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プロジェクトの混乱をどう乗り越えたか?──自律と対話から学んだPMの役割

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jinjer開発部 藪田です。
今回は、私が担当したあるプロジェクトの立て直し経験を通じて感じたこと、学んだことについて振り返ってみたいと思います。

プロジェクト立て直し

私の受け持っていたプロジェクトは1stリリース後、新規機能の実装に向けて開発を続けていたプロジェクトで、ベンダー切り替え直後にスケジュール遅延や品質劣化が発生しました。主な原因は、開発ベンダーの切り替えに伴って発生したベンダー間引継ぎの失敗、コミュニケーションロスや、進行管理の混乱です。作業遅延によるリリース延期や予想以上のバグ発生による品質懸念など、状況は決して楽観できるものではありませんでした。

そこで、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)にも助力いただき、プロジェクトの「リビルディング(再構築)」に取り組むことになりました。計画の見直し、課題管理の徹底、社内のエース級SE2名の投入、チーム内外の連携強化など、短期間でできる限りの手を打ちました。

このプロジェクトでの立て直しのプロセスと成果は、後に人事評価の中でも取り上げられるほど、私自身のキャリアにとっても大きなターニングポイントになりました。

立て直しで意識した2つのこと:スキルの可視化と、対話

プロジェクトの立て直しで特に意識したのは、「誰がどんなスキルを持ち、どこで力を発揮できるのか」を見極めること、そして「相互の理解と信頼を生むコミュニケーション」です。

それまでも、朝会やスクラムイベントなど必要なコミュニケーションはとっていましたがベンダーの理解度などこちらの想像と実際に差異があるとわかりました。
リビルディングの一環としてコミュニケーション量を増やすため、全メンバーでお互いを知るためのキックオフMTGを実施しました。そのなかでメンバーそれぞれの強み・弱みを把握し、適切にタスクをアサインすることで、チームのパフォーマンスは目に見えて変わっていきました。
加えて、2週に1回の振り返りMTGを週単位に切り替えることでカイゼンへのタッチポイントを増やしました。
対話する機会を増やしたことで、些細なことでも気軽に話し合える環境を意識的に作り、情報の流れがスムーズになったことで、問題の早期発見・対処ができるようになりました。

立て直しから見えてきた、私たちの目指す姿

今回の経験を通して強く感じたのは、jinjer開発部が目指す「ティール組織」に通じる価値観でした。
「ティール組織」とは、自律的でフラットな組織を目指す考え方で、従来のヒエラルキー型とは異なり、一人ひとりの主体性を重視するマネジメント思想です。

上司の指示をただ待つのではなく、自分から発言し、提案できる。チームのために必要だと思ったことを、役割に関係なく行動に移せる。そうした「自律型」の姿勢が、最終的にはプロジェクトの成功にもつながるのだと実感しました。

ティール組織の考え方には、「自由と責任はセットである」という原則があります。裁量を持つ分、結果に対する責任も大きくなる。そのプレッシャーは確かにありますが、同時に、自分の仕事がチームにどう貢献しているかを実感できるやりがいもあります。

自分にとってのPMとは

プロジェクトを通じて改めて私が感じたのは、「PMとは単なる進行管理者ではない」ということです。プロジェクトが問題なく進行させることは大事です。ただ、それと同じくらい人と人との間に立ち、可能性を引き出し、チーム全体の力を最大化する。そのためには、論理的思考だけでなく、感情や人間関係への配慮も必要不可欠です。

私が目指すPM像は、「安心して失敗できる環境」を作れる人。そして、「失敗を、前向きな挑戦として受け止められる」文化を育てられる人です。
メンバーが考えて提案してくれたことを、私はできるだけ活かすようにしています。
それが失敗したときは、PMとして判断した責任を取り、責めることはしません。
そのことでメンバーが成長でき、メンバーの成長はチームの成長、組織の成長につながる。
このことを言葉だけでなく実感してもらう。これが大事だと思っています。


このように、プロジェクトの混乱期を乗り越えた経験は、単なるスキルアップだけでなく、組織や自分自身の在り方を見つめ直す貴重な機会となりました。今後も、「自律」と「対話」をキーワードに、より良いチーム作りに貢献していきたいと思います。

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