文系だけどオンラインでCS修士号取るぜ
つい先日ヨーク大学のCS修士のオンラインコースに合格したので、記録として残しておきたいと思う。自分用の備忘録ということもあるが、オンライン大学院を検討する上でさまざまな記事・ブログに助けられたので、自分の記事も同じように大学院を検討している方の一助になればと考えている。
バックグラウンド
現在はエンジニアとして働いているが、大学は法学部を卒業している。仕事自体は特に不自由していないが、少し深い内容を勉強しようとすると体系的な知識の不足を痛感することが多く、20代のうちにそれを解消しておきたいと考えて大学院に進むことにした(あと修士ってかっこいい)。
大学院の選択基準
自分のバックグラウンドに合った大学院を探していくわけだが、文系でも出願できるという以外にいくつか基準を設けたのでそれらをリストアップしたい。
- CS学部を卒業している必要がない
- 学費が安い
- とにかく早く勉強が始められる
- 英語で勉強できる
- 研究ができる(これといって気になるトピックがあるわけではないが、経験としてやってみたかった)
ではこれらを満たす大学院をみていこう。
大学院
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ヨーク大学
イギリスのラッセルグループの一角を占める名門大学。学費が2年で9000ポンドと安く、かつ成績も2:2(GPAで言うと2.8以上)しか求められないためハードルは低め。メリットとしては提出書類が非常に少ないことが挙げられる。2024年時点で要求しているのは成績証明書・卒業証明書・TOEFL87点以上(IELTSでもDuolingoでもいい)のみであり、他の大学院で要求されがちな推薦状といったものは一切ない。また私の場合申し込んだのは5月だったが、授業は6/24開始と実際に学習が始められるまでの期間が短いのもいい。ちなみに年に6回ほど出願時期があるため、いつ入っても学習までのタイムラグは短く抑えられる。デメリットとしては名門大学とは言いながらもそこまで知名度が高いわけではなさそうなので、学歴や知名度を求める人はあまり嬉しくないかもしれない。とはいえ入学・授業開始までがスムーズであり、推薦状の用意などCSと関係ない部分に時間を割く必要がないのは大変大きい。自分がヨーク大学を選んだ理由もまさにそこだった。あまり大学名にこだわりがなく、とにかくCSを勉強したいという人は出願してみてもいいだろう。 -
ジョージア工科大学
アメリカの超名門大学であり、非常に有名なので説明はいらないだろう(とはいえ自分は大学院について調べるまで知らなかった)。基本的にはCSの学位が必要だが、知識を証明する手段が別にあるならなくてもいいらしい。GPAは3.0以上、TOEFLは100以上必要であり、また推薦状やらレジュメやらとにかく提出物が多く、文系出身の人間にとっては出願準備だけでも相当大変だろう。とはいえ学費はわずか7000ドルと破格であり、またCS出身者以外も合格したという報告をちらほら見るため受けてみる価値はある。自分の場合は準備が面倒くさすぎて諦めた。 -
ペンシルベニア大学
ペンシルベニア大学はいわゆるアイビーリーグに所属するアメリカの名門大学であり、知名度という点ではジョージア工科大学並みだろう。ここもCS学士号を持たない人間にオンライン修士コースを提供していることで有名であり、授業の評判もかなりいい。GPAは3.0以上、TOEFLは100以上(IELTSは不可)、また推薦状は2通以上必要となかなか準備は大変だが、CSの知識を一切求めていない分ジョージアよりは簡単かもしれない。ただここは問題が2点ある。1点目は授業料が26,000ドルとアイビーリーグの名に恥じない富裕層御用達の金額になっている点と、提供しているのがCSではなくCIT(Computer and Information Technology)の修士号である点だ。後者は正直どうでもいいとして、世の中に低額あるいは無料で勉強できるリソースがゴロゴロある中それだけの金額を学歴のために払う価値があるのかは一考の余地がありそうだ。 -
北陸先端科学技術大学院大学
いわゆるJAIST。日本の大学院であり、社会人コースを提供していることで有名。国立であるため学費も安く、また授業も日本語で行われるため英語が苦手な人は第一の選択肢に入ってくるだろう。出願時点で小論文の提出が必要になるなど研究も本気でやる必要があり、正直大学院としては一番クオリティが高い気がするが、自分の場合は英語で勉強したいという気持ちが強く今回は志望しなかった。ただ英語にこだわらない人はここが一番良さそうな気がする。 -
University of People
アメリカの無料大学。学費が無料でありオンラインコースも充実となかなか悪くないが、あくまで大学院ではなく大学であるため修士号は取れない上、学士号取得までに4年かかる。4年は流石に長すぎる。 -
ロンドン大学
イギリスの名門大学。こちらも同様に大学院ではなく大学であり、卒業までに3年というのが嫌だったため出願していない。
まとめ
上記大学院・大学を検討した結果、最初にも書いた通り自分はヨーク大学を選ぶことにした。選んだ理由としては、結局どこの大学院を選んだところでオンラインで授業を受ける以上大して体験や学習内容は変わらないと思っており、そんな中でより高い授業料や煩雑な準備をこなしてまでより高い大学ランキングを求めることにさほど意味を感じなかった、というのが大きい。それに仮に他の大学にいきたいと思ったとしても、ヨーク大学の場合は授業ごとに授業料を払うという仕組みになっており、たとえ途中で退学しても損はしないようになっている。ならば一度ここに入学し、つまらなかったらやめるぐらいでもいいだろう。
ではヨーク大学での体験はというと、まだ授業が始まっていないので特に何も言えないが学生一人一人にSuccess Coordinatorが付くなどサポート体制は充実していそうだった(研究の際は研究用のチューターも付くらしい)。6月末に授業が始まる予定なので、逐次アップデートを投稿していきたいと思う。
なお本題からはずれるが、オンラインで海外大の修士を取ろうとするとTOEFLが要求されることが多い。
参考までにTOEFL対策の記事も書いたので、気になる方はこちらも読んでみてほしい。
基本的に英語版を先に更新していくので、よければそちらも読んでみてください。
英語版記事リンク:https://dev.to/ken-amenomori/pursuing-a-masters-in-computer-science-without-a-cs-background-my-journey-to-the-university-of-york-5a45
Discussion
少し調べていたので、おまとめありがとうございますmm
ちなみにですが University of Peopleに関しては、既卒であれば過去の大学単位を移管でき(学部卒なら最大90単位、CSは60単位まで)、または資格・外部講義を移管できるので、2年程で卒業できるかもしれません。