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24年4月以降のQA関連の情報をGeminiにDeep Researchしてもらった

に公開

どうも、じょーです。

https://zenn.dev/jojojo_no_jo/articles/48905dbaa2dc71
の中でここ1年くらいQA関連の情報をあまりキャッチアップできていない旨書いたのですが、「そうだ!GeminiにDeep Researchしてもらおーっと」と思いレポートしてもらったので、(ほぼ)原文まま載せてみます。結構ボリュームありますが、興味のある方はどうぞお読みください!


品質保証、QAエンジニア、SET/SDET、およびテスト自動化の最新動向レポート:2024年4月以降の国内外の展望

1. エグゼクティブサマリー

本レポートは、2024年4月以降の品質保証(QA)、QAエンジニア、Software Development Engineer in Test (SDET)、およびテスト自動化の分野における国内外の最新動向を詳細に分析したものです。主要な発見として、日本と海外の両市場において、AIとテスト自動化が品質保証のパラダイムを根本から変革し、QAおよびSDETの役割がより技術的かつ戦略的なものへと進化していることが挙げられます。

日本国内では、QA/品質管理職の求人数が大幅に増加する一方で、登録者数は減少しており、経験豊富な人材に対する強い需要が示されています。海外市場でも同様に、AIの台頭がQA/SDETの役割を拡大させ、コーディング能力や最新の自動化ツールへの習熟が必須となっています。

技術動向としては、AI駆動型テスト自動化、ローコード/ノーコードツール、DevOps/DevSecOpsとの統合が国内外で加速しています。学術研究では、大規模言語モデル(LLM)を用いたテストケース生成、バグ特定、セキュリティ評価に関する研究が活発化しています。業界のイベントやブログも、これらの技術的進化とキャリアパスの変革に焦点を当てています。

企業は、この需給ギャップに対応するため、経験豊富なQA/SDET人材の積極的な採用と育成、AI駆動型テスト自動化およびローコード/ノーコードツールの戦略的導入、そしてDevOps/DevSecOpsプラクティスの深化を通じて品質文化を醸成することが求められます。個人にとっては、プログラミングスキル、最新の自動化フレームワーク知識、CI/CD、クラウド技術、そしてAI/MLに関する継続的な学習が、キャリアの成長と市場価値向上に不可欠となります。

2. はじめに

レポートの目的と範囲

本レポートは、2024年4月以降の品質保証、QAエンジニア、SET/SDET、およびテスト自動化の分野における国内外の最新動向を網羅的に分析することを目的としています。具体的には、転職・採用状況、キャリアパスと必要とされるスキル、学術論文、話題の業界ブログ、関連イベントといった多角的な側面から情報を収集し、その現状と将来的な展望を明らかにします。これにより、シニアITエグゼクティブ、R&Dリード、戦略的なHR/タレントアクイジションマネージャーといった意思決定者が、この進化する分野における戦略的な計画を策定するための基盤となる情報を提供します。

品質保証・テスト自動化分野の現状と重要性

現代のソフトウェア開発において、品質と信頼性は単なる機能要件を超え、企業の競争力と直結する戦略的な要素となっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、アジャイル開発とDevOpsの普及、そして人工知能(AI)技術の急速な台頭は、ソフトウェア開発のライフサイクル全体にわたる品質保証のあり方を根本から変革しています。特に、リリースサイクルの短期化とシステムの複雑化が進む中で、手動テストのみでは品質を維持することが困難になり、テスト自動化の重要性がこれまで以上に高まっています。この状況において、QAエンジニアやSDETといった専門職の役割は、単なるバグ発見者から、品質を設計し、プロセス全体を最適化する「品質エンジニアリング」の担い手へと進化しています。

3. 日本国内の動向

3.1 転職・採用市場の状況

日本国内の品質保証およびテスト自動化分野の転職・採用市場は、活況を呈しています。2024年2月から4月にかけて、品質管理(品質保証)職の求人数は、前四半期(2023年11月~2024年1月)と比較して110%と大幅に増加しました。一方で、登録者数は95%とやや減少しており、需要が供給を上回る傾向が明確に示されています *1。これは、国内市場がQA/品質管理職にとって「売り手市場」となっていることを意味します。

特にQAエンジニアの求人数は、2024年11月現在で約2,500件に達し、他の職種を凌駕する数となっています。これらの求人は全国の地域で対応可能であり、各都道府県の求人も豊富に存在します *2。この広範な求人展開は、企業が地域を問わず品質保証人材を積極的に求めている現状を反映しています。

2024年4月から6月の正社員の平均初年度年収は465.8万円であり、特にIT・通信・インターネット業界では、前年からの上げ幅が23.0万円増と最も大きく、この分野での人材価値の高まりが確認されています。また、同期間のIT・通信・インターネット業界の求人では、経験者求人の比率が54.8%と最も高く、即戦力となる経験豊富な人材への強い需要が示されています *3。このデータは、単に求人数が増加しているだけでなく、企業が特定のスキルセットや経験を持つプロフェッショナルを積極的に採用しようとしていることを強調しています。

これらの動向は、日本国内のQA市場において、供給不足が顕在化し、特に経験豊富なQA/SDET人材の獲得競争が激化している状況を示唆しています。企業は、この需給ギャップを埋めるために、より魅力的な条件提示や、未経験者育成への投資など、多角的な採用戦略を検討する必要があるでしょう。

求められるスキルセット

QAエンジニアに求められるスキルセットは、従来のテスト実行能力を超え、より広範で技術的なものへと進化しています。基本的なプログラミング言語の知識、ソフトウェア開発プロセスの深い理解、テスト自動化ツールやテスト技法の知識、品質管理やプロセス改善に関する深い理解は引き続き重要です *4。加えて、問題解決能力、論理的思考力、レポート作成能力、高いコミュニケーションスキルも不可欠とされています *4。

近年特に注目されているのは、テスト自動化やCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)に関する知識です *4。2023年から2025年のオンライン求人市場の分析によると、QAの求人広告の77%がコーディングスキルを要求しており、2023年の53%から大幅に増加しています。これは、単なるスクリプト作成に留まらない、本格的なプログラミング能力への要求が高まっていることを示しています *6。

テスト自動化ツールのトレンドも変化しており、「State of Testing 2024」レポートでは、Seleniumの使用率が2023年から2025年の間に78%から56%に低下した一方で、Playwrightが12%から43%に、Cypressが28%から61%に急増したことが報告されています。PlaywrightやCypressの専門知識を持つQA自動化エンジニアは、主にSeleniumを使用しているエンジニアよりも24%多く稼いでいるというデータもあり、市場が最新のツールへの習熟度を高く評価していることがわかります *6。

さらに驚くべきことに、QAの求人広告の32%が、開発者に与えられるものと同様のDSA(データ構造とアルゴリズム)面接を通過することを要求しています *6。これは、企業が従来のテスターではなく、「品質をプログラム的にアプローチできるエンジニア」を求めていることの明確な表れです。特定の業界やビジネスドメインに関する知識も、大きな差別化要因として認識されています *6。

これらの変化は、QAエンジニアの役割が、単なる品質検証から、開発プロセス全体に品質を組み込む「品質エンジニアリング」へと移行していることを示しています。この進化に対応するためには、継続的な学習とスキルアップが不可欠です。

キャリアパスとSDETの台頭

SDET(Software Development Engineer in Test)は、ソフトウェア開発とテストの専門知識を兼ね備えたハイブリッドな役割として、その重要性を増しています。SDETは、従来のQAエンジニアが主に手動テストに焦点を当てるのとは異なり、コードを書き、自動化フレームワークを構築し、開発のあらゆる段階でソフトウェアの品質を保証します *7。この役割は、開発者とテスターの間のギャップを埋め、自動化によってソフトウェアの配信を加速し、テスト駆動開発(TDD)や振る舞い駆動開発(BDD)を通じて高品質のコードを保証することで、手動テストの労力を削減し効率を高める点で極めて重要です *7。

SDETの主な責任には、機能、パフォーマンス、セキュリティをテストするための自動テストスクリプトの開発、自動化のためのスケーラブルなテストインフラストラクチャの設計、ソフトウェアの進化に合わせて自動テストが関連性を保つためのコードの記述と保守、継続的なテストのためにDevOpsパイプラインにテストを組み込むCI/CDとの統合、そしてテスト可能でバグのないアプリケーションを構築するための開発者との共同作業が含まれます *7。

SDETのキャリアパスは多岐にわたり、シニアQAエンジニアやQAマネージャーといった上位職への昇進だけでなく、バックエンド開発、DevOps、またはセキュリティテストといった他の開発職への移行も可能です。特に、強力なプログラミングスキルとCI/CDに関する経験を持つSDETは、このようなキャリアチェンジを比較的容易に行うことができるとされています *8。

給与面では、SDETは高い報酬が期待できる職種です。例えば、インドではエントリーレベルで年間40万~80万ルピー、ミッドレベルで80万~150万ルピー、シニアSDETでは150万~250万ルピー以上とされており、強力な自動化およびDevOpsスキルを持つSDETはさらに高収入を得ることが可能です *7。これは、SDETが単なるテスターではなく、開発プロセス全体に貢献するエンジニアとしての価値を認められていることを示唆しています。

3.2 テスト自動化の進展

日本国内では、テスト自動化の導入が加速しており、特にAIとローコード/ノーコード技術の活用が顕著です。

AIを活用したテスト自動化

AIを活用したテスト自動化ツールは、日本市場で急速に普及しつつあります。株式会社ベリサーブは、AIを活用してテストケース作成を効率化するクラウド型テスト技法ツール「GIHOZ AI -BETA-」を2024年4月よりベータ版として提供を開始しました。このツールには、AIがテスト技法の候補を自動で選択する機能が2024年9月に追加され、経験の少ないユーザーでも適切なテスト技法を容易に選択できるようになっています *9。

また、AIベースのテスト自動化ツールを提供するTricentisは、2024年4月に日本市場への本格参入を発表し、今後5年間で150億円の売上目標を掲げています。伊藤忠商事では、Tricentisのツール「Tosca」をSAP S/4HANAへのシステム移行に活用し、テスト実行時間を38%短縮、総テスト工数を65%削減するなどの革新的な成果を上げています *10。

AIは、テストプロセスの強化、テストメンテナンスの改善、テスト実行の最適化に貢献します。機械学習アルゴリズムを活用することで、AIベースの自動化はITソリューションの複雑な動作パターンを特定し、SDLCの初期段階で潜在的な欠陥を予測できます。また、ソフトウェアの変更に適応し、IT製品の進化に合わせてテストスクリプトを自動調整する能力は、QA専門家がスクリプト更新に要する労働時間を削減し、継続的な開発と変更に直面してもテストプロセスが効率的であることを保証します *11。AIはテストケースの生成、監査、実行を自動化し、手動作業を大幅に削減します *12。

これらの事例は、AI駆動型テスト自動化が、複雑なエンタープライズシステムにおいても具体的な効率化と品質向上をもたらす強力な手段であることを示しています。

ローコード/ノーコードテスト自動化

ローコード/ノーコードプラットフォームは、テスト自動化の民主化を推進し、非技術者を含む幅広いユーザーがテスト自動化に貢献できる環境を整備しています。これらのツールは、グラフィカルインターフェースと再利用可能なコンポーネントを使用することで、ビジネスアナリストやQA担当者でもテストケースの構築、実行、維持を可能にします *11。

日本国内では、Autify for Web、ATgo、T-DASH、MagicPod、mablといったツールがローコード/ノーコードのテスト自動化ソリューションとして提供されており、多くの場合、AIによる自動メンテナンス機能も搭載されています *14。これらのツールは、スクリプト知識への依存を劇的に減らし、開発サイクルを短縮し、アジャイルおよびSaaS配信モデルにおける迅速なテストケース更新をサポートします *11。

具体的な導入事例として、みずほリースがSalesforce環境のテスト自動化で工数を大幅削減し、テストケースの6割以上を自動化して開発スピードを向上させた事例があります。株式会社ココペリはAutify NoCodeを活用して膨大なリグレッションテストを自動化し、バグを大幅に削減しました。また、株式会社出前館はテスト自動化により毎週のリグレッションテストの工数を50%削減し、Webとモバイルアプリ双方でエンドユーザー体験を検証しています *15。

これらの事例は、ローコード/ノーコードテスト自動化が、技術的な障壁を低減し、企業が迅速かつ効率的に品質保証活動を展開するための重要な手段となっていることを示しています。

DevOps/DevSecOpsとの統合

品質保証は、DevOpsおよびDevSecOpsプラクティスと密接に統合されることで、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)全体にわたるシームレスなCI/CDパイプライン、迅速なデリバリー、およびセキュリティプラクティスの組み込みを実現します *11。

QAOps(Quality Assurance Operations)は、品質保証のアプローチとIT運用を組み合わせることでテストを加速させる手法であり、開発の初期段階から品質保証とテストを統合することを意味します *12。これにより、弱点を早期に検出し、迅速に修正することが可能となり、運用後の欠陥対処コストを削減できます *16。

KINTOテクノロジーズ(トヨタ自動車のグループ会社)は、アジャイル開発と内製化に取り組む中で、Findy Team+を活用してボトルネックを定量的に分析し、改善に繋げています。これにより、パートナーへの依頼比率を100%から20%に削減するなど、効率化と品質可視化を推進しています *17。これは、DevOpsの原則に基づいた継続的な改善が、品質と生産性の両面で大きな成果をもたらすことを示します。

SRE(Site Reliability Engineering)も品質保証と密接に関連しており、SRE Kaigi 2025では「SRE、開発、QAが協業して挑んだリリースプロセス改革」といったテーマが議論される予定です 18。これは、システムの信頼性向上を目指すSREと、ソフトウェアの品質保証に焦点を当てるQAが連携することで、より安定した運用と高品質なソフトウェア提供が可能になるという認識が広がっていることを示唆しています *19。

3.3 発表された論文・研究動向

日本国内の学術機関や研究会は、ソフトウェア品質とテスト自動化に関する研究を活発に進めています。情報処理推進機構(IPA)は、2024年4月に「ソフトウェアエンジニアリングの国際動向」レポートを公開し、欧米の研究機関を中心とした最先端のソフトウェアエンジニアリング研究をまとめることで、日本のソフトウェアエンジニアリング改革の基礎資料として活用する方針を示しています *20。

情報処理学会(IPSJ)ソフトウェア工学研究会(SIGSE)は、217回ソフトウェア工学研究発表会を控えており、2024年10月11日を論文提出締切としています *21。これは、国内におけるソフトウェア工学分野の研究発表が継続的に行われていることを示しています。

ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)が主催するJaSST(ソフトウェアテストシンポジウム)は、日本のソフトウェアテスト分野における主要なイベントです。JaSST '24 Tokyoが2024年3月14日~15日に開催され、Gojko Adzic氏による「Tangible software quality」の基調講演や、トヨタ自動車の長尾洋平氏による「自動車のソフトウェア品質に関する現場の試行錯誤」の招待講演が行われました *23。また、JaSST '24 Kansaiは2024年6月21日に開催され、ベリサーブの寺田智哉氏が「クライアントサイドの新卒2年目QAによる実例マッピング実践事例」について登壇しました *24。これらのシンポジウムでは、AIを用いたテストやAIシステムのテストに関する論文も募集されており *25、最新の技術動向が議論の中心となっています。

その他、一般社団法人TDM品質管理機構は2024年8月3日に第9回TDM-QC研究会を開催予定であり *26、日本製薬工業協会(JPMA)は2024年4月に治験における安全性情報に関するQ&A更新や、Complex Innovative Trial Designに関するレポートを掲載するなど *27、品質保証の研究が幅広い分野で進められていることがわかります。

これらの活動は、日本がソフトウェア品質保証の分野において、学術的・実践的な知見の共有と深化に積極的に取り組んでいることを示しています。

3.4 話題になっているブログ・メディア

日本国内のQAエンジニアやテスト自動化に関連するブログやメディアは、実践的な知識や最新トレンドの発信源として重要な役割を担っています。

QA/テスト自動化専門ブログとしては、株式会社SHIFTのQAエンジニア野口氏のブログが注目されています。野口氏は、2024年1月にIT未経験でSHIFTに入社し、3ヶ月の研修期間を経て4月からQAエンジニアとしてテスト実行業務に参画した経験を共有しています。彼の記事では、ITパスポートとJSTQB Foundationの受験経験が詳細に語られており、未経験者がQAエンジニアを目指す上での具体的な学習パスや心構えが示されています *28。これは、QAエンジニアを目指す人々にとって非常に実践的な情報源となっています。

AIテスト自動化プラットフォーム「MagicPod」の公式noteでは、「MagicPod BLOG Award 2024」が発表され、AIテスト自動化に関する受賞記事が紹介されています *29。また、バルテス社のブログでは「2024年最新版」としてテスト自動化のフレームワークが紹介されており *30、テスト自動化ツールの選定に関する情報ニーズに応えています。さらに、EnterpriseZineでは、Tricentisが日本市場に本格参入し、テスト自動化が「品質向上」と「リリースサイクル短縮」を同時に実現する可能性について論じています *31。

エンジニア向け総合ブログの中には、直接QAに特化していなくても、品質関連の話題を取り上げるものがあります。例えば、estieのブログでは2024年4月25日に「デザインエンジニアMeetup #1」が開催されたことが記されており *32、これはプロダクトのデリバリーやアイデア検証におけるデザインとエンジニアリングの横断的な問題解決に焦点を当てており、間接的に品質への意識の広がりを示唆しています。レバテックフリーランスが推奨する日本のエンジニアブログリストには、asken テックブログ、ぐるなびエンジニアブログ、WealthNavi Engineering Blog、Cybozu Inside Outなどが含まれており、これらのブログではSRE、AWS、セキュリティ、開発プロセスなど、品質に影響を与える幅広い技術的テーマが扱われています *33。

これらのブログやメディアは、日本のQAコミュニティが活発であり、実践的な知見の共有、最新技術の導入、そしてキャリア形成に関する情報提供に力を入れていることを示しています。

3.5 関連イベント

日本国内では、品質保証およびテスト自動化に関する多数のイベントが開催されており、業界の活発な交流と情報共有の場となっています。

国内主要カンファレンスとして、前述のJaSST(ソフトウェアテストシンポジウム)が挙げられます。JaSST '24 Tokyoは2024年3月に、JaSST '24 Kansaiは2024年6月に開催され、ソフトウェアテストの最新技術や実践事例が共有されました *23。

2024年4月24日から26日にかけて東京ビッグサイトで開催された「ソフトウェア&アプリ開発展(SODEC)2024」は、「第33回 Japan IT Week 春」内で開催され、ソフトウェアやアプリの開発・保守・運用・テストのための製品、技術、サービスが一堂に展示されました。ベリサーブ社は、ニアショア検証サービス、システム品質改善ソリューション、DXを加速するテスト自動化、プロセス診断サービス、次世代テストソリューション、セキュリティ対策・非機能支援、およびトレーサビリティ管理ツールやテスト管理ツール、クラウド型テスト技法ツールなどを出展し、テスト自動化の推進、セキュリティと非機能要件の重視、テストプロセスの最適化と管理、クラウド技術の活用といったトレンドが示されました *35。

DevOpsDays Tokyo 2024は、2024年4月16日~17日にハイブリッド形式で開催され、DevOpsの核となる原則に焦点を当て、自動化、テスト、セキュリティ、組織文化に関する議論が行われました *37。クリエーションライン株式会社は、このイベントで「4 Keys Metricsだけじゃない!価値に目を向けたメトリクス:EBMに触れてみよう」というワークショップを開催し、DevOpsにおける価値指標の重要性を強調しました *37。

2024年11月14日~15日には、国際的なQA&テストカンファレンスであるTokyo Test Fest 2024が開催されました。このイベントでは、ミューテーションテストの導入、モバイルテスト自動化フレームワーク、エンドツーエンドテストオーケストレーション、大規模言語モデルの評価と品質保証アプリケーションへの応用など、多岐にわたるセッションが行われました *39。

これらのイベントは、日本国内のソフトウェア開発コミュニティが、最新の技術トレンド、特にAIと自動化の進展に強い関心を持ち、知識共有と実践的応用に積極的に取り組んでいることを明確に示しています。

4. 海外の動向

4.1 転職・採用市場の状況

海外市場におけるQAおよびSDETの転職・採用状況は、AI技術の急速な進化によって大きな影響を受けています。

AIブームがQA/SDET市場に与える影響

AIの進化は、ソフトウェア開発の風景を一変させていますが、QAおよびSDETの職務は、AIブームの中でも特に「最も安全な職種」の一つと見なされています *6。これは、AIが驚異的な速度でコードを生成できる一方で、自身の誤りを検出する能力が未熟であり、人間が書いたコードよりも43%多くの微妙なエッジケースバグを含むことが指摘されているためです *6。AIコーディングツールの普及により開発速度が加速するにつれて、これらのAIが生成したコードの品質を保証するQAチームの重要性が増しています。

2023年から2025年のオンライン求人市場のトレンド分析によると、QAエンジニアリングの求人ポジションは驚異的な17%増加しました。これは、AIブーム前の予測をはるかに下回る、従来の開発職の9%の成長と比較して顕著な伸びです *6。Stack Overflowの2024年開発者調査では、QAプロフェッショナルの62%がAIコーディングツールの普及以来、役割の範囲と責任が拡大したと報告しており、これは一般の開発者の28%と比較して高い割合です *6。

しかし、この変化にはマイナス面も存在します。エントリーレベルのQA職の基準は劇的に上昇し、手動テストの役割は2023年以降43%減少しており、残っているポジションの給与は以前よりも大幅に低くなっています *6。これは、市場がより技術的で自動化に特化したQA人材を求めていることを示唆しており、純粋な手動テスターの需要は減少傾向にあることを意味します。

求められるスキルセットとキャリアパス

海外市場におけるQAエンジニアの定義は急速に進化しており、もはや手動テスターがスクリプトに従う時代は事実上終わりました。分析によると、QAの求人広告の77%がコーディングスキルを要求しており、2023年の53%から大幅に増加しています。これは単なる基本的なスクリプト作成ではなく、本格的なプログラミング能力を指します *6。

テスト自動化ツールの利用状況も劇的に変化しています。「State of Testing 2024」レポートでは、Seleniumの使用率が2023年から2025年の間に78%から56%に低下した一方で、Playwrightが12%から43%に、Cypressが28%から61%に急増したことが示されています。企業は、最新のツールを使用して堅牢で保守可能なテスト自動化フレームワークを構築できるQAエンジニアを求めています。さらに、QAの求人広告の32%が、開発者に与えられるものと同様のDSA(データ構造とアルゴリズム)面接を通過することを要求しており、これはQA職の技術的要件が開発職に近づいていることを示しています *6。

給与トレンドを見ると、PlaywrightまたはCypressの専門知識を持つQA自動化エンジニアは、主にSeleniumを使用しているエンジニアよりも24%多く稼いでいます。主要なテクノロジー企業におけるSDET(Software Development Engineer in Test)の役割は、同じレベルのSWE(Software Engineer)の役割とほぼ同じ報酬パッケージになっています *6。SDETの給与は、米国ではエントリーレベルで7万ドル~9万ドル、ミッドレベルで9万ドル~12万ドル、シニアSDETでは12万ドル~15万ドル以上とされており、強力なキャリア成長を伴う高給の専門職であることが確認されています *7。

SDETのキャリアパスは非常に柔軟で、実際のSDETであれば、開発職への移行は比較的容易であるとされています。また、バックエンド開発、DevOps、またはセキュリティテストといった他の開発職への移行も実行可能な選択肢として挙げられています。現在の職場で社内異動できる場合、移行ははるかに容易になるとも指摘されています *8。これは、SDETが持つ開発とテストの両方のスキルセットが、多様な技術職への扉を開くことを示しています。

4.2 テスト自動化の進展

海外におけるテスト自動化は、AI、デジタルツイン、シフトレフト、Web 4.0といった先端技術の導入と、DevOps/DevSecOpsプラクティスとの統合によって、目覚ましい進展を遂げています。

主要トレンド

  1. AIを活用したテスト (AI-Augmented Testing): AIは品質保証プロセスに大きな影響を与え続けています。2024年には、AIを活用したソフトウェアテストがテストコミュニティを魅了し続け、テスターにとって新たなメリットとSDLCへの変革的な影響が期待されています。インテリジェントなコンピュータビジョンから自然言語処理に至るまで、新しいテクノロジーはテスト効率をさらに高め、コストを削減します *40。AIは、ソフトウェアの変更に適応してテストスクリプトを調整し、テストケースの選択と優先順位付けを最適化することで、テスト実行を高速化します *11。また、テストケースの生成、監査、実行を自動化し、手動作業を大幅に削減する能力も持ち合わせています *12。
  2. デジタルツインモデル (Digital Twin Models): 2024年には、テスト専門家はデジタルツインモデルを活用し、仮想的な回路図、ユーザーインターフェース、プロセスを多様なプラットフォーム、デバイス、オペレーティングシステムにマッピングすることで、実際の生産環境を模倣した環境でソフトウェアをシミュレーションし、テストすることが可能になります *40。ガートナーは、デジタルツイン市場が2031年までに1830億ドルに達する二桁成長を予測しており *40、これによりシステム動作と潜在的な課題についてより正確で包括的な理解が得られます *40。
  3. 「シフトレフト」の次のレベルへの移行 (Taking “Shift Left” to the Next Level): 「シフトレフト」は、ソフトウェア開発プロセスの早い段階で欠陥を発見し、防止する基本的な実践として定着しています *40。2024年には、組織は製品の競争力を向上させるために、実際のユーザーエクスペリエンスを重視することで、シフトレフトアプローチを次のレベルに引き上げます。インテリジェントなテスト自動化のようなソリューションを通じて、実際の顧客がソフトウェアをどのように使用しているかを示す実用的な分析を早期に統合し、顧客ニーズに迅速に対応し、顧客体験を継続的かつリアルタイムで改善することを目指します *11。
  4. Web 4.0がデジタルモバイルテストの次のフロンティアに (Web 4.0 Will Become the Next Frontier for Digital Mobile Testing): 分散型技術と強化されたユーザーエクスペリエンスを特徴とするWeb 4.0の出現は、ソフトウェアテストに新たな課題をもたらします。2024年のテスト自動化は、Web 4.0アプリケーションの動的な性質に適応し、多様なプラットフォームやデバイス間での互換性、セキュリティ、パフォーマンスの確保に焦点を当てる必要があります *40。
  5. QAOps (Quality Assurance Operations): QAOpsは、品質保証(QA)のアプローチとIT運用を組み合わせることで、テストを加速させる手法です。これは、ソフトウェア開発サイクルのあらゆる段階に品質保証とテストを統合し、最終段階だけでなく、開発の初期から徹底的なテストを導入することを意味します *12。この緊密な連携により、テスター、開発者、IT運用チーム間の連携が向上し、新製品や新機能のリリースが加速します *12。
  6. RPA (Robotic Process Automation) テスト: RPAは、テスターのソフトウェアアプリケーションとのやり取りを模倣する能力を持つ自動化テストのトレンドです。反復的なテストシナリオの自動化により人件費が削減され、人為的ミスのリスクが軽減されます。RPAボットは複数のシステムやアプリケーションでテストを実行できるため、時間とリソースを大幅に節約できます *12。
  7. 倫理的テスト (Ethical Testing): 2024年には、組織が責任あるソフトウェア開発の重要性を認識するにつれて、倫理的テストへの注目がさらに高まるでしょう。倫理的テストは、ソフトウェア機能の技術的な側面だけでなく、テクノロジーが安全で公正であること、そしてそれがどのようにして特定の成果に到達したかを理解することに重点を置いています。特にAIシステムにおいて、バイアスを軽減し、アルゴリズムが公正で透明であることを保証します *12。
  8. 自己修復ツール (Self-Healing Tools): テスト自動化における最大の障害の一つである不安定さに対処するため、自己修復ツールが注目されています。テスト対象のアプリケーションに変更が発生した場合にテストスクリプトを自動的に調整することで、テストが安定したままであり、QAチームがサポートするテストが少なくなることを保証できます。これにより、プロアクティブな問題検出とCI/CDパイプラインとのシームレスな統合が実現します *12。
  9. クラウドテスト (Cloud Testing): クラウドへの移行だけではシステムのセキュリティと信頼性が保証されないため、クラウドテストは必須とされています。クラウド環境でのアプリケーションの機能的および非機能的側面を検証し、予期せぬ停止やサイバーセキュリティの脅威に耐えられることを確認するために不可欠です。企業はまた、シームレスなデータ移行を保証し、ダウンタイムを防ぎ、クラウド内での情報損失を排除するために、移行テストを導入することもできます *16。
  10. QAの持続可能性 (QA Sustainability): 技術的卓越性を追求する中で、品質エンジニアリングの実践と環境の持続可能性を整合させることは、重要なトレンドとして位置づけられています。企業の97%が環境への害を防ぐためにQAプロセスに持続可能性を積極的に統合しており、テスト自動化の採用や環境に優しいテスト環境の実装、シフトレフトテストへの依存が推奨されています *16。

これらのトレンドは、海外のテスト自動化が、効率性、精度、信頼性、そして持続可能性という多角的な側面から進化していることを示しています。

4.3 発表された論文・研究動向

海外の学術界では、ソフトウェアテストと品質保証、特に大規模言語モデル(LLM)の応用に関する研究が活発に行われています。2024年4月のarXivソフトウェアエンジニアリングカテゴリには、テスト、品質保証、LLMに関連する多数の論文が掲載されています *43。

主要な研究テーマ

  1. LLMを用いたテストケース生成と品質評価:
    • LLMを用いたテスト駆動型インタラクティブコード生成に関するユーザー調査と経験的評価が報告されています *43。
    • 検出が難しいバグを特定するためのLLMを活用したテストケース生成に関する研究も進んでいます *43。
    • Meta社は、LLMベースのミューテーションガイド型テスト生成システム(ACH)を導入し、プライバシー強化に焦点を当てたテストを生成。エンジニアによる生成テストの受け入れ率は73%に達しました *45。
    • LLMが生成したソースコードの効率を評価する方法や、コード生成ベンチマークの品質評価における欠陥に関する研究も行われています *43。
    • REST APIのPostmanテストケースをLLMを用いて自動化する方法も提案されています *43。
  2. ミューテーションテストの進化:
    • 手動で作成された同等ミュータントの経験的評価や、LLMを用いたミューテーションテストツール「LLMorpheus」に関する研究が発表されています *43。
  3. テストの不安定性(Flakiness)の解決:
    • 実世界のプロジェクトにおけるテストの不安定性を修正するための汎用的なアプローチが提案されています *43。
  4. AI生成コードのセキュリティと品質:
    • AIが生成したコードのセキュリティ評価を行うためのツール「DeVAIC」が開発されています *44。
    • グラフニューラルネットワークを用いた脆弱性検出や、ソフトウェア脆弱性検出のリポジトリレベル評価に関する研究も進んでいます *43。
  5. IoTおよびクラウドシステムのテスト:
    • IoTクラウドシステムのストレステストのためのリーンシミュレーションフレームワークに関する研究が発表されています *43。
  6. AIの倫理的側面と公平性:
    • 機械学習ソフトウェア構成の公平性を予測する方法や、LLMにおける言語的差別を評価・軽減する方法に関する研究が行われています *44。これは、AIシステムの信頼性と社会受容性を確保する上で重要な側面です。

これらの研究動向は、AI、特にLLMがソフトウェア開発ライフサイクルのあらゆる段階、特にテストと品質保証において、その能力を拡大していることを示しています。研究は、AIの力を活用してテストプロセスを自動化・強化するだけでなく、AIシステム自体の品質、セキュリティ、倫理的側面を保証することにも焦点を当てています。

4.4 話題になっているブログ・メディア

海外のQAおよびテスト自動化コミュニティは、多様なブログやオンラインプラットフォームを通じて活発な情報共有を行っています。これらのメディアは、最新のトレンド、実践的なアドバイス、業界の専門家の見解を提供し、プロフェッショナルな成長を支援しています。

主要なQA/テスト自動化ブログおよびオンラインコミュニティとしては、Ministry of Testing (MoT)、Testing Tech News、uTest、StickyMinds、EuroSTAR Huddle、The Test Tribeなどが挙げられます *36。これらのプラットフォームは、数万人の業界プロフェッショナルが参加する大規模なコミュニティを形成し、記事、コース、ポッドキャスト、ウェビナー、電子書籍などの学習リソースを提供しています *36。

The CTO Clubが選定した2025年のベストソフトウェアテストブログリストには、Software Testing Help、Sticky Minds、ReQtest、Testing Curve、Quality Remarks、Test Head、Trish Khoo、On Test Automation、Joe Colantonio、Google Test Blog、Lambda Test Blog、TJ Maher、Satisfice、Maverick Tester、Visible Quality、Lisa Crispin、The Friendly Tester、Develop Sense、Test Fort、Rhythm of Testing、Automate The Planetなど、22のブログが含まれています *46。

これらのブログで頻繁に扱われる主要なトピックには、アジャイルテスト、クラウドコンピューティング、CI/CDパイプライン、回帰テスト、テスト自動化のトレンド、詳細なツールレビュー、実践的なガイド、AIを活用したテスト管理、エンタープライズテスト戦略といった高度なテストの話題が含まれます *13。また、モバイルアプリの品質、セキュリティテスト、倫理的テスト、デジタルツインテスト、ウェアラブル技術のテストなど、特定の技術領域や非機能要件に関する深い議論も行われています *41。

これらのメディアの存在は、グローバルなQAおよびテストコミュニティが、技術的進歩に迅速に対応し、知識を共有し、プロフェッショナルが継続的にスキルを向上させるための強固なエコシステムを構築していることを示しています。特に、AIや自動化といった変革的な技術に関する議論が活発に行われていることは、業界の最前線がどこにあるかを明確に示しています。

4.5 関連イベント

海外では、ソフトウェアテストおよび品質保証に関する多数の国際的なカンファレンスが開催されており、最新の研究成果、業界のベストプラクティス、および将来のトレンドが共有されています。

2024年に開催された主要なカンファレンスには以下のものがあります *48:

  • DevOpsDays: 世界中で開催され、DevOpsの文化、自動化、CI/CD、テスト、セキュリティに焦点を当てています。例えば、2024年4月10日~11日にはノースカロライナ州ローリーで、5月7日~8日にはドイツのベルリンで開催されました *48。
  • DevOps Talks Conference: DevOpsの核となる原則に焦点を当て、自動化、CI/CD、テスト、セキュリティなどについて主要な人物が集まり議論します。2024年5月15日~16日にはオーストラリアのメルボルンで開催されました *48。
  • STAREAST: ソフトウェアテストと品質保証に関する最も長く開催され、最も尊敬されているカンファレンスの一つで、2024年4月28日~5月3日にフロリダ州オーランドでハイブリッド形式で開催されました *48。
  • Test Automation Summit: テスト自動化の最新トレンドとイノベーションに特化し、2024年4月11日~12日には南アフリカのヨハネスブルグで、5月8日にはペンシルベニア州フィラデルフィアで開催されました *48。
  • National Software Testing Conference: 英国を拠点とするイベントで、ソフトウェアテストにおけるトレンド、課題、解決策を議論します。2024年5月7日~8日にロンドンで開催されました *48。
  • ICST 2024 (International Conference on Software Testing, Verification, and Validation): ソフトウェアテストの理論的アプローチから実践的応用までをカバーする国際会議で、2024年5月27日~31日にカナダのトロントで開催されました *48。
  • QA Global Summit '24: 2024年5月28日~29日にオンラインで開催され、世界中のどこからでも最先端のQAトピックとトレンドにアクセスできる機会を提供しました *48。
  • BCS SIGIST Summer Conference: 2024年6月19日にロンドンで開催され、ソフトウェアテストの思想的リーダーによる技術セッション、ケーススタディ、基調講演が行われました *48。
  • QA or the Highway: 2024年6月21日にオハイオ州コロンバスで開催された地域会議で、QAとソフトウェアテストにおける経験、課題、解決策の共有に焦点を当てました *48。
  • Testμ Conf 2024: 2024年8月21日~23日にオンラインで開催され、テスト自動化とマイクロサービスに焦点を当てました *48。
  • TestBash Brighton 2024: 2024年9月12日~14日に英国ブライトンで開催され、コミュニティ主導のアプローチで幅広いテストトピックに関する講演やワークショップが行われました *48。
  • STARWEST: ソフトウェアテスト業界で最も尊敬されているカンファレンスの一つで、2024年9月22日~27日にカリフォルニア州アナハイムでハイブリッド形式で開催されました *48。
  • PNSQC (Pacific Northwest Software Quality Conference): 2024年10月14日~16日にオレゴン州ポートランドで開催され、品質とソフトウェアテストおよびQA原則の実践的応用に重点を置きました *48。

特に、欧州最大のソフトウェアテストプロフェッショナルが集まる「EuroSTAR Conference 2024」は、2024年6月11日~14日にスウェーデンのストックホルムで開催されました *49。また、「Agile Testing Days 2024」は、2024年11月19日~22日にドイツのポツダムでオンラインと対面のハイブリッド形式で開催され、アジャイル手法におけるソフトウェアテストに焦点を当て、テスト自動化、セキュリティテスト、生成AIに関するディープダイブトラックが設けられました *50。

STARWEST 2024の要約では、AIが主要なテーマとして強調され、AIテストにおける信頼の醸成、AIテストが最も頻繁なユースケースであること、そして生成AIが開発者に最も恩恵をもたらす可能性が指摘されました *52。

これらの豊富なイベントは、海外のソフトウェアテストコミュニティが、技術革新を追求し、知識を共有し、プロフェッショナルなスキルを継続的に向上させるための強力な基盤を提供していることを示しています。AIとテスト自動化は、これらのイベントの中心的なテーマとして、その重要性と将来性が繰り返し強調されています。

5. 結論と提言

総合的な評価

2024年4月以降の品質保証、QAエンジニア、SET/SDET、およびテスト自動化の分野は、国内外を問わず、技術的進化と市場の変革が急速に進んでいます。この期間は、AIと自動化が品質保証のあり方を根本的に再定義し、QAおよびSDETの役割がより技術的かつ戦略的な「品質エンジニアリング」へと移行する過渡期として特徴づけられます。

市場動向を見ると、日本と海外の両方で、QA/品質管理職の求人数が供給を上回る「売り手市場」が形成されており、特に経験豊富な人材に対する需要が非常に高いことが確認されました。これは、ソフトウェアの複雑化とリリースサイクルの加速に伴い、企業が品質を競争優位の源泉と見なしていることの表れです。

技術面では、AI駆動型テスト自動化、ローコード/ノーコードツールの普及、DevOps/DevSecOpsプラクティスとの統合が、効率性と品質向上を両立させるための主要な推進力となっています。学術研究も、大規模言語モデル(LLM)のテストへの応用、AI生成コードの品質保証、テストの不安定性解決など、最先端の課題に取り組んでいます。業界のイベントやブログは、これらの技術的進展とキャリアパスの変革に関する情報共有の場として機能しています。

日本と海外の比較

日本と海外の動向には多くの共通点が見られます。AIとテスト自動化の積極的な導入、QA/SDETの役割がより技術的かつ開発寄りのスキルを求める方向への進化、そして経験豊富な人材への高い需要は、グローバルなトレンドとして共通しています。特に、PlaywrightやCypressといったモダンな自動化ツールの台頭と、それらを扱うスキルへの高評価は、両市場で共通の傾向です。

一方で、いくつかの違いも存在します。日本の市場は、求人数の増加に対して登録者数が減少しているという需給ギャップがより明確に示されており、人材獲得競争の激しさがうかがえます。また、日本国内のイベントでは、JSTQBのような資格認定団体との連携や、未経験者育成の事例がより具体的に議論される傾向が見られます。海外の学術研究は、AIの倫理的側面や公平性といった、より広範な社会的影響に関するテーマにも深く踏み込んでいる点が特徴的です。

戦略的提言

この変革期において、企業および個人が競争力を維持し、成長を続けるためには、以下の戦略的提言が重要となります。

企業向け

  1. 人材戦略の再構築と投資:
    • 経験豊富なQA/SDET人材の積極的な採用: 需給ギャップを認識し、競争力のある報酬と魅力的な労働環境を提供することで、市場価値の高い人材を獲得します。
    • 社内でのリスキリング・アップスキリングプログラムの強化: 既存のQA/テスト担当者に対し、プログラミング、テスト自動化フレームワーク(特にPlaywright, Cypress)、CI/CD、クラウド技術、AI/MLの基礎知識に関する体系的なトレーニングを提供します。SDETへのキャリアパスを明確にし、育成を促進します。
    • 未経験者育成への投資: 長期的な人材確保のため、IT基礎知識からQA/テストの専門スキルまでをカバーする実践的な研修プログラムを開発・実施します。SHIFTの事例のように、ITパスポートやJSTQB Foundationの取得支援も有効です *28。
  2. 技術導入の戦略的推進:
    • AI駆動型テスト自動化の戦略的導入: テストケース生成、テストメンテナンス、テスト実行の最適化にAIを活用し、効率と精度の向上を図ります。TricentisやGIHOZ AIのようなツール導入を検討し、具体的なROIを追求します *9。
    • ローコード/ノーコードツールの活用: 非技術者を含む幅広いチームメンバーがテスト自動化に貢献できるよう、ローコード/ノーコードのテスト自動化ツールを導入します。これにより、テストカバレッジの拡大とテストサイクルの短縮を実現します *13。
    • DevOps/DevSecOpsプラクティスの深化とQAの統合: 開発、運用、QA、セキュリティチーム間の協業を強化し、品質とセキュリティをSDLCの初期段階から組み込む「シフトレフト」アプローチを徹底します。CI/CDパイプラインへのテスト自動化の組み込みを標準化します *11。
  3. 品質文化の醸成:
    • 品質を開発ライフサイクル全体に組み込む「品質エンジニアリング」の考え方を組織全体に浸透させます。品質はQAチームだけの責任ではなく、開発者、プロダクトマネージャーを含む全員の責任であるという意識を育みます。

個人向け

  1. 技術スキルの継続的な開発:
    • プログラミングスキルの習得と深化: Python, Java, JavaScriptなどの主要なプログラミング言語の知識を強化します *7。
    • 最新のテスト自動化フレームワークへの習熟: Seleniumだけでなく、PlaywrightやCypressといったモダンなツールを積極的に学び、実践経験を積みます。APIテストツール(Postmanなど)の習熟も重要です *6。
    • CI/CDおよびクラウド技術の理解: Jenkins, GitHub Actions, Docker, KubernetesなどのCI/CDツールや、AWS, Azure, GCPといったクラウドサービスの知識を習得し、テスト自動化のCI/CDパイプラインへの統合能力を高めます *7。
    • AI/ML知識の獲得: AIがテストにどのように応用されているかを理解し、AI生成コードのテストや、AIを活用したテストケース生成などのスキルを身につけます *6。
  2. 専門性の深化とキャリアパスの多様化:
    • 特定のドメイン知識の強化: 自身の関心や経験に基づき、特定の業界(例:金融、医療、ゲーム)や技術領域(例:IoT、ブロックチェーン、セキュリティテスト、パフォーマンステスト)における専門知識を深めます *6。
    • SDETとしての役割拡大: テストの自動化だけでなく、テストフレームワークの設計・構築、開発者との密な連携を通じて、SDETとしての価値を高めます。将来的には、開発職やDevOps、セキュリティエンジニアへのキャリアパスも視野に入れます *7。
  3. 継続的学習と情報収集:
    • 業界イベントへの積極的な参加: JaSST, Tokyo Test Fest, DevOpsDays, STARWEST, EuroSTAR Conference, Agile Testing Daysなどの国内外の主要カンファレンスに参加し、最新のトレンドやベストプラクティスを学び、ネットワークを構築します *23。
    • 専門ブログ・メディアの購読と学術論文の追跡: Ministry of Testing, LambdaTest Blog, The CTO Clubなどの影響力のあるブログや、arXiv, IEEE, ACMに掲載される最新の学術論文を定期的にチェックし、知識を常にアップデートします *41。
    • 認定資格の取得: JSTQB Foundation Levelなどの業界で認知された認定資格を取得し、自身のスキルと知識を客観的に証明します *4。

これらの提言は、品質保証およびテスト自動化の分野が、技術革新と市場の需要変化によってダイナミックに進化している現状に対応し、企業が競争力を高め、個人がキャリアを成功させるための羅針盤となるでしょう。


引用文献

  1. モノづくりエンジニア中途採用マーケットレポート(2024年5月発行 ..., https://www.saiyo-doda.jp/report/13981
  2. QAエンジニアに未経験から転職するには?仕事内容・キャリアパス・目指す際のポイント, https://studio-tale.co.jp/career-stories/guide/career-change-to-qa-engineer/
  3. 2024年4-6月総評「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」, https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240724_82621/
  4. QAエンジニアとは?将来性やキャリアパスをズバリ解説 ... - コトラ, https://www.kotora.jp/c/55733/
  5. 2024 年最高のローコード開発プラットフォーム 8 選 - App Builder, https://www.appbuilder.dev/ja/blog/best-enterprise-low-code-development-tools
  6. QA and SDET is the Safest Job during AI boom 2025 Market Analysis, https://prepare.sh/articles/qa-and-sdet-is-the-safest-job-during-ai-boom-analysis-of-qa-2025-job-market-trends
  7. The Ultimate Guide To SDET: Role, Responsibilities, And Career Path, https://testmetry.com/sdet-guide-roles/
  8. Career Path Advice for an SDET Looking to Switch" : r ... - Reddit, https://www.reddit.com/r/QualityAssurance/comments/1krefa6/career_path_advice_for_an_sdet_looking_to_switch/
  9. AIを活用してテストケース作成を効率化する機能「GIHOZ AI -BETA ..., https://www.veriserve.co.jp/helloqualityworld/media/20241115001/
  10. Tricentis、AI型テスト自動化ツールを日本で本格展開--伊藤忠商事が ..., https://japan.zdnet.com/article/35218225/
  11. QA trends for 2024 - a1qa, https://www.a1qa.com/blog/qa-trends-that-will-define-2024-part-1/
  12. Top 18 Test Automation Trends in 2024 - Software Testing Services, https://testfort.com/blog/test-automation-trends
  13. Quality Engineering Trends for 2025 to Boost the ... - ImpactQA, https://www.impactqa.com/blog/quality-engineering-trends-to-boost-the-productivity-of-your-business/
  14. テスト自動化ツールおすすめ比較!料金やメリット・選び方のポイント | BOXIL Magazine, https://boxil.jp/mag/a9011/
  15. 導入事例|Autify (オーティファイ), https://autify.jp/use-cases
  16. QA trends for 2024 - a1qa, https://www.a1qa.com/blog/qa-trends-that-will-define-2024-part-2/
  17. Findy(ファインディ)ご紹介資料, https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/society_digital/digital_skill/pdf/004_05_00.pdf
  18. SRE Kaigi 2025 スライドまとめ - Zenn, https://zenn.dev/naru_rama/articles/05bbf6e3b02f17
  19. SREエンジニアとは?DevOpsとの違いや役割について解説, https://career.levtech.jp/guide/knowhow/article/938/
  20. 「ソフトウェアエンジニアリングの国際動向」レポートの公開 | 社会・産業のデジタル変革 - IPA, https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/international-trends.html
  21. IPSJ SIG Software Engineering (SIGSE) - 情報処理学会 ソフトウェア工学研究会, https://www.sigse.jp/event.html
  22. 2024年度 研究会・研究グループ案内 - 情報処理学会, https://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/sig-info2024.html
  23. JaSSTソフトウェアテストシンポジウム-JaSST'24 Tokyo-開催要項, https://jasst.jp/symposium/jasst24tokyo/outline.html
  24. ソフトウェアテストシンポジウム 2024 関西|セミナー・イベント ..., https://www.veriserve.co.jp/seminar-event/2024/event-20240621-repo.html
  25. JaSSTソフトウェアテストシンポジウム-JaSST'24 Tokyo-論文募集要項, https://www.jasst.jp/symposium/jasst24tokyo/abstract.html
  26. 一般社団法人 TDM品質管理機構, https://www.qctdm.jp/
  27. 2024年 更新情報 | 更新情報 | 日本製薬工業協会 - 製薬協, https://www.jpma.or.jp/news_room/news/2024/index.html
  28. 未経験駆け出しQAエンジニアがITパスポートとJSTQB Foundationを ..., https://note.shiftinc.jp/n/n4826672e5e36
  29. *「#ソフトウェアテスト」の人気タグ記事一覧 - note, https://note.com/hashtag/%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88
  30. 【2024年最新版】テスト自動化のフレームワークを一挙にご紹介 - バルテス, https://service.valtes.co.jp/t-dash/blog/framework_testautomation_vol_007/
  31. 伊藤忠もSAP移行で総テスト工数を65%削減、Tricentisの本格進出でテスト自動化は変わるか, https://enterprisezine.jp/article/detail/21309
  32. 記事一覧 - estie inside blog, https://www.estie.jp/blog/archive
  33. 現役エンジニアの勉強に!おすすめエンジニアブログ14選 - レバテックフリーランス, https://freelance.levtech.jp/guide/detail/1764/
  34. JaSST Tokyo 2024に発表&参加してきました報告|tarappo - note, https://note.com/tarappo/n/nfc411c8f65f4
  35. ソフトウェア&アプリ開発展|セミナー・イベント|ソフトウェア ..., https://www.veriserve.co.jp/seminar-event/2024/event-20240424-repo.html
  36. Top 10 Online Communities for Testers in 2024 | PractiTest, https://www.practitest.com/resource-center/blog/top-10-online-communities-for-testers/
  37. 2024年4月16-17日開催DevOpsDays Tokyo 2024 にてワーク ..., https://www.creationline.com/knowledge/event/71694/
  38. 【ニュースリリース】4月16日、17日開催 『DevOpsDays Tokyo 2024』 に MSOL Digital 登壇, https://www.msoldigi.com/news/news-02
  39. Program - Tokyo Test Fest - The Annual International Testing ..., https://tokyotestfest.com/en/program2/
  40. Top 6 Software Test Automation Trends of 2024 | Keysight Blogs, https://www.keysight.com/blogs/en/tech/software-testing/2024/Jan/10/top-software-test-automation-trends-of-2024
  41. 10 Software Testing Trends Shaping the Testing Industry in 2025 - Aspire Systems - blog, https://blog.aspiresys.com/testing/10-software-testing-trends-shaping-the-testing-industry-in-2025/
  42. Test Automation Trends to Accelerate Development Cycles in 2024 ..., https://www.fingent.com/blog/test-automation-trends-to-accelerate-development-cycles-in-2020/
  43. Software Engineering Apr 2024 - arXiv, http://arxiv.org/list/cs.SE/2024-04?skip=100&show=100
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  45. Mutation-Guided LLM-based Test Generation at Meta - arXiv, https://arxiv.org/pdf/2501.12862?
  46. The 22 Best Software Testing Blogs Of 2025 - The CTO Club, https://thectoclub.com/career/best-software-testing-blogs/
  47. 8 Best Software Testing Blogs to Follow in 2025 | GAT, https://www.globalapptesting.com/blog/best-software-testing-blogs-to-follow
  48. 13 Best Software Testing Conferences to Consider Attending in ..., https://thectoclub.com/career/best-software-testing-conferences/
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  50. Agile Testing Days 2024 - Conal Conference Alerts, https://conferencealerts.com/show-event?id=259739
  51. Location & Accommodation | AgileTD - Agile Testing Days, https://agiletestingdays.com/location/
  52. Key Insights & Takeaways from STARWEST 2024 | Perfecto, https://www.perfecto.io/blog/starwest-conference-2024
  53. StarWest 2024 Recap: AI and the Future of Mobile Testing - Kobiton, https://kobiton.com/blog/starwest-recap-ai-and-the-future-of-mobile-testing/
  54. Top 17 Software Testing Blogs For 2025 - LambdaTest, https://www.lambdatest.com/blog/top-software-testing-blogs/
  55. The Gaming Resurgence: Top 10 Video Game Jobs For 2024, https://onwardsearch.com/blog/2024/03/top-10-video-game-jobs-2024/
  56. Software Testing News | Ministry of Testing, https://www.ministryoftesting.com/software-testing-news

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