SharePoint Embedded についてわかっていることをまとめてみた
はじめに
ESPC23 で SharePoint Syntex repository services 改め SharePoint Embedded がパブリック プレビュー公開されました。
実際に試せるようになったのでまとめてみます。
SharePoint Embedded とは
現状の課題
SharePoint Embedded は Microsoft 365 カスタム アプリケーションで使用できる専用のストレージ領域です。これまではそのようなストレージ領域は存在せず OneDrive を使用していました。これは既存の Microsoft 365 アプリケーションの動作を見てみるとわかりやすいです。たとえば Teams では Microsoft Teams チャット ファイル というフォルダーが作成され、グループ チャットの共有ファイルが自動的に格納されます。しかしあくまで OneDrive はユーザーが利用するストレージ領域であり、このような使われ方は好ましくありません。それを解決するのが SharePoint Embedded です。
アーキテクチャ
SharePoint Embedded では コンテナーの種類 によって Microsoft Entra ID (Azure AD) アプリケーションに関連付けます。また 1 つのコンテナーの種類には複数の コンテナー を作成することができます。コンテナーは SharePoint のサイトですが外部からは見えないようになっています。ユーザーは複数のコンテナーを作成できます。ユーザーにとってみるとコンテナーは Microsoft Loop のワークスペースのようなものです。
アクセス方法
コンテナー ID は Microsoft Graph のドライブ ID に等しくなります。つまり、アプリケーション開発者は、Microsoft Graph API を使用してコンテナー内のドキュメントを操作できます。ドキュメント ライブラリなので、ファイルのアップロードやフォルダーの作成など、通常の SharePoint と同じ操作が可能です。また、Office ドキュメントの Office Online での表示、デスクトップ アプリでの編集も可能になります。カスタム アプリケーションでファイルのプレビューを表示することもできます。ファイルを共有して他のユーザーと共同編集することもできます。
コンプライアンスとセキュリティ
SharePoint Embedded は SharePoint サイトなので、コンプライアンスやセキュリティについても組織で制御できます。ファイルの共有リンクは SharingCapability
プロパティおよび ContainerSharingCapability
プロパティで指定された設定にしたがいます。Microsoft Purview を使った監査や電子情報開示に対応することも可能です。
ライセンス
SharePoint Embedded は Microsoft 365 ライセンスではなく Azure サブスクリプションでの従量課金制 (Pay-As-You-Go) で請求されます。ユーザーへのライセンスの付与は必要ありません。ストレージ、Graph API トランザクション、およびエグレス (通信量) をベースに課金されます。
おわりに
SharePoint のカスタマイズ機能としてはすでに SharePoint Framework があります。SharePoint Framework が特定のサイトをベースにしている (すべてのユーザーが同じストレージを参照する) のに対して、SharePoint Embedded はユーザーごとにパーソナライズされたストレージを作成できる点に大きな違いがあります。Microsoft 365 カスタム アプリケーションの可能性を広げる大きなアップデートとして今後も注目していきたいです。
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