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2022年版 無料のマークシートシステム

2022/07/27に公開

2024年版を公開しました。

https://zenn.dev/kaorumori/articles/afb687f581a1b9

0. はじめに

2010年頃まで私が参加していた大学の研究プロジェクトではSQSというマークシートシステムをオープンソースで開発していて、そのプロジェクトの中で私はSQSと連携するデータ分析システムの開発をしていました。SQSは全国的な利用事例があったソフトウェアで、少し前までは私も学力調査やアンケート調査などで利用してきたのですが、さらに簡単に導入できることを目指して開発してリリースしたマークシートシステムが Mark2 になります。

私がSQSと連携するデータ分析システムを開発していた頃は、SQSの他に無料で利用できるマークシートシステムとしてMarkScanがありました。MarkScanは神奈川県立総合教育センターが開発していたソフトウェアで、使っている人も多かったのですが、数年前に公開を停止されたようです。

ここ最近の無料で利用できるマークシートシステムについて私はあまりよく把握していなかったので、2022年現在の状況について調べました。

1. Mark2

まずは私を含む開発チームが2019年頃から開発をしているMark2です。

https://mark2.sfc.keio.ac.jp/ja/

1-1. 調査票の作成方法

PowerPoint形式のファイルで調査票のテンプレートを無料で配布しています。このファイルに質問文などを記入して印刷することで調査票を作成することができます。

https://mark2.sfc.keio.ac.jp/ja/templates

テンプレートを編集するだけでなく、自由な位置にマーク欄を配置するなどのカスタマイズした調査票の作成も可能です。

1-2. マーク認識の実行方法

WebブラウザでMark2のページを開いて、座標ファイルの読み込みにはテンプレートに含まれている座標ファイルを指定して、画像ファイルの読み込みには回収したマークシート用紙をスキャンした画像ファイルを指定します。

Mark2
Mark2でマーク認識を実行する画面

Mark2のマーク認識はWeb Assemblyという技術を利用してWebブラウザ上での処理をしています。Webブラウザでマーク認識する画像を指定する画面が開きますが、画像は外部のサーバに送信されることなく、PCでマーク認識の処理が完結します。

1-3. Mark2の特徴

  • 特別なソフトのインストールの必要がなく、Webブラウザのみで利用可能です。
    • モダンなWebブラウザであれば問題ありませんが、Internet Explorerや10年以上前のWebブラウザでは起動しません。
  • 調査票はPowerPoint形式のテンプレートが無料で公開されているので、それを編集して利用します。
    • テンプレート以外にも自由にマーク欄を配置することが可能ですが一定のスキルが必要となり、個別にカスタマイズする場合は有料で対応しています。

2. SQS

SQSの利用にはJavaが必要となるので、実行するPCにはJavaをインストールする必要があります。JavaがインストールされているPCであれば、Windows / Mac / LinuxでSQSを起動することができます。

2-1. 調査票の作成方法

SQS SourceEditorというソフトウェアを利用して調査票を作成します。GUIの画面で設問情報を入力するとPDFが出力されます。


SQSアプリケーション(sqs-core) 2つのJavaWebStartアプリケーションより

2-2. マーク認識の実行方法

SQS MarkReaderというソフトウェアを利用してマーク認識の処理をします。起動して表示されたウィンドウに画像ファイルと調査票のPDFを格納したフォルダをドラッグアンドドロップするとマーク認識の処理が開始されます。

2-3. SQSの特徴

  • GUIの画面で調査票の作成ができます。
    • 作成される調査票のレイアウトはスペースが大きいので、調査票の枚数が増える傾向にあります。
  • JavaがインストールされているPCであれば、Windows / Mac / LinuxでSQSを起動することができます。

3. OGSS

OGSSは2021年に公開されたマークシートシステムで、動画やマニュアルが充実していました。採点の効率化を意識した機能が搭載されていて、記述問題の採点機能などもあります。

https://ogss.info/

こちらの解説動画がわかりやすかったです。

https://www.youtube.com/watch?v=oDEzQ4Ylm5s

3-1. 解答用紙の作成方法

解答用紙はWordで作成します。テンプレートが用意されているので、それを編集するのが簡単なようです。

3-2. マーク認識の実行方法

OGSSのページの右上のリンクからファイルをダウンロードします。ダウンロードしたZIPファイルを展開すると.exeファイルがあるので、Windowsソフトのようです。私の環境はMacのため、実際にOGSSを起動して検証はしていません。

起動したソフトでスキャンした画像を読み込み、そこでマーク欄の座標の位置を調整をしていきます。

3-3. OGSSの特徴

  • 採点を効率化するための機能を搭載しています。
  • 解答用紙はWordで作成できるので多くのユーザが利用しやすいように思いました。
  • マーク認識の際にスキャン画像を見ながらマーク欄の位置を調整するのは独創的で、こういうアプローチもあるのかと参考になりました。

4. マークシート・タマ

マークシート・タマはiPhoneとiPadのカメラでマークシートを撮影して使うアプリです。

https://www.sing.co.jp/school/el_mate/marksheet_tama.html

4-1. 調査票の作成方法

マークシートのテンプレートがPDFで公開されています。

4-2. マーク認識の実行方法

iPhoneかiPadの端末でApp Storeからマークシート・タマをインストールします。

https://apps.apple.com/jp/app/id1312790404

回収された調査票をカメラで撮影するとマーク認識ができます。

4-3. マークシート・タマの特徴

  • iPhone / iPadのカメラを利用してマーク認識します。
  • 調査票として2種類のテンプレートが無料で利用可能です。
    • 調査票のカスタマイズはできないようです。

5. まとめ

冒頭にも記述したように、私はMark2という無料のマークシートシステムを開発しています。この記事の作成を通してOGSSとマークシート・タマというマークシートシステムを知ることができました。

OGSSはソフトウェアだけでなく動画やマニュアルも丁寧に整備されています。OGSSのことを調べていたら開発をスタートする際にクラウドファンディングで開発資金を募集していたことを知り、このあたりも現代的だと思いました。

マークシート・タマはiPhone / iPadを利用するアプリで、私もマークシートシステムの開発に関わっているとスマートフォンのカメラを利用したいという意見はよく聞いていて、マークシート・タマはそれを実現しているアプリでした。

私も引き続きMark2の開発を頑張っていきたいと思います。Mark2の利用やMark2の調査票のカスタマイズを検討される場合は、お気軽にお問い合わせくださればと思います。

https://www.defrag.works/contact

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