずつ成長しています。

品質を先回り

目の前のタスクをこなすだけでなく、プロジェクト全体の品質にどう影響するかを基準に判断したり、プロジェクトがどう進化すると良いかを検討したりしています。
自分の行動一つひとつがプロダクトやプロジェクトにどう影響するかを考えながら活動できるようになりました。
より速く、よりスムーズに進めるために今どうしたらよいのかを常に自分に問いかける、Quality Ahead(品質を先に見据える人)なQAになりつつあります。

自由な探求

知識を集め、仕組みに変え、チームの今やこれからに還元する活動を続けたいと考えるようになりました。プロダクトやプロジェクトを「もっと知りたい」「もっと良くしたい」という気持ちが強くなり、Quest Awakened(探求心に目覚めた人)なQAとして歩みを進めています。

まとめ

かつて「どこでも通用するQA」を目指して迷い続けていた私は、 Quiet Apology(静かなる謝罪)に沈み込んでいました。
ナレッジワークに出会い、Quiet Arsonist(闘志を内に秘めた)QAとして持ち直し、実践を経て歩を進めています。
そして、自分らしいQAエンジニア像を描けるようになりました。
私はこれからも、Quite Authentic(自分らしい本物)なQAとして成長を続けていきます。

▼2025年2月入社の動機QAエンジニアの座談会記事もぜひご覧ください。
https://note.com/knowledgework/n/ne9ce144ee3cd


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KNOWLEDGE WORK Blog Sprint」 、明日9月17日の担当は今月(9月)に入社したばかりのtomさんです。お楽しみに!

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